Accuphase DP-720
SACDプレーヤ

2021年11月28日 Benchmark DAC3 B を導入


アキュフェーズ DP-720 SACDプレーヤ
 エソテリックD-02xに引き続き、試聴結果に沿って、アキュフェーズDP-720を導入しました(2016年)。 
 P-02xではない理由: DEQ2496を入れるためにSACDをPCM化する必要があり、そのためのADコンバータADC-1を入れるにはSACDのアナログ出力が必須で、P-02xは選択肢にできませんでした。
 また、DP-720は、すべてが正しい方向の設計。そして当然、正当派の音。これこそがリファレンスと感じました。それが選択した理由です。


 DP-720の接続は以下のようになっています(2021/11更新)。システム全体の回路はこちら




1. SACDの場合
DP-720(アナログバランス出力) 
  → ADコンバータADC-1(AES/EBU, 96kHz)
      → デジタルイコライザDEQ2496 (AES/EBU, 96kHz)
             → DAコンバータD-02x 

の組み合わせて出てきたSACDの音は、独特の音色をもっていて、ピアノもバイオリンも美しく演出され、期待していた通りの美音でした。 さすがはMDSD方式。

 DEQ2496を入れるための苦肉の作であった非常識な組み合わせ、こんなことをやってみた人は一人もいないと思いますが、実際にやってみると、両方の特長が、予想通りの相乗効果を発揮します。美しい高域はDP-720、圧倒的なS/N感はD-02x。



2. CDの場合
 CDの再生では、DEQ2496への3種類の方法による接続が選択可能にしてあります。

@  デジタル出力で繋ぐ(44.1kHz)
 常識通り、DP-720のデジタル出力をDEQ2496に入力。DP-720のデジタル出力はRCA端子しかなく、一方のDEQ2496はAES/EBU(XLR)とTOS(光)端子しかないため、RCA から TOS への変換器を使って、TOSで繋ぎました。


A DP-720のアナログ出力をADC-1経由で繋ぐ(96kHz)
 もうひとつの方法は、SACDと同様、DP-720のアナログ(バランス)出力を、ADコンバータADC-1に入れ、96kHzで再サンプリングします。そんな無駄な、と思うかもしれませんが、やってみると、デジタル直接入力と音の優劣は付けられぬほど、優れています。最初は、接続設定をSACDのままで「間違って」CDを再生して、音が良いのに驚いた、というのが発見の経緯。

B Benchmark DAC3のアナログ出力をADC-1経由で繋ぐ(96kHz)
 上記に味を占め、最新のES-9028チップを使ったDAC Benchmark DAC3 B をCD再生専用に導入。そのアナログバランス出力を、ADC-1に入れ、96kHzで再サンプリングして再生。
 これは驚きの音です。さらにピンポイント定位が実現します。


音の違い
@デジタル入力では、DP-720はCDドライブとして使うので、多少の影響はあるでしょうが、ほぼ、エソテリックの音で聴くことができます。きれいな響きが伴う、最高レベルのCDの音・・・ではありますが、やはり、すぐにCDとわかる音でもあります。以下の通り、クラシックにはほぼ向きませんが、オンマイク・ボーカルのポップスだと、@が自然で快適なことがあります。

AADC-1経由の音は、アキュファーズの音が優先し、そこにD-02xの超高S/N感が加わるイメージ。響きが少し整理され、その分、定位がシャープで、聴こえる音数も増えます。アキュフェーズの音+アルファです。こちらは、バイオリン・ソナタとかバイオリン協奏曲で、ダントツに快適。オーケストラ曲も、各楽器の位置がはっきりとわかり、音の良いホールの少し前に座って聴いているイメージ。ハイレゾに準ずる美音と定位感を示します。実際にハイレゾファイルとCDと両方持っている曲で聴くと、ハイレゾに近いのは、明らかにこちらです。なお、ADC-1以外の方法で、いろいろな方法でアップサンプリングしても、この音は得られませんでした。

BさらにDAC3経由では、音色そのものはDP-720に近いのですが、DP-720のアナログ出力を使うよりさらに定位が収束し、もはやCDの弱点はほぼ感じられません。ハイレゾやアナログで聴けるあの定位感。そこにD-02xのデジタルマジックが加わるので、クラシックのCDは、B以外で聴くことはなくなりました。詳細は Benchmark DAC3 B のページをご覧ください。
 SACDをデジタル入力するための異例の組み合わせが、想定外のメリットをもたらしました。
 


3. USB入力の場合
 SA-11S3のUSB入力はWINDOWS-7までしか対応していなかったので、DP-720導入前には、DDコンバータとしてNuprime uDSDを使っていました。

 DP-720のUSBドライバーは、WINDOWS-8.1以上にも対応しますので、早速PCをつないで見ました。難なくつながり、Foober2000の設定も簡単。
uDSDはもういらないかと思ったのですが、ここで想定外の事が判明!
 
試聴テストの結果、私のシステムでは、DP-720のUSB入力を使うより、uDSDでDD変換して、DEQ2496のデジタル入力に送り込む方が、音が良いと判定しました。

 uDSDのDDコンバータ部、なかなか優秀
(DAC部は使っていません)。uDSDは小さいですが、実は、縁の下の力持ちです。


4. CDドライブとしての比較
 @DP-720、Aマランツ SA-11S3、BOracle CD-Drive の各デジタル出力(44.1kHz)、それと、CPC + Nuprime uDSD(アップサンプリングなし)のDDコンバータ経由でCDのビットパーフェクト・リッピングファイルをデジタル出力(44.1kHz)
 これらをDEQ2496に直接入力した時、その差はどうかというと、以下の通り。

 DP-720、Oracle CD-Drive、uDSDは非常に似ています。 とりわけOracle CD-DriveとuDSDは、ほぼ同じです。DP-720は、それらより少しだけ鮮明感を増します。ほんの少しですが、これは確実に違う。
 SA-11S3のドライブ出力を使うと、音が、SA-11S3の音に演出されるようです。これは結構違います。
 なお、途中にアップサンプリングを挟んでしまうと、まったく変わってしまいます。それがよいかどうかは好み次第。ADC-1を使うのも、一種のアップサンプリングです。



5. DP-720の設置(自作インシュレータ)
 SA-11S3の時と同様、私が開発しました「ガラスプレート+超低反発半球形ゴム20個」にて、振動を遮断します。半球形ゴムを大量に使うのは、一個当たりの負荷を減らし、半球形をあまりつぶさずに使うのが最低共振周波数を下げるポイントだからです。

  

 ちなみに、カタログによると、DP-720 の内部でも、ドライブは低反発ゴムで浮かされています。さらに全重量を負荷としてDP-720 全体を浮かすことで、振動に対しては万全と思います。

 このような柔軟なばねやゴムによる支持方法は、重心から等距離の点で支えないと(わずかですが)傾くことになります。私は、もちろん重心を測定して支持点を決めています。SA-11S3では、かなり重心が左に寄っていたので、インシュレータの配置を左寄せにしてバランスを取っていました。しかし、DP-720は筐体の4つ足の真ん中に重心があり、さすがはアキュフェーズの設計と感心しました。筐体が3つ足でない点も好ましいと思います。



6. 現状のダイヤグラム
 最終的に私がたどり着いた機器のダイヤグラムを以下に示しておきます。かなり知恵を絞りました。
 こんなに複雑でも、TOSリンクを上手く使って、一か所もアースループができていない点にもご注目ください。



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