Benchmark DAC3
DAコンバータ

CDでもハイレゾやアナログ並の精密な音像定位が可能
80年代の高レベルCDを正しく再生可能な唯一の高ヘッドルームDAC

Foober2000を使うための設定を追記(2022年3月15日)

2022年1月4日 ハイレゾをDAC3 Bに接続するように変更後も
uDSDを使う理由を追記


上:DAC3 B 下:ADコンバータ ADC1

Benchmark Media Systems


デジタル出力ができないSACDもDEQ2496にデジタル入力するため、
CDプレーヤ DP-720 は、以下のような接続になっていました。

アナログ出力をADコンバータ Benchmark ADC-1 で96kHzのPCMに変換。
SACDをDEQ2496に入れる苦肉の策でしたが、結果、非常に良い音です。




その後、CDでも44.1kHzPCM出力を使うより、SACD同様、アナログ出力をADC-1で96kHzにする方が、ずっと音が良い(定位が良い)とわかりました。

これに気が付いたのは2021年夏頃。そうと分かれば、DP-750にしたらもっと良いのかも。しかし、2021年にDP-1000 /DC-1000が発売され、DP-750も2年以内には更新されそう。今からDP-750にしたものか・・・。

そんな瞑想にふけるうち、DACチップにES9028かES9038を使ったDAコンバータを買って、DP-750の次世代機を待つのはどうか、という妄想に到達しました。

DACの選択

 いろいろと考えた末、
ES9028を搭載するBenchmark Media Systems DAC3 B
にしました。

 
DAC3 B は、多機能なのに、私が必要とする機能のみで、操作もシンプル。

3段切替出力レベル、2つの光入力(私には意外と重要)、2つのCOAX入力、それらのダイレクト選択、デジタルパススルー出力可能、別売ながらリモコンあり。一方、デジタルフィルターの選択機能はなく、「一番高精度のフィルターを選びました」と、アキュフェーズと同じ発想。電気特性を科学的に追求する姿勢も、その計測データを全部公開する姿勢も、技術者として共感できました。
しかも、ADC-1の実績で、Benchmarkは、外装も含めて非常に品質が良いのも確認済み。
その他、44.1kHz・48kHzのどちらの整数倍でもない211kHzオーバーサンプリング、超低ジッター(UltraLock3)、後述の高ヘッドルームDSPなど、技術的に納得する仕掛けもいろいろです。ビット数実測表示、データエラー(補間発生)警告表示などもマニアックで面白いし、役に立ちそう。


弱点は、なかなか試聴できないこと。日本のオーディオ誌にも、ほぼ登場しない。

しかし、26.4万円と、非常にリーズナブルなお値段
(いや、一般常識ではタケーよ)
海外では超高評価なので、とりあえず、試聴もせずに買ってみることに。
→ ADC-1もそれで成功したのですから。


しかも、ADC-1とお揃いのデザインなので、こんなうまい置き方ができる。

DAC3 の接続方法

以下2つが考えられます。
@ 2台目のDACとしてエソテリックD-02xと使い分ける。
A DAC3のアナログ出力をADC-1経由で96kHzPCMに変換する。
      DAC3+ADC-1を、高品位アップサンプラーと見なす事になります。

常識的には@ですが、DP-720との差を聴くためにAからはじめました。
そして、その音(この後説明)に驚愕。ES9018から9028への進化は大きい。

その後で、@も試しました。以下はそのテスト中。

確かに、ストレートな音にはなる。しかし味気ない。私には、どうしてもAの方が良い。
D-02xのデジタル・マジックを通るからだと思います。いわゆる「すごい音」になる。迷わず、非常識なAの方に決定です。



アースループを作らぬようにCOAXとTOS(光)の変換も使って、
@ 44.1kHzPCMダイレクト(DAC3のDigital pass throughを使用)
A
DP-720のアナログ出力をADC1で96kHzPCMに
B
DAC3のアナログ出力をADC1で96kHzPCMに

を聴き比べられる配線にしました。

その音は
 
まず、AとBの比較。音色としての変化は意外にない。DP-720に極めて近い音色。ただし、音の定位が全く違う。DAC3にすると、中央に定位するバイオリンの音像が、すっと小さく収束。バレーボールがテニスボールくらいに。

 これは聴いたこともない収束ではありません。アナログディスクやハイレゾで、常に到達していた定位です。しかし、それがどうしてもCDでは出来なかった。
 これは高音部の位相特性が、44.1kHzでは非常に悪いため。ただし、それは技術進歩で改善していくことは分かっている。そして、DAC3で、ほぼアナログディスクに追いついた。ハイレゾにはもうちょっとかもしれないが、もはや、ほとんど気にならない。

 次に、@とBの比較。@は、これまで通りのCDの音。クラッシック曲で聴くと、楽器の定位がバスケットボールくらいに大きい。クラシックのCDでは@Aが、Bに勝るケースはないと判定しました。ただし、オンマイク・ボーカルのポップスだと、@の方が自然で快適なことがあります。

 DAC3を使う
Bだと、初期のデジタル録音のCDも、気持ちよく聴けます。今後は、CDでしか出ていない曲も、躊躇なく買えます。


内部の設定
 DAC3は、内部の基板上で、二つの設定ができます。
@ 出力レベルアッテネータ設定: 0dB、-10dB、-20dB
A Digital Pass ThroughのOn/Off: COAX入力4が、デジタル出力に変わる。
「基盤を触る時には、静電気防止のためアース付の腕カバーをせよ」との注意書きも。いや、普通は持ってないでしょ。蓋は自分で開けるな、というコンシュマーモデルと、プロ用機の差ですね。

これが内部の様子。アキュフェーズやマッキントッシュ並の美しい基盤と配線です。
外装には金がかかっていても、蓋を開けると、あれ?っていうのも多い中、これは
なかなかの仕上がり。EAR Phonoboxが手作業の名人芸なら、こちらは設計の
プロの仕事。ボリウムとヘッドホン端子を備えた
DAC3-HCG と、それらを省いた
DAC3 B の基盤は共通ですが、使っていない基盤部を放置せず、ハンダで丁寧
に埋めているこだわりは、性能上での意味はないかもしれませんが、丁寧さが伝
わります。


@ 出力レベルアッテネータ設定
 XLRアナログ出力部のジャンパープラグ4個で-10dBに設定します。

DAC3の出荷状態は、プロ用機の24dBu(=12.3V)なので、これは大きすぎる。
DP-720の出力は約10dBu(=2.5V)なので、それに近づけるため、DAC3の
アッテネータを「-10dB」に設定し、出力を14dBu(=3.9V)にします。
DAC3の方が4dBほど音が大きくなり、そのままではDEQ2496のデジタル入力
が0dbをオーバーしかねませんので、DAC3にあわせ、ADC-1のトリマを調整し
ゲインを4dB落としました。
DAC3とDP-720の相対音量は、DEQ2496の出力レベル設定で合わせます。


A Digital Pass ThroughのOn/Off
同様のジャンパー設定でDigital Pass ThroughをOnとします。そのデジタル出力は、COAX-TOS変換器を経て、DEQ2496のTOS入力に繋ぎ、CDを44.1kHzのPCMダイレクトで聴くときと、ハイレゾを聴く場合に使います



配線図をもう一度掲載。



リモート制御リレーの自作
 DAC3は、他の機器の電源On/Offを制御するためのDC12V出力があるので、ADC-1のOn/Offを連動させるためのリレーボックスを自作しました。

たまたまリレーも、妙にちょうどよいものが工作箱に落ちていたので、
作成費用ゼロ円。何のために買ったリレーだったか忘れましたが、
12Vなので車の改造用だったかも。

ハイヘッドルームDSPの効果

 
DAC3は、世界で唯一、High Head Room DSPが搭載されています。
その詳細な説明は、BenchmarkのHPの説明をご覧ください。

簡単に説明すると:
DACは、44.1kHzのサンプル点をすべて通る
連続波形を計算します。その精度は、デジタルフィルターの規模で決まり、最新の方がどんどん精度が上がる。
 
連続波形は、サンプリング点の中間でピークになることもありうる。故に、サンプリング点が、もし最大レベルの0dBだった場合、連続波形のピークは0dBを越えうる。原理的に最大で+3.01dBになる。

 私が知らなかったことは、
0dBを越えた部分は、最新のDACでも正しく再生できず、飽和したまま出力されている、という点。

 調査したすべてのDACチップはこの現象の対策がなかった、Benchmarkは言っています。

 1980年代の初期のCDプレーヤーのDACは、サンプリング点をつないだギザギザ波形を、ローパスフィルターで滑らかにしていただけなので、サンプリング間に0dBを越えるピークなど出なかった。しかし、その後のDACは、デジタルフィルターを使うので、0dB越えのピークは発生しうる。・・・が、ずっと放置されてきた・・・・・。

 Benchmarkは、この飽和問題を回避するため、ES9028に入力する前に、デジタルデータを32ビットに拡張した上で、-3.5dBだけレベルを下げるデジタル演算をDSPで行っている。これが、+3.5dBの、ハイヘッドルームDSP。

 CDを作る側でも、この問題は認識していたのか、私が持っているクラシックのCDでは、1990年代以後にでたCDは、1980年代のCDより大抵はレベルが低いです(アンプボリウムをあげることになる)。故に、クラシック曲なら再生で飽和することもめったになさそう。


 1980年代に買った、声楽曲のいくつかで、ソプラノが声を張り上げた時、ピリピリ音がするCDを数枚持っています。
 私は、最初、部屋の共振だと思っていましたが、その後、どこの試聴室で聴いても同じなので、「マスタリング失敗で、飽和してんじゃないか」と思っていました。

 そのピリピリが、DAC3を通すと、消える。

正確には、ほぼ消えるというべきですが、しかし、確かに減ります。これって、0dbオーバーの波形が出ていたってことでしょう。ここまでくるのに30年もかかったのはなぜなのだろう。1980年代のCDは見捨てられてたのかな。



Benchmark DAC3 B は、こんなに小さいけれど、私のシステムの中で、画期的にCDの音を改善した超重要器材となりました。

DP-750の後継機を待つために買ったDAC3でしたが、ひょっとすると、待つべきは、DAC3の後継機なのではないか、と真剣に思っています。
Benchmark Media Systemsの新しい輸入元、Emilai が作った日本語説明書は、印刷はレーザープリンターっぽいですが、誤訳もなく、内容は非常によくできています。よいディーラーだと思いました。



2021年12月追記
ハイレゾ接続をDAC3 B経由に変更

 DAC3 Bには、デジタル入力切替とデジタルパススルー出力があるので、ハイレゾファイル再生に使っているDDコンバータ uDSD の接続方法を、DAC3 B経由に変更しました。

以下にシステム全体回路図を示します。



ピンク部分がuDSD関連です。 uDSDのCOAX(RCA)デジタル出力は、Benchmark DAC3 B のCOAX入力3に繋ぎました。

uDSDを使う理由: DAC3にはUSB接続もあるのですから、それにPCを繋ぐことも試しました。しかし、他の大多数のUSB-DACと同じで、ドライバーで96kHzを選択すると、どのファイルもデフォルトで96kHzにアップ or ダウンサンプリングするタイプでした。オリジナルファイルを一切いじらず、ビットパーフェクトで送り出すuDSDがやはり貴重です。音も、少なからず変わってしまうので、今回も、uDSDを採用し、あえてS/PDIFでDAC3に繋いでいます。


ハイレゾは、デジタルパススルー出力端子 → DEQ2496。
44.1kHzCD同等は、DAC3 B+ADC-1で96kHzに変換 → DEQ2496。

DA-3000配線の変更: デジタルレコーダDA-3000の出力は、これまでは下の左図(黄色部)のようにSRC2496に入れてあり、DA-3000の入出力線間に、やむを得ないアースループが存在しました。しかし、上記変更に伴い、uDSDに繋がっていたDEQ2496の光デジタル入力が空きましたので、下の右図のように、COAX出力をTOSに変換してDEQ2496に直接入れることで、このアースループを解消しました。
 → 
 これまでも入出力の線を捩じり合わせていたので、アナログのL-R間にある小さなループと同様で、実際には気にする意味はなかったのですが、可能なので完全解消のほうが気分が良いかと思いました。




Foober2000を使うための設定
 DAC3のUSB入力を使う場合、Windows10以後ではドライバーのインストールは不要なのですが、なにも操作もせずにUSBケーブルをPCと繋いだだけで動くわけではありませんでした。以下に、私の場合に必要だった操作を記載しておきます。

1)Foober2000の操作
 @Foober2000のトップのメニューから「Libraly」をクリック。
 A左のメニューから「Output」をクリック。
 B開いたページの一番上の「Device」の選択欄のプルダウンメニューから、
   「DAC
2」の文字がある名前を選択(DAC3じゃないのに注意)。
 C左下の「Apply」をクリック。
 Dその右の「OK」をクリック。
 以上で、Foober2000での再生は可能になります。

再生されたデータのサンプリング周波数は、いくつになっているか、
DAC3の表示で確認しましょう。96kHzのハイレゾのはずなのに48kHzとかになっていませんか? 以下の操作で、使いたいサンプリング周波数を選択しておかなければなりません。音が出ないという事態を防ぐため、古いDACでも対応する48kHzがあらかじめ選ばれている可能性があります。

2)Windows10の設定

 @Windows10の画面左下にマウスを動かした時に出る「
」みたいなマークをクリック。
 A左側の
ギアみたいなマークをクリック(設定に入る)。
 B
システムをクリック。
 C
サウンドをクリック。
 Dトップ欄では DAC
2 の文字が含まれるデバイス名が選ばれているのを確認して、
   その下にある
デバイスのプロパティをクリック。
 E開いたページの下の方にある
追加のデバイスのプロパティをクリック
 F上に並ぶタブから
詳細をクリック。
 Gサンプリング周波数の選択肢がでるので、使いたい周波数を選択。

 どんなファイルを再生するときも、上記で選んだサンプリング周波数に
変換されて再生されます。例えば、96kHzを選んでおいたとすると、44kHzのCDからのリッピングファイルも96kHzに(勝手に)アップサンプリングされますし、192kHzのハイレゾも96kHzに(勝手に)ダウンサンプリングされます。再サンプリングしない、という選択肢はない。それでハッピーな場合には問題なし。

 私は、CDのリッピングファイルは44kHzで、96kHzのハイレゾは96kHzで再生したかったので、DAC3のUSB入力の利用をあきらめ、勝手に再サンプリングしない 
uDSD を使ってS/PDIFに変換してDAC3に入力しています。96kHzハイレゾの音は、uDSDからS/PDIFで入力した音と、DAC3にUSB入力した音とで、区別がつきませんが、44kHzのリッピングファイルの音は、USBからDAC3に入れると、勝手に96kHzになるので、明らかに音が変わります。悪くなるとは言えませんが、そこで勝手に変わるのが気持ちが悪い。

     2021年11月19日
     2021年12月23日改定
     2022年3月15日追記

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