ニホンリス観察の手引き

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12. ニホンリスとの共存を目指して

ニホンリスが生息できる環境は、繁殖して十分に食物が手に入る空間として、かなり広い林が必要です。この林が道路や住宅地で分断されて、孤立した島のようになると、他の場所に生息場所を求めて、子リスたちが道路を横切り交通事故で死んだり、島として、孤立した林の中だけで生息するため近親交配がかさなり、消滅する可能性が大きくなります。守山リス研究会は、現存するニホンリスの保存と繁殖のために、オニグルミの給餌活動をする一方で、どのような環境がリスの生息にふさわしいのかを調査し、その環境へ近づけるような活動をしています。

  1. アカマツの林をできるだけ残し、植林する(岐阜哺乳動物調査研究会の報告では、マツ林の消滅した地域ではニホンリスの目撃ができなくなったとある)。
  2. オニグルミの植樹をして主要な食物源を確保する。
  3. 季節ごとに花や実を付ける樹木を植樹する(1種類の食物に依存させない)。
  4. 東谷山、森林公園、小幡緑地を孤立した島とならないように、「緑の回廊」のように、街路樹でつなげ、ニホンリスが移動できるようにする(帯広では実行してリスの利用が確認されている)。
  5. その街路樹も、リスや鳥の食物となる木の実がなる樹種(例えばアキニレ、イチイ、スダジイ、マテバシイ、クワ、ヤマモモ、エノキ、ヤマボウシ、ラカンマキ等)を植えるようにする。
  6. 街路樹においては、道を横切ることができる「緑の橋」(高さ10m程上で枝が交差する樹木)の育成を20mおきぐらいに設ける。また、「リス横断」の道路標識を設けてもらう。
  7. 生ゴミを放置せず、ネコ、カラス、犬などを野放しで、増加させない。

このような環境を作り、維持することができれば、ニホンリスは、自分で繁殖して生息してゆくことができるのではないかと思います。

1994年4月の金城学園幼稚園リス親子観察会では、園児たちが、自分の身近な生活の場面で、直接・間接的に野生のリスと交流をして、小躍りして喜び、目を輝かせてその感動を表しています。そういう実感を大切にしながら、日本でも例が少ない名古屋のような「大都市近郊に現存する野生のニホンリスと共存できる環境を、日常生活の一部として実現すること」を、いろいろな団体や行政と一緒に目指してゆきたい、と思います。極めて息の長い活動ですが、今後とも、皆様のご支援、ご指導を心よりお願い申しあげます。


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