インターネット個別病気相談室
97年6月の質問と回答集

(平成9年7月21日版)


膨大な質疑応答データをホームページ上で見やすくしたいのですが
限りある私の時間は少しでもお答えに当てるようにし
目次を付けるなどの編集作業はホームページ上では行っておりません

もっと読みやすく編集したものをご希望の方は

プロによる編集済みの電子出版物 をご利用下さい。
居ながらにしてとても簡単に入手できます。

また、電話代、接続料などが気になる方のために
インターネット画面のままの フロッピーディスク版もあります。

インターネットへの接続無しに今ご覧になっているような 感じでじっくり読む事が出来ます。

詳しくは こちらをご覧下さい。

妊娠と風疹について教えてください。

はじめてお便りします

36歳で今回が初産の者(12W3D:)ですが、風疹のような症状がでて判断に困っています。 ちなみに、6/9実施の風疹抗体免疫検査では(8倍未満)免疫なし の結果が でています。かかりつけの産婦人科に問い合わせたところ、7月10日に来るように 言われましたが、区の夜間電話診療の産婦人科の先生からは、発疹がでてから1週間目に 抗体ができるので、7月4日に検査するべきだと言われました。

私としましては、一日でも早く結果を知りたいと思いますが、今一番知りたいことが 解りません。以下に簡単な状況を記しますので、どうかご教授くださるようお願いします 。

・風疹はどのようにして感染するのか。また、風疹患者との接触とは、どのような範囲ま でを指すのか いまのところ感染源が思い当たりません。空気感染などでも感染するのでしょうか。

・風疹と同じような症状のでる発疹はあるのでしょうか。

とにかく、心配でたまらないのでアドバイスをいただきたいと思います。 突然のメールでご迷惑かと思いますが、よろしくお願いします。なるべく早くのご返事をお待ちしてます

(97/ 6/29 東京都 Mさん)

(97/06/29)

最近関西でも風疹がとても流行っています。 妊娠中に風疹にかかると動脈管開存や心房・心室中隔欠損などの心臓奇形のほかに、 白内障、聴力障害などの奇形児出産の危険があり相当注意が必要です。 実際,以前沖縄で風疹の大流行があったときにこういった「先天性風疹症候群」の患者さんが たくさん出て問題になったことがありました。

妊娠初期が特に危険で妊娠4週以前では奇形児出生率が確率50%以上ともいわれています。 心臓の奇形や白内障は妊娠1−2ヶ月が主ですが、聴力障害は妊娠4−5ヶ月目でも認められます。

風疹患者は発疹出現後7日間は人に感染させる可能性があり特に妊娠の可能性がある女性に 近づかないようにすべきです。主に経気道飛沫感染が考えられています。 発疹などの典型的な症状を示さない不顕性感染例が20−25%はありますので知らないうちに 感染してしまうことの方がむしろ多いです。

風疹の発疹は紅色の斑状の少し盛り上がった感じの発疹で普通3日くらいであとかたなく消えてしまいます。 耳の後などのリンパ節が腫れることが多いです。目が赤くなることもあります。 合併症としては血小板減少症が3000例に1例ほど、 脳炎が6000例に1例ほど認められますが特に小児の場合は「3日はしか」と言われるくらいで 比較的簡単に治ります。大人になってから罹ると熱も激しく関節炎症状などでかなり重症化することが あります。

風疹と同じような発疹を示す病気には麻疹(はしか)、伝染性紅斑(リンゴ病)などがあります。 典型例は麻疹は熱が2回に分けて出て2度目に発疹とコプリック班という口の中の 頬の白いぶつぶつが出るなどの特徴があり区別はすぐに付きます。 伝染性紅斑は頬がレース状に赤くなるなどの様子で区別できます。

しかし、これらの発疹を示す病気は症状だけではときになかなか区別がつかないことがあります。 そういう時や、診断をさらに確実にする必要のあるときには血液中の抗体の検査を参考にします。 普通数千円単位のお金がかかりますが採血だけで数日後に結果が分かります。 風疹の場合HI抗体価(エッチアイこうたいか)が8未満の場合には風疹にかかり得ると判断します。 発疹が出たころのHI抗体価と発症2週間目のHI抗体価を比べて もし4倍以上高くなっていたらほぼ間違いなく風疹に罹っていたと考えられます。 それからIgM(アイジーエム)という抗体が陽性に出れば最近1−2ヶ月の間に風疹に罹った 可能性が極めて高くなりとても参考になります。 御質問者の場合も少しお金がかかったとしても合わせて調べておかれるようお勧めします。 のちほど専門の先生方に御相談される場合にとても参考になることがあります。

日本では昭和52年より女子中学生に風疹の生ワクチンを接種するようになりました。 このワクチンの抗体獲得率(免疫がつく確率)は95%くらいですのでほとんどの人は風疹にかからなくなりますが 残りの5%くらいの人や、生ワクチンの接種を中学生のときに何らかの理由で受けることができなかった人は 風疹にかかる可能性が残ります。

ですから結婚適齢期の女性は、生ワクチン接種の有無にかかわらず皆さん全員 必ず風疹のHI抗体価を測定しておき抗体価が8倍または 8倍未満(4倍、2倍、陰性など)の人は、かかりつけの医師にご相談の上生ワクチンを受けておかれるように お勧めします。

なお、妊娠中の人は生ワクチンを受けてはいけませんし、 生ワクチンを受けたあと3ヶ月は妊娠しないようにします。

アミロイドーシスについて教えて下さい。

非常に有益なホームページだと思います

通常の質問に送りましたが、 ”000のoooで”お願いします。

 父親(75才)が昨年心臓のバイパス手術を受けました。 今年5月には虫垂ガンと診断され摘出手術を受けました。 その時大腸とともに小腸も摘出しましたが、小腸にアミロイドーシスが発見され 6月に小腸の50%を摘出する手術をも受けました。

お医者さんが言うにはアミロイドーシスというのは非常に珍しい病気だそうで、 その病院でも(かなり大きな病院です)過去にアミロイドーシスを扱ったことがないということです。 また、症例も少ないためにいつごろから成り始めたのかも見当も付かなく、 現在対処療法もないということです。 今現在でも他の臓器などにアミロイド蛋白が発生している可能性もあるかもしれないし、 またあったとしても発見する方法がないとのことです。

検査として骨髄液を取りました。 検査結果はまだです。  今後腸閉塞が起きたら2〜3カ月しか命がもたないそうです。 他の臓器への発生の可能性も考えると2〜3年以内のようなことも言われました。  術後の経過自体は良いの出で家に帰らせる。 何でも好きなことをさせ好きなものを食べさせるようにとのことです。 本人の帰りたいという希望もあるのでしょうが為す術が無いというのが現状のようです。  急に痩せたり、気持ち悪くなったり皮膚へシコリができたらすぐに来院するように言わ れました。 今現在でも食事で気持ち悪くなったり、かなり痩せてきているのに.........。

 インターネットなどで調べましたがアミロイドーシスのことについて詳しく分かりませんでした。 透析性と原発性があること。遺伝の可能性が20%あること。その位しか分かりませんでした。 透析はしたことがないので原発性アミロイドーシスだと思います。 出来れば下記のことを知りたいのです。

 1:アミロイドーシスとは、どんな病気なのか?
 2:本当に対処療法がないのか?
 3:専門の病院やアミロイドーシスに詳しい病院はあるのか?(東京在住です)
 4:他の部位への発生をMRI等で発見することはできないのか?
 5:遺伝の可能性(子供4人、孫4人)
 6:大阪府では”特定疾患”に指定されて特定疾患医療を受けられるそうですが東京都 にもそのような制度があるのでしょうか?

お忙しいこととは思いますが、よろしくお願いいたします。

( 97/ 6/13 15:02 東京都 Sさん)

(97/06/13)

メールありがとうございました。時間がありましたらWWWサイト上でお答えしたいと思 います。骨髄液を取られたとのことですが骨髄穿刺で骨髄の形質細胞などの検査をされた のでしょうかそれだと血液中の免疫グロブリンの値はいかがだったでしょうか、それとも 脊髄液の検査をされたのでしたら「総蛋白」の結果はいかがだったでしょうか 40mg/dlを超えていたかどうかだけでももし分かればお送り下さい。

(上記の回答を頂きましてからお答えしようとお待ちしています。御質問者は何らかのご連絡を頂けますか。検査結果が出なかった場合は それで結構ですのでそのようにお知らせください。)

(97/ 6/30 01:57)

連絡が送れて大変申し訳ありませんでした。 一昨日検査結果に行ってきました。 先生より言われた免疫グロブリン・総蛋白の数字は分かりませんでした。 (ずっと患者本人と一緒だったため病院の先生に聞けませんでした。) しかし、骨髄性の問題は全くないということでした。 一応一安心しております。 現在は、退院後2〜3キロ太ってきています。食事も以前より少し少ない程度 で、おかゆ等でなく通常の食事がとれています。また、下痢などもないとのこ とです。 づっとこのままで安定していればよいと思っているのですが。 次回は、2週間後に検診に来るようにとのことです。 よろしくお願いいたします。

(97/6/30)

項目に従ってお答えします。

 1:アミロイドーシスとは、どんな病気なのか?

アミロイド物質という非常に水に溶けにくい物質がさまざまな臓器に沈着して障害をきたす 疾患です。このアミロイド物質にはさまざまなものがあり、従って原因はそれぞれによりちがって きます。

少し書きましたように「多発性骨髄腫瘍」というような免疫グロブリンが原因になったり、 腎臓が悪くて血液透析をしている人では「ベーターツーマイクログロブリン」という特殊な 蛋白が原因になります。日本やポルトガルでは「トランスサイレチン」という蛋白の異常による 「家族性アミロイドポリニューロパチー」という特殊な遺伝性の疾患もあります。

 2:本当に対処療法がないのか?

それぞれの原因疾患を治療することが重要です。

昔はこの病気にDMSOという臭いにおいのする薬を使ったりしたことがありましたが 私の経験からも効果は期待できません。 現在ではしっかりと勉強をされておられる先生がこのような治療法をお勧めになることはほとんど無いと思います。 「家族性アミロイドポリニューロパチー」については肝臓移植なども試みられていますが 極めて慎重に行うべきです。

この病気の治療方法については 1989年に 「Clinical Neuropharmacology」 という国際的なアメリカの雑誌に 「Current and proposed treatment of familial amyloidotic polyneuropathy」として 私の論文が紹介されていますので受け持ちの先生がどうしても治療法が無いと言われて困られている場合には 相談してみて下さい。「vol 12 no.6 pp.506-513 ,1989」著者名は 「Noriaki Adachi 」と言えば調べてもらえるはずです。  

3:専門の病院やアミロイドーシスに詳しい病院はあるのか?(東京在住です)

原因となる疾患により専門科は違ってきます。 アミロイドーシス全般または「家族性アミロイドーシス」など特殊な場合には 東京では東京医科歯科大学神経内科にいらした小林高義(たかよし)先生などは かなりの専門家で相談に乗ってもらえると思います。 お尋ねの場合には小林先生の初診外来日などを電話(03-3813-6111)で御確認の上、 資料も持参で受診してみて下さい。

  4:他の部位への発生をMRI等で発見することはできないのか?

エコー(超音波検査)やMRIでアミロイド物質の沈着があるのではないかと わかることもありますが全身を絨毯爆撃的に調べても難しいです。

 5:遺伝の可能性(子供4人、孫4人)

前述のように家族性、遺伝性のものも中にはありますが多くは違います。

 6:大阪府では”特定疾患”に指定されて特定疾患医療を受けられるそうですが東京都 にもそのような制度があるのでしょうか?

国全体としても厚生省の特定疾患などさまざまな指定を受けています。 場合によっては身障者手帳などももらえることがありますので 詳しくは役所の福祉課などでお尋ねになってみて下さい。

アミロイドーシスという病気について更に詳しくお尋ねになりたい場合は どうぞご遠慮なく再度メールをお送り下さい。

(97/ 7/ 1 04:20)

検査結果の連絡が送れたにもかかわらず、早速のお答えありがとうございました。

お答えにあるように、専門家の先生が居られるのであれば良く家族とも相談し連絡を 取らせてもらおうと思います。
アミロイドーシスとはどんな病気かということも大体分かりました。

お忙しい中、本当にありがとうございました。

病気のことで他人に聞けないとか、誰に相談したら良いか分からないという人は沢山 いると思います。このようなホームページがあって本当に良かったと思います。 これからも御活躍して下さい。

OOの件、お答えを見る前にOOOっては失礼かと思いOOが遅れましたが明日OOOOさせて いただきます。

ありがとうございました。

これ以前のご質問と回答は

「97年5月の質問回答集」

「97年4月の質問回答集」

「97年3月の質問回答集」

「97年2月の質問回答集」

「97年1月の質問回答集」

「96年12月の質問回答集」

「96年11月の質問回答集」

「96年10月の質問回答集」

「6月下旬から10月中旬までのすべての質問回答集」を ご覧下さい。

「ホームページ」に戻る