これまでの話題(2000年4月後半)

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2000年4月29日(土)〜30日(日)

「今日の言葉(5):管理とは計画し、組織し・・・ 」

今日の言葉を、現代のマネジメント理論に影響を与えた巨人の言葉の中から選ぶとすれば、アンリ・ファヨールを忘れることはできません。『産業ならびに一般の管理(General and Industrial Management)』(1949年)は、ファヨールが1908年にフランスの鉱業学会で発表したペーパーに基づいています。その中の次の言葉は、20世紀のマネジメントの基礎となったものです。

「管理するとは、計画し、組織し、命令し、統制することである」

ファヨールはビジネス上の活動を、技術、商業(販売)、財務、保全、会計、管理の6つに分けて、最後の管理(マネジメント)は他の5つとは明確に区別すべきとして、上述した言葉で表したのです。よく知られたPDCAの原点はここにあるのです。

ファヨールの最大の功績は、マネジメントのプロセスを体系化した点にあると思います。更に、彼はこうした管理を行うマネジャーの役割を重視した点も特筆すべきです。同時代に生きたテーラー(『科学的管理法』の著者)が、単にマネジャーを監督者として見ていた点と比べると大違いです。

ファヨールの言葉は、個人の能力が重視され、現場の自発的な活動の重要性が高まる現代において、やや時代遅れの感は否めません。しかし、いかに創発(Emergent)が大事だといっても、マネジメントが不必要になったわけではありません。確かに、命令し、コントロールするやり方は変わっていますが、計画から統制までのマネジメント・サイクルは不滅です。

皆さんもこの連休中にこれからのマネジメント・サイクルのあり方を考えてみませんか?そして、21世紀のファヨールを目指しませんか?



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(4):新たな道徳基準の創造」でした。



2000年4月28日(金)

「今日の言葉(4):新たな道徳基準の創造」

ドラッカー、チャンドラー、アンゾフとくれば、やはりバーナードとこなくちゃいけないのだと思います。主著『経営者の役割(The Functions of the Executive)』は1938年に出版され60年以上も経過しました。経営環境は様変わりしましたが、現代でも通用する知恵があることも事実ですから。

「経営者の責務として特に大切なのは、こみいった道徳基準に自らが順応するだけでなく、組織のために新たな道徳基準を創造しなければならないということだ」

このバーナードの言葉にあるように、経営トップは企業の文化、価値観を新たな環境に向けて再生しなければいけません。今こそこの言葉をかみしめるときではないでしょうか?

なお、バーナードは、これ以外にもコミュニケーションの必要性や目的に添った具体的なアクションプラン、そして全体論的アプローチと呼ばれる組織メンバーの相互依存関係などの重要性を指摘しています。中には組織への忠誠心を重視するなど時代遅れの考え方も見うけられますが、上述したように現代でもバーナードの言葉は輝きを失っていませんね。



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(3):シナジー(相乗効果)」 でした。



2000年4月27日(木)

「今日の言葉(3):シナジー(相乗効果)」

今ビジネスの世界では、“シナジー(相乗効果)”という言葉を聞かない日はないといってもよいと思います。この言葉をはじめてマネジメント用語として導入したのはイゴール・アンゾフです。主著『企業戦略論(Corporate Strategy)』の中でシナジーと共に有名なのは、多角化マトリックスです。いずれも日常の戦略発想の基礎として多大な影響を与えています。

シナジーは、アンゾフ自らに説明によると「2+2=5」となる関係で、関連多角化が効果的だとする根拠を与えるのです。また多角化マトリクスは、新分野への進出を考える際のフレームワークとして今でも輝きを失っていません。

いずれもやや使い古された感はありますが、浮き沈みの激しいマネジメント思潮や手法が多い中で、いまだに戦略思考のベースとして生きています。ドラッカーやチャンドラーの言葉と共に、マネジメントの基本として忘れられない言葉です。



お知らせ:昨日の話題は「景気の谷は政治が決める?」でした。


2000年4月26日(水)

「景気の谷は政治が決める?」

今、日本経済は微妙な時期にあると思います。政府が期待するように、民間主導の自律的景気回復軌道に乗るかどうかは、この何ヵ月かの動向がポイントだと思います。

ところが、堺屋経企庁長官の関心は、97年4月の消費税増税からはじまった政策不況がいつ底をついたか、この時期の設定にあるようです。それも総選挙をにらんで、6月中に“景気の谷”を決めたいという意向強いというのです。

よく知られているように、景気の谷を判断するのは景気動向指数研究会です。学識経験者が集まり、通常ですと7月に発表される統計を待って判定される手順になっています。それなのに堺屋長官は、選挙前に判定したいというのです。

97年の4月に景気後退がはじまり、景気の谷は99年4月前後であろうといわれています。もしそうだとしても、1年以上たってから景気は回復局面にあったといわれてもどうもピンときませんね。企業の意思決定の観点からいうと、景気の谷がいつであろうともあまり関係ないですしね。確かにasktakaの感触では、昨年の秋以降業種によって差があるにしても受注が増加しているようだし、攻めの戦略に転換している企業も増えています。

こうした中で、政府に多くは望みませんが、少なくても景気に中立的で あってほしいということです。そして欲をいえば、asktakaの独断と偏見で次の点を実行してほしいと思います。

1.守旧派が主張する規制緩和の先延ばしを断固拒否し、規制緩和を促進させる

2.連結納税やストックオプション課税の見直しなど企業の戦略オプションを増加させる法整備をスピードアップさせる

3.農道を舗装する類の愚かなバラマキ行政を廃し、ITインフラの整備に重点投資する

4.これだけは米国の主張を素直に聞いて、ネット通信費の大幅削減を実現させる

5.行政サービスの民営化、民間へのアウトソーシングなどを促進し、行政改革を徹底させることによって小さな政府を実現させる

堺屋長官、景気の谷なんて後向きの話にこだわらないで、せめてメリハリの利いた施策の実現に注力してはいかがでしょうか?asktakaは、長官に実際の力はないにしても、弁舌爽やかに政治屋(自称政治家)どもを洗脳するぐらいのことを期待しています。えっ、逆に政治屋におだてられて悪乗りしてるですって。asktakaはそうは思いません。本当に期待していますよ



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(2):組織は戦略に従う 」でした。


2000年4月25日(火)

「今日の言葉(2):組織は戦略に従う 」

IT革命をはじめ市場のボーダレス化などによって企業環境は激変しています。こうした環境下で、asktakaはアルフレッド・チャンドラーが名著『経営戦略と組織(Strategy and Structure)』の中で述べた“組織は戦略に従う”という言葉を再認識すべきだと思います。

チャンドラーは、デュポン、ゼネラル・モーターズ、スタンダード・オイル、シアーズ・ロバックなどの戦略と組織研究によって、この言葉を導きました。つまり、市場に対応した多角化、製品群を広げるという戦略により、機能別組織から事業部別組織へ移行したと結論付けているのです。

こうしたチャンドラーの結論に対して、トム・ピーターズが反論して以来、“組織は戦略に従う”かどうかが議論の的になっていました。ピーターズは、組織構造こそ攻める市場を選択してきた、つまり、戦略は組織に従うと主張したのです。

もちろん既存組織や人を所与として企業が行動すれば、おのずと戦略の幅が限られてくると思います。しかし、チャンドラーが研究した時代以上に複雑化して多様化する市場に対応するには、戦略を機敏かつフレキシブルに変えていく必要があると思います。その際、戦略を実践するために、効果的なコミュニケーションと経営手法をとりうる組織構造を選択することは不可欠です。

今こそ、戦略に従って一層有効な組織構造を創造するときだと思いますが、皆さんはどうお考えですか?



お知らせ:昨日の話題は「90年代の米国経済の強さの秘密」でした。


2000年4月24日(月)

「90年代の米国経済の強さの秘密」

90年代の米国経済を総括すると、経済の安定性とストック・マーケットに象徴されるという記事がBW(4月24日付)に出ていました。米国のセントルイス連邦銀行の二人のエコノミストの分析結果を紹介したものです。今日はこの記事についてお話しましょう。

下表から明らかなように、90年代が他の年代に比べて突出しているのは、S&P 500の増加率と物価上昇率の低さです。好況が続いていたとはいえ、90年代の10年間の実質GDP成長率は3.1%で、70年代、80年代とほぼ同じです。生産性も80年代に比べて増加率は高いのですがその前の年代に比べるとやや低いのです。雇用の増加率にしても90年代は1.3%で以前に比べると伸びは鈍化していますし、失業率は70年代、80年代に比べると低いのですが60年代の4.8%には及びません。


<米国経済の実績の推移>
年平均増加率 60年代 70年代 80年代 90年代
実質GDP(%) 4.4 3.3 3.1 3.1
生産性(%) 2.9 2.0 1.4 1.9
雇用(%) 1.9 2.4 1.7 1.3
S&P 500(%) 6.6 -0.5 12.9 15.9

平均水準 60年代 70年代 80年代 90年代
物価上昇率(%) 2.3 7.1 5.6 3.0
失業率(%) 4.8 6.2 7.3 5.8


こうしたデータを見ると、asktakaはむしろ先進諸国が成熟化する中で、米国経済が90年代に以前の20年間と同様な成長率を達成したことを素直に評価するしかないと思います。日本経済の“失われた10年”に比べると大違いですからね。

BW誌のジーン・コレッツ氏は、記事の最後を次のように締めくくっているのが印象的です。

"In sum, while the economy's stability, the buoyant stock market, and present surge in growth are all positive omens, the mixed record of the 1990s sugggests that the New Economy is still very much a work in progress"

ところで、日本経済がいわゆるニューエコノミーの恩恵を受けるのはいつの日か。米国経済の強さは、IT革命の先導役としてのパワーと二つの“革新”にあると思います。つまり、ビジネス・システムを変革する“経営革新”、そして新たなビジネスモデルを創造する“事業革新”です。こうした革新なしには、日本の再生はありえないと思うのは、asktakaだけでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「ネット時代の金融再編」でした。


2000年4月22日(土)〜23日(日)

「ネット時代の金融再編」

日本の都市銀行も4つのグループに集約されて、金融再編も形が見えてきました。しかし、一方では異業種の事業会社の参入の動きが活発です。

これまでに銀行業への参入を表明した主な企業は、イトーヨーカ堂、ソニー、伊藤忠商事、トヨタ自動車などです。いずれもインターネット・ビジネスをにらんだ点が共通しています。

ソニーとトヨタは総合的な金融サービスの提供を狙っています。だが、イトーヨーカ堂は店舗網を活用した決済サービスの提供に専念し、伊藤忠は小口決済市場、つまりマイクロペイメントに注力するとのことです。

こうした異業種からの参入の狙いをみてみると、銀行があまり消費者のニーズに対応していなかった分野であるように思えます。そのため競争慣れした事業会社の参入は、日本の銀行全体のサービス向上に寄与し、その結果確かに消費者にとってメリットとなります。このように書くと、マスコミや政治家のように、やみくもに消費者の名を借りて立論するタイプの話だと思われるかもしれません。

しかしながら、重要なのは、今銀行業はグローバル・スタンダードを基準にすべきだということです。統合による規模を追うのみならず、収益性とサービスの面で外資との競争力を高めることが不可欠なのです。

ところが、既存の銀行は、統合による資産規模の拡大と自己資本比率の向上に目を奪われ、肝心の事業の改革が遅れているように思います。特に、インターネットを含む情報技術を活用したサービスの革新は不充分です。まだ規制下におけるぬるま湯感覚から抜け出ていないような気がしてなりません。

このように思っていたところ、自民党の金融問題調査会の相沢会長が異業種からの銀行参入を「時期尚早」として、銀行許認可権を持つ金融監督庁に申し入れたとの報道がありました。

この話がもし銀行側の働きかけなしで、元大蔵事務次官の相沢会長以下自民党の族議員が気を利かして申し入れたとすれば、余計なおせっかいではないでしょうか。もし銀行側が参入規制を自民党に陳情した結果だとすれば、何を考えているのかといいたいですね。

今、日本の銀行に求められるのは、ボーダレスで24時間化する競争環境にいかに適応するか、この適者生存の論理です。だとすれば、異業種参入を歓迎して、競争に勝って生き残るという発想にはならないのでしょうか?

現在は、預金保険制度の改正などにより、一部の銀行の破綻が金融システム全体に波及するリスクは少なくなりました。それにもかかわらず、いまだに改革の先延ばしを画策するようでは、いくら統合しても銀行の将来が心配です。まさか金融監督庁が老人ボケの自民党のいうことを聞くとはおもえませんから(そう期待しています)、早晩、ソニーやトヨタなどにリーテール(消費者向け)市場のかなりの部分を奪われることは必至ですね。

asktakaには日本のGE、つまり、金融ビジネスで利益を稼ぎ出す事業会社、が多数出現する可能性は高いと思うのです。この意味で統合した4グループの事業革新と異業種の事業展開の“スピード”に注目したいと思います。それが勝敗の分かれ目の一つですからね。



お知らせ:昨日の話題は「ビットバレーと玉石混交」でした。


2000年4月21日(金)

「ビットバレーと玉石混交」

日米でネット関連会社の株価が見直されています。最近の株価理論による、株価はファンダメンタルズと当該企業(あるいは業界)に対する期待感とに依存して決まるとのことですから、後者のウエートが高まることもありえます。問題は、期待感が先行して、堅実に利益をあげている優良企業の株価との差が開きすぎたことにあると思います。

米国のいわゆるB to C(個人向けEコマース)のビジネスモデルにしても、どこまで将来性があるのか不透明です。ご承知のように、現在のネット企業はほとんどが淘汰されるともいわれているくらいですから。この意味では玉石混交であることは確かで、要は“玉”の量とどこまで光るかが重要です。

米国の話はさておき、日本の場合はことはもっと深刻です。技術的な背景をもつ“玉”が少ないからです。最近の新興ネット企業の株価もこの点を現していると思います。

ところが、東京の渋谷を中心にするネットベンチャー企業が集まるビットバレーはマスコミにちやほやされています。だが、ご多聞にもれず玉石混交である点は変わりません。インターネット広告大手のバリュークリック・ジャパン社長のジョナサン・ヘンドリックセン氏が指摘している通り、“時価総額で遊んでいるガキたち”と見る向きも少なくありません(夕刊フジのウェブサイト「ZAKZAK」4月18日号より)。

また、同氏はビットバレーの若い経営者はネットで金もうけしよう、時価総額を上げようという輩ばかりだ、と嘆いているそうです。ソニーやホンダの創業者達はお金のことを考えず、本田宗一郎氏の言葉のように“強く楽しく優しい会社”といった理念があったのに、とも言っているそうです(上記の「ZAKZAK」より)。

とはいっても、ビットバレーの玉石混交連中と、日本が誇る起業家であるソニー、ホンダの創業者とを比べてみても、それは玉石氏が気の毒です。 何せ戦後のベンチャー企業として、“製造業日本”の看板を築いてきた大先輩ですからね。

ビットバレーの若きベンチャー達に期待することは、例え玉になれず石であっても、玉になれない失敗経験を生かして何度も挑戦するパワーです。 というのは、わが国でベンチャーが育たない理由の一つは、失敗した者が復活できる土壌がないからです。落伍者が白い目で見られるからです。

この意味で、ビットバレーが、多数の石を大小取り混ぜた輝きの異なる玉に変身させる実験場となり、失敗者を受け入れて成長させる場になることを願うのです。このために時価総額にこだわるならば、少し品がないと思っていても大目に見ようではありませんか。起業家としての成長のプロセスの中で、きっとマネーゲームを超えた理念を見出すことでしょう。



お知らせ:昨日の話題は「今日の言葉(1):顧客の創造」でした。


2000年4月20日(木)

「今日の言葉(1):顧客の創造」

今日は以前の公約通り(?)「今日の言葉」にしたいと思います。これから「話題」に変えて、時折「言葉」になると思いますが、よろしくご愛読のほどお願い申し上げます。

第1回の「今日の言葉」は、先ずドラッカーから始めようと思っていました。欧米の経済誌もドラッカーが経営理論のあらゆる領域で草分けであることを認めています。そして、asktakaにとって、20代のはじめの頃に読んだ『現代の経営(The Practice of Management, 1954)』の中の次の一節を忘れることができません。

「事業の目的として有効な定義はただ一つである。それは顧客を創造することである。市場は、神や自然や経済的な力によって創造されるのではない。企業人によって創造される。(中略)実際には、事業家の行為が人間の欲求を有効需要に変えたとき、始めて顧客が生まれ、市場が生まれる」

また、ドラッカーは、ビジネスの目的が顧客の創造であることから、マーケティングと革新がマネジメントの二つの本質的な機能であると述べています。米国では90年代に入って、改めてドラッカーが見直されています。日本企業のビジネスパースンにとっても、マネジメントを考える上での原点はここにあるのではないでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「コミックマーケットと投機行動(増補版) 」でした。


2000年4月18日(火)〜19日(水)

「コミックマーケットと投機行動(増補版)
(本稿はGデザイナー風間れいさんとの共同執筆です!)

若者の消費行動が分かりにくいという言葉はよく聞きます。先般この欄で話題にした“Willプロジェクト”も、団塊ジュニア世代のマーケットを探る遠大な試みだといえます。今日は“コミックマーケット”をテーマに若者の消費行動を考えてみたいと思います。

このページのお客様で“コミックマーケット”という言葉を耳にした方は どの位いらっしゃいますか?恐らく言葉は知っていても実態まではご存知の方は少ないのではないでしょうか。

そこで、簡単に説明すると、“コミックマーケット”とは“漫画・アニメ・ゲーム・芸能・スポーツ・鉄道・映画等、ジャンルに制限がなく、それぞれのファンが自費出版で印刷した同人誌を販売する場”です。この運営は基本的にボランティアの有志が行っています。

マーケットの歴史は古く、今から約20年前に第1回が開催されて以来(当時はサークル&一般参加合わせて4000人程度)、今年のお盆に有明ビックサイト(以下BS)での開催で58回目を迎えます。以前は春、夏、冬の年3回の開催でしたが、現在は年2回で、入場者数も毎回20万人を数える大イベントとなりました。BSはかなり広いコンベンションセンターですが、そのフロアー全てがラッシュアワー並みの人込みでゴッタ返すのですから、どの程度の人出かが想像できると思います。

好きな物を好きな人に見せたいために同人誌を印刷し、それを買う人がいて “コミックマーケット”は成り立っているのです。しかも出展者は1万6千サークルにものぼり、お目当ての本をゲットするために徹夜組も出るほど盛況なのです。かっては10代の参加者(出展者)が多かったのですが、最近では歴史とともに年代の幅も広がっているそうです。

筆者には“コミックマーケット”の人気の秘密は、自分だけの“宝物探し”にあるように思います。そして参加者側は個人あるいはグループの情報発信という意味で、ホームページづくりと共通するものがあると思います。

そして購入者の“宝物探し”行動は、深夜ディスカウント・ショップのドンキホーテやマツモトキヨシの人気、古着屋人気とあい通じるものがあるのではないでしょうか?

それから、最近サブカルチャー系の古本屋に、若いセドリ師(安い古本を高く転売する商売)のような人達が増えているそうです。つまり、お宝を探して高く売るという投機的行動を行っているのです。“コミックマーケット”はこうした“お宝”の売買の視点から見ると、アイボやプレステ2のネット上での投機的販売と通じるところがあって興味深いですね。

このように、没個性的な集団で堅実だといわれる日本人の行動も、深層では確かに変化していることが分かります。21世紀の消費社会は随分様変わりしますね。ネットでのオークションも当たり前となる日が近づいているような気がします。この点を肌で感じるには、次回の“コミックマーケット”に足を運ぶのが早道かもしれません。皆さんも一度ビッグサイトにいらっしゃいますか?

<以下、増補版>

18日に上述のように書いたところ、当ホームページの常連の方からゲストブックに“コミックマーケット”(通称コミケだそうです)についての書き込みをいただきました。すでにコミケのウェブサイト(こちら)があり、参加申し込みや海外向け通販などもこのサイトからできるとのことで、asktakaも覗いてみました。

常連さんのお話では、“インターネットと組み合わせた通販や、大阪や地方都市への出張販売”もはじめたようです。だが、いくら“クオリティは平均的にあまり高くなく、きわめて絞り込んだオタクの大量な集積”であるにしても、コミケの人気と増殖力の強さには注目すべきだと思います。今、サブカルチャーと呼ばれていたものから“サブ”がとれて、正当なカルチャーへと変化しつつあります。ネット社会とも関連して、次代のマーケティングを考えるヒントはこのへんにあると思いますがいかがでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「Fortune 500」でした。


2000年4月17日(月)

「Fortune 500」

先日、例年通り米国の大企業ランキング"Fortune 500"が発表されました。トップ10までの顔ぶれは順位の変動はあるものの変わりません。具体的には下記の通りです。

1位(前年1位):General Motors(売上189,058百万ドル)
2位(同3位):Wal-Mart Stores(166,809)
3位(同4位):Exxon Mobil(163,881)
4位(同2位):Ford Motor(162,558)
5位(同5位):General Electric(111,630)
6位(同6位):Intl. Business Machines(87,548)
7位(同7位):Citigroup(82,005)
8位(同10位):AT&T(62,391)
9位(同8位): Philip Morris(61,751)
10位(同9位): Boeing(57,993)

この他、50位以内で大幅に順位を上げた企業は、12位のSBC Comunications(前年35位)、14位のKroger(前年36位)、18位のEnron(前年27位)、25位のMCI Worldcom(80位)、45位のTime Warner(108位)などです。

この中で、Fortune誌はWal-MartとEnronそしてMCI Worldcomなどを取り上げています。Wal-Martについては説明の必要はないと思いますが、もうすぐGMを抜いて"Fortune 500"のトップに踊り出ることが予想されます。Enronについては、この欄でも以前に何回か話題にしていますが、天然ガス会社から今では売上の75%がエネルギー関連の新事業で占める企業です。 MCI Worldcomは全世界で従業員数7万7,000人、65カ国に300の拠点をもつ、音声・データ・インターネットソリューションを行う世界最大級の通信会社です。

この他、12位のSBC Comunicationsは世界で最大級の電話会社で、アメリカ最大のワイヤレス通信提供会社の一つでもあります。同社は子会社を通じ、サウスウェスタンベル、パシフィックベル、セルラーワン、SNETの各ブランド名で電話関連の製品とサービスを提供しています。

14位のKrogerは近隣型の小売業としては全米最大で、16の異なる食品スーパー・ブランドと5つのCVSブランド及び3つの宝石店ブランドを展開しています。asktakaは、同社の発展の原動力はPB商品の充実とM&Aにあると見ています。

このように99年の"Fortune 500"をみると、情報通信と小売業の躍進が目に付きます。この点はまさに米国経済の現状、つまりIT革新と好景気に支えられた強い消費意欲、を現していると思います。

それにしても日本の小売業は、一部の高級ブランドなどを除き元気がないですね。やはり、“失われた10年”では消費マインドも今一つなのは当然だと思います。日本経済が活力を取り戻す日はいつなのか?今年度の後半か来年度の始めというのが一般的な見通しですが、皆さんはどう思われますか?



お知らせ:昨日の話題は次「米国株はバブルか?」でした。



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