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元仲田邸くらやしき
Kurayashiki
34 49 51.52,133 29 31.61

 散歩していった神社からの一枚。白い壁と赤瓦の結構大きな建物です

 岡山市からちょっと離れ、備中松山城を訪ねることにするとともに、そこから吹屋という集落まで行ってみよう、といったプランで考えてみました。そこでその近くにいい宿はないかとあちこち探していて、引っかかってきたのがこの「元仲田邸くらやしき」です。吹屋集落には「ラフォーレ吹屋」という由緒ある吹屋小学校を模して建築したという宿があるのですが、実に中途半端な建物の気がして、こちらを選択しました。

 成り立ちはいろいろある感じです。旧庄屋である仲田邸を宿として整備し、運営している、というのが最も簡単な言い方でしょう。もう少しちゃんと言うと高梁市が農村型リゾート事業「備中宇治彩りの山里」というのを行っていて、その中核施設として整備したそうです。仲田邸自体は明治22年の建築で、持ち主から市に敷地建物全体を寄贈されたのを受け、母屋、長屋門、土蔵は修復して研修施設等として利用、酒蔵は形状を模して建て替え宿泊施設とした、というのが正しい内容です。事業費は全体で1億5千万とか。多分いろいろ補助金が入っているんでしょうね。
 
 ということで、形態としてはラフォーレ吹屋とそう変わらないものというのが事実のようです。でも違うのは敷地内の他の建物はきちんと修復されており、明治の雰囲気をしっかり継承しており、その中にある宿泊棟も、その雰囲気を壊すこと無く建てられている所が許せるとことです。旧酒蔵の部材もきちんと再活用しているようですし。
 
 実際訪れてみると、先ず長屋門をくぐり母屋で上がり渡り廊下を渡ると宿泊棟に行き着く、というアプローチはなかなか見事なものがありました。そうかこれが庄屋の家だなという実感が湧きます。
 
 惜しいのは宿泊棟の部屋の造りでしょう。中央には立派な吹き抜けがあるのだけれど、各部屋は洋室と和室が並んでいるだけという凡庸なもの。市が所有し管理運営(管理運営委員会を組織しているような)するのだから高級路線は取れない。部屋は普通、バストイレは別に確保する、という方針のもと結果一昔前の公共施設型の宿になってしまいました。

 また予約は電話での申し込みと、今時な珍しい方法での予約です。ここいらももっと気を利かしてくれないといけません。 

 で、当日の宿泊は他にキャンセルが出て、結局我々だけしかお客がいなくなったため、一棟丸ごと貸し切りという贅沢なのか寂しいのか分からない結果となりました。前の週は結構一杯だったのに、結構波があるのでしょう。
 
 といろいろ書きましたが、わざわざここまで来た甲斐はありました。近所のおばさんが作ってくれるおいしい食事。のんびりとした集落のたたずまい。特に何があるという訳ではないけれど、都会の喧噪を離れたという実感をじっくりと味わうことができた宿でした。 

宿泊棟の吹き抜け部分。確かに古い部材を使っているのが見えます。
食事を取る所に掲げてあった新旧の庄屋の写真。暗かったのでぶれてしまいましたが、修復の内容がよく分かります。一番左が酒蔵で、上の旧の写真では屋根がうねっていいるのが、下の写真では再建築により立派になっています。
洋室の内部。上の記述で凡庸と表現しましたが、まあそんな所でしょう。 部屋の窓から母屋を見ています。その大きさといい、見事な瓦といい、修復して実によかったと思わせるたたずまいです。部屋の中とは大違い。
こちらは母屋の内部。天井の梁といい、全体の暗さといい、さすが歴史を感じさせます。小値賀島ではこんな雰囲気でしたね。
夜の長屋門からのアプローチ。この先に何があるのだろうという惑々感がいい。