14.リンクでアクセス数が増えるか

 結果・・・通常はアクセス増加にほとんど寄与しない。もしリンクでアクセス数を増やそうとしたら、そのリンク集がサーチエンジン並みのアクセス数を誇らない限り、効果はない。


閲覧数

探索意欲

定時性

随時性

アクセス性

ライバル度

見てみたい度

アクセス数向上効果

リンク

×

×

×(通常の場合)
表の見方についてはここをクリック

 10章で紹介した一般則に基づくと、リンクによる宣伝手法には「探索意欲」が”そこそこ”あります。なぜ”そこそこ”かというと、リンクのページにジャンプすると言うことは、他のサイトを探したいという目的があるためです。しかし、他のホームページのリンクを探しにインターネットに接続しているのではありません。だかた”そこそこ”なのです。さらにその”そこそこ”度合いがリンクのページに行く意欲を失わせ「閲覧数」を減らしてしまうので、リンクではアクセス数が増えないというわけです。皆さん、他の人のホームページに行って、どのくらいの割合でリンクのページに行き、どのくらいの割合でリンクのボタンをクリックしますか。ちなみにこの「HPの作り方」へアクセスしてくれた人の1/5〜1/6しか、例として取り上げ紹介している「AZ−1のページ」へアクセスしていません(みんなまじめにみてくれているのかな)。リンクの威力というのはこの程度のものです。ただ、車好きの人はたくさんいるので、少ないながらも情報発信には効果があったものと考えています。以下具体的に見ていきましょう。

 「AZ−1のページ」はいろいろなサイトにリンクされています。「AZ−1のページ」が相互リンクしている最も大きなサイト(サーチエンジンを除く)は自動車メーカーの「マツダ」のオフィシャルサイトです。しかし、通常はアクセス増加に全くと言っていいほど寄与していないものと考えられます。このことは後述のマツダのオフィシャルサイトの「爆発」前後でアクセス数があまり変化していなかった事実から判断されます。
 次にリンクの効果を示すのに、このマツダのサイトについて説明したいと思います。このサイトにはアクセスカウンターが付いてないので、一日に何件アクセスがあるかは不明です。しかし、メーカーのオフィシャルサイトであるため、アクセス数はかなりのものになると考えられます(ただしサーチエンジン並とはいかないでしょうが)。またそこのリンクのページにあるサイトの数ですが、このデータを取った当時は20程度となっていました。つまり、本体のアクセス数がかなり多いと考えられる上、マツダのページから偶然でも「AZ−1のページ」をクリックして遡ってきてくれる確率が非常に高かったのです。それにもかかわらずアクセス数は増えなかったのです。
 この結果より、大規模なリンク集に登録しても、そこがサーチエンジン並の閲覧数を誇らない限り、アクセス数増加は望めないものと考えるのが妥当でしょう。また、大規模なリンク集になると、当たり前ですがリンク先の数が増えてしまいます。つまり、遡ってきてもらえる確率さえ単純に減ってしまうのです。
 ところがです。このリンク先が爆発することがあります。また例のごとくグラフで示しましょう。マークしてある部分がそれです。なぜこれがリンク先からのアクセスだとわかったのか。それはマツダの新型車「デミオ」の発表日と一致するからです。また、「マツダのページから来ました」とのメールがこの時期増えたことからも、リンク先からのアクセスであるということを裏付けます。当時はRVブームのまっただ中で、いち早く情報を仕入れたい人がドッと押し寄せ、通常では考えられない程のアクセス数になったのでしょう。
 従って、リンク集に登録しても通常ではアクセス数増加に効果はありませんが、マツダのサイトのような、新車発売などで特にアクセス数が増加するところにリンクしてもらうと効果があるようです。



サーチエンジン並みの「閲覧数」の多いリンク先リンクするとどうなるか。
 前述の通り、リンクのページにジャンプすると言うことは、他のサイトを探したいという目的があるため、一般則でいう「探索意欲」が高いといえます。しかし通常は「閲覧数」が少ないため、リンクにはアクセス数増加効果はありません。先ほど例に挙げたマツダのサイトの場合は、「閲覧数」が一時的に増えたという状況でのみ、AZ−1のページのアクセス数が増えたというものでした。ではこの「閲覧数」が常にサーチエンジン並みに多いリンク先にリンクするとどうなるでしょうか。その結果を下に示します。


 これは日本経済新聞社の主催した「第18回 Nikkei Net HPコンテスト」で「HPの作り方」が第8位に入り、Nikkei Netからリンクされた時のアクセス数の推移を示しています。このホームページコンテストでは「ホームページ作りに役立つサイト」を一般投票で選んだと言うものでした。上位入賞はほとんどが企業系サイト(窓の杜等)で、個人系のサイトで比較すると、私のホームページは2位でした。私自身はこのコンテストの存在を全く知りませんでした。投票していただいた方々、どうもありがとうございました。
 さてこのNikkei Netですが、そのページビューは'97年11月現在、1日あたり900万を越えるという、サーチエンジン並みの数を誇っています。さてここにリンクしたらどうなったかというと、ご覧の通りアクセス数は増加しました。先ほどのマツダのサイトの例では、せいぜい1週間程度のアクセス数増加の持続期間しかありませんでしたが、Nikkei Netの場合はリンクが目立つように張られている1カ月の間、1日あたり50件程度の増加効果が認められました(所々極端に減っている部分がありますが、これは土日祝日です)。
 このことから、リンクには「探索意欲」がそこそこ存在しているため、「閲覧数」の多さがアクセス数増加効果に対し支配的であり、サーチエンジン並みのページビューが必要といえます。


サーチエンジン並みの「閲覧数」を誇るリンク集はあるのか
 このようなところにリンクできれば最高なんですが・・・今まで紹介してきたホームページ宣伝手段は、サーチエンジンへの登録を除いて一時的にアクセス数を増やすものばかりでした。しかし、もしこのようなものが存在すれば、Nikkei Netのデータから、定常的なアクセス数が確保できるもう1つの手法となることはほぼ間違いないと考えられます。いわば最も理想的なホームページ宣伝手段となりうるのです。しかし残念ながら、このようなリンク集の存在を私は知りません。存在するかもしれないし、存在していないかもしれません。またインターネット自体、黎明期を過ぎたため、このようなものを確立していくこと自体、すでに困難なものかもしれません。

 なお、「探索意欲」も「閲覧数」も無視した、単純なクリックされる確率のみで論じたリンクによるアクセス数増加効果をバナーでアクセス数が増えるかに掲載しています。ご参考までに。