'97年2月


「カウントプラン」
黒川博行 文芸春秋

 日本推理作家協会賞の小説。ほとんどが 精神病質を絡ませたミステリーの短編集。「カウントプラン」は面白かったけど、他のはミステリー的にはイマイチ。
 当然のことながら、「カウントプラン」は「シンプルプラン」のしゃれ。


「レキシントンの幽霊」
村上春樹

 村上春樹のエッセイは、安心して読める。 海外でのエピソードとしては、「やがて悲しき外国語」に似た所がある。


「江戸へようこそ」
杉浦日向子 ちくま文庫

 江戸モノを読み始める。「大江戸観光案内」と同じ様に、雑学的だけど、こちらは中島梓や高橋克彦との対談もあるし、色々。遊廓のシステムと黄表紙本の解説は詳しくて勉強になった。


「帝都物語」第壱番
荒俣宏 角川文庫

 「帝都物語」再読開始。前のは捨ててしまったかあげてしまったので買いなおす。


「帝都物語」第弐番
荒俣宏 角川文庫

 大震災篇


「帝都物語」第参番
荒俣宏 角川文庫

 神霊篇、魔都篇


「江戸を楽しむ」
今野信雄 朝日文庫

 江戸についていくつかのポイントで掘り下げる内容。
 銭湯、賄賂、隠居、四季、ゴミとリサイクル、教育、家事、旅等など。文章的にはちょっと堅いけど、内容はためになる。


「裏モノの本'97」
三才ブックス

 相変わらずしょうもない内容だけど、つい読んでしまうシリーズだなあ、これは。世の中のアヤシイものに(身代わりとして)これだけ突っ込んでくれるのはありがたい限り。ほとんどトホホな内容ばかり。彼氏代行の個人広告、ハムスター養殖で大金持を夢見る等など、この胡散臭さがいい。


「洗脳されたい!」 マインド・ビジネスの天国と地獄 別冊宝島304
宝島社

 「マインド・コントロールの恐怖」を読んでも、日本での具体的エピソードに乏しい。この本は、それを補うものかもしれない。
 自己開発セミナー、アムウェイ、KKC、ヤマギシ会、船井幸雄等など。
 しかし、「洗脳されたい」人がこんなに多いのはなぜ?単なる無知以上のものが絶対にあると思う。


「奪取」
真保祐一 講談社

 この人の小説は初めて。去年、偽札のクライム・ストーリで面白いのがあると聞いていたので読み始めた。確かに面白い。展開は文体に多少稚拙なところがあるけど、内容がいかにもオタク心をくすぐって楽しめる。スキャナ、プリンタ、コンピュータ、印刷技術、製紙技術、時限発火装置、その他もろもろの技術的な綿密さがやたらに高くて、実にのめり込めた。
 他にも結構書いているようなので、続けて読んでみるつもり。


「テロリストのパラソル」
藤原伊織 講談社

 第40回江戸川乱歩賞受賞。
 TVドラマになったのを見て、それがかなり面白かった。やっと読んだけど小説も面白い。ハードボイルドの乾いた文体がいい。ただ、最後には血縁が絡んでくるのがいかにも日本人の作家っぽい。ちょうど横溝正史のミステリーがそうであったように。


「グリーン・マイル」1
スティーブン・キング

 連続小説が無くなった今、薄い文庫本を出して連続にしていこうという意図の一冊目。
 その経緯についてはキング自身の前書きに詳しいです。そこの部分は面白い。ただ、小説としてはあまり面白くもない。こりゃ、出版社の陰謀としか思えない(^^;)。

(2000/03/26追記) 訂正、このシリーズ目茶面白い!! →シリーズ2以降の感想


「このアニメがすごい 」別冊宝島293

 「新世紀エヴァンゲリオン」を機に、アニメの総括をしたような本。アニメの中としてはまとまっているけど、文化全体の位置としてのアニメを語るにはちょっと浅い。著者たちの力不足でしょう。


「寂しい狩人」
宮部みゆき 新潮文庫

 宮部の新しい文庫が出たと思って買って読み始めたら、すぐにハードカバーの時に読んだヤツだと気がついた(^^;)。でも、内容をあまり思い出せなかったので再読。まあ、あまりノリがいいとは言えないかな。
 古本屋が舞台と言っても、ジョン・ダニング「死の蔵書」とはえらい違いがある。


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