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『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー =闇浄化(やみじょうか)〜』


                 第七旋承壁陣(だいななせんしょうへきじん)


                               たかさき はやと






 追ってから逃げて何時間になるだろうか…そんななかで、エルフィールとジョルディーは言い争いをしていた…。
「敵は排除する…それがダリル様の方針だ…!」
「キミの方針はどうなんだい?」
「ダリル様の御心のままに…」
 ジョルディーの質問に、即答するエルフィールだった…。
 そこかしこに氷の人形が、氷の建物が乱立している。
「シンシアは氷結(ひょうけつ)使いだ…水人(みずびと)達はみんな氷にされたらしい…」
 エルフィールがジョルディーに説明する。
ーーーなんだ?…変だ…体勢が、ななめになっている?…!
「うおっ」
 ジョルディーが氷の坂に足をとられ、道をすべり落ちていく。
「ジョルディーっ!」
 エルフィールの手はジョルディーの手を間一髪、つかめない。
 シンシアの声が氷の街に響く。
「ジョルディーとか言ったか…この男を助けたくば…死ねエルフィール!」
「はっ、そんな男がどうなろうか知ったことか…どうにでもするがいい!」
「エルフィール…あなたがわたしに言ったことはウソだったのか」
ーーーなんのことだ…?
ーーーまさか…カアさん…の話し…?
 エルフィールに母の声が響く。母はイスにすわり、縫い物をしていた。
ーーーすべての人に命があるの……すべての人をゆるしてあげて愛してあげて…ね…
ーーーカアさん…あなたはズルい…わたしが…わたしがどうやってそうしろというのですか…
「シンシア!…いいだろう…わたしは一切手を出さない…どうにでもするがいい」
 するどい複数の氷が、建物の横からほぼ直角にまがりながらエルフィールを襲う。寸前のところで切り裂かれるエルフィールの服。
「どうしたシンシア!…腕が落ちたな…!…モタモタするな!…封印の魔則(まそく)を知らないわけではないだろう!」
 どこからかシンシアの涙声が響く…
「あなたは…エルフィールねえさまはなんでも教えてくれた…ねえさまのお母さまの教えからなにからなにまで……だから…」
「なんだ?」
「この男がエルフィールねえさまをくるしめたんだ…こいつが…!」
「そうではない…わたしは自分の意志でここにいる」
「ウソだ!」
 建物の影から、ぐったりしたジョルディーをひきずりながら、シンシア…金髪の美少女があらわれた。
「ウソじゃない…ほんとうだ…」
「わたしは…どうしたらいいんですか…ねえさま…」
 その場にくずれるシンシア。
ーーーエルフィール…あなたならできるはずよ…
 母の姿がよぎる。
「エルフィール…」
 エルフィールをうながすジョルディーの声が闇夜に響く。どうやら無事らしい。
「なぜだシンシア…なぜわたしやジョルディーを殺そうとする…」
「気づかないのですか…?…ねえさま達の命…それがダリル様の望みだから…」
 シンシアはエルフィールの問いに、満面の笑みで答えた。封印の魔則(まそく)によって水晶となった顔で………
ーーーなぜこんなことが…ダリルさま…!
 ダリルは幼いエルフィールに言った。
ーーーエルフィール…わたしのためにその命ささげてくれ…誰も死なない世界のため……
ーーーあの思いにウソはない。ならばなぜジョルディーを生かし一緒に旅をする…?…この男になにがあるというのだ……???
「わたしは…なにがホントウかわからなくなった…」
「これからどうする…エルフィール?」
 エルフィールのジョルディーへの答えは決まっていた…
「行こう…ダリル様のもとへ…!」
 道は蛇行していた。それをものともせずゆくふたり…まだ道は遠く、果ては見えなかった………









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