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上部二俣のガレ沢を横切り、八本歯沢へと入る。
振り返れば、登り来たりし大樺沢が 1本道のように続いているのが見える。時刻は 8時21分。
このペースで行けば、10時過ぎには北岳頂上を踏めそうである。前回は、重い荷物に苦しみ、
この辺で既にバテバテだった気がする。それと比べれば、本日の何と快調なこと。 |
雪渓と完全に分かれ、
狭くなった沢を黙々と登る。
日差しはカーッと照りつけることなく、ほどよい感じであり、それだけでも助かる。
稜線は目の前に見えるので励みとなるが、この後 階段がいくつも出てきた記憶があり、まだまだ油断はならない。
さすがに身体の方は長い休憩を欲してきているが、もっと開けた場所まで我慢と言い続けてひたすら登り続ける。 |
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ここまで高度を上げると、今まで振り返ると見えていた
鳳凰三山の左後方に
八ヶ岳も見えるようになってきた。
鳳凰三山は既に 2回登っているものの、
地蔵岳−観音岳−薬師岳の間は 2回 (2回目は薬師岳 → 観音岳 → 地蔵岳の順)
ともほとんどガスに覆われており、折角の白砂の回廊を堪能できておらず、心残りとなっている。
本日のように稜線がクッキリしている状態の時に登りたいものである。 |
やがて沢を離れると、
記憶の通り木の階段が現れた。
これが結構辛い。歩幅を決められてしまうため、どうしてもペースが乱れるからである。
しかも、この階段が何度も現れる。以前の記憶とは少々違うものの、苦しさは同じである。
しかし、階段が現れるということは稜線が近いという証左でもあり、手すりに掴まりながら頑張って登り続ける。 |
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とは言え、先ほどから休みを欲していた身体の言うことを聞いて、1つ目の階段を登りきったところで、
バットレスを見ながらの小休止とする。
ここから眺めるバットレスは凄い迫力であるとともに、垂直の壁そのものである。
ここから見ても凄い迫力なのだから、バットレスの真下に立ったのならば、登ることを拒む冷たい壁としか思えないであろう。
何遍も言うようだが、ここを登る人たちの勇気と冒険心には本当に感心してしまう。 |