男の自宅介護

車椅子生活の妻が糖尿病に:バランスの良い食事、実践編


要介護5の妻が糖尿病になり、「食品交換表」による食事療法が始まりました。糖尿病に限らず、介護のためになにをどれだけ食べるかの指針になります。食事療法開始と同時に決心した「食べる順番を守ること」と「食事日誌の記録」はこれまで15か月、毎日続けています。



リンク:導入編

食品の栄養について私が再認識したこと

要介護5の妻の糖尿病のための食事療法がスタートしました。
「食品交換表」を見て、栄養についてそれまで誤解していたこと、再認識したことがあります。

・秋鮭(60g)、銀鮭(40g)、トラウトサーモン(35g)、アトランティックサーモン(33g)は、見た目は似ていますが、カロリーが大きく違います。(カッコ内は1単位80Kcalの重量です。)
・果汁100%ジュース、果物の缶詰はビタミンが少なく糖度が高いため、果物ではなく嗜好品です。
嗜好品は糖尿病には好ましくない食品です。
・低脂肪牛乳は脂肪がないわけでなく、カロリーも牛乳より3割低いだけなので、大差がありません。
・トマトは果物でなく緑黄色野菜でした。
・果物はバナナ1本とリンゴ半分が同じ1単位(=80Kcla)です。
果物はビタミンやミネラル補給に大切です。糖尿病だからといって禁止ではありません。
・大麦は吸収が遅いので主食に加えるといい。
・マヨネーズ、ゴマドレッシングはカロリーが高い。

これらを再認識したことをきっかけに、買い物の時もカロリー表示は必ずチェックするようになりました。

食事療法の決まりと工夫

妻は要介護5で運動ができないので、運動によるカロリー消費ができません。
ですから、健康管理はバランスのいい食事でのみできることになります。

糖尿病の食事療法の開始とともに、以下の決まりを作りました。

・食事日誌をつけてカロリーと栄養バランスを管理する。1日17単位。
  野菜や主食はもちろん、牛乳・果物・ドレッシング・調味料など、すべて計量する。
・野菜は1日350g以上摂る。
・食べる順番は、野菜(副菜)を先に食べきってから主食と主菜を食べる。
・魚中心の主菜にする。
・嗜好品(ジュース・ケーキ・お菓子)は全面ストップする。
・大麦入りのご飯にする。
・塩分は1日6g以下にする。
・3食決まった時間に規則正しく摂る。寝る3時間前以降は食べない。
・ゆっくり食べる。

「食べる順番」と「食事日誌」は特に続けていこうと決心しました。

決まりを続けるために、2つの工夫をしました。
1つ目は、「オリジナル食事日誌」です。
書式がないので、B5サイズ大学ノートに1日1ページの罫線を引いて作りました。

2つ目は、1日のカロリーと体重をパソコンで折れ線グラフにして、推移を管理しました。
体重は、別記事で紹介済みの「車いす体重計」で毎日測定しています。

リンク:車いす体重計



食事療法を続けて15か月、改善傾向に

今日現在1年3か月経っても、食事療法の「決まり」は続いています。

子供の頃は絵日記が3日も続かなかったのに、食事日誌はノート8冊になりました。
年に数回、外食がありますが、お店にキッチンスケールを持込んで測定し、カロリーを概算しています。

毎食、野菜(副菜)を先に食べきってから主食と主菜を食べています。

一つだけ、「ゆっくり食べる」だけは難しいです。
なかなか治らない早食いの私のペースで妻の食事も全介助してしまうので、妻も早くなってしまいます。

血液検査の項目にあるヘモグロビン・エイワンシーの国際標準値(HbA1c値(NGSP値))は糖尿病の判定基準となるものです。
この数値が6.2%未満であれば「優」、6.2~6.8%の範囲は「良」とされていますが、6.5%以上の場合は糖尿病が強く疑われます。

以下は妻が糖尿病を発覚した時から最近までのHbA1c値(NGSP値)です。
・発覚時…8.8%
・1ヶ月後…7.7%
・3か月後…6.6%
・9ヶ月後…7.0%
・15か月後…7.1%
病気発覚時から比べると数値はだんだんと低くなり、改善傾向にはありますが、まだまだ手を緩められません。

でも、食事療法の効果はしっかりと現れています。
体重減少など糖尿病の典型的症状もなくなりました。
コレステロール値も正常範囲となりました。

薬の効果もありますが、栄養管理のベースの上に成り立つ効果が検査結果に現れたのだと思います。

介護者の私自身も妻とほぼ同じ食事のとり方をしているので、私も標準体重を維持し、快眠快便、気力体力とも充実しています。

摂取エネルギーの管理で標準体重を維持

「食品交換表」によれば、一日の摂取エネルギー量は「摂取エネルギー=標準体重×身体活動量」という計算式に当てはめて算出します。
身体活動量は、デスクワークなど軽い労作で25~30です。
私の身体活動量を30とすれば、24単位1920kcalが私の摂取エネルギーになります。
寝たきりの妻の身体活動量は最低の25として、摂取エネルギーは18単位1440kcalと担当医から指示されました。

それから1年ほど18単位でやってきましたが、糖尿病も改善してきたせいか体重が若干上昇傾向になりました。

そこで目標を17単位1360kcalに変更すると、標準体重を3か月間維持できました。
このことから、寝たきりの妻の身体活動量は25ではなく、23.6だということになります。

下の表は、妻の15か月間の摂取エネルギー(青)と体重(赤)です。
このように運動できない妻は、摂取エネルギーを調整することによって体重をコントロールできています。



流行や助言に迷いはなくなり、食事内容に自信

食事日誌をつけている私を見ているせいか、妻もケーキに未練はないようです。
「ケーキは要らない」と言っています。

外食のメニューやレトルト食品にどんな素材が使われているかも気にするようになりました。
そのため、以前のように気軽に手が出せなくなってしまったことは少し残念です。

「血糖値の上昇を穏やかにするコーヒーやお茶」「サプリメント」「健康食品」といったものをよく耳にします。
「保険機能食品(特定保健用食品)」を勧めてくる人もいました。
しかし今ではバランスの良い食事の理屈に納得し、指針もあるので、自分の選ぶ食事内容に迷いがなくなりました。

規則正しく偏らず、必要十分な食事をすれば、病気にはならないのです。

今後もこうした指針を基準に、自分たちの食事管理を続けていこうと思っています。



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