タイトルから雑学エッセイ的なものを想像していたけど、まるっきり違っていた。非常に面白い。迷信、噂などなどいままで常識だと思われていたさまざまな話題の検証。原題を直訳すると「ポピュラーな間違い辞典」だとという。ドイツでは二十万部を越えるベストセラーになり続編も出るというのに、日本ではまったく話題になってない。非常に面白い本なのに残念。
著者のヴァルター・クレーマーはドルトムント大学経済学・社会統計学の教授、ゲッツ・トレンクラーは同大学の統計学の教授。
「はじめに」に名前が出てくるマーティン・ガードナー(「奇妙な論理」の著者)の様なスタンスを感じる。
「喫煙者は保健医療費を増大させている」という常識を覆す説明手腕は見事だし、「エイズ検査を国民全体に受けさせれば医学人道両面で破滅的事態になる」なんて話は専門である統計の妙、ダイエットなど身近な話題にも意外な間違いが多い。実際、面白いんだけど、全部の内容を理解するのはなかなか頭が必要な気がする(^^;)。
10年ぶりぐらいの再読。
「常識のウソ277」を読んで、著書マーティン・ガードナの名前を思い出して読んでみる。「科学の名において」-In
the Name of Science-の二十五章のうちの十一章を選び出したもの。
日本では「トンデモ本」として扱われる内容を真面目に検証していく。地球空洞説、反相対性理論、反進化論、人種差別、似非科学医療、アルゴン理論、ダイアネシックス、EPS/PKなどなど。原著は1952年だから、多少内容は古くなっている。新しい似非科学も出現しているので、新しい版も欲しいものである。
単純なMITの本かと思っていたけど、これは面白かった。エンジニアリングの歴史に関わる事柄を朱珍に、もっと複雑に絡む多くの内容を含んでいる。エンジニアは読んでおくといい本だろう。1995年刊行だというのに今まで知らなかったのは残念。
最近までエンジニアの地位がずっと低かったという意識は無かったが、確かに戦後の事かもしれない。第二次世界大戦の終結が結果的に科学力によったものであった事が影響し、科学の地位向上する。それでも、文科系文化のハーヴァードはMITを「職業専門学校」と侮辱する所なんかオカシイ。特に次の言葉…
「物質の世界にかかわるのは、詩的想像力をも包含する自然の世界にかかわるのにくらべて、知的にも精神的にも劣っているという信念は、ハーヴァードの時計であり羅針盤でもある」
エンジニアの根本的気質、鉄道模型クラブ、コンピュータの出現とナードの文化、ナノテクノロジー、マイクロマウス・コンテストの話なんてのもある、話題は豊富。
第8章ではネグロポンテ率いるメディア・ラボについて語っている。実は四年ほど前に会社にネグロポンテが講演に来た事があるが、驚いた事に、聴講者のほとんどが彼の事を知らなかった…(^^;)。
妖艶な美女、眉術の使い手の子蓉の登場により、話は色っぽくなり、面白くなってくる(^^)。顔回が子蓉の手に落ちるかが今回の面白さかと思ったが、ラストの子蓉とお守りさまの対決がよかった。
今回のあとがきは、「星新一の本の解説、追悼を頼まれたとすれば」…。著者とは世代的にも近いから、星新一から受けた影響は同じ様に感じる。ジュブナイルから普通への小説の橋渡しが星新一だったなんてのは、まったく同じ。
子蓉の魔の手が迫るのがメインかと思ったが、ラストの少正卯を追い詰める様が凄まじくて今回の一番の見せ場だった。中国歴史モノっぽい残虐さがある。
しかし、続きはいつ出るのであろうか??
オリジナル・ゾンビホラー・アンソロジーと帯にあるように、すべてがゾンビものの短編集を集めたもの。1968年にジョージ・A・ロメロが「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を撮ってから、このホラーに影響を受けた小説の集大成。
上巻は九編。中にキングが書いているというので買ってみたけど、あんまり面白くなかった。序文はジョージ・A・ロメロ。
後編にはマキャモンが書いている。とりあえず有名どころを上下巻に入れておくというのが憎たらしいが、ま、これもあんまり面白くなかった。
桐野夏生の初の短編集。オール読物などから集めたもの。「虫卵の配列」、「羊歯の庭」、「ジェイソン」、「月下の楽園」、「ネオン」、「錆びる心」(「ハイスワイフ」改題)の6編。
小さな狂気、サイコっぽさを描いていて、「OUT」や「顔に降りかかる雨」の長編から比較すると作品的には物足りない感じがあるだろうけど、これはこれで結構面白かった。
大阪のエレクトロニクス・ショーへ行く途中、新幹線の中で読む軽い読物という事で何となく選ぶ。
著者は二年間のインド、ネパール、スリランカ、タイへの放浪後、神話、伝説の収集、サンスクリット語の研究を行っている。本書は1985年から翌年までの旅の記録。 一般的な旅行書とはまるっきり違って著者はインドの庶民生活にどぷりと使っている。内容はさまざま。インド相撲クシティーの道場に入門するなど格闘技、随所に出てくる料理とスパイス、アーユルヴェーダなどのインド伝承医学、それがすべてインドの哲学的背景を持っているのがいい。
面白かった。内容的には「不夜城」、「鎮魂歌 不夜城II」の焼き直しって感じもするのだけれど、文章力が向上している。上手くなっていると思う。
舞台は台湾、美亜鷲隊(メイヤーイーグルス)の八百長(放水)野球選手。ハードボイルド、暗黒小説、ヤクザ=黒道(ヘイタオ)の絡ませ方、台湾語、英語、北京語、日本語の混在した世界、人間関係の絡み合い、帯電話のうまい使い方も同じ。
こんな設定の類似点に関わらず、一気に読めてしまう。
「しらを切れ、ごまかせ、丸め込め」、この台詞に集約される、人間の落ちていく様の描き方は見事。
お馴染のシリーズ。大きいものは、電線と鉄路。英仏海峡、新幹線保守、新幹線パンタグラフなどなど。この章の中でも異色の自動改札のオムロン、三菱電気のエレベータ(横浜ランドマークタワー)なんかは身近で面白かった。
モノ作りの部分では、商売柄、コニカのCD用プラスティックレンズとソニーのCCDが一番面白い。しかし、CD用のプラスチックレンズの副産物がレンズ付きフィルムだったとは…(^^)。
一番驚いたのはコニシの「接着剤が今だにどうしてつくのか、今だに未解明」って話。
文庫版4の前書は、1995/1/17、阪神淡路大震災の日の山根一眞の長い一日の話。当日は次週月曜発売号の校了日、下河辺淳に急遽アポイントを取り対談を行ったものが1章最初の節。2/1には下河辺淳は阪神・淡路復興委員会の委員長に就任する。震災から7カ月後に、再び対談を行ったものが1章最後の節。山根一眞のフットワークの軽さと視点の上手さが見事に結実している。
震災関係では神戸製鋼の高炉の緊急停止から再火入れまでの話、本州四国連絡橋公団の震災日当日に明石海峡大橋を空中徒歩で点検した話。
その他、面白かったのはやはり民生機器の話なんだけど、特にソニーのオーディオの黎明期の苦労は実に面白かったし、勉強になった。エプソンの世界最小市販ロボット、ムシュ君は興味あったので、もうちょっと突っ込んだ技術の話が欲しかった。
いつも使っているニッケル水素電池、リチウムイオン電池は、身近なモノなので面白く読めた。
「夜光虫」を読んだばかりだというのに、あっと言う間に次の「漂流街」。
噂では、去年の税金を払うために出版をペースアップせざる負えないとか(^^;)。
税金は去年の収入にかかってくるので、作家は大ヒットしてしまうと確かに大変でしょう…。
異国人、暗黒小説という設定は同じ。今回、主人公は日系三世ブラジル人マリオ。日本で五反田デートクラブで働く。金とシャブ、警察に、中国人に、ヤクザに追われる。この辺の作り方はまったく同じだけど、今回はデートクラブの女、ケイの存在がよかったかな。なんか、桐野夏生「OUT」みたいな女の強さを感じる。あと、天使の歌声を持つカーラの存在がよかった。
マリオを虐待していた祖父の太一の屈折した感情、それを受け継いだマリオの性格というのがなかなかよかった。
設定自体は、もう何度も使い廻しているけど、ストーリーテーリングとしてはまだまだ面白いなあ。まあ、考えてみればディック・フランシスだってワンパターンだけど面白いし。
どっかの書評で面白いと書いてあってので一生懸命探して読んだけど…あんまり大した事無かった。アルファベット・シティはニューヨークにある架空の暗黒街。ここに潜入した記録がベストセラーになった主人公。そこから巻き起こる事件。しかし、なんか冗長で、テンポが悪くて面白くなかった。
スティーヴン・ナイトは英国のTV番組製作会社のオーナでこれは二作目の小説。和訳されたのは初めて。
アンチマイクロソフトの二大サイト、「がんばれ!!ゲイツ君」(外崎則夫)と「真・窓と林檎の物語」(梅津伸幸)をまとめたもの。ほとんど読んだ事あるヤツだけど、ご祝儀のつもりで買ってみる。出版によって、広く読まれる可能性が出た訳だからいい事だと思う。
→ ANITE-Microsoft(反マイクロソフト)リンク集
- 電子竹林
→ 「がんばれ!!ゲイツ君」
→ 「真・窓と林檎の物語」