イエスの少年時代 (霊界通信 イエスの少年時代)

ジェラルディン・カミンズ(著)
山本 貞彰(訳)
発行所 潮文社

序文 エリック・パーカー
THE CHILDHOOD OF JESUS
By Geraldine Cummins
Psychic Press Ltd.
London. England
First Printed 1937
This Edition 1972

目 次
絶好の訳者
序 文

第1章 マリヤの誕生
第2章 マリヤの悲願
第3章 神との出逢い
第4章 羊飼いの不思議な話
第5章 東方の星
第6章 受胎のしらせ
第7章 大きな星
第8章 神秘の受胎
第9章 死線をさまよう
第10章 暖かい介抱

第11章 悪女のたくらみ
第12章 赤子イエスに関する預言
第13章 村八分の四年間
第14章 平和な七年間
第15章 日の出の語らい
第16章 ヨセフの悩み
第17章 異邦人〝ヘリ〟の挑戦
第18章 最初の受難
第19章 聖都への旅行計画
第20章 暁に預言者エリヤと語る

第21章 王者の片鱗
第22章 マリヤ・クローパスの証言
第23章 いよいよエルサレムへ
第24章 大祭司アンナスの衝撃(ショック)
第25章 神と富との狭間に
第26章 アンナスとキリニウスの友情
第27章 燕の羽を生やそうとする雀
第28章 先なる者が後に
第29章 イエスを見失う
第30章 大いなる知恵を語る

第31章 パリサイ人の不吉な夢
第32章 私の息子をお返しください
第33章 腹黒い教師の罠(わな)
第34章 野生の仔鹿のように
第35章 自然を我が家に
第36章 可愛い妹レア
第37章 神霊治療の業を磨く
第38章 最初の奇跡・・・妹レアのために
第39章 へりとの固い約束(神癒の禁止)
第40章 金持ちの依頼を断る

第41章 慈悲の父ヨセフ
第42章 ヨセフの重い病気
第43章 神様は何処に
第44章 父とは誰か
第45章 弟トマスの家出
第46章 ねじ曲げられた出生の秘密
第47章 クローパス夫妻イエスを匿(かく)まう
第48章 汚れた町の塵を足から払い落とす時
第49章 灼熱地獄の旅(アラビアの砂漠)
第50章 地獄で仏に出逢う

第51章 失明の父
第52章 砂の上に書いた文字〝メシヤ〟
第53章 感動の奇跡
第54章 あなたの名は?

訳者あとがき
新装版発行にあたって

絶好の訳者
近藤千雄

ジェラルディン・カミンズといえば日本ではマイヤースの通信『永遠の大道と『個人的存在の彼方』で知られている。

この二編がスピリチュアリズム思想に飛躍的な発展をもたらした重大な霊界通信であることに異議を唱える者はいないが、カミンズの評価が日本ではとかくこの二編のみで行われることに私はひそかに不満を覚えていた。

と言うのは、カミンズの自動書記通信にはその二編のほかにキリスト教の根幹にかかわる重大な通信が幾編か存在するからである。

イエスの少年時代を扱った The Childhood of Jesus` 同じくイエスの青年時代を扱った The Manhood of Jesus` バイブルの「使徒行伝」と「ロマ書」の欠落部分を埋めるといわれる年代記 Scripts of Cleophas` 同じく「使徒行伝」のパウロのその後の足跡を綴ったとされる I Appeal Unto Caesar`そして同じくパウロの晩年、暴君ネロの時代を描いた When Nero was Dictator である。

私がこれらを重大な資料と見なす理由は、その通信内容をスピリチュアリズムにまったく関心のない、否、むしろ内心は否定したく思っていたはずの第一級の聖書研究家や神学博士が徹底的に吟味して、これに〝正真正銘〟の折紙をつけていることである。

さて私もこれまで英国の霊界通信をいくつか翻訳してきた。当然のことながらそれらはキリスト教的色彩が濃い。幸い私はキリスト教系の大学の英文科に学び、キリスト教について〝常識的〟な知識は具えていたので何とか訳すことができたが、深い専門的知識を必要とする通信は、正直言ってまったく歯が立たなかった。そして原書は空しく書棚の片隅で眠り続けていた。

そんな時、昭和六十年十一月半ばのことであったが、私の訳書の一読者から一通の封書が届いた。

二十数年にわたってキリスト教聖公会で司牧された経歴をのべ、さらに今スピリチュアリズム思想に出会ってキリスト教に対する観点が大きく変わりつつある旨をのべ、その上で今後の自分の進むべき道について私の助言を求めてこられたのだった。それが本書の訳者、山本貞彰氏である。

その後山本氏と何度か文通を交わしているうちに私は、この人こそカミンズのキリスト教関係の通信を訳すべき方だという直感を得て、まず本書の原書を進呈してみた。私の直感は間違っていなかった。

氏はその通信の内容上の重大性と同時に、その文学的な美しさに魅せられ、さっそく翻訳を思いたたれ、そしてこのたびついに完訳された。キリスト教界からすっかり身を引かれた今、氏はそのシリーズの翻訳を畢生(ヒッセイ)の事業と心に決めておられる。

私は氏はそれを最大の使命として生まれて来られた方だと信じている。これまでのキリスト教との縁もその布石だったに相違ないのである。

日本はキリスト教国ではないとは言え、その信仰が大勢の日本人の人生に多大の影響を及ぼしていることは紛れもない事実である。私は在来の一宗教としてのキリスト教は忌避するが、キリストの説いた基本的真理はスピリチュアリズムと相通じるものであり、正しく理解すれば日本にも無くてはならぬ存在価値を持つものと信じている。

イエスならびにその使徒たちの時代に関するこうした一連の霊界通信が〝正真正銘〟であるということは、キリストをはじめとしてその使徒たちが死後もなお存在しつづけ、ほぼ二十世紀後の今、カミンズという秀れた通信回路を得て地上へ情報を送ってくれたということを意味する。

願わくばキリスト教関係者がその事実を事実として素直に直視して、キリストの教えの真髄を理解する一助とされることを切望してやまない。


序 文
エリック・パーカー

この本は、とても美しい物語です。私はこれを何と表現したらよいかわかりませんが、〝幻の書〟とでも言っておきましょう。

腕の悪い大工というイエスの見方は、おそらく伝統的考え方には見当りませんし、ヘリという浮浪者と旅をすることや、砂漠の部族に関しては、私が他の書物でお目にかかったことがなく、始めて知ったことであります。

著者は、パレスチナ地方に関してかなり詳しく熟知しておられるようですが、私には、設定されている舞台が一種の霊界と呼べるところで語られているようにも思えるのです。

それにしても登場人物は、強烈な個性を持った人間として生きぬき、仲違いをする男女として描かれ、私たちと同じような行動様式が示されています。

中心的人物、イエスについて私が最初に感じたことは、実に愛すべき人間ということであり、実はこのことが物語の美しさをつくり出す泉となっているのです。文体も又不思議な程美しく、話法も平易であるため、この作品は広範囲の大衆の心をとらえるのではないかと信じるものであります。

主な登場人物
ゼリータ・・・・・・・・・・・・・・・・マリヤの祖母
マリヤ・クローパス・・・・・・ヨセフの実姉

キレアス・・・・・・・・ゼリータの従兄弟
ベナーデル・・・・・・ナザレの律法学者

ヘリ・・・・・・・・・・・・異邦人、エジプトの人
シケム・・・・・・・・・・神殿づきのパリサイ人

ハレイム・・・・・・・・ナザレの魚問屋
ハブノー・・・・・・・・流浪の部族の長
※イエスの弟妹
・トマス
・ヤコブ
・セツ(双生児)
・ユダ( ” )
・レア(妹)
※クローパス家の息子
・ヤコブ
・ヨセフ
・シモン
・ユダ