ベールの彼方の生活
第二巻 『天界の高地』 ザブディエル霊
GVオーエン(George Vale Owen)著
近藤 千雄(こんどう かずお)訳
潮文社発行
第一巻はオーエン氏の実の母親からの通信が大半を占めた。その親子関係が醸し出す雰囲気には情緒性があり、どこかほのぼのとしたものを感じさせたが、この第二巻は一転して威厳に満ちた重厚さを漂わせている。文章は古い文語体で書かれ、用語も今日では〝古語〟または〝廃語〟となって居るものが数多く見受けられる。
が、同時に読者はその重厚は雰囲気の中にもどこかオーエン氏に対する温かい情愛のようなものが漂っていることに気づかれたであろう。最後のメッセージにそれがとくに顕著に出ている。もしそれが読み取って頂けたら、私の文筆上の工夫が一応成功したことになって有難いのであるが・・・