阿弥陀岳・赤岳( 阿弥陀岳:2,805m ) 1999.5.30 登山

(※:縦走路中の最高峰は 赤岳 2,899m)

   中岳頂上より阿弥陀岳( 1999.5.30 )

【阿弥陀岳・赤岳登山記録】

【阿弥陀岳・赤岳登山データ】

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阿弥陀岳・赤岳登山記録

日曜日の登山というのはあまり気が進まないのであるが、先週 寝坊して阿弥陀岳登山を逃し、 この土曜日は色々都合があって山に行けず ということで、山に行けるチャンスができた 5月30日の日曜日、 もしこれを逃すとまた後悔する羽目になるかもしれないと思い、朝 4時20分過ぎに阿弥陀岳を目指して家を出た。
もう少し早くに家を出ても良かったのだが、土曜日から日曜日にかけては暴走族が走り回っている可能性もあったため、少し明るくなってからの出発である。

国道 16号線、中央自動車道を快調に飛ばして (日曜日の早朝は空いている)、 お馴染みの美濃戸口に着いたのは 6時半過ぎであった。

昨年の夏にここへ来た時は、美濃戸口の駐車場はほぼ満車の状態であったが、この日はまだシーズン前ということなのか、 駐車している車もまばらであった。
この分なら、そのまま林道を進んで美濃戸まで行けるとも考えたのだが、やはりそれは何となくズルをしているような気がしたし (私のつまらない拘りであり、 美濃戸まで車で行った人を非難しているのではない)、前回と同じ条件で登りたいとも考え、美濃戸口に車を止めることにした。

登山靴を履き、美濃戸口を出発したのが 6時41分、 道の傍らに咲く朱色のボケの花を愛でながら林道を進んだ。

前回前々回 とも美濃戸までずっと林道を歩いたのであるが、 今回は 3回目ということで少し余裕もあり、林道の途中から山道に入って行くことにした。

この道はしっかり踏まれており、体をほぐすのには丁度良かったし、 何よりも途中で車に追い越されて気分を害さないで済むのが助かる。

2回ほどの山道歩きを経て美濃戸に近づいていくと、前回と同じように緑の木々の向こうに阿弥陀岳の隆々とした姿が見えてきた。
太陽は既に阿弥陀岳の左方向、かなり高い所まで登っており、また空は青く、過去 2回の登山よりは天候に恵まれそうで、心浮き立つ思いであった。

美濃戸に着いたのが 7時19分、そこからいつものように柳川南沢沿いの道を進んだ。
この道も 3回目となると、結構余裕も出てきてペース配分も掴みやすく、快調に進むことができた。

南沢を詰めていくとやがて水の流れが消え、一旦は白河原に出たかと思うと、すぐに樹林帯に入ることになったが、 樹林の中は日が当たらないことから登山道に雪が大分残っていた。ただ、歩きにくいことはなく、軽アイゼンもいらず、何の問題もない。

やがて樹林帯を抜けると白河原で、目の前に横岳のギザギザした稜線が飛び込んできた。
少し進めば赤岳も目に入り、天候も本日はガスがでるようなことはなさそうなので、今日の登山への期待感がますます高まってきた。

水のない白河原を進んでいくと再び水の流れに遭遇したが、途中から伏流水のようになっているのであろう、 これはなかなか面白い。

行者小屋に着いたのが 8時45分、明るい日差しの中、 これから登る阿弥陀岳の姿を楽しみながら早い食事をとった。
行者小屋を出発したのが 8時55分。いつもの文三郎道への道を進むと、すぐに残雪多き道となり、 今後の展開に若干の不安を持つこととなった。

かなり腐りかけている雪道を進むと、『中岳、文三郎道』 という標識が左手に現れたが、 そこには阿弥陀岳と書かれていない。
おかしいと思って周囲を見回すと、右手の樹林帯に赤いペンキ印があるではないか。こちらが正しいのかと思って樹林帯の方まで行ってはみたのだが、 確かに木に大きな赤ペンキ印はあるものの、標識らしきものは全くない。
慌てて地図を見ると、やはり先ほどの道のさらに先に分岐があるようである。但し、私の持っている地図は 1989年に購入したもので、 文三郎道についてもハッキリ書いていないことから、半信半疑のまま元の道に戻って先へと進んだ。

少し進んだところですぐに分岐があり、今度はハッキリと阿弥陀岳と書かれている標識があったので、 ひと安心であったが、やはり事前の調べはよくしておかねばならない (実は中岳というのが阿弥陀岳への道を示しているのであった。 反省

道はすぐに樹林帯へと入ることとなって、そこは残雪の量もかなりあったものの、 先達の踏み跡がしっかり付けられていたので、それ程歩きにくいところはなかった。
シラビソ、ダケカンバなどの甘ったるいような香ばしい香りを嗅ぎながら、ジグザグに山道を登っていくと、やがて樹林帯を抜けて展望が開け、 赤岳から横岳、大同心、硫黄岳へと続く稜線を良く見ることができた。

ただ、この稜線を見て些か驚いたのであるが、山自体が老齢化しているのではないかと感じさせる程 皺 (しわ)が多く、 痛々しさが目立ち、昨年夏には草木の緑に覆われて気づかなかった八ヶ岳の本当の姿を知った気がしたのであった。

樹林帯を抜けても、登山道が北側斜面を通る場所には残雪が多く、 少しでも足を踏み外したら谷へとそのまま滑り落ちてしまう状況だったので、慎重にステップを踏んだ。
このように残雪が結構あったり、また中岳のコルに飛び出る直前の道が崩壊していて、そこにあったと思しき金網の橋が跡形もない状態になっていたということがあったものの、 道は総じて良く踏まれており、またほとんど息を切らせることなく登り切ることができた 9時43分 中岳のコル着)

中岳のコルに着くと、稜線の向こう側の景色が目に飛び込んできて、その構図の素晴らしさに暫し見とれてしまった。
左の赤岳からキレットへと一気に下り、そこから再び権現岳方面へと登り上がった尾根道が続いていて、 権現岳の左手には形の良い三ツ頭、右手には編笠山がどっしりとスクラムを組んでいる。
そしてキレットへと下る尾根の向こうには甲府盆地が拡がっていて、その先の方には やや雲に隠れ始めた富士山の姿が見えたのであった。

中岳のコルからは一気に阿弥陀岳へ直登することになったのだが、この道は岩にしがみつきながら登らねばならないところも多く、 また崩れやすい岩に結構気を使い、肉体的よりは精神的にくたびれる道であった。

阿弥陀岳頂上に着いたのが 10時7分、山頂には多くの石碑や石仏が見られ、 ここが信仰の対象として崇められていたことが良く分かる。
山頂からの展望は抜群で、先ほどの権現岳・編笠山方面、また中岳から赤岳へと続く稜線、赤岳から横岳、硫黄岳への連なりと、 その遙か向こうには蓼科山も見ることができた。

さらに遠くに目をやれば、まだ雪の多く残る北岳甲斐駒ヶ岳仙丈岳などの南アルプスの山々、 それからその右手に、やや霞んではいるものの中央アルプス、 そして御 嶽乗鞍岳、 そして北アルプスを見ることができた。残念ながら北アルプスは白い固まりでしか見えず、山々を同定することはできなかったのだが、 これは私が眼鏡をかけていないせいなのかもしれない。

暫く山頂の展望を楽しみ、10時30分に山頂を後にした。
中岳のコルまでの下りは登りよりも落石を起こす危険性があり、中腹を進む 5分間ほどは神経をかなり使わせられた。

中岳を越え、赤岳直下の鞍部に着いたのが 11時、そこから見上げる赤岳は高く聳えており、 先に赤岳を登り、ここを下りに使うべきだったと後悔させられるような長い急な登りが待っていた。

しかし、登りは想像した程きつくなく、ジグザグに切られた道をゆっくりとしたペースで登っていくと、 いつの間にか文三郎新道との分岐に到達し、ここからは歩き慣れた道となった。
ジグザグの斜面を登っていく途中、7人程のグループが下りてくるのと擦れ違ったが、皆 登ってくる私を待っていてくれ、 挨拶や励ましの言葉を掛けてくれたのは大変嬉しかった。こういうことも山では大切なことである。

やがて、鎖付きの岩場を越え 11時48分、3回目の赤岳頂上に着くことができた。
これまでの 2回の登頂では、十分な展望を得られなかったのであるが、今回は先の阿弥陀岳と同様展望に恵まれ、 初めて野辺山高原方面の斜面を見ることができたのであった。

赤岳頂上でノンビリしたかったのだが、意外と風が冷たく、ジャケットを出すのが面倒だった私は、 食事をとった後は直ぐに下山することにした (12時20分発)

赤岳本峰 (南峰) よりも人々で賑わっている北峰を過ぎ、 いつも苦労する北斜面の下りを落石を起こさないように慎重に下り、赤岳展望荘の前を過ぎて、やがて地蔵尾根の分岐となる地蔵仏に辿り着いた。

ここから振り仰ぐ赤岳は、本峰を北峰が隠しているのがやや残念であるものの、 そのなかなか堂々とした姿は見る者を魅了する。
しかし、個人的には、赤岳はここや阿弥陀岳から見るよりも、硫黄岳や権現岳から見た形の方が好きである。

地蔵尾根からは一気に行者小屋へと下ったが、樹林帯に入るとかなり雪が残っており、 登るにはそう問題ないものの下りは滑りやすく、また融けだした雪で道がぬかるんだ箇所もあったため、やや苦労させられた。

しかし、一気に下った甲斐があり、行者小屋に着いたのが 12時55分。 少し休んで 13時丁度に今朝方進んで来た道を美濃戸、美濃戸口へと戻った。

この頃になると体がやはり疲れていたのであろうか、美濃戸までの道が大変長く感じられ、 よくもこんなに長い道を登ってきたものだと自分に感心するほどであった。

美濃戸に着いたのが 14時3分、ここからはまたまた林道歩きで、ややウンザリさせられた。
しかし、帰りも今朝ほどと同じように山道を通ったので、そのウンザリ感もやや緩和されたといったところであろうか。

出発点である美濃戸口に着いたのが 14時35分。日はまだまだ高く時間的には短いような気がしたが、 本日の登山は結構身体的に手応えがあり、またこの時期にこのような高山に登ったことで満足感も大きく、しかも素晴らしい天気に恵まれたこともあって、 精神的にも大いに満たされた 1日であった。


阿弥陀岳・赤岳登山データ

上記登山のデータ登山日:1999.5.30 天候:快晴単独行日帰り
登山路:美濃戸口−美濃戸−白河原−行者小屋−中岳のコル−阿弥陀岳−中岳のコル−中岳−赤岳鞍部−赤岳−地蔵仏−行者小屋−白河原−美濃戸−美濃戸口
交通往路:瀬谷−八王子IC−(中央自動車道)−小淵沢IC−美濃戸口 (車にて)
交通復路:美濃戸口−小淵沢IC−(中央自動車道)−相模湖IC−三カ木−半原−厚木−瀬谷
その他の
阿弥陀岳
登山
美濃口−(別荘地)−阿弥陀岳登山口−御小屋山(御柱山)−不動清水分岐−西ノ肩(摩利支天)−阿弥陀岳 −中岳のコル−中岳−文三郎尾根分岐−赤岳−地蔵の頭−行者小屋−白河原−美濃戸山荘−美濃戸口  ( 2013.9.14 曇り時々晴れ )
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