17.バナーでアクセス数が増えるか

 結果・・・アクセス数増加効果は現状では1%

閲覧数

探索意欲

定時性

随時性

アクセス性

ライバル度

見てみたい度

アクセス数向上効果

バナー

×

×

×
表の見方についてはここをクリック

 ここで紹介する結果は、'97年4月上旬より始まったCSJバナーエクスチェンジシステムより得たものです。このCSJバナーエクスチェンジシステムは、以下のようなシステムになっており(CSJからのメールより引用)、具体的にはトップページの上の方にあるバナーがこれにあたります。従って、サーチエンジン等に有料で掲載するものとは異なっています。サーチエンジンにバナーを載せた場合の予測値は、後半に紹介しています。
 ちなみにこの文章を書いた当時に私が出したバナーは次のようなものでした。

 4月8日より、お互いにバナーを表示しあう相互広告システム「CSJバナーエクスチェンジ」を開始致します。あなたのホームページに他人のバナー広告を無料で掲載する代わりに、他の人のページにあなたのバナーを無料で掲載してもらえます。必要なシステムを弊社が開発し、提供します。

具体的には、CSJバナーエクスチェンジのWEB上で登録をしますと、IDとパスワードと数行のHTML文が発行されます。このHTML文をあなたのホームページの目立つところにコピーします。次の瞬間から、他の人またはCSJのバナーが表示されます。あなたのページで何回他のバナーが表示されたかは、CSJの方に自動的にカウントされます。カウントされた数の1/2があなたの「権利」です。つまり、他のメンバーのバナーを100回表示すると、あなたのバナーが50回表示される権利を得ます。

 ではこのシステムで増えたでしょうか。結果は以下の通りです。

CSJバナーエクスチェンジによるアクセス数増加効果

 グラフ中、赤の折れ線グラフはバナーをクリックしてやってきた人の数、青のグラフは私のバナーが他人のホームページに表示された回数(グラフ上の数値を100倍してください)です。1カ月半経過してバナーをクリックしてやってきた人は100人。私のホームページへの総アクセス数から見ると、わずか1%に過ぎません。これほまでに少ない理由は、バナーがクリックされる確率が1%程度であることと、私のバナーが表示された回数が約7000回と少なかったためです。なぜバナーがクリックされる確率が低いかというと、別にバナーをクリックするために、インターネットに接続したわけではないからです。つまり上の表に示してある通り「探索意欲」がないためです。というわけで、直接のアクセス数増加には結びついていません。なお、この結果は「CSJバナーエクスチェンジ」のバナーの宣伝効果がないと判断する物ではありません。なぜならバナーには2通りの目的があるからです。1つは電車の吊り広告のような見てもらうだけの物、もう1つが実際にクリックしてアクセス数増加につなげるものです。1カ月半に7000という数から、見てもらう目的には十分な効果があったと考えられます。
 なお、これ以降のデータ及び実験結果についてはCSJバナーエクスチェンジのその後とアクセス数増加テコ入れ策CSJバナーエクスチェンジのその後とアクセス数増加テコ入れ策、その2に書いてありますので、ご参照下さい。

今回の結果から、他の事例の結果を予測する

 この結果をもう少し詳しく見てみましょう。赤の折れ線グラフから、バナー設置初期は急激なアクセス数の伸びを見せていることがわかります。しかしその後はバナーの表示回数を示した青の折れ線グラフと同じ傾きで伸びています。従ってバナー経由のアクセス数は、開設初期を除いてバナーの表示回数に比例するということになります(当然と言えば当然ですが)。また、30日経過後に急に傾きが大きくなっていますが、これはCSJのシステムの変更でバナーの表示速度が速くなったため実質的なバナー表示回数が増えたことと、新規受け付けを再開しバナーが表示されるホームページの数が増えたためと思われます。この傾きに関しては、さらに期間を伸ばしてどの様に変化するかを追っていきます。
 バナーの表示回数に比例するという都合のよい結果が得られましたから、これを他のバナー掲載方法に当てはめてその結果を予測してみましょう。例えばバナーを1日数万人が見てくれるようなところ(サーチエンジンのトップページなど)に置いた場合です。仮に1日5万人のアクセスがあるページにバナーを置いたとし、この結果をそのまま当てはめたとすると、一日710件ほどアクセスが増えると予想されます(計算方法は(50000/7000)*100)。なおこれはあくまでもこの結果から得た予測値ですから、ホームページのカテゴリによって値は変わってきます。ちなみにサーチエンジンにバナーを置いた場合のクリック確率の実測値がCSJから公表されたことがありました。それによると、なんとたったの0.4%。今回の私の結果と同程度(さらに少ないですが)とはいえ、これほど少ないとは思いもよりませんでした。
 さらにこの結果は、リンクしてもアクセス数は増えない、という証拠の1つにもなります(ここでは「探索意欲」などの条件は省いて説明します)。バナーは一種のリンクです。しかもトップページの目立つところに配置されるという絶好の条件下に置かれています。しかし7000回表示されても100回しかクリックされません。あなたはアクセス数を増やすため、いろいろな他人のホームページから自分のホームページへとリンクを張っていることと思います。これに今回の結果を当てはめると、7000回他人のリンクのページにアクセスされても、そのうち100回しかあなたのホームページには来てくれないことになります。もっと現実的な言い方をすると、70回他人のリンクのページにアクセスされても、そのうち1回しかあなたのホームページには来てくれないということです。さらにリンクのページには複数のホームページが登録されています。単純に考えても、その登録された数の分だけあなたのホームページがクリックされる確率が下がるのです。従ってよほど多くのページビューを誇るリンク先でないと、アクセス数を増やすことができないと言えます。