2002年3月


「ロード・オブ・ザ・リング」- The Lord of the Rings - ☆

 ピーター・ジャクソン監督脚本製作、トールキン原作、イライジャ・ウッド、イアン・マッケラン、リヴ・タイラー、ヴィゴ・モーテンセン、ショーン・アスティン、ケイト・ブランシェット、ジョン・リス=デイヴィス、ビリー・ボイド、ドミニク・モナハン、オーランド・ブルーム、クリストファー・リー、ヒューゴ・ウィービング、ショーン・ビーン、イアン・ホルム。

 闇の冥王サウロンが作り上げ世界を滅ぼす力を持った指輪は、サウロンを倒した勇者イシルドゥア、さらにゴラム、時を経てホビット族のビルボ(イアン・ホルム)の手に渡る。ビルボから、オロドルイン山の火口「滅びの亀裂」に指輪を投げ込む事を託されたフロド(イライジャ・ウッド)は、ホビット族のサム、ピピン、メリー、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)、人間のアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)、ボロミア(ショーン・ビーン)、エルフ族のレゴラス(オーランド・ブルーム)、ドワーフ族のギムリ(ジョン・リス=ディヴィス)の9名で苦難の旅に出る…。
 
 面白かった。「ブレインデッド」、「乙女の祈り」の時代を考えるとこんな映画を作る監督とはとても思えないが、素晴らしい仕事をしたと思う。三部作同時の撮影、CGによるコストダウンなどプロデュースとしても、今後のいい見本になる。CGによる、斬新なカメラ移動は素晴らしい。ホビットが遠目では、どうみても子供が演技しているのがバレバレなのは気になるけど。
 原作は一巻目で挫折したが、もう一度挑戦したい。

 この映画を観ると、続き物ってのも悪くないと思っている(「スター・ウォーズ」みたいに間が空き過ぎなければ)。キングが「グリーン・マイル」の前書きで連続小説について書いていたような気分を味わえる。

「ロード・オブ・ザ・リング」 Official Website


「キリング・ミー・ソフトリー」- Killing Me Softly -

 チェン・カイコー(陳凱歌)監督、ヘザー・グラハム、ジョゼフ・ファインズ、ジョゼフ・ファインズ、イアン・ハート、アルリック・トムセン。
 
 恋人とロンドンで暮らす米国人アリス(ヘザー・グラハム)、ある日、交差点で出会った男のミステリアスな視線に引かれ恋に落ちる…、男は著名な登山家のアダム(ジョゼフ・ファインズ)。二人は結婚するが、アリスの元には不気味な手紙が届き始める…。
 
 なぜ陳凱歌が、こんなミステリーを撮るのかと最初は思ったが、結構面白かった。ミステリー性は低く、犯人も単純で展開もちょっとハリウッド的すぎる。それでも、映像は凝っているし、純粋な恋愛映画として観ると、陳凱歌の味が出ている様に思える。
 アダム役のジョゼフ・ファインは「恋におちたシェークスピア」の方が好きだけど、アクが強すぎて使いにい役者かも。


「ヒューマンネイチャー」- Human Nature -

 ミシェル・ゴンドリー監督、チャーリー・カウフマン脚本、パトリシア・アークェット、リス・エヴァンス、ティム・ロビンス。

 ライラ(パトリシア・アークェット)は、12歳で全身毛むくじゃらとなり大自然の中で生きる事を決意したが、出版した本がベストセラーに。厳格な両親の元で育ったネイサン(ティム・ロビンス)はネズミにテーブル・マナーを教える研究に没頭。そんなライラ、ネイサンはある日、森で猿として野生に育った男パフ(リス・エヴァンス)を見つける…。

 三人の一癖ある役者がうまくバランスを取って、いい演技になっている。カウフマンの脚本がやや説教臭くはあるが、意外性とギャグと面白い展開を持って楽しめる。ラストもカウフマンらしい毒が効いているし。
 リス・エヴァンスは「ノッティングヒルの恋人」から期待の役者、やっと主役が観られて満足。「シッピング・ニュース」でも重要な役どころで、今後も期待出来る。


「アメリカン・スウィートハート」- America's Sweethearts -

 ジョー・ロス監督、ジュリア・ロバーツ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、ジョン・キューザック、ビリー・クリスタル、クリストファー・ウォーケン。

 米国人の理想的カップルとして大人気のグウェン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)、エディ(ジョン・キューザック)は別居中。グウェンの妹で付き人のキキ(ジュリア・ロバーツ)は密かにエディに恋心を抱き、宣伝マンのリー(ビリー・クリスタル)は映画公開のためにエディ、グウェン二人の復縁を狙う…。
 
 あまりに前評判が悪かったので期待ゼロ、そのせいか思ったより楽しめた。ゼタ=ジョーンズのわがままぶりはなかなかいいし、ロバーツもなかなか魅力的。ラブ・コメディとしてはそれほど悪くないと思うけど、ラストのまとめ方はイマイチかな。特に監督役のクリストファー・ウォーケンのヘンさは結構いいのだけど、活かせてはいない。

「アメリカン・スウィートハート」Official Website


「マルホランド・ドライブ」- Marholland Drive -

デイヴィッド・リンチ監督、 ローラ・エレナ・ハリング、ナオミ・ワッツ、ジャスティン・セロウ、ロバート・ワッツ、アン・ミラー。

 マルホランド・ドライブでの衝突事故、リタ(ローラ・エレナ・ハリング)と名乗る記憶を無くしたブルネットの女は、女優の姪ベティ(ナオミ・ワッツ)に助けられる。リタの鞄には大金と青い鍵。二人はリタの記憶を取り戻そうとするが…。

 この混乱のし具合が、なんともリンチっぽくて楽しめた。最後の方は時間が無いのか畳み掛け方が激しく更に謎が謎を呼んだけど、ちょっと一気にまとめすぎて手抜きな感じ。監督自身も混乱したのか(^^;)。
 ストーリを真面目に考えれば色々な解釈が出来るけど、まあそれぞれぞれ勝手に考えればいいのかな。印象的には「ブルーベルベット」の新鮮さを感じた。
 コアなファンが多いのか、かなり混んでいた。
 
「マルホランド・ドライブ」Official Website


「エネミーライン」- Behind Enemy Lines -

 ジョン・ムーア監督、オーウェン・ウィルソン、ジーン・ハックマン、ホアキン・デ・アルメイダ、デイビッド・キース、オレック・クルパ。

 旧ユーゴスラビアの民族紛争後のボスニア、米海軍のクリス大尉(オーウェン・ウィルソン)は平和維持活動のための。F/A-18スーパーホーネットで撮影任務中、セルビア人民軍の虐殺行為を目撃、撃墜される。敵地のまっただ中、クリスは山、森、町を抜け救出ポイントへ向かう…。
 
 撃墜シーン、地雷のシーンなど映像表現的にも斬新な魅力を出しているジョン・ムーア監督は期待を裏切らないが、それでも米国万歳的な部分はかなり鼻につく。これは制作側の問題だと思うが。セルビア軍は悪人、NATOは足をひっぱるという構図も単純過ぎ。全体には悪い部分も多いが、部分的には見逃せないものもある。
 「ウィルソーーーン」のセリフは気に入った。
 
「エネミーライン」 Official Website


「オーシャンズ11」- Ocean's Eleven -

 スティーブン・ソダーバーグ監督、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツ、バーニー・マック、ドン・チードル、エリオット・グールド、エディー・ジェイミソン、カール・ライナー、シャオボー・クィン、ケイシー・アフレック、スコット・カーン。

 仮釈放中の窃盗犯ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)が立てた、ラスベガス3大カジノの現金が集まる巨大金庫から1億5000万ドルの現金を盗み出すというとてつもない計画に集まる11人の仲間。ターゲットのラスベガスのホテル王ベネディクト(アンディ・ガルシア)の恋人は、オーシャンの離婚寸前の妻テス(ジュリア・ローバーツ)だった…。

 これだけ豪華なキャストを集めると逆にどうにもならないと予想出来るが、想像通り。どのキャラもまったく輝きが無く、No.2のブラッド・ピットもいいとこ無し、マット・デイモンに至っては単なるスリの兄ちゃんでしかない。金庫破りの計画は一見緻密でかなりずさん、ストーリもそれに合わせて粗い。オリジナルの「オーシャンと11人の仲間」も観ているはずなんだけどあんまり記憶が無い。

「トラフィック」の後がこんな映画とは…ソダーバーグらしさは無い。ラスベガスを描く映像はちょっといい感じだったけど。

「オーシャンズ11」Official Website


「オー・ブラザー」- O Brother,Where Art Thou ? - ☆

 去年の12月に観たばかりだけど、近くのシネコンで上映する事になったので再見。何度観ても、やっぱり面白い。今回は、音楽も十分楽しむ余裕が出来た。いい流れの映画だと思う。

→ 一回目に観た感想


「モンスターズ・インク(日本語吹き替え版)」☆

 ピート・ドクター監督、リー・アンクリッチ/デヴィッド・シルバーマン共同監督、声の出演ジョン・グッドマン、ビリー・クリスタル、 ジェームズ・コバーン、スティーブ・ブシェーミ、ジェニファー・ティリー、吹き替え版声の出演石塚英彦、田中裕二。

 モンスターズ・インクは人間の子供たちの悲鳴を集める事によりモンスター・シティにエネルギーを供給している会社。怖がらせ屋サリー、その相棒マイクは悲鳴獲得ポイントNo.1の名コンビ。人間の子供は有害で、何一つモンスター・シティに持ち込んではいけないはずが、ある日小さな女の子ブーが紛れ込んでしまう…。
 
 全米で記録続出の大ヒットの面白さは確かにある。映像、ストーリどれを取っても素晴らしいエンターテイメントに仕上がっている。泣き笑いを、ここまで上手く決めてくれるのはさすがにディズニー、悔しいが脱帽。
 CGによる映像、とくにマイクの毛の表現の上手さは素晴らしい。「トイ・ストーリ2」が過去のものに感じられてしまう。

「モンスターズ・インク」Official Website


「カタクリ家の幸福」

 三池崇史監督、山岸きくみ脚本、沢田研二、松坂慶子、武田信治、西田尚美、忌野清志郎、丹波哲郎。

 近い将来、大きな道路が通ると信じて山奥にペンション「白い恋人たち」を始めたカタクリ家、デパートをリストラされた父のマサオ(沢田研二)、妻テルエ(松坂慶子)、子連れの出戻り長女シズエ(西田尚美)、長男マサユキ(武田信治)、祖父(丹波哲郎)、愛犬ポチ。やっと来た最初の客が自殺。悪い評判を恐れ死体を埋めるが、続く客にも不幸が…。

 韓国のブラック・コメディ「クワイエットファミリー」をミュージカル風にリメイクしたもの。最初からクレイ・アニメーション、突然なミュージカルと、「殺し屋1」上回る好きな事をやり放題にやっている。最後はそれなりにうまくまとめているが、イマイチ滑っている部分も多い。
 ところで初めて、渋谷イメージフォーラムに行ったけど、渋谷と言えないほど駅から遠い。

「カタクリ家の幸福」Official Websie


「ソウル」

 長澤雅彦監督、長谷川康夫脚本、長瀬智也、チェ・ミンス。

 犯人護送のためにソウルに来ていた警視庁の新米刑事、早瀬祐太郎(長瀬智也)は現金輸送車強奪事件に遭遇。犯人の顔目撃したために、刑事部長キム・ユンチョル(チェ・ミンス)の捜査に協力する事になる。一方、テロリスト「民族の夜明け」が「アジア首脳会議」阻止を宣言、日本の外務大臣を誘拐する…。

 「シュリ」「踊る大捜査線」の雰囲気に、「レッド・ブル」的な異国での刑事のぶつかり合い、「ダイ・ハード」的なテロリスト犯罪と、どっかで観たような映画をかき集めた脚本は、結局ストーリにまったく整合性が無い、成功してない。韓国の文化的な違いを出そうという部分は鼻につきすぎる。

「ソウル」Official Website


「WASABI」

 ジェラール・クラヴジック監督、リュック・ベッソン製作脚本、ジャン・レノ、広末涼子、ミシェル・ミューラー、キャロル・ブーケ。
 
 暴れ者だが有能なパリの刑事ユベール(ジャン・レノ)、停職処分の彼の元に19年前に突然姿を消した日本人、忘れられない恋人のミコの死が伝えられる。遺品を受け取りに向かった日本でユミ(広末涼子)と出会う…。
 
 広末という事で期待度0%だったけど、結構楽しめた。細かい矛盾や雑さはスパっと忘れれば結構楽しめる。広末は悪い部分も多いけど、いい部分もよく出ている。単純娯楽作品としては、最近のベッソン製作の中ではいい部類。フランスでの評判は、実際どうだったんだろう…。
 キャロル・ブーケは、出番が少なくて残念。相変わらず、年を感じさせない美人。

「WASABI」 Official Website


「地獄の黙示録 特別完全版」- Apocalypse Now -

 フランシス.F.コッポラ監督製作脚本、マーティン・シーン、マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、フレデリック・フォレスト、デニス・ホッパー。

 ベトナム戦争のさなかの1960年代末、サイゴンのホテルから呼び出されたウィラード大尉(マーティン・シーン)はア奥地のジャングルでカリスマ的存在となり現地人、米兵、傭兵を率いて王国を築いているカーツ大佐(マーロン・ブランド)暗殺の指令を受け、部下四人と共にナン河をさかのぼる…。
 
 1979年の公開時に観て以来、スクリーンで観た事は無かったけど迫力満点、やはり何度観ても面白い。特別完全版として増えてたシーンは、フランス植民農園、ニ度目のプレイメイト、カーツの追加部分、巡視艇の追加部分など。
 マーロン・ブランドの演技は嫌いじゃないけどやっぱり「ゴッドファーザー」の繰り返しの印象。あと、コッポラの東洋人に対する過剰な神秘性を感じている事を再認識させる。

地獄の黙示録 特別完全版」Official Website


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