男の自宅介護

車椅子生活の妻が糖尿病に:数値に基づくバランスの良い食事を


在宅介護5年の昨年春、要介護5の妻が突然の糖尿病宣告をされました。私の栄養に関する無知が妻を病気にしてしまったのです。薬の治療と同時に「食品交換表」を活用した食事療法をすることになりましたが、これが数値に基づくバランスの良い食事ができる優れた手法だったのです。



妻に突然の糖尿病宣告


在宅介護5年の昨年3月、要介護5の妻が糖尿病の宣告を受け、治療開始となりました。

在宅介護の当初から、脳外科の主治医の先生に一括して薬を処方してもらっていました。
以前からの検査でコレステロールの値が良化しないので、3か月前に薬を変更しました。
その効果を見るための血液検査での発覚でした。

血糖値も高かったので、それまで測定していなかったHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)の値が悪くて、糖尿病確定です。
内科でコレステロール値を正常に戻す治療とともに、糖尿病の治療を行うことになりました。

顕著な自覚症状はありませんでしたが、糖尿病の典型的症状は、口渇、多飲、多尿、体重減、だそうです。
そういえば当時、ちゃんと食べていたのに体重が少し減ってきていたことが思い当ります。

糖尿病の治療は、薬による治療と食事療法になります。
当時から何を食べていたかは記録していましたので、翌日それを持参し、管理栄養士さんから「栄養指導」をしてもらいました。

その時、初めて「糖尿病食事療法のための食品交換表」という本を用いた手法を知りました。
適正な摂取エネルギーと栄養素のバランスが計算できる優れた手法です。

その日のうちに「食品交換表」を購入して栄養管理していくことになりました。

妻を糖尿病にしてしまった原因

なぜ、糖尿病になったか。思い当ることがあります。

1つ目は、自家製の「野菜ジュース」に加えていたリンゴやリンゴジュースです。
前年年初からの不明熱騒動で食事が摂りにくくなった時、何とか栄養を摂ろうと、リンゴのすりおろしから始まって、朝食の副菜はミキサーで作ったジュースを定番にしていました。

セロリ、ブロッコリ、トマトなどの野菜の他に必ず入れていたのが、リンゴと果汁100%のリンゴジュースでした。
ですが、これが裏目でした。

果物やジュースに含まれる糖分は意外と多いのです。
野菜だけで作るよりも飲みやすい味にできたので加えていたのですが、糖尿病発覚まで毎朝1年以上続けてしまったのです。

2つ目は、「ケーキ屋めぐり」です。
妻の不明熱は8か月かかって昨年秋に収束しましたが、その頃にはすっかり体力が落ち、座位時間が20分持たなくなっていました。
それで、元気を取り戻そうと車いすでの外出を少しずつ増やしていったのです。

公園まわりから再スタートして、思いついたのが車いすで行ける喫茶店です。
さらに発展して、車いすで行けるスイーツのお店を見つけては行くようになりました。
糖尿病宣告を受ける日まで、スイーツのお店は週3回ほど通っていました。

これが、糖尿病の主犯だと思います。
ケーキ屋めぐりを始めた頃から、食事をしているのに半年で2kgほど体重が減ってきました。

それまでの食事記録と「食品交換表」を照らし合わせてみると、糖尿病の人は避けたい果物、ジュース、牛乳、糖分、脂質を多く取っていました。
逆にとらなければいけない穀類、野菜が少ないのがわかります。

「食べやすいもの、好きなものを好きなだけ食べると病気になる」ということです。
私の「栄養に関する無知」が妻を糖尿病にしてしまったのです。


「食品交換表」に基づく食事管理は定量的手法

健康な食生活については「野菜を多くとる」とか「主食、主菜、副菜をバランス良くとる」というようなことがよく言われますが、定性的で漠然としています。
「何をどれだけ食べたらいいか」という定量的な指針がなければ、ただのお題目です。

その定量的な指針が「食品交換表」です。
理科系の私には理路整然となっているので、しっくりと入ってきました。
うさんくさいサプリメントより納得がいきます。

この本には「糖尿病食事療法のための」という副題がついていますが、カロリーとバランスの定量的指針なので、普通の人でも「病気にならないため」とか「ダイエットのため」に使える手法だと思います。
もちろん「病気にならないため」は「介護のための」でもありますので、私自身の食事管理にも役立ちます。

「糖尿病食事療法」なので、糖分を控えるとか、脂質は摂りすぎないという注意はあります。
でも炭水化物を摂らないとか、極端な糖質制限をするものではなく、あくまでバランスのいい食事、栄養素の過不足がないようにすることを、この本は推奨しています。

こうして昨年年初、夫婦の目標に上げた「美食」も、3月の時点であっさり「ケーキ断ち宣言」に変更されました。
しかし「食品交換表」という手法をみつけられたのはラッキーでした。
なぜ、もっと早く気が付かなかったのかと思うくらいです。

この本は「日本糖尿病学会」が編集・著者・発行している確かなものです。
51年前の昭和40年に第1版が出版され、現在は第7版となっています。
もっと、一般に広がってほしいと思います。

食品交換表は表1~表6にそれぞれ、穀類/くだもの/魚介・肉・大豆製品/乳製品/油脂/野菜の食品群が割り当てられています。
ここに調味料も加わり、80Kcalを1単位(=食べる量をはかるものさし)とした各食品の重量(g)が示されています。

献立を立てる前に、まず標準体重と身体活動量から1日の摂取エネルギー(単位数)を算出します。
その単位数に合わせて、主治医や管理栄養士が各食品群をバランスよく朝食、昼食、夕食に配分します。
本には一般的な配分例も載っています。

食事ごとの献立は配分された単位数に従って作ります。
食材を選び、必要な分を計量して調理します。
食事日誌には、縦軸に料理名・材料名、横軸に各食品の重量と単位数、塩分を記録しています。
なるべく配分された単位になるように献立は考えますが、食材の量や調味料の度合いによって、毎日の摂取単位がばらついてきます。


次回の実践編では、私の栄養についての再認識、食事療法の決心と工夫、1年後の結果、などについて報告します。(続く)



リンク:実践編




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