舳倉島へ

 …おい、何だよ。あたしはお腹減ってるんだぞ(怒)。

 ノブのやつ「明日台風来そうだから、今日中に舳倉(へぐら)島に行く」って言い出して(こうなると、もう誰にも止められない)、今買った一切合切と、水着を持って船乗り場へ向かうじゃありませんか。

 「一体、いつ(船が)出航するのよぉぉっ!」…気温はすでに30度を超えている。暑さのあまり、八つ当たり気味の私。
 「30分後!」と、ノブ。…そうか。道理であわてて身支度していると思った。仕方ないから、一緒に行く準備。

 9:00発の舳倉島行きに乗りたいらしい。…ちなみに、それに乗り遅れると、1日1往復しか出ていないので、明日まで待たされることになってしまうのだ。


 船乗り場に行き、切符(厚紙で作られた、昔ながらの電車の切符のようなもの)を買い、乗船名簿を書く。そこまで終わってから、私だけ赤飯おにぎりを食べ、酔い止めの薬を流し込む。

 船着き場は、漁港の中にあり、漁船に埋もれるようにして「ニュー へぐら」号は海に浮いていた。
 …結構小さい船だ(でも、定員は110名)。なんだか、上手く言えないけどイヤな予感…。

 後になって思えば、船の先っちょが、戦艦大和みたいに(バルバスバウとはちょっと違うけど)何だかヤル気じゃありませんか!何、このでっぱりは!


 …予感的中!船は、港を出た瞬間から、ただごとではなく揺れ始めた。

 わたくし「船が飛ぶ」と、いう状態を生まれて初めて体験いたしました…。

 もぉ、とにかくすごい。浅草の花屋敷のジェットコースターのオチる部分だけが、延々と1時間半も続いた。…ジェットコースターはね、いいよ。下にレールがあるからさ。


 でもね、「船が、空を飛ぶんだよ!?」着水の瞬間に、ドカっと、いうただごとならぬ音。
 遊園地のバイキングのごとく横揺れもするし(どうして、横の窓から海しか見えなかったり、はたまた空しか見えなかったりなんていうことがあるんだ?!)、そうこうするうちに乗客のうちの半数近くが吐き始めるし(汚くて申し訳ないけど、これ、事実)、客室はパニック状態。

 しかし、船長からは何のアナウンスもないし(これが一番怖かった)、船乗り場のおっさんは笑顔で「毎日運行してますよ!」って言ってたし、「スミマセン。私は日本海をナめてました…」って、反省しつつ、とにかく耐えに耐えた1時間半だった。

 陸が、これほど愛しいものとは(感涙)…。

 舳倉島に着いたとき、私は顔面の血の気が引き、ノブは胃が空っぽになるまで吐いた後だった。
 グロッキー過ぎ…。

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☆ 第1〜4編地図
1 輪島到着    2 輪島の朝市   3 舳倉島へ
4 上陸とめまい  5 舳倉島探検記  6 七ツ島
7 うるしの宿   
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