&nbsp登山NO.009 鳳 凰 山( 観音岳:2,840m ) 1989.8.26登山


   地蔵岳オベリスク( 1989.8.26 )
【鳳凰山登山記録】

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NO.9 鳳凰山登山記録

やはり山登りの回数が増えてくると、アルプスというカテゴリに入る山域・山に登りたくなってくる。
そこで選んだのが鳳凰山であるが、これは通い慣れた ? 中央本線甲府近辺の山であり、またアルプス入門者に対しても薦められる山と聞いたからである。
今回は I 氏と 2人での山行である。

朝 5時30分に横浜駅で待ち合わせをして、東神奈川経由で八王子、そして高尾まで行き、 そこから始発の中央本線にて韮崎まで行った。
韮崎からはタクシーにて青木鉱泉まで行ったのだが、運転手に聞くと青木鉱泉までの道は状態が悪く、 車が泥だらけになるのでタクシーは皆イヤがるとのこと、この運転手は大変話し好きの親切な人でラッキーであった。
青木鉱泉でそば定食を食べて腹ごしらえをし、10時前に出発する。
天候は曇りだが、雨が降るということもなさそうである。

道はいきなりの急坂で、山腹をジグザグに登ることとなったが、アルプスに登っているという期待に反して丹沢と変わらない樹林帯歩きに少々ガッカリしてしまった。
当時は山の高さと植物の分布についてあまり知らず、金峰山富士山といった山に登って、 森林限界ということを少しは意識していたものの、アルプスということで何か特別な岩場歩きを想像していたところがあった。
今から思うと恥ずかしい限りである。
喘ぎ喘ぎ、登っていくと途中、精進の滝などの多くの滝を見ることができたが、ゆっくり立ち止まって眺める気になれず、 特に少し登山路から離れたところにある滝の展望台などは、全く寄る気にもなれなかった。
これは疲れているからではなく、現在の自分のペースを乱されることがイヤだからで、従って今でも余程疲れていない限りは登っている最中に大休止してペースを変えてしまうことはしないようにしている。
但し、少々歳をとって、早く登ろうと焦ることがなくなってきたせいか、途中なるべく多くのものを見るようにはなってきているが・・・・・・。

樹林帯の中の登りに飽き、また丁度腹が空いて休憩したくなった頃に、北御室小屋跡のある河原に出ることができた。
河原からは霧が立ちこめる中、地蔵岳のオベリスクが見え、写真で見る姿との違いに少々戸惑いながらも、 とうとうアルプスにやってきたという実感がわいてきた。
河原の水で湯を沸かし食事をとっていると、初老の方が植物をカメラにて接写しながら登ってきた。
植物にあまり興味がなく、山登りでそのような写真の撮り方があることは思ってもいなかったので、 物珍しさも手伝って色々話を聞かせてもらったのだが、この鳳凰山にはタカネビランジやホウオウシャジンといったこの山域独特の植物が見られ、 それを見るために登山しているとのことで、登山の楽しみ方にもいろいろあるものだと感心させられた。
これに感化され、その後の登山は砂礫に咲くタカネビランジや、葉の細いホウオウシャジンにも目がいくようになって、 楽しみが増えることとなったのだから、感謝しなくてはならない。

食事も終わった頃、雨がポツリポツリと降り始めたので、慌てて身支度を行い、 大きな岩の上を目印に沿って駆けるように進み、午後 2時30分に鳳凰小屋に駆け込んだ。
小屋に駆け込んだ途端に雨が強くなり、バケツをひっくり返したような状態になったのには驚くとともに、 I氏とともに我が身の幸運を喜んだ次第である。
この雨も暫く経つと止んだので、小屋前でたき火をしながら小屋の主人と話をし、色々なことを教えてもらった。
例えば、いつも山に入ると草のようなものが木に絡まっているのを見かけ、不思議に思っていたのだが、 小屋の主人からそれはサルノオガセであることを教えてもらったし、またたき火として燃やしていた木がシラビソであることも教わった (私は白樺だと思っていた)

小屋は蚕棚のようで、また布団も汚く、南京虫がいるのではないかと心配したが、 疲れていたのか結構よく眠ることができた。
就寝前、小屋を手伝っているお兄さんに誘われ、炬燵のある部屋で色々な話をしたのであるが、小屋の主人の撮られた写真などを見ながら話がはずみ、 大変楽しいひとときであった。こういうのが山小屋泊まりの楽しみなのであろう。

翌日は晴れとなり、期待に胸膨らませながら地蔵岳に向かって出発した。
小屋からは再び樹林帯の中の登りとなったが、結構体は軽く、楽々と登り切った所で正面に地蔵岳のオベリスクを見ることができた。
昨日河原で見たそれは、少々太り気味でイメージと違っていると感じたのであるが、目の前に現れたオベリスクは写真で見た通りのスマートな形をしており、 天に向かって突き出たその姿は、何か単なる自然のなせる業という以上の尊いものを感じさせてくれた。
このオベリスクは、その割れ目を伝ってその頂上に立つことができるようであり、ロープも付けられていたが、 ちょっと登るのはきつそうだったので遠慮し、その付け根の部分まで行くに止めた。
それでも、そこからは雲の上に浮かぶ甲斐駒ヶ岳白根三山八ヶ岳が見え、 あたかも次の登山目標を提示してくれているようであった。

この地蔵岳までは青い空が見え、振り返れば富士山の姿も見ることができたのだが、 赤抜沢ノ頭から先の縦走路では霧が立ちこめてきて、観音岳、薬師岳では全く視界がきかなくなり、 折角 白い砂礫の上を富士山を正面に見ながら歩くことができると期待していたことがダメになってしまった。 大変残念である。
唯一の慰めは、観音岳手前で見た雷鳥の親子で、ここはアルプス、高山であることを感じさせてくれた。

霧によって視界がほとんど利かないことから、逆にペースは進み、観音岳、薬師岳もスンナリ通過し、 やがて夜叉神峠への下りとなったが、少し高度が下がってくると霧はなくなり、 木々の間からボンヤリではあるが富士山を見ることができた。
南御室小屋で大休憩した後は、樹林帯の道をひたすら下り、かなり早いペースで夜叉神峠に着くことができたが、 峠からはヤナギランの咲き乱れる向こうに白根三山の姿を捉えることができた。
是非、いつかは登ってみたいものである。

峠からは夜叉神峠登山口となっている車道まで下り、さてどのようにして帰ろうかと思案していたところ、 タクシー運転手の斡旋で他の登山者との相乗りが実現し、甲府まで一気に戻ることができた。
霧で視界がきかず、アルプスの醍醐味を半分も味わえなかったが、 それでも地蔵岳のオベリスクを初めとして高山の趣を感じさせてくれるものも多くあり、大変印象に残る縦走となった。
そしてこの登山の後は、中央本線に乗って車窓から山を見るたびに、特徴あるオベリスクを探すことが一つの楽しみになった。


鳳 凰 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ 登山日:'89.8.25-26 天候:晴れ後曇り (26日) I氏同行 1泊
登山路:青木鉱泉−南精進ノ滝−北御室小屋跡−鳳凰小屋() −地蔵岳−赤抜沢ノ頭−観音岳−薬師岳−南御室小屋−杖立峠−夜叉神峠−夜叉神峠登山口
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(京浜東北線)−東神奈川−(横浜線) −八王子−(中央線)−高尾−(中央本線)−韮崎−(タクシー)−青木鉱泉
交通復路:夜叉神峠登山口−(タクシー:乗り合い)−甲府−(中央本線)− 八王子−(横浜線)−橋本−(相模線)−海老名−(相鉄線)−瀬谷
その他:8月25日に鳳凰小屋まで行き、翌26日に鳳凰三山縦走。
その他の
鳳凰山
登山
(1) 青木鉱泉−林道−薬師岳登山口−御座石−薬師岳−観音岳−赤抜沢ノ頭−地蔵岳−鳳凰小屋−五色の滝−南精進ノ滝−分岐−青木鉱泉 ( 2000.7.20:曇り後雨 )
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(2) 青木鉱泉−林道−薬師岳登山口−御座石−薬師岳−観音岳−赤抜沢ノ頭−地蔵岳−鳳凰小屋−五色の滝−南精進ノ滝−分岐−青木鉱泉 ( 2007.9.17:晴れ後曇り )
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(3) 青木鉱泉−林道−薬師岳登山口−御座石−薬師岳−観音岳−赤抜沢ノ頭−高嶺−赤抜沢ノ頭−地蔵岳−鳳凰小屋−五色の滝−南精進ノ滝−分岐−青木鉱泉 ( 2009.10.11:快晴 )
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(4) 夜叉神峠登山口−夜叉神峠−杖立峠−火事場跡−苺平−南御室小屋−砂払岳−薬師岳−観音岳 (往路を戻る) ( 2014.5.10:快晴 )
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