日本では、それほどポピュラーな存在ではないかもしれませんが、彼女のミステリアスな目を一度でも見れば必ずや忘れられないこと請合いです。いわば女優版ロバート・ミッチャムというような雰囲気を持ち(但し、ミッチャムの場合にはただ眠そうなだけですが)、どこか曖昧でどんよりした印象を与えます。また、あちらでは映画においてよりもTVシリーズ「アダムス・ファミリー」(1964−6)のモーティシア役で知られています。「アダムス・ファミリー」シリーズは、個人的には見た記憶がまったくありませんが、手元にある同番組からのフォトを見ると、彼女の摩訶不思議な眼差しは、ネクロフィリア的な嗜好性の濃厚なこの番組にピタリとマッチしているように見えます。ある解説には、「肉の蝋人形」(1953)で蝋人形にされた彼女が最も印象的だったなどと実に不埒なことが書かれていますが、それでは余りにもひどすぎます。蝋人形にされても印象的であったと言い替えるべきでしょう。マリリン・モンローが主演した「七年目の浮気」(1955)には、トム・イーウェル演じる主人公を誘惑する看護婦の役でわずかに顔を見せています。「北海の果て」(1960)では、リチャード・バートンとロバート・ライアンの間で揺れ動く(というよりも逆に彼らを揺れ動かす)女性を、何かを語りたげであると同時に何かを隠しているように見える彼女特有のアンビバレンスな眼差しで好演していました。そのような印象を活かした作品にもう少し多く出演していれば(実際は、西部劇やコメディが多いようです)、もう少し知名度が上がっていたかもしれません。残念ながら、1983年に癌で亡くなっています。 |
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1953
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肉の蝋人形
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1959
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ガンヒルの決斗
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1954
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デジレ
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1959
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果てしなき夢
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1955
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七年目の浮気
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1960
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北海の果て
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1955
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The Tender Trap
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1962
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西部開拓史
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1956
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ボディ・スナッチャー/恐怖の街 |
1963
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坊やの作戦命令
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1956
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知りすぎていた男
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1969
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夕陽の対決
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1958
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初恋
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1979
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さよならミス・ワイコフ
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