第8章 背後霊の仕事
・・・一般的に言って指導霊と言うのは人間のパーソナリティの規模を拡張した、その延長と考えてよろしいでしょうか。それともまったく別個の存在でしょうか。

とても複雑な問題です。今おっしゃったパーソナリティはインディビジュアリティに置き換えた方が良いと思います。私は物的身体から派生する人物像であるパーソナリティとその人物像と言う仮面の背後霊の実像であるインディビジュアリティとを区別しております。

地上ではあなたと言う存在はあくまでも独立した一人物ですが、霊的なインディビジュアリティは必ずしもそうではありません。例えばアフィニティと言うのがあります。これは一個の魂が半分に分かれた存在で、二つが同時に地上へ誕生することがあるのです。

それから私がダイヤモンドの側面に例えている〝霊相〟とでも呼ぶべきものがあります。一個のダイヤモンドがあって、それに沢山の〝相〟facetがあります。それぞれが地上に誕生して体験を持ち帰り、ダイヤモンドの光沢を増します。

さらにそのダイヤモンドがいくつか集まって一個のインディビジュアリティを構成しております。例えばこの霊媒(バーバネル)と奥さん(シルビア・バーバネル)と私(シルバーバーチ)とは一個のインディビジュアリティに所属しております。一人の支配霊がいくつかの類魂を従えていることがあるわけです。

それを〝延長〟と呼びたければそう呼ばれても結構です。が、結局は同じことに帰一します。つまり地上で肉体を通して顕現するのはインディビジュアリティの極々小さな一部と言うことです。

(これまでインディビジュアリティとダイヤモンドが同一であるような表現で説明していたのを、ここで初めて霊側からみた場合の違いを解説している。
要するに意識の中枢であるインディビジュアリティがあって、その分霊を受けた魂の集団いわゆるグループ・ソールがある。その魂の一つにも相facetがあり、その相が地上へ誕生してくることもある。一つだけのこともあれば二つ、三つ、あるいはもっと多くの相が一度に一個の人間として誕生してくることもあり、全部が、つまり一個のダイヤモンドがそっくり誕生してくることもある。魂が大きいと言うのは相が数多く携えていると言うことである。使命が大きいほど多くの相を携えている。

ダイヤモンドに例えられているのは一個の魂のことであり、その魂がたくさん集まって一個のインディビジュアリティを構成している。地上で〝自分〟として意識しているのは脳を中枢として顕現している地上特有の人物像であって、その中において霊的自我の占める要素は極めて少ない。よほどの切実な試練でも体験しない限り目覚めない。そこでシルバーバーチは、安楽な生活より苦難の生活の方が有難いのです。と言うわけである。
なお以上の説明は〝霊側からみた場合の違い〟であって、それを人間側からどう理解するのかは、例えや用語の受け止め方によって各人まちまちであろう。シルバーバーチがたびたび言っているように、用語にはあまりこだわらない方が良い)-訳者


・・・霊の導きを受けていることは私にも分かりますし、そのレベルの高さも分かるのですが、分からないのは、その導きの源が普遍的な始源なのか、それとも特定の指導霊なのかと言う点です。祈りまたは瞑想によってその出所を確かめる方法はあるのでしょうか。

よく引用される諺をまた使用させて頂きましょうか。〝師は弟子に合わせて法を説く〟と言います。これがご質問の答えにならないでしょうか。このようなことに拘ってはいけません。全ての導きは宇宙の大霊すなわち神から来ます。神庁から派遣される霊、及びあなたと親近関係にある高級霊が、あなたが地上へ誕生する前からついてくれているのです。

必ずしも姿を見せるとは限りませんが、霊によってはきちんと姿を見せて地上での仕事について相談し、よく納得してから誕生させる場合もあります。その霊を何と呼ばれても結構です。今もちゃんと控えて下さっています。側を離れることはありません。(九巻の解説<〝霊がすぐ側にいる〟ということの意味>参照)その仕事は聖書(詩篇)にある通りです・・・・・・〝神は天使を遣わして汝を守り、すべての面倒を見させ給う〟

いずれも光り輝く存在です。それぞれの受け持ちの人間を取り囲み、保護と指導と援助と言う、自ら課した責任の遂行にあたります。その最後の目標は霊的発達を促すための道へ導くことです。それは容易なことではありません。岩や石ころだらけです。しかも見慣れた景色を後にするにつれ、ますます困難さを増していくものです。

(同じ事を別のところで〝霊的理解が深まるにつれて、ますます孤独感が増していくものです〟と表現している―訳者)

しかし、低く沈むだけ、それだけ高く上がることも出来るのです。志は無限に高く持つことが出来ます。完全と言うのは、何時も何処かで達成される性質の過程ではありません。到達線とする過程の無限の連続です。

霊の褒章を手に入れたければ、それなりの犠牲を払う覚悟がなくてはなりません。しかし一旦手に入れたら二度と失うことはありません。
私達には人間世界の困難な事情、問題、そして欲求の全てをよく理解しております。物的な世界に住んでおられるのだと言うことを充分認識しております。

そこで、奉仕的な仕事に打ち込んでおられる方が食べるものや飲むものにこと欠くことのない様に、その供給源との連絡を取っております。必要最小限のものは必ず手に入ります。

皆さんだけでなく、お会いする人すべてに申し上げていることは、人間として最善を尽くしてさえいればよろしいと言うことです。それ以上のものは要求しません。例え倒れてもまた立ちあがることが出来るのです。

・・・支配霊にはレッド・インデアンが多いようですが、霊媒が次々と他界して行ったあと、それを継ぐ人がいないようです。もっと多くのインデアンの支配霊の働きを期待したいのですが。

情けないことを言ってはいけません。時が来れば必ず手段は見つかるものです。もとより霊媒も生身である以上は、いつかは霊界へ来なくてはなりません。神は肉体が永遠の生命を持つようには計画されていません。地球と言うのはほんの束の間に生活の場です。永遠の住処ではありません。

(招待客の一人で心霊治療家として活躍している女性が述べる)
・・・霊媒のバーバネルさんが他界なさる時がきたらどうしようかと心配でなりません。

心配はお止めなさい。心配してもなんの解決にもなりません。不安を抱いてはいけません。私は時折、私がこの霊媒たった一人を道具として使命を開始した時のことを振り返ってみることがあります。

英語を一言も話すことが出来なかったのです。それが今ではこうして大勢の方とお話ができるようになった幸運をしみじみと味わっているところです。

後のことは後の者が面倒を見ます。ますます発達していく科学技術のお陰で私達が成し遂げた以上の規模の人々に真理を普及する手段が活用されるようになります。

あなたが治療家としてどれほどの貢献をなさっておられるかは、あなたご自身にはお分かりになりません。地上的なものさしを超えたものだからです。身体を癒しておられるのは事実ですが、もっと大切なことは魂の琴線に触れることです。

眠ったままの小さな神性の種子が目を覚まし、芽を出し、花を開く、その端緒をつけてあげるのです。最終的には個としての存在価値を成就させてあげることになる、そのスタートとなります。

そうした意義のある仕事をするチャンスを多く与えられていることを喜んでください。あなたは病人の人を癒す為に生まれてきておられます。

・・・でも、時たまですが、がっかりさせられることがあります。

分かっております。半世紀近くも地上で仕事をした私が、人間の煩悩に気が付いていないと思われては心外です。あなたにも莫大な霊的潜在力が宿されております。いざという時に頼りにできる霊的な武器です。
しかし万一そこから充分なものを引き出すことが出来ない時は、私達を頼りにしてください。決して見放すようなことは致しません。

もしもうんざりしたり困惑したり悲観的な気持ちになったりした時は、地上の喧騒から逃れて魂の静寂の中へ引っ込むことです。そうしてそこに溢れる豊かな光輝に馴染み、美しさに思い切り浸り、そこから得られる静けさと落着きと安らぎと自信を味わうことです。こうして気分を一新してから再び地上界へ戻り、はつらつと仕事を始めるのです。

とかく前向きに進むほかありません。引き退がってはなりません。何処にいても人の為になることを心掛けるのです。援助を求めてあなたのもとを訪ねる人を決して拒絶してはなりません。

かと言って、そういう人を求めて歩いてはいけません。向こうからやってくるものなのです。〝病気を治してほしい人はいませんか〟などと町を触れて回るようなことをしてはなりません。あなたの援助を求めて先方から駆け付けるものなのです。(そういう風に霊界の方でとりはからってくれる。と言うこと)

無限なる叡智を具えた神によって霊的才能を賦与された人間は、導かれるところは何処へでも出向き、いかなる人にでも救いの手を伸ばしてあげるべきです。その行為が蒔く種子が肥沃な土地に落ちて魂を豊かにすることになることを期待しながら、どしどし種子をまいていくことです。

人間には霊の道具として為し遂げつつある仕事の大きさを測り知ることは出来ませんし、その価値を評価することも出来ません。

・・・私には二人の指導霊がついて下さっていると聞いております。一人はエジプト人で、もう一人は北米インデアンです。本当かどうか、確認して頂きたいのですが・・・

なぜそのようなことに拘るのかが理解できません。その二人がしっかりした霊であることはお認めになっているのでしょう?

・・・その点は疑問の余地はございません。

だったら、その二人が地上で何処に住んでいたかなどと言うことはどうでもよいことではありませんか。大切なのは霊の威力です。間違いなく霊の世界からのものであることを示してくれる力です。あなたを愛し、そして援助してくれる背後霊に密かな信念をお持ちなさい。あなたを迷わせるようなことは致しません。いざという時は必ず道を示してくださいます。