インターネット病気個別相談
平成9年1月の質問と回答のページ

(平成9年2月21日最新版)


病気についてお困りの一般の方からの
あらゆる種類の「病気の相談」、 「病院選びの相談」に

足立医師がお答えしています。

写真家の福永保昭氏撮影
「日経ウエルネス」(95年6月号p80-81「今月の代表質問」) インタビュー時の掲載写真

回答医師の経歴,最近の著書,新聞,雑誌,報道、依頼原稿執筆内容などは 「自己紹介のページ」をご覧下さい。

このページに関する学習研究社「ファミリーサイエンス」の紹介文 や 雑誌「からくちネット」の医学欄での「完全五つ星」の認定および このページの出版物 『インターネット病気個別相談室〜足立医師の病気相談Q&A集〜』 もご参考になさって下さい。


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事後の御連絡を頂けますと幸いに存じます。
(このページを始めたのは1996年6月末からですが,この数字は1997年2月3日午後11時からのカウントです。)


「少し前の質問回答集」

「96年12月の質問回答集」

「96年11月の質問回答集」

「96年10月の質問回答集」

「6月下旬から10月中旬までのすべての質問回答集」

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必ず「インターネット病気個人相談のページ」からご質問をお送り下さい。

私のページのリンクが複雑で読むのが面倒な方や接続料、通信費が気になる方には電子出版の 『インターネット病気個別相談室〜足立医師の病気相談Q&A集〜』がありNifty Serveから 簡単に入手できますのでご検討下さい。

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著作権はお譲り下さることをご了承の上メールをお送り下さい。
ご質問数が多い場合にはお返事が遅くなったり、選ばせてもらうこともあります。
急な病気の場合は先ずお近くの病医院を受診下さい。

以下はおおよそ最近のものから以前のものへの順ですので(2週間位の前後はあります), そのおつもりでご自分の ご質問の回答をお探し下さい。
少し前にご質問された方は 「少し前の質問回答集」もご覧になって探してみて下さい。
お探しになるときには必ず毎回表示を「最新の情報に更新(リロード)」して下さい。(でないとほとんどのブラウザでは 「キャッシュ」と言って 前回ご覧になったままの画面が出るようになっており私が新たに回答していてもそれが出ません。)


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「十二指腸大動脈瘻」はどこの病院で処置してもらうのが良いでしょうか。

インターネットを拝見させていただきました。 そこで、私の父(70歳)の相談をOOOOOOOお願いします。

先日(O/O0)、内視鏡検査で十二指腸大動脈瘻と診断されました。 これまでの病歴は、OO年OO月に大動脈瘤破裂し、緊急手術により、 大動脈を胃のあたりから下流側に20cmほど人工血管(ダクロン)に交換しました。 術後の経過は順調でした。

 ところが、昨年(96年)の7月頃から不明熱がでるようになりました。 不明熱の症状は、39℃ほどの発熱があり、抗生物質と消炎剤で微熱から平熱に 抑えていましたが、昨年の12月には40℃を越えるの発熱がありました。 発熱時には白血球増加、血沈の亢進、CRP陽性等の炎症反応があり、 40℃を越えた時は、静脈血の細菌培養で陽性でした。 ほかの検査としてはシンチグラフィ、X線CT、超音波検査、尿、便、血液生化学検査、 自己抗体検査を行いましたが、よくわからず、CRPが発熱時は+4〜5、抗生物質を 投与すると+0〜2程度に下がるので感染症の疑いが高いことしかわかりませんでした。

 今年になって胆道感染症の検査のために内視鏡検査(ERC)を行ったところ、 異物が十二指腸の水平部分の内部に見つかりました。

異物というのが、knit状(ガーゼ状)の人工物でした。主治医がおっしゃるには異物は 人工血管で人工血管が十二指腸に癒着を起こし、十二指腸壁を破り、 内側から見えている状態で、これが不明熱の原因に間違いないだろうということです。

内視鏡の観察ではまだ出血、瘻孔の形成はみられないが、 きわめて危険な状態であるといっています。 今後、この部分から細菌感染を起こし、敗血症になるか、この部分から大出血を 起こしてしまう可能性が大であると言います。現在絶食中です。

治療方法は外科的に癒着している十二指腸を切除し、 且つ、汚染している人工血管を交換することだと聞きました。 しかし、この手術は非常に難しい大手術で、手術成績は不良、 術後感染症と大動脈の再破裂の危険が大きいと聞きました。

 そこで、今回の相談はどこの病院でどんな処置を行うのが最善なのでしょうか。 手術で余命を短くする結果にならないでしょうか。 先生のご意見を伺いたいのでお願いします。

ちなみに私の父はOOOOO県内の某OOOO病院に入院中です。 なお、この病院の外科では十二指腸の手術は行ったことがないそうです。

( 97/01/25 15:41、兵庫県 Yさん)

(97/1/25)

お父様がとても重大な病気でさぞご心配のことと拝読し、大急ぎでお返事を書いております。 受け持ちの先生がおっしゃるように極めて危険な状態と考えます。

メールを拝見して感じたことですが現在掛かっておられる病院からの説明が大変理路整然としており とても一生懸命に検査治療を進めて下さっている様子が感じられました。それから、メールを拝見しまして もかなり難解な医学用語が頻出しているのにも関わらず極めて正確に記載されているのにはびっくり致しました。 御質問者が医療関係の方なのかよほど今掛かっておられる主治医の先生のインフォームドコンセントが 徹底しているためではないかと推察致しております。

以上の点からしてとても信頼の置ける先生、病院に掛かられていることが考えられますので、今後の 方針はさらに十分に話し合いをされることをお勧めします。大切な方の生命が掛かっている問題ですので 遠慮は禁物です。納得がいくまで主治医の先生に質問をするべきです。メールを拝見しておりますと 病状の説明をいやがられるような先生ではないように思いますがいかがでしょうか。

十二指腸に対する治療よりも腹部大動脈に対する治療が優先します。 最初の大動脈瘤の手術をしてくださったのは今掛かっておられる病院でしょうか。もしそうなら とても危険な病気の手術を無事やって下さって成功していることですし、 輸送の関係、一度目の手術所見が残っている利点などを考慮して現在掛かっておられるところでの 再手術をお願いするのが良いように思います。

次にもし一回目の手術を受けられたところでの再手術が無理な場合の手段をお答えします。

私の父も足の血管が詰まったりいろいろと病気をして 最も適切な病院の先生方にお世話になって良くなっていますが、 もし私の父がご質問者と同様の状態になった場合は、 輸送中の危険さえ大丈夫であればこの方面では日本で最高の国立循環器病センターの 心臓外科に何とかお願いすると思います。 場合によっては大阪大学医学部第一外科にお願いするかもしれません。 いずれも日本の循環器をリードする最高の施設で こういうところで万が一のことがあっても諦めようと思っています。 医師仲間での評判も最高です。

輸送の関係で香川県内ということになり、循環器で有名な病院ということであれば木田郡三木町の香川医科大学病院、三豊郡豊浜町の三豊総合病院 、高松市の県立中央病院などが知られていますが、これだけの難しい病態に対して対応をどの程度して 頂けるかは確認の必要があります。

とにかく現在診て下さっている先生に十分ご相談の上で判断されてはと思います。実際に御診察させて 頂きましたわけでもなく難しいかとは思いますが、もしどうしても大阪循環器病センターへの 連絡をとのご希望でしたら再度ご連絡下さい。検討してみます。

ミシガン州デトロイトで日本語のできる小児科医を紹介して下さい。

アメリカ・アラバマ州在住のOO000と申します。
1歳4ヶ月になる娘がいるの ですが、風邪をよくひきます。先月は肺炎になり、6日間入院しました。 おかしいと思ったらすぐに現地の病院に連れて行ってますが、こちらの医師との会話は当 然英語で行なっており、やはり細かい所を伝えたり、また聞き取ることが出来ず、いつも お互いに十分に理解できないでいます。

近々ミシガン州デトロイトに引っ越す予定なのですが、当地で御存知の日本人小児科医を 御存知でしたらご紹介頂けないでしょうか。宜しくお願い致します。

提言:有料コーナーを設け、本格的なオンライン診断室を設置されては如何がでしょう か。

(97/ 1/18 05:54、アラバマ州 Tさん)

(97/1/18)

メキシコ湾に面したアラバマ州から五大湖に囲まれたデトロイトに移られるとなるとかなり気候も 違ってくるのではないでしょうか。 私がコロンビア大学医学部留学の為に2年間住んでいたニューヨークよりも 緯度が高く、東海岸では丁度ボストンと同じ程度の経度になるのでしょうか。かなり寒くなり それこそお嬢ちゃんの風邪が御心配のことと思います。

日本語の話せる医師としては五大湖周辺ではシカゴの Dr. Norman Miyagi(61-6993), Dr. Itsuro Uchino (588-8998)(括弧内は電話番号です)などが知られていますが 残念ながらデトロイトの情報は本日は持ち合わせておりません。私も少し調べてはみますが、 先に行かれている 日本人の方などから情報をお尋ねになってみて下さい。 良い日本人の臨床医がもし見つかれば是非 教えて下さい。

日本から留学中の医師はかなりたくさん行っているとは思いますが臨床から離れて研究中の医師が 多く、入院を必要とするような重大かつ緊急を要するときに相談をするのはお勧めできません。 何故かとお思いかもしれませんね。一般の方にはわかりにくいことですが数ヶ月も臨床を 離れて研究に没頭(留学中の日本人医師は大概そうですが)してくると「臨床の勘」がにぶってきます。 ましてや医療事情など全く違った異国では検査も出来ず薬一つ処方する権限もなく、 実際問題役に立ちません。役に立たないばかりか 日本では優秀な医師の中から選ばれて留学してきているというエリート意識が高くて 相談するとあとで「僕の言うとおりにしない」などと仲が悪くなったりすることさえあります。 大体留学中の医師は未だ一人前の臨床家としては今一歩という年代が多いです。 治療内容も日本と現地では随分とちがうので相談者が返って戸惑ってしまうこともあります。

1歳4か月のお嬢ちゃんはよく風邪を引かれるとのことですが余裕があれば免疫グロブリンなどの 検査をして体質的に風邪を引きやすいというようなことがないかどうかを調べておかれると良いでしょう。 またインフルエンザの予防注射を毎年されるように強くお勧めします。

インフルエンザの予防注射は以前はあまり効果がないと評判は良くなかったのですが 最近ではとても有効な事が多いです。3−4週間間隔で、2回接種しておきますと風邪に罹りにくくなりますし たとえインフルエンザにかかっても軽くて済み,肺炎などにはめったにならなくて 済みます。日本ではインフルエンザの予防接種を受ける人が最近急に減ってしまい海外よりも 良い製剤が出ているのに大変残念なことです。今後大流行も専門家の間では懸念されています。 そのときになって慌てていろいろなことが行われるでしょう。 いろいろなことが起こる前に対処するのが良いのですが困ったことです。 欧米などの先進諸国ではインフルエンザの予防接種は 広く行き渡っており特にアメリカでは医師や医療従事者が接種を受けることなどは当然であるとされています。 日本の病院勤務者とは随分と意識レベルが違いますね。

御提言で、「有料コーナーを設け、本格的なオンライン診断室を設置されては如何がでしょう か。」とのことですが、日本では こういう情報に対してお金を払うという感覚が未だ未だ稀薄で、定着しておりません。 流石はアメリカ在留の方の考え方と感心しました。

ご指摘の 「有料コーナー」は別のページで既に始めておりますのでもし関心がおありでしたらご覧になってみて下さい。 尚、「オンライン診断室」とのことですが日本ではまだまだ寄生、おっと変換間違い、 規制が強くて医師法により、医師といえども診察無しに診断行為を継続的に行うことは禁止 されています。近々この医師法も見直されるようですが、 このページでは現行の医師法に従い最終的診断は下さないように注意してご相談に応じております。 兎に角、素晴らしい御提言を感謝申し上げております。どうかこれからもこのページの応援を宜しく お願い致します。
デトロイトの日本語ができる医師を知りませんで申し訳ありませんでした。

(97/ 1/20 01:36 アラバマ州 Tさんより)

先日質問させて頂きました、アラバマ州のOOOOと申します。 こんなにも早く,しかも詳細にご回答を頂き、本当に有難うございました。

海外駐在員にとりまして、医療は切実な問題です。特に私のように 小さい子供を持つ者にとっては、赴任地で十分な医療ケアを受けられるか どうかというのは、赴任地へ家族を伴えるかどうかのキーと言っても 過言ではないでしょう。

私はエンジニアなのですが、機械技術英語であれば慣れ親しんでいますので、 コミュニケーションに苦労することはあまりないのですが、医療に関する 用語は、簡単な病名一つとっても、聞いたこともないようなことがままあり、 その度に辞書を引き引き、医師と会話するという有様です。 この先生を隣の部屋で待っている患者さんが他にもいるかと思うと、 あまり悠長なことも出来ず、先にお送りしたメールに書いた様に、 相互理解が不十分なままで終わってしまうことが多いのです。

最近は、時間の許す限り、事前に病状を出来るだけ具体的にリストアップし、 体温の推移などのデータ、それにこちらの知りたいこと、して欲しいと 考えていることをタイプアップし、それをプリントアウトしたものを 持って行き、これはある程度効果をあげていますが、日本語による コミュニケーションがベストであることは言うまでもありません。 特に英語が不得手な家内にとりましては私が出張などで病院へ一緒に 行けない時などは、夫婦共々非常に不安なものです。

インターネットの普及により、このようにアメリカにいながらにして 日本人医師である足立先生にコンタクト出来るというのは何と素晴らしい ことでしょう。

これからも先生の益々のご活躍と、ホームページの発展を心より願わずには いられません。

略儀ながら、取り急ぎ御礼申し上げます。

何度も「自然気胸」を起こすのですが?

はじめまして。 24歳の男ですが。 昨年の8月ぐらいから 肺の調子が悪く(背中が痛む) 右自然気胸になりました。 1週間入院して自宅療養をしていたのですが、また再発してしまい手術をしました。 手術後から、今度左の背中が痛くなり病院に行ったのですが、様子を見てくれとのこと。 12月に今度は左側が自然気胸になってしまい、また手術をしました。で、今はまた右の 背中が痛みます。また、なりそうで心配です。 何を注意すれば良いのですか?? 何故なるのですか?? 教えてください。

(97/ 1/11 19:46 千葉県 Mさん)

(97/1/11)

メールありがとうございました。 「自然気胸」といってもかなり再発をされておられるので 一般外科での治療ではなく胸部外科の専門病院で診てもらうのが 良いと思います。普通手術後の再発率は3−4%程度であなたのように 何度も再発をしている場合には相当しっかりと原因などを調べてもらう 必要があります。 東京都内では玉川病院など「自然気胸」の専門治療をしているところもありますが、 千葉県内では千葉大学附属病院などなら大丈夫でしょう。 よろしければもう少し詳しくホームページ上でお答えできればとも思っていますが 体格(身長、体重)、今までにかかった主な病気や日常生活、トランペットなど楽器を吹 くかどうか いつごろからどんな風に痛かったのか、CTや断層撮影・胸腔鏡の検査をされたかどうか 、 されていればその結果、地理的にどのあたりの病院なら受診、入院できるかなど ホームページ上でお答えして差し支えの無い程度にお送り頂けますでしょうか。 拝見した上でお答えできるかどうかなど検討してみます。

(97/ 1/11 22:43 )

どうも、有り難うございました。 気胸に気づいたのが 8月5日に、お祭りが有りそこで太鼓をたたきました 2日後に、肩から背中が痛み出しました。 初めは筋肉痛かと思いほおっておいたのですが 1週間経っても治らず病院に行きました。 レントゲンの結果「右自然気胸」と言われて即入院しました。 そこでは、治療は無かったのですが1週間入院してその後 すぐに退院しました。 自宅療養を1週間して仕事復帰できると言われ 療養中の最後に日に突然再発しました。 それで、また入院して OOOOの「OOO病院」と言うところに入院していましたが そこでは、手術が出来ず やはりOOのOOOと言う所にある 「OOO病院」という病院に移されました。 CT、レントゲン等撮り「気胸」の部分を移していました。 手術は、内視鏡で行う手術でした。 脇の下に、3ヶ所の穴を開けて手術をする方法みたいです。 手術後3日位経ってから、左の背中が痛み出しました。 医者に言ったのですが特に何でもない・・・・との事。 退院をしてからも左背中が痛くやはり病院に言ったのですが 問題無い・・・との事。 痛いので整体に言ったりしていました。。 術後3ヶ月位経ち 今度は、左側が気胸になってしまいました。 その時は、寝ていて起きたら突然痛み出しました。 左側は一回目ですが、またなるといけないので 手術をしました。 左側がなって2日位経ったら今度は右の背中が痛み出しました。 レントゲンでは、問題無いとの事です。 でも、左側がなったときと症状が一緒なので また、なるかもしれないと言う不安があります。。 手術をしたら、3日ぐらいで退院できますが やはり手術というものはいやです。 違う病院で見てもらった方が良いのでしょうか?? 「OOO病院」では、呼吸器外科に行っていました。 身長は、165cm 体重は47Kgです。 胸膜鏡は、レントゲンですか?? CTは撮りました、あとレントゲンも。。 地理的には、千葉県内が良いです。 この病気は、原因は無いのでしょうか?? あと、煙草は絶対吸わない方が良いですか?? 病院の方に、入院中は吸わないでね。っと言われました。 「原因は、煙草ですか?」と尋ねると 「まっ、そう言う運命なんだよ。体の欠陥品だと思って・・・」と言われました。 すみませんが、宜しくお願いします。

再度の詳しいメールありがとうございました。 ホームページへのアップができればと検討させてもらいます。(97/ 1/11)

(ホームページ追加)

肺は風船のような構造ですがこの風船は「胸郭」という密閉された入れ物に閉じこめられるために 広がるようになっています。 「自然気胸」はこの風船にあたる肺の弱いところが破れて、肺と胸郭の間に空気が漏れて出て そのため肺は縮んでしまう状態です。殆どが20歳代の 痩せて背の高い男性にみられます。原因も分かっていませんしなぜこういう体格の男性に多いかも はっきりとしたことは分かっていません。
左か右かの突然の胸の痛みで気が付くことが多く、 息苦しさ、から咳、動悸、不安感を伴うこともあります。若い人の気胸は普通は質の悪い病気ではなく 命にかかわることは殆どありません。

肺と胸郭の間に漏れて出た空気をいろいろな方法で吸ったり、肺の破れやすいところを治したり して治療します。

御質問者の書かれている「脇の下に穴を開けて内視鏡でやる」方法は呼吸器外科の かなり専門の先生が行う方法ですので、ある程度以上のレベルの先生方がいらっしゃる病院と考えられます。

私が最初のメールで推薦した日産玉川病院の副院長でいらっしゃる武野良仁先生は この「胸腔鏡下ろう孔閉鎖法」を1973年に開発された先生ですが最近までに1340例以上この 方法で「気胸」の治療に当たって来られた「気胸」についての大家の先生です。 一般の患者さん向けに「自然気胸(45の質問)」という大変良い本を鳳鳴堂(03-3811-5272)という 出版社から出されています。「気胸」 について大変詳しくしかも一般の人たちにも分かりやすいように書かれておりとても良い本です。 皆さんも是非一度読まれることをお勧めします。

「体の欠陥品」とは良くない表現で慎むべきですが肺の構造に一部弱点があることは理解されて たばこもこの機会に止めるか出来るだけ少なくされてはいかがでしょうか。

詳しいメールを拝見しますと 現在かかられている病院は技術的にはレベルの高い病院ではないかと考えますが、今後のことについて又 「セカンドオピニオン」としてレントゲンやCTをお借りして一度武野先生のご意見を伺って確かめておくのも良いかもしれません。 日産玉川病院の電話番号は03-3700-1151です。

「骨嚢腫」の手術を勧められていますが?

骨嚢腫(こつのうしゅ)についておたずねします。(37歳・男性)

半年程前から、右足の踵(かかと)部分に鈍痛を覚え、現在も、歩行時に少し、右足 をかばうような状態です。足の裏の踵の部分を押さえると芯がいたみます。

A総合病院の整形外科とB個人病院の整形外科(スポーツ外科)の2ヶ所で診察を受け たところ共に、『骨嚢腫』と診断されました。

レントゲン写真を見せていただきましたが、1円玉大に丸く白く鮮明に写っておりま した。境界には膜のようなものも認められました。
A病院の先生は、早い時期に手術が必要である。手術法としては、踵の中身を掻き出し て人工骨か、腰の骨の一部を移植する方法ががある。1ヶ月程度の入院になるでしょうと 言われました。

B病院の先生は、痛みが気にならなければ手術は必要ありません。手術法としては、 人工骨と腰の骨の一部を両方あわせて移植する方法がありますと言われました。 説明を聞くと、大掛かりな手術の印象を受けましたが、先生自身は、簡単なように言 われました。

初めて手術を経験するので不安です。 何か助言をいただければ、幸甚に存じます。

OOOOOました。OOOOますが、ご 都合が悪いときは御一報願います。OOOO で す。

(97/ 1/ 7 23:46 鹿児島県 Xさん)

メールありがとうございました。 また、OOOO歓迎致します。後ほどOO頂きたく思います。

ご質問ですが鹿児島県とのことですが熊本大学の高木教授(整形外科)は骨嚢腫、特に かかとに出来たものには手術を出来るだけ避けて患部にステロイドを3ヶ月に1回注入す ることにより良好な成績を上げておられると聞きます。

手術がどうしてもお嫌な場合、躊躇されている場合には一度相談されてみるのも良いかも しれませんね。

余裕がありましたらホームページ上で詳しくお答えしたいとも思っています。 OOOOOありがとうございました。

97/ 1/ 9 00:59

足立先生 早速のご回答ありがたく頂戴いたしました。

頭の中には、手術のことで一杯でしたが、先生の助言の中で手術をしないですむ治 療法を知り、驚くとともに感激しております。

アドバイス通り、相談してみたいと存じます。足の痛みは、まだ取れませんが、精 神的にグッと楽になりました。片田舎で一人悶々としておりましたが、2]@0H/Dのお かげで情報面でのハンディは解消できそうです。

面識もない者に、的確に、親切丁寧に助言下さる、先生の姿勢には頭が下がります 。 今後とも、益々のご発展を祈念いたします。

こちらの結果もご報告できたらと思っております。 本当に ありがとうございました。

お礼のメールありがとうございました。

九州では大分医科大学の中村道利講師も「骨嚢腫」のステロイド注入療法についてご経験 が豊富なようです。

手術のように1回でほぼ完治というわけには行かず通院が必要ですの でそういうことも考慮されてどうなさるか決められてはどうでしょうか。 いずれにせよその道の専門家に手術やステロイド注入療法の過去の成績からそれぞれやっ た場合の副作用の頻度、程度、将来どのようになるかなどとことん納得のいくまで説明を 受けられるようにお勧めします。お尋ねしているうちに本当に専門家か、経験豊富な先生 かなどもすぐに分かってくるものです。情報はお送りしますので最終的にどうなさるかは ご自分でご判断下さい。

なおもしかしたらもう少し詳しくホームページ上でも解説させてもらうかもしれません。 ではまた。

(ホームページ追加)

「骨嚢腫」は日本国内での報告は年に100−200例の 時折見られる腫瘍性と考えられている疾患です。5歳から20歳未満の方が3分の2を締め 御質問者のような成人例は比較的少ないです。
長い管状の骨の体に近い方の端にできることが多いのですが足(正しくは下肢)の付け根(大腿部) や腕の付け根の部分に多く続いて御質問者のように踵(かかと)にできることもあります。しかし 厳密にはこの踵に出来るものは骨嚢腫に含めない考えの人もいます。

御質問者のように軽い痛みがあることで見つかったり、たまたまレントゲンを撮ってみつかったり、 また、抵抗に弱いためにその部分が骨折をしてしまってからみつかったりします。

一般的に踵の骨嚢腫は手術などしないで様子をみることが多いのですがあくまで一般的な話であり 体の重みの掛かり具合その他により骨移植などの手術の必要な場合もあります。

私は急を要する手術ではないので納得のいくまで専門家の意見を伺うのが良いと考えます。

このホームページでは外科医から手術を勧められて私の意見を参考に、高いレベルの専門家に相談をして 必要のない手術だとわかり止めた方さえいらっしゃいます (平成8年11月頃だったと思います。是非ご覧下さい。)。

手術が好きな患者さんは別ですが躊躇されている方は 慎重にされてはと思いますがいかがでしょうか。

なお、別の病院にかかられる場合には 出来ればそれまでの病院で撮られたレントゲンなどは 前の病院で借りて行かれるのが理想ですし普通は貸してくれます。先進諸国では「手術に関して セカンドオピニオンを聞きに行きますのでレントゲンを貸して下さい」などと言うのですが、 日本ではそういことをいうといやな顔をされるでしょうか。

「ぼけ」の診断、治療、病院について

初めてお便りします。 ホームページを拝見させていただきましてそのページから先にメール をさせていただきました。OOOOです。 OO在住の会社員です。

ぜひ祖父のことについてご相談にのってただきたくメールをしました。

祖父は70歳前半男性ですが、最近ぼけがひどくなり近所でもうわさに なってしまうほどになりました。

・日付の感覚が曖昧
・思い違い
・物忘れ
・忘れたり変なことをして指摘されてもわからない、気にならない 等で話がかみ合いません。

また
・お漏らし?(漏らすというよりトイレでの排便の仕方がわるいよう  なのですが本人は汚れたことに気づかないようです) こともあり感覚も鈍っているようです。

4年ほど前に手が小刻みにいつも震えていたのと血圧が高いので 治療を受けました。
血圧の治療では震えが納まらず、病院を変えて、脳外科と内科に 通い、内科で心電図をとって最近心臓の血管を拡張する手術もし ました。この手術の時に、まれに後遺症で記憶に障害が出ることが あると説明を受けました。

それから手は震えなくなりましたが、ぼけが始まりました。

脳外科で先生に異常を聞かれても本人が自覚していないので先生 に異常なしと言っているようです。 アルツハイマーのテスト(図形を書いたりしたようです)もしてみまし たがひどくはないとの返事だけで詳しいことは説明がありませんで した。 アルツハイマーなら脳を診ればすぐわかると聞いたことがあります。 でも機械を使った検査はしていないようです。 あと脳外科の先生の家族への説明がほとんどなく、(本人にはして いるかもしれないのですが理解してないようです)簡単に症状を聞 いて薬を出す感じで、質問すると機嫌が悪くなります。 脳外科というと脳出血等で専門外ではとも思い、またぼけたら施設 にいれればいいという意見も家族の気持ちを考えていただけている とは言い難くあまり信頼できそうになく不安です。

また内科と脳外科の両方で薬をくれるので毎食10種類位になります。 これもぼけの原因ではと思ったりもします。

脳外科の薬が

・アーテン錠2mg 434AR2(抗パーキンソン剤)朝夕食後
・メネシット錠100 NMB647(抗パーキンソン剤)朝夕食後
・イルテップ錠 MD21J(血管拡張剤)毎食後
・ドラガノン錠 ROCHE182(その他の中枢神経用アニラセタム)毎食後
・ドミン0.4 DOM0.4(?)一週間夕食後次の一週間朝夕食後

内科の薬は説明書がないのですが

・飲み薬が毎食2〜3種類
・心臓の上に貼る薬が夜のみ
です。

お伺いしたいことですが、以下の5つです。よろしくお願いします。

(1)薬を減らす又はやめてもいいのでしょうか。(震えのこととぼけのこと   両方の心配で)

(2)手が震えなくなったのなにがきいたのか教えてください。

(3)心臓の血管の拡張の手術は今後も行って大丈夫でしょうか。  いっそう記憶に障害が出たりしないでしょうか。今まで手術は  今年の秋1回ですが、今でも徐々にぼけが進んでいるように  見えます。

(4)これはぼけたのか。薬のせいか、手術の後遺症か、アルツハイマーか。  これ以上進まないようにする方法があればぜひ教えてください。

(5)何科に行ったらいいのか。愛媛県西条市在住です。具体的な病院名が  いただければ尚うれしいです。

どうして急にこうなったのかわからず帰省する度に悪化しているのでとて も心配です。

大変長い文章になってしまいましたがよろしくお願いします。

(97/01/06 20:07 愛媛県 Wさん)

(97/1/6)

メールNifty Serveでも拝受致しました。

遠く離れられたお父様の痴呆症状、医師からの納得のいく説明も十分に伝わってこず検査やそれに 伴う診断や治療法について「これでよいのだろうか」と疑問を抱かれるお気持ち切々と感じられました。 実際に診察させて頂きましたわけでもなく、また私なりの治療法を試させて頂いたわけでも ありませんのであまり断定的なことはお答えしにくいでした。

まず 手の振るえに対してアーテンという本来パーキンソン病に使う薬が特に効果があり、これの作 用かもしれません。メネシットも同じくパーキンソン病の薬でこれによる効果の可能性も十分にあります。

 心臓の血管拡張の治療は直接命を左右しますので原則的には、他にかなりの差し障りがない 限り優先されるのが良いでしょう。

愛媛県西条市の西条中央保健所管内の病院としては西条中央病院(240床)、村上記念病院(205床)、 済生会西条病院(150床)、西条愛寿会病院(180床)他がありますが痴呆症の診断治療に関して どの程度専門的にされているか存じておりません。

地理的にどの程度になるのか分かりませんが愛媛県の近いところと言えば今治市の「県立今治病院(350床)」 が痴呆症の診断と治療に熱心に取り組んでおられることが知られています。あまりお役に立てず申し訳ありません。

専門科は脳外科でも熱心になさっておられる先生なら良いのですがむしろ 神経内科の先生に熱心な方が多いです。神経内科の勉強をしっかりされたことのあるご近所の 開業の先生にご相談されるのも一法です。

(1)と(4)のご質問については詳しい診察と検査の結果でないとお答えは なかなか難しいです。しかしお年寄りに対する内服薬投与は必要最小限に留めるべきです。 (4)につきましてはCTやMRIの結果が大変参考になります。主治医の先生から お伺いになってはおられないでしょうか。何らかの情報お持ちでしたらお知らせ下さい。

尚、もしCTやMRIなどの検査も無しに(このようなことはまず無いと思いますが) 今後の治療方針を立てておられるようなら別の専門の先生にも相談をされた方が良いと考えます。

(97/ 1/ 7 13:11)

丁寧なお答えありがとうございました。 私には医療の知識が全くありませんので大変ありがたく拝見しました。 CT.MRIの検査を最初に受けたかどうかは不明ですが、OOOOに 脳ドックを受けることになり、その時には受けると思います。 昔、脳梗塞を起こしていたようで、(本人は特に自覚症状ははなかったと いっていますが)その後遺症だけではないようだとのことで、前述した 図形を書くテストをしたようです。 脳ドックは病院のドック受付の方がすすめてくださったことで、その結果や 脳外科の先生の対応をみまして、足立先生の教えてくださった今治県立病院や 神経内科の先生を捜すことも考えております。 あとOOの方は2.3日中にOOOOたいと思っています。 お返事本当にありがとうございました。

「新陳代謝」とはどういう意味ですか

質問があります。よく新陳代謝という言葉を聞きますが、どういう意味です か。 また新陳代謝が活発なのとそうでないのとカロリーの消費に違いがあるのですか。 暑がりや寒がり、体温が高めなのと低めなとは新陳代謝に関係がありますか。

(97/ 1/ 5 17:05 シンガポール Fさん)

(97/1/5)

今や日本を通り越してアジアの各種情報、経済の中心となりつつあるシンガポールでご活躍の方からの ご質問でインターネットらしさを満喫しています。

「新陳代謝」という言葉は医学部に入学してからこのかたあまり耳にしたことがなく、 医学的にはあまり使うことは少ないです。私が始めてこの言葉を聞いたのは子供の時に バリカンで頭を丸坊主にされたあと頭をブラッシングされて閉口し「痛いのになんでこんなことすんの?」 と聞いたときに小学校の教師をしていた父が「新陳代謝の為だ」と言うのを聞いて 「なるほど」と意味も分からず納得してしまっていました。ご質問を拝読して懐かしく想い出しました。

医学的には単に「代謝」と言います。運動をしたり甲状腺ホルモンの働きが高まり酸素消費量が高まったときに 「代謝が亢進する」という 言葉の使い方をします。「代謝が亢進する」とカロリーの消費が高まり、暑がりになり 体温も高めになります。病気に関連して言えば「甲状腺機能亢進症(「バセドー病」とも言います)」 などの病気のときにこういう症状が出ます。

お忙しい中、質問にお答えいただき本当にありがとうございました。
(97/ 1/ 5 23:09 シンガポール Fさん)

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