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2001年12月23日
 クリスマス前だというのに,大学に出ています。行政にいた頃もかなり忙しい職場ばかり経験したように思いますが(自分で仕事をつくって忙しくしていた?),大学での忙しさは目の前の仕事の処理だけでなく個人として勉強すべきことが多いという点で少し異なるように感じています。あるいは,私自身の自覚が足らずにあまり勉強していなかったのでしょうか?いわゆる専門的な学問的な勉強と現場で走り回っていることとのすり合わせについて考えています。
 前回紹介したドリームアーツの山本社長さんの話に,これからは「人財」ではなく「IC(Intellectual Capital,知的資本)」として考える時代だというのがありました。人財というのは固定的な考えで終身雇用時代の考え方であり,これからは自分自身を「知的資本」として考えてそれぞれの仕事の中で自分がどれだけ成長していくか(キャピタルゲイン)を考えていくべきというものです。つまり,月々の給料は資本提供に対する配当であり,それとは別に資本自体の成長が問題なのであり,それを社員に対して提供できない組織には人材は集まらないというものです。そして,このような動きに対応できない組織は競争に勝つことはできず舞台から降りていくのだというのです。
 それでは,倒産しない組織においてはどうすればよいのかについては答えは難しそうです。公的な組織においても,組織の風土改革に熱心に取り組み,若手にも様々な創意工夫や挑戦のできる自由で前向きの環境をつくることによりそのメンバーの「知的資本」を伸ばそうとしている組織もあればそうでない組織も(圧倒的に)あります。後者のように,知的資本のキャピタルゲインが期待しにくい組織に入った者には,どういった選択があるのでしょうか?


2001年12月15日
 何とも余裕のない日々を送っています。先週は今年初めて風邪で2日寝込みました。
 やるべきことの大きさとできることとのギャップの大きさにひるみそうになりながら,じたばたしてます。
 今週は,広島修道大学出身でインテルなどを経て31歳でドリームアーツというインターネット関連ソフトの会社を立ち上げて急成長しているベンチャー経営者である山本社長さんに大学に来てもらって,学生への授業,教職員への講演,市民グループの夜の集まりと3本立てで話をしていただきました。ビジョンを持って素直な心で突き進むすがすがしさを感じさせる36歳で,いろいろと考えさせられました。
 印象に残った言葉の一つは「正直」です。先月参加した公務員の組織風土変革の研究会(といほど大げさなものではありませんが,「なぜ会社は変われないのか」日経新聞社などの著者である柴田昌治さんが主宰する会です。)で,柴田さんの方からも,「自分に,そして事実に正直であることが大切」という話がありました。多様性の変化の時代においては,事実に対して謙虚に対峙して,自分自身が基本を大切にして自分で考え自分の言葉で表現していくことがより大切になっているように感じています。
 山本社長さんの話を聞いていると,ご自身が強調される「パラダイムチェンジ」が確かに起こっていると感じますし,新たなビジョンと創造性を持った企業が生まれ,体質変化のできない企業の舞台からの退場が起きているのを感じます。倒産しない組織つまり役者の交替がない環境に置かれた組織では,物理的な新陳代謝の代わりに,組織内での変革が求められているのだと感じますが,それはどうすれば可能なのでしょうか?三重県などの組織変革の取り組みは少し希望をもたせてくれるようにも感じますが,継続的な流れになりうるのでしょうか?組織の中の個人が光るというのが大切だと思いますし,そういった人々のネットワークが大切だと感じています。今週はそういったネットワークの一つとなることを夢みて,WAA広島がスタートしました。WAAはWe Are Asiansの略で,アジア人としてアジアの視点で考え行動しようと,私の友人が5年前に東京でスタートしたものです。その友人が今年夏に広島に転勤になって来たので,広島でも立ち上げて見ました。いつまで続くか不安もありますが,まあいい刺激があればと思っています。

2001年11月23日
 この独り言を書く余裕もなく目の前のことに追われる毎日を送っています。
 今月の初めには東京で開催された地域社会振興財団(自治医大)健康福祉プランナー養成塾のフォローアップ研修会の手伝いに行ってきました。全国各地の市町村から集まった医師,保健婦,行政事務職の方々の元気な姿が印象的でした。
 今週は,「なぜ会社は変れないのか」の柴田昌治さん(スコラコンサルタント)主催の公務員の組織風土改革を考える会に出席してきました。安定型の組織で継続的に前向きの変化を生み出し続けていくことの難しさを改めて感じたところです。公権力の行使を委託されているお役人が安定型の組織に安住して言い訳仕事ばかりしていると社会としては救いがなくなります。行政にはぜひ前向きで明るく未来を切り開いていっていただきたいものです。
 このところ,勉強不足を痛感することが多く,県の公務員時代あれだけ忙しく過ごしていたのはなんだったのだろうかと感じています。日々目の前の業務に忙しくしていてちゃんとした勉強が足らなかったのではと反省しています。(もっとも,自分はもともと現場方の人間だからとなどと言い訳もしていますが。)来年度ある大学で以前関係していた分野の授業をする話が出ていますが,これについても準備を始めてみると行政の現場では当面必要な範囲の勉強に追われていて体系的な勉強ができていなかったことを痛感しているところです。理論・研究と実践力(行動力,説得力,・・)などがうまくバランスできればいいのですが,なかなか難しいものです。
 新米大学人だと言っていたのがもう1年が過ぎようとしています。
 大学では教育研究組織と事務局組織の今後のあり方が問われています。変化の中にいることを楽しみながら,明日を考えていきたいと思っています。

2001年9月29日
 前回から1か月半も経ってしまいました。この間,講演やシンガポール出張,初めての韓国への家族旅行とあわただしく過ごしていました。(もちろん本業も)
 シンガポールは2年ぶりでしたが,相変わらずその急速な変貌振りには感心します。今回は,シンガポール国立大学や国立ポリテクニック(国立高専)の産学連携の部署等を訪問したのですが,彼らの活動のスピードとスペシャリスト活用が印象的でした。日本では,適材適所と口ではいいますが,実際どのくらい徹底して(待遇面も含めて)行われているでしょうか。シンガポールでは,友人から「日本は改革について10年議論しているけれど行動していない。」と辛口の感想を言われました。
 ビジョンを持ち実際に行動するシンガポールからみれば,じれったい感じがするのではないでしょうか。先週は,シンガポール政府経済開発庁長官に招待されて大阪での大学発ベンチャーについての夕食懇談会に出席してきました。内輪で非公式の会でしたが,このような一国の政策の責任者が自ら情報を集めようとする姿に感銘を受けました。責任者が自ら判断し責任を取るというごく当たり前のことが,日本では行われているでしょうか。
 韓国でも,ツアーではなく自分たちで電車やバスに乗って見て回りました。確かに日本の文化と民族の一つのルーツであることを感じるとともに,戦争関係の記念館を訪問して,この国が底流に持っている緊張感といったものにも触れたような気がしました。
 来週は,(社)中国地域ニュービジネス協議会と中国経済産業局と共同で産学官連携フォーラムを開催します。大人数での集合ミニ講演会に終わりがちなパネルディスカッションではなく,個人の思いがぶつかり合い広がっていくような会にしたいと企画しています。ちょっと長いのですが趣旨を下記に転記しておきます。
 (どうも反響がないとこの「独り言」も書きづらいものです。気が向いたら,読んだよ,だけでも結構ですのでメールをいただければ幸いです。)
産学官連携フォーラム趣旨
 産業活動は,急激な変化の中で世界と直接結びついた厳しい競争にさらされており,自らを変革させていくことのできた企業や地域だけがダイナミックに発展しています。その中で,広島が閉塞状況にあるように見えるのは,過去の成功体験の上に,序列意識や形式重視の行動様式が広がっていることがその一因ではないでしょうか。広島の新たな発展のためには,個人の「思い」を大切にし,内向きの間違いのなさよりも新たな取り組みを評価していく環境づくりが必要ではないかと思います。
 このような状況を踏まえ、中国地域ニュービジネス協議会では、本年度の重点事業として産学官連携への取組みをあげています。その具体的なあゆみの第一歩を記すべく、来る10月3日に産学官連携イベント「地域に新しい風を」を,広島大学,中国経済産業局との共催により開催いたします。このイベントは中国地域が21世紀において再び飛躍していくために,個人の思いに支えられた多彩で意欲的な行動と産学官の連携による,新たな可能性へのチャレンジをスタートさせるために企画したものです。
 まず第1部として,岩手大学工学部を核として岩手県の産官学民の幅広い関係者が個人の資格で集まるオープンな会である「岩手ネットワークシステム(INS)」の岩渕事務局長をお招きして,その活動の状況とこれからについてのお話を伺います。このINSは,「いつも飲んで騒ぐ会」だとか「いつかノーベル賞をさらう会」の頭文字という説もあるくらい開放的で、人の出会いとつながりを大切にする活動をしておられます。その設立・運営にあたってのエピソードなど興味深いお話がうかがえると思います。
 第2部は、広島の産学官の代表者が今後の進め方を語り合う鼎談会を企画しました。
 今年7月に中国経済産業局長に着任された田辺孝二氏は,(財)国際情報化協力センターのシンガポール事務所長,通産省の技術担当参事官などを歴任されており,この間米国各大学の産学連携の調査をされ,MITのレスター教授がアメリカ産業の活力の構図を分析した新著「競争力」の翻訳もされています。また,早稲田大学シンガポールIT戦略研究所客員教授として「シンガポールのIT革命」についての講義もされています。今回のイベントに,個人としての魅力と行動力にも溢れ,情報化や米国の産学連携の事情にも深い造詣をお持ちの田辺局長をお迎えすることができましたことは、中国地域にとって大変意義あることと考えます。この鼎談会には,田辺局長のほかに,広島大学が今年1月に社会連携推進のために全国の大学に先駆けて設置された大学情報サービス室の馬場室長にご参加いただきます。これにヒロボー株式会社の社長であり、ご自身が起業家として常にチャレンジを続けている当協議会の松坂会長が加わります。なお,この鼎談会には岩手INSの岩渕事務局長にもご参加いただき,ご助言等をいただくことにしております。
 このフォーラムが,ご参加いただいた皆様の熱い思いを礎として、今後産学官の連携の輪を広げていき,広島発中国地域の新たな飛躍へのキックオフとなることを期待しております。

[蛇足]東広島市と賀茂郡5町の産学官関係者で議論しているワーキンググループの報告書の一節です。
 広島中央地域の産業発展のイメージ
 鉄や造船,自動車などを中心に生産県として発展し,企業の支店や国の地方機関も集中するなどその拠点性を誇ってきた広島県も,製造品出荷額は全国10位から14位になり全県人口も減少に転じるなど元気を失ってきているようにみえる。時代の急激な変化のスピードに対応しきれず,地力はあるもののその力を生かしきれてない。  東広島市と賀茂郡5町で構成される広島中央地域は,3つの大学が立地し2万人の学生を抱える若い地域である。60数カ国から700人以上の留学生を擁する国際性・多様性の地域でもある。3000mの滑走路を持つ広島空港へは20分圏であり,高速道路,新幹線とともに,国内,国外と直接つながっている。その上,古くから酒どころとして知られたこの地域は,水のおいしい豊かな自然にも恵まれている。  広島中央地域は,この恵まれた条件を最大限に生かし,広島の新たな発展核として,21世紀を切り開いていくことが期待されている。 知識,若さ,多様性は,変化の原動力である。既成概念にとらわれない大胆で意欲的な取り組みと変化の風土づくりが求められている。  キーワードの第一は産学官連携である。
地域内の商工会議所と商工会が連携し一体となった産業支援機能を整備するとともに,企業のニーズを産学官の連携に反映していく。産学官の継続的な協議の場が設置され,地域が一体となった取り組みの基盤となり即応性の必要なプロジェクトにも対応していく。 産学官の連携は,研究開発,技術移転を進め,ベンチャー企業の支援施設は多様なサポートを提供し地域の意欲的な取り組みは創造力あふれる起業家を集める。社会人などを対象とした大学の教育拠点も整備され,コンファレンスセンターは国際会議などの受け皿となる。これらが一体となって,人材が人材を呼ぶパワースポットを形成していく。
 広島中央地域の1市5町はそれぞれ古い歴史と文化,豊かな自然に恵まれており,緑の中の企業立地などデジタル・ネットワーク時代における新しい地域づくりを切り開いていく。空港や広島市などへのアクセスも整備され,図書館など各種施設の相互利用なども進み,地域内の案内表示は英語併記となり,世界に開かれた住みやすい環境が整備される。そんな地域の魅力を対外的に一体となってアピールしていき人々が集まる場となっていく。 広島中央地域が「e賀茂」をキーワードに連携して行動していけば,地域の可能性が現実のものとなり,広島再生の新たな発展核が生まれる

2001年8月15日
 お盆だというのにひたすら働いています。
 7月23日に自治医大での全国の市町村職員対象の健康福祉プランナー養成塾にて地域医療と情報システムの講師をして以来,県内の大学職員対象に大学の社会連携の話を1時間,市町村職員対象に国際化と地方行政について1時間話をして,来週は県立教育センターでアジアについて3時間のシンポジウム,再来週は中学校の進路指導の先生に21世紀の社会が求める人材育成(!)について2時間弱,その翌週はある医療関係団体の中四国職員研修会で国際化について1時間半と経営情報学会ビジネス情報基盤分科会で1時間となぜか講演・発表づいています。
 9月10日の週には2年振りにシンガポールに里帰りなのでそれを楽しみに頑張っていますが今回は仕事なのでその準備もあり・・・。それまでには,今年大学がシンクタンクとしてビジョンづくりを請け負うという新しい試みをしている広島中央地域の産業振興の報告書もまとめないといけないし,・・・。いけないいけない,愚痴っぽくなってしまいました。実のところ結構楽しんでやっています。広島中央地域の件も,東広島市と賀茂郡5町の商工会議所,商工会,行政とこの地域の3大学で構成するワーキンググループを作って,ほぼ2週間に1回の割りで集まっていろいろなテーマで気楽でまじめをキャッチフレーズに議論しており,充実しています。ただ,地域の発展に実際に役に立つビジョンはとなるとなかなか難しく,良いアイデアをお持ちの方はぜひご提案ください。
 21世紀の人材育成の方も,うっかり引き受けたものの準備を始めてみるとなんて無謀なことをと青くなってますが,まあ折角の機会なので普段から思っていることを聞いていただいていくらかでもご参考にしていただければと楽しませていただくつもりです。もう少ししたら駄文抄の方にレジュメを出したいと思ってますのでご興味があればどうぞ。

2001年7月13日
 13日の金曜日なので一言。
 最近,個人的にスーパーマン的な活動をされていることに感心していた方が2名相次いでそれぞれの舞台から降りられました。詳しいことは分かりませんが,それぞれの組織の中で人とは違ったことを全力でやっておられただけに,残念な思いです。組織が成熟すればするほど異質なものを排除しようとする力は強くなります。別の視点からすれば,組織の中で急速に成果をあげようとすればどうしても部分的に無理やひずみが出てきて,問題を生み出してしまいます。
 かといってブレーキばかり踏んでいる人だけでは何にもできませんし,ひたすらアクセルを踏み続けるエネルギーを持った方々の力がうまく生かされる環境づくりが大切だと思っています。一般的にはアクセルとブレーキの両方を加減しながら同時に踏んでいくのでしょうが,うまくバランスさせながら前に進めていくのはなかなか難しいと感じています。一歩先を行くと舞い上がったり足をすくわれるしへたり込んでしまうと何もできずに言い訳ばかりするようになるし,半歩先の感覚を実現するのは結構大変そうです。
 ここまで書いていくと,やはり時々はそのようなちまちました良識的な進め方ではなく大胆に少々思い込みが強くても快刀乱麻で突き進んでいく人も必要だとおもうようになるのですが,その点で期待していたお二人が舞台からりられたことはちょっと残念です。
2001年6月28日
 大学も大きな変化の波の中にいますが,変化には改善と改革とがあります。どちらがいいかという議論ではなく,改善は今あるものを前提としてそれを生かして変化を起していくのに対して,改革はそれを壊したり別に新しいものを生み出したりするのだという,内容の違いなのだと思います。当然,ケースごとにどちらが適当なのかは異なります。
 私自身は,「次の曲がり角まで」という言葉が好きなように,基本的には改善型の人間だと思いますが,時に改善の限界を感じることもあります。破壊や別途新設は大きな無駄を伴いますしそれまでの常識の変更を強制しますのでぎりぎりまでは避けたほうが賢明だと思いますが,そうでなければ問題を解決できない場合があります。
 大学の場合,これからいろんな点で改善なのか改革なのかを問われる場面が増えてくると思います。
 例えば,これまで,マンションの入居者と管理人という例えであらわされてきたような教育研究者とAdministrative staffの関係だけではなく,Management部門などに新たな機能要素が必要となってきた場合に,従来の二者択一の範疇で考えていくのか別の概念を導入すべきなのかといったものです。性急な決め付けでなく,将来ビジョンと現実を踏まえての検討が必要なように感じています。
 これはまた,できることをやるのかやるべきことをやるのかという議論にも関係してきます。今ある環境の中で頑張ることを求めていくのか,やるべきことを実現していくためにその環境自体の変革も議論していくのかということです。変革のリスクと混乱,コスト,時間も考慮しながら選択が求められているように思います。
2001年6月27日
 3日坊主にはなることができたので安心してましたら,もう1か月が経ってしまいました。でも日にちは続いているからいいかなと訳のわからない納得をしています。
 相変わらず慣れない大学の中ですが,大学の社会連携という仕事は楽しんでいます。
 独立行政法人化など,大学を取り巻く環境は大きく変化しており,その変化の波の中にいること自体なかなかわくわくするものがあります。
 以前大阪に,東京や和歌山,広島から仲間が集まって1泊2日でいろんな議論をした時に,日本の歴史と文化の中での特性は,異質なものを受け入れてうまく調和を生み出す力であり,それは日本の歴史力と言ってもいいのではという話が出ました。本来そのような力があるのに,最近はむしろ異質なものが入ってくること自体を拒絶して変化の種を生み出さないこともあるのではないでしょうか。
 この点で,今後数年でドラスティックな変化が予想され,しかもそれへの対応の適否が大きな結果の差となって現れそうな大学の世界は,なかなか経験できないエキサイティングな環境だと思っています。
 ぜひ,いろんな方のご意見をお聞きしたいところです。

2001年5月26日
 とりあえず,3日坊主の資格ができました。付け刃でいろいろと一生懸命勉強していますが,なんと知らないことの多いことか!とはいっても時間は限られているので,その中でどう配分していくかを考えるしかありません。まあ,緊張感を維持していけるうちが華かも。
 大学に移ってから読んだものの中で印象深かった話の一つが,某大学の教授の発言で「研究者には,自分のできる範囲の研究をやっている研究者と,やるべき研究をしている研究者とがいる。」というものです。辛らつですし耳が痛いところですが,刺激の少ないところでのんびりするのも快適だと怠け心はささやきます。

2001年5月25日
 四半世紀近く組織人としての生活をしてきたのに対して,大学は基本的には個人の研究実績を背景にした個人個人が問われる世界です。組織を離れてみて自分が個人として何があるのかを問われることは厳しいものがありますが,よい経験でもあります。
 現在の立場は,組織人と大学の研究者との中間的な存在ですが,だからこそできること,役に立てることを模索して行きたいと思っています。

2001年5月24日
 21世紀の初日から,まったく新しい環境に飛び込んで,ドタバタしているうちに5か月が過ぎようとしています。備忘録を兼ねて,時々思いついた時に何かメモをして行きたいと思います。
 大学に来て改めて感じるのは,皆さんよく勉強されているということ。(当たり前のことですが,感心します。)ここまで来るためのエネルギーたるや膨大なものであり,それがもっと社会と結びついていけば,双方にとって得るものは大きいはず。それが大学情報サービス室の仕事だと思います。
 若い人たちが,一生の間知的好奇心を拡大再生産し続けることのできる原点を築くことが大学の大きな役割の一つだと思います。社会の躍動感をより強く反映した大学づくりについて社会での議論が必要だと感じています。
 先日,東京で開催された公務員の風土変革を考える会に参加してきました。「なぜ会社は変われないのか」(日経新聞社)の柴田昌治さん主宰の公務員バージョンの気楽にまじめな話をする会です。財務省印刷局,郵政事業庁などの国の省庁や県庁,小学校の校長先生やお医者さんなど様々な人が集まり,公務員組織の変革について楽しく議論しました。印象的だったのは,三重県の県庁挙げての組織変革と山形県警の組織風土変革。前者はある部全体を個人の席を決めないフリーアドレス制にするという大胆な取り組みや県民への説明責任を大前提にした事業評価など実に多様でのびやかな取り組みが進められており,後者は組織に風を吹かせようと「風通信」を発行するなどメンバーの一人一人の意見が自由に出せる風土づくりを進めています。
 シンガポールに駐在していた際に,伸び盛りの国の人と地域の「張り」を感じました。日本の社会でも,そんな「張り」がもっと感じられるよう,風を吹かせていきたいと思っています。

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