男の自宅介護

小型軽量で高精度の車椅子体重計:介護用品をつくる<4>

在宅介護から5年後、要介護5の妻が糖尿病の宣告をされ栄養管理と体重管理を毎日続けることにしました。それまでは妻をおんぶして測定し、変動する私の体重も測定して計算していました。しかしこれでは負担も手間もかかります。そこで、車いすに乗ったままでも簡単に測定できる体重計を作りました。



妻に糖尿病の宣告、体重管理が必要に

在宅介護のスタート時は、体調管理として体重を測定していました。

妻は立つことができないので、妻の体重を測る時は私が妻をおんぶして自分の体重を引いて測定していました。
私の体重も日々変化するので、おんぶの状態と私一人でと2回測定する必要があります。

当時の体重測定頻度は週3回。
デイケアで自動車に乗せるときに、おんぶするついでに測定をしていました。

その後デイケアをやめてからは、週1回、測定のためだけにおんぶしていました。

在宅介護が始まって5年後、妻が糖尿病の宣告を受けたので、食事療法をスタートしました。
体重管理も必要だろうと、これを機に毎日測定することにしました。

車椅子体重計をつくる

おんぶするのは妻にも負担になるうえ、2回の測定と引き算には手間もかかります。
車いすごと計測できるものもありますが、介護用品として売っている車いす用体重計は20万円前後します。
そこで、車いすに乗ってそのまま測定できる体重計を作ることにしました。

車いすが乗る台座を木材で作り、その台座を普通の体重計にかぶせて測れる仕組みにしました。

<材料>
自作のために用意した材料は以下の通りです。
・木材(1x4材)…ホームセンターで1.8mのものを3本購入。690円でした。
・体重計(体組成計)…乗る面が平らで、ゼロリセットボタンのあるタイプを選びました。約6000円。

<作成ポイント>
・車いすの重心は前輪と後輪の間にあるので、台座も体重計の中心に合わせれば、がたつきません。
・体重計の上面がわずかに湾曲しているので、台座と体重計の接地する場所を一定にするため、台座裏4か所にゴムシートを貼ります。
・体重計に台座をとりつけても表示部とスイッチが見えるように、台座の中央は空けておきます。
・台座から車いすの車輪が外れないように、台座の前面と側面に板を取り付けてストッパーにしました。
・台座の後部中央に取っ手をつけて、台座を持ちやすくしました。



<実証>
完成した体重計の値が正確か、以下のような測定内容で精度を確認しました。
・自分の体重で、車いすに乗ってこの体重計で測った値と一致しました。
・妻をおんぶで測定と車いすで測定した値が一致しました。
・車いすで何度測定しても同じ値がでました。

<測定方法>
・体重計に台座をかぶせて、体重計のゼロリセット。(ピッと鳴ります)
・妻を車いすに乗せて、階段を上がるように前輪を上げて、車いすごと台座に載せます。
(ピッ・ピッと鳴って重量表示されます)
 高さが6cmほどなので、簡単に乗せられます。

計測値から車いすと衣類の重さを引いた数値が妻の体重になります。
暗算しやすくするため、車いすと衣類の値を切りのいい数字(20kg)になるように、車いすにはおもりを入れています。

これで、どこでも簡単に移動ができて、測定も1回で済む体重計ができました。

自作ならではの不具合も様子を見ながら改良

こうして完成した自作の車いす体重計ですが、その翌日に使ってみると測定のたびに値が変化しました。
その差は数kgもあります。

よく見ると、台座が車いすの重みで反って床に当たっていました。
床に当たってしまう原因は、乗る時にガタつかないようにと台座と床の隙間を6mmと少なくしたためです。
車椅子と妻と衣類、その合計は約80kgで、この重さだと乗せ方によっては台座が8~10mm反るようです。
この反りを考慮して隙間を12mmにすると、測定値が安定しました。

台座の木材が厚いので、そんなには変形しないだろうと油断していましたが、木材の湿度や木ねじのなじみ方などが関係していたのかもしれません。

またある日は、測定中に車いすが後ろに下がって落ちてきました。
原因は、ほんのわずかな床の傾きで車いすが動くことです。
そこで逆に、ほんのわずかだけ台座が前傾になるように、ゴムシートの厚みを変えてみました。
こうしておけば、台座の前ストッパーに車いすが当たって位置が安定します。




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