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『ダークスタイル・ダークエレメンタラー 〜ヴァーダークラルアンティー =闇旋花(やみせんか)〜』


                 第三旋承壁陣(だいさんせんしょうへきじん)第三話を桑島法子(くわしまほうこ)嬢にささぐ


                               たかさき はやと






「そんなことあないさ」
「それはちがうのだよ」
 ジョルディーとエルフィールのふたりは雨の中、巨大な赤いさそりの上で議論を続ける。いつもは静かな砂漠の上を、雨はまだやむ気はないようだった。
 白刃(はくじん)が舞った。
 ジョルディーのあてみが人間の大人の男に決まる。ジョルディーの上にもたれかかる暗殺者。
「暗殺未遂…か」
 ジョルディーがつぶやく。
 同時に光りのヤリをエルフィールが闇に包んでいた。
−−−これは…メニティ…?


 街でふたりは裁定所に来ていた。
「法子(ほうこ)ちゃんファイト!」
「なに言ってるジョルディー…まあいい、法子(ほうこ)、なみだなんかに負けるなよ、な!…これでいいのか」
「ええ、まあ…どうも」
 エルフィールの言葉に作者がこたえる。
 老人がふたりに近づいて来た。
「にがしてほしいというのですかあのような者(もの)を…」
 街の裁定者が老人がそういう。
 さきほどの暗殺者、通称ドグと呼ばれているらしい男のことだ。
「ダメ…ですか」
「いいでしょう、あなたがそういうのですから」
 エルフィールはそれを聞くとそこを立ち去る。もうそこにようはなかった。
「なんだあの女…」
 若い人間の男、ジャンデがそうののしる。
「おまえではな、かなわないだろう」
「あの女がダリル様の…、まさか…そんなことがしんじられるか」
 それは若者(わかもの)が知(し)るおそれる者(もの)。
 それはふたりが知(し)るもっとも存(そん)する者(もの)。


 ドグは解放された。
 「おまえはもう自由だ」
 ジョルディーの声に少し離れた場所にいるドグは立ち止まる。
「てきを前にしてにげろというのか…?」
「逃(に)がしてやるといってるのがわからないのか」
 そう言うエルフィールにドグは。
「おれは…てきだ」
 ドグがふたりにかけよる。殺意を光りのつるぎをその手ににぎって。
ドギャッ
 ドグをメニティの光球(こうきゅう)が跡形もなくふきとばす。
 ふたりの見たメニティは腕の端(はし)から氷りはじめる。全身が氷りはじめていた。
「封印(ふういん)の魔則(まそく)か…」
 それは争いの約束。
 ジョルディーがあきらめをその顔ににじませながらつぶやく。エルフィールは微動(びどう)だにしない。
「さあ、まだ時間がある…死になさいさあ」
 光りの柱が何本も空に立ち上がる。ジョルディーとエルフィール、ふたりはそれぞれにげていた。
 やがて光りが終息していく。
 ふたりの前にメニティがたおれていた。氷りついて。
「メニティ…」
 エルフィールがつぶやいた。


 ふたりは赤いさそりの上でよりそっている。
   エルフィールがジョルディーの肩にもたれかかる。寝てはいなかった。しかしエルフィールの意識は闇の中をさまよった。
   闇の風がふきぬける。光りがある。どこまでも。いつまでも。
ーーーどこまできたのだろう
ーーーあんたがいるから世(よ)の中(なか)よくなってるわよ
ーーーどうして先(さき)に
「よくやったな」  だれかが言った「それはわたしだった」。
−−−螺旋枠(らせんわく)はじぶんのなかにある
−−−螺旋(らせん)のなかでまよってもおもいだして
−−−螺旋番(らせんばん)はあなたの号(ごう)だからあるきまわりのぼりながらじぶんになる時(とき)に螺旋龍(らせんりゅう)
 未来が来た。闇の中を。ひとり待つ者もなく。









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