10.効果のあるホームページ宣伝手段の一般則

 結論・・・今までに得られたホームページ宣伝手段の実験結果を7つの因子に分割して検討したところ、「アクセスしたいサイトを探す意欲の高い状態」と「閲覧数が多い」という2つの因子が重なっているものにアクセス数の向上が見られ、宣伝手段として有効であると認められた。逆に効果の現れなかったものは、「アクセスしたいサイトを探すという意欲の低い状態」にある宣伝手段であった。

(常連さんは問題ないとして、はじめての人にはちょっと取っつきにくい部分のある項目ですが、一応目を通してから各論に入って下さい)
 96年6月にAZ−1のホームページを開設して以来、私は多種多様な宣伝を試みてきました。様々なサーチエンジンへの登録、メーリングリストでの紹介、パソコン通信での紹介、リンク、雑誌掲載は20回を超えました・・・それらの手段を用いて実験した結果、ゆうに30を越える解析データを得ることができました。また今までは、どの様な宣伝手段がアクセス数増加に対して効果があのるか全く不明であったため、単にホームページの宣伝手段としての可能性を追求し「増えた、効果がなかった」等という結果を報告するだけにとどまっていました。しかしこれではあまりに能がないですし、今まで十分なデータ数が得られたことですから、ホームページ宣伝手段の一般則を導き出すことを検討しました。この一般則さえあれば、アクセス数が増加する原因・しない原因が判明する上に、アクセス数増加に効果のある未知のホームページ宣伝手段の検討が可能となります。その一般則はどの様に導き出されたかと言うと、宣伝手段に含まれている様々な因子を「閲覧数、探索意欲(アクセスしたいサイトを探すという意欲)、定時性、随時性、アクセス性、ライバル度、見てみたい度」(詳細は下の表を参照)の7つに切り分けて、それらの因子とアクセス数増加効果の関連性を検討したというものです。

今まで実験してきたホームページ宣伝手段と7つの因子・アクセス数増加効果の一覧

閲覧数

探索意欲
(アクセスしたいサイトを探すという意欲)

定時性

随時性

アクセス性

ライバル度

見てみたい度

アクセス数向上効果

NTT新着情報

Yahoo!

雑誌

×

×

×

リンク

×

×

×(通常の場合)

メーリングリスト

×

×

パソコン通信

×

×

×

バナー

×

×

×

シェアウエア

×

×

×

×

×

×

表の宣伝手段の部分をクリックすると、詳しいアクセス数増加効果のデータが得られます


因子

因子の意味

閲覧数

ホームページの宣伝を行っているところへのアクセス数。雑誌ならば販売部数となる。多いほどよい。

探索意欲

アクセスしたいサイトを探したいという欲求。強いほどよい。これがないと、情報が目に飛び込んできても無視され、アクセスしてくれない。

定時性

定期的に情報が公開されているもの。具体的には月刊誌などが該当する。

随時性

いつでも見られる(バックナンバーを含む)状態にあるもの。

アクセス性

URLを打ち直さなくても、クリック1つでアクセスできるもの。

ライバル度

他に紹介されているサイトの数の多さ。多すぎると単純にクリックされてしまう確率さえ減ってしまうが、少なすぎるとそのリンクサイトは人気がないということも意味するため、どちらがよいかは一概にいえない。

見てみたくなる度

いかに見たくなるようにできるかというもの。サーチエンジンでいうなら、タイトル、紹介文、登録先ディレクトリがそれにあたる。

アクセス数向上効果

実際の結果。閲覧数に対するアクセス数増加の割合を、○と×で感覚的に表した。実際の効果の程は、表の各宣伝手段をクリックすると見ることができる。


 表の見方ですが、○は「多い」「可能性が高い」というもの、△は「どちらでもないもの」「場合によるもの」、×は「少ない」「可能性が低い」ものを示しています。


7つの因子とアクセス数増加効果の関連性

 上に示した表をみると、アクセス数増加に効果のあるホームページ宣伝手段はNTTの新着情報とYahoo!への登録であり、どちらとも「閲覧数」と「アクセスしたいサイトを探す意欲」の2つを両立したものとなっています。逆に効果のないものは、それらのいずれかが欠けているものです。従ってこの2つの両立が非常に重要になると言えます。その理由を書いてみます。
 閲覧数
 これは、ホームページの宣伝が見れもらえた数のことです。これが重要なのは当然でしょう。宣伝はできるだけたくさん行うことが重要なので、これが多いに越したことはありません。

 アクセスしたいサイトを探す意欲
 簡単にいうと、行動を起こすための意欲です。人間は意識・意欲があって初めて行動を開始します。これがなければマウスのポインタをURLの部分に合わせてクリックという単純な行動さえ行われません。つまりアクセス数が増えないということです。従ってこれが高いことは極めて重要になります。
 以上のことをまとめると、アクセス数を増やす宣伝手段は、「数多くの人」が、「意欲を持ってアクセスしたいサイトを探している状態にある」という2つの要素を両立していなければならないことになります。これが一般則です。これらの具体的なアクセス数増加効果については表中の各宣伝手段の部分をクリックするか、トップページにもどって各論の部分をクリックして下さい。

 では、アクセス数増加に効果のあるYahoo!への登録と、増加効果の小さい雑誌での紹介を例に挙げて、もう少し詳しく解説しましょう。最初はサーチエンジンのYahoo!です。まず「閲覧数」ですが、サーチエンジンは1日に数百万ビューあるのですから十分なわけです(後述のYahoo!の威力と落とし穴に書いてある通り、適切なディレクトリに入っている場合に限る)。またサーチ(探す)するのですから、不特定多数の人がアクセスしたいサイトを探している意欲は十分高いと言えます。だから効果があるのです。一方、雑誌の場合はどうでしょうか。1カ月に数万部という単位で発行されているのですから「閲覧数」としては十分なのですが、インターネット関係の雑誌を買うのに、あなたは「アクセスしたいサイトを探す」という目的のみで買うでしょうか。そんな人はあんまりいません。せいぜい「目についたものだけアクセスする」という程度でしょう。従って雑誌には不特定多数の人が「意欲を持ってアクセスしたいサイトを探している状態にある」とは言えないことになります。発行部数がいくら多くても効果があまり見られないのはこのためだったのです。また上の表にはその他様々なホームページ宣伝手段とその効果について記していますが、「閲覧数」もしくは「探索意欲」のいずれか1つしか満たしていません。効果がないのもうなずけます。なおこの7つの因子以外にも、見落としている他の重要な因子があるかのしれませんし、将来においては考慮すべき因子が出現する可能性も十分にあります。このホームページは具体的な事例とデータを示して検証することがモットーとなっていますので、上記2つの因子を満たしていないから新しいホームページ宣伝手段の効果検証実験をするのはやめる、ということはしません。そこに何らかの可能性がある限り、常に追求していきます。今後ともご期待下さい。


7つの因子の支配順位は
 上記の7つの因子は、ホームページ宣伝手段に対してどれが一番影響があり、どれが一番影響度合いが小さいのでしょうか。私は以下のように考えています

 「探索意欲」>「閲覧数」>「見てみたい度」>>「ライバル度」>「アクセス性」>「定時性」=「随時制」

 ここで最も大きな影響力を持つ「探索意欲の高さ」と「閲覧数」について考えてみましょう。私は「探索意欲」の方がより影響力があると考えています。その理由として、例えば雑誌等に見られるように、「閲覧数」が多くても「探す側の探索意欲が低い」と、アクセス数増加効果が少ないからです。また他の項目は一応分類はしたものの上位3つの項目に比べて影響度が無視してよいほど小さいと考えられます(そのため断定できるデータがとれない)。


例外事項
 リンクでは通常アクセス数増加効果は望めません(詳細はリンクでアクセス数が増えるか参照)。その理由を上述の解析結果から考えると「探索意欲の高さ」(リンクサイトへ行くということは、他のサイトに飛びたいということ)はあっても、「閲覧数」が少ないためです。しかし、「閲覧数」が増えた場合はどうでしょうか。以下のグラフにその効果を示します。


 このグラフは、日本経済新聞社の主催する「Nikkei NET 第18回ホームページコンテスト」でこのホームページの作り方のページが第8位になったときのものです。このコンテストで入賞するとNikkei NETからリンクされます。通常の場合リンクではアクセス数は増えませんが、Nikkei NETのページビューは1日900万を超えるというサーチエンジン並みの数があります。その閲覧数の多さが、リンクでアクセス数が増えるという例外事例を生んだのです。またこの事実は、2つの因子の両立が重要であるとの裏付けにもなっています。


突然ですが、クイズです
 問題:あなたは、自分のホームページの内容とは全く関係のない内容が書かれているたくさんの掲示板に、自分のホームページの宣伝を書きこみました。アクセス数は増えるでしょうか?
 答えは、このページの一番下まで。


「探索意欲なし」としたホームページ宣伝手段に、探索意欲を持たせることはできるか
 「探す側の探索意欲の高さ」と「閲覧数」を同時に満たすものがアクセス数増加効果がある、ということを述べてきました。ならば、「探す側の探索意欲が低い」と分類したホームページ宣伝手段に対し、それを高めることはできるのでしょうか。もしそれが可能ならば、上に挙げた例の多くが有効に作用すると考えられます。
 しかし、この行為はホームページを告知したい側である我々の問題ではなく、ホームページ宣伝手段を開設している側の問題です。もしそのようなことがしたいならば、自らが何らかのホームページ宣伝手段を持ったサイト等を作らない限り不可能です。一方、面白い例があります。昔「からくちNET」というURLばかりを集めた月刊誌がありました。しかしこの雑誌、販売不振のためわずか10巻で廃刊となったのです。雑誌を購入するに当たり購買層に「アクセスしたいサイトを探す意欲が低い」としましたが、雑誌自体が購買層の探索意欲を掘り起こそうとしたところ失敗してしまった例です。従って、新たなホームページ宣伝手段をつくるということは、かなりのリスクを覚悟する必要があるとも言えます。


新たな課題の発生
 以上、今まで混沌としていたアクセス数増加に効果のあるホームページ宣伝手段の一般則を導き出すことができました。しかし問題の解決は、新たな課題の発生でもあります。「アクセスしたいサイトを探すという意欲が高い」という言葉を極論して解釈すると、「自分の興味あるものしか探さない」ということです。情報発信の目的の1つに、「ホームページを開設して自分の持っている情報をより多くの人(今まで興味のなかった人)に見てもらい、理解してもらう」というものがあります。従って紹介してきた効果のあるホームページ宣伝手段を用いてばかりでは、ホームページ開設の目的を達成できないのです。
 今回一応の結論を出したものの、これが最終・絶対的手段ではありません。1つの通過点です。これからも更なる可能性を求めて検討していきます。


 クイズの答え
 増えません。その掲示板で取り上げられている話題に関連したものでない限り、掲示板を見ている人は「アクセスしたいサイトを探す意欲が低い」状態にあるためです。ただし、「アクセスした人全員に100万円プレゼント」なんて宣伝方法は無しです。こんなことをすると確かにアクセスカウンタの数は増えるでしょう。しかし、アクセスした人は100万円が目的で、あなたの発信している情報は無視されます。何のための情報発信か・何のためのホームページ開設か、本質をよく考えましょう。ホームページの開設の目的は、アクセスカウンタの数を増やすことではありません(最近、アクセス数を増やすという意味、ホームページ開設の目的を完全に履き違えたものが多いので、念のため)。