上陸とめまい

 やっとの思いで着いた舳倉島。
 陸に着いても、まだ回復にはほど遠い状態である。日陰を探して、そこに座り込む私。どこかへ吐きに行ってしまったノブ。


 しばらく休んだ後、仕方なくもう一度港へ引き返す。
 港にいた人に舳倉島のパンフレットを見せてもらうと、島には「つき」と「つかさ」という2件の民宿があるらしい。その内の1件「つき」というところまで、何とか歩いていく。

 ちなみに、この島の周囲は4kmしかない。車は1台もない(写真のトラックはノブが見つけた唯一の車。でも、ナンバーもないし、ずっと走った形跡もなかったということだ)。島の人々にとっては自転車(しかも、昔懐かしの3輪のママチャリ)が唯一の交通手段である。

 炎天下の中、しょぼしょぼと歩く私たち。
 看板らしきものは見あたらなかったけど、人がたくさん集まっている所があったので、中に入って聞いてみた。…どうやら、そこが「つき」らしい。

 「スミマセン…。ちょっと休ませていただけないでしょうか…」
 「あー。ちょっとどこも空いてないんだよねぇ。」

 …当然である。舳倉島は、夏がベストシーズン、というか、夏しか人口がいない様な島である。
 と、いうのも、この島は海女さんの島なのだ。夏にアワビ・サザエ漁が解禁になると、海女さん一家が島にやってきて、あちこちで潜る姿を見ることが出来るらしい。

 「能登産のアワビ・サザエ」と、言われているものは、その殆どが舳倉島の海女さんによって採られたものである。

 とにかくそんなわけで、稼ぎ時の、しかも日曜日に部屋なんて空いているわけもない。
 しかし、ただごとならぬ顔色をしていたせいか(「顔色が白い」と、帰る間際にも言われた)、民宿の方々の自宅で少し休ませていただけることとなった。…ありがたい(涙)。


 しばらく寝た後に、ノブは回復したらしく、島の探検に出掛けて行った。

 私は起きあがることも出来ずに、帰りの船の出航時刻のぎりぎりまで休ませていただいた。
 この場を借りて「どうもありがとうございました。」

 と、いうわけで、次号はノブの「舳倉島 探検記」です。

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☆ 第1〜4編地図
1 輪島到着    2 輪島の朝市   3 舳倉島へ
4 上陸とめまい  5 舳倉島探検記  6 七ツ島
7 うるしの宿   
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