これまでの話題(2000年1月後半)

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2000年1月31日(月)

「Eコマースは“ハイパーメディエーション”が鍵」

ハーバード・ビジネス・レビューの最新号(2000年1-2月号)に「商取引の将来」と題した論文がでていました。4人の専門家がEコマースのビジョンを語っている面白い論文なのですが、今日はその中でニコラス・カー(Nicholas G. Carr、HBRのシニア・エディター)の主張を紹介したいと思います。

カーはインターネットによる取引の普及により流通段階の仲介者が壊滅するとした通説を否定しています。そして“高度な仲介(ハイパーメディエーション)”の時代になると主張しています。

消費者はバーチャルな世界でも現実の物的世界と同様に幅広い選択を望み、決して単一の製品ラインから選ぶものではないことが明らかになっています。最近、ジーンズのリーバイスが、1994年以来の洗練された注文サイトを閉めたことが、このへんの事情を如実に物語っています。

カーが将来“高度な仲介(ハイパーメディエーション)”が可能となり不可避となる、と主張する理由は二つあります。一つは、多数のクリック数が存在することにより、塵も積もれば山となる式でお金になるからです。もう一つは効率性の問題で、オンライン取引によるコストは一旦コードが設定されれば、追加的なコストはほとんどかからないということです。この点は、通常の取引とは大違いだと述べています。

では、ハイパーメディエーションは未来のオンライン・ビジネスではどのような形をとるのか?カーは2つのタイプが有望だと考えています。

先ず、規模より特化だということで、特定のコンテンツをもつサイトに注目しています。Amazon.comやYahoo、Aolなどのビッグネームは、人々がウェブの世界に慣れてくると徐々に力を失い、個々の興味に一層合ったテーラーメイドのサイトを求めるようになるからです。

二つ目はインフラを提供する企業です。例をあげれば、検索エンジンのInktomi、Google、ネット広告のDoubleClickやEngage、オンライン・マーケティングのBe FreeやLinkShare、バックボーン・プロバイダーのAkamai、Exodusなどです。カーはこの分野はしばしばスケールが重要だと指摘しています。

最後に、カーは次のように締めくくっています。「こうしたハイパーメディエーションの時代には、特化されたコンテンツを生む“熱狂”と技術的優位を固める“技術的スキル”が、優秀なMBA出を打ち負かす」「多数の有力な、目に見えるウェブ・リーテーラーが高いコストで製品を売ることに四苦八苦している一方で、名も知れない無数のビジネスが舞台の裏で静かに(積もって大金になる)小金を集めるようになる」

ところで、米調査会社Forrester Researchによると、AOLやYahooなどの広域ベース(水平型)の大手ポータル・サイトの時代は終焉を迎え、今後は特定分野に焦点を絞った無数の垂直型サイトの時代になると予測しています。そして、同社は2004年までにウェブサイトの広告料の57%が垂直型サイトや系列ネットワークに流れると予測しているのです。こうした調査結果もカーの主張を裏付けていますね。

もちろんカーの指摘は一つの考え方ではありますが、ハイパーメディエーションというキーワードには貴重なヒントが隠されているように思われます。皆さんも“熱狂”と“技術的スキル”で未来のEビジネスに賭けてみませんか?



お知らせ:昨日の話題は「ベンチャーの光と陰」でした。


2000年1月29日(土)〜30日(日)

「ベンチャーの光と陰」

今、日本でもベンチャービジネスや起業家が話題になっています。しかし、ベンチャーと一口にいっても光と陰があります。今日はこのへんの話題に触れてみたいと思います

ご承知のようにベンチャービジネスもハイテクからローテクまで幅が広いのです。つまり、今注目のEコマースやインターネット関連などの先端分野から物販、飲食、サービスなどの従来業種まであるのです。

米国のベンチャー専門誌Inc.comでは、毎年ベンチャー企業の売上成長率上位500社を発表しています。99年10月に発表された結果をみますと、500社のうちコンピュータ・通信関連が50%、ビジネス支援サービスが15%、消費財関連(流通サービスを含む)が10%と全体の4分の3を占めます。以下金融サービス、建設、健康・医療関連、産業財などです。 また、部門別ではサービスが76%、流通・小売が13%、製造が11%とサービスが他を圧倒しています。

上で述べた数字は成長性の高い企業を対象にしているので、IT関連のウエートが高いのですが、ベンチャー全体では他のサービス分野のウエートはもっと高まるものと思われます。

次に開業率をみると、米国は16%台、英国は11%台です。だが、日本は80年代までの6〜7%から、景気低迷の影響もあって4%前後まで低下している点が気になります。一方、廃業率は順に、13.8%、10.3%、2.8%となっています。この結果からいえることは、開業率と廃業率とは正の相関関係があり、起業が盛んであれば廃業も多いということです。

一般には、既存企業の研究開発投資、ノウハウの蓄積、のれんの存在、模倣による過当な参入などがベンチャーの成長の妨げになっているといわれています。スポットライトを浴びるベンチャーの陰には、廃業、倒産する企業も多い点には留意すべきです。最近日本でも、かって脚光を浴びたベンチャー企業であるカンキョー(元社長藤村氏)やハイパーネット(元社長板倉雄一郎氏)が倒産したり、会社更生法を適用を申請した例は記憶に新しいことでしょう。

それから起業年齢も若手から年寄りまで幅が広いのです。例えば、米国でも30代での起業が4割強を占めていますが、その前後の年代で起業する人達も多いのです。日本では、一部の若手起業家がマスコミで話題になっていますが、全体を捉えると米国の起業年齢よりも平均値は高いはずです。

こうしてみると、ベンチャーで成功する確率は高くないことがお分かりだと思います。それゆえに起業家講座を売り物にするビジネススクールや大学が出現するのですが、セオリー通りには行かないのがビジネスの世界です。

起業するにはIT関連の注目ベンチャーにばかり目を奪われていないで、ビジネスモデルが確立している物販、飲食、サービスにも目を向けてはいかがでしょうか?ハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンの起業まで、自分のライフステージに合わせて選択する知恵が求められていると思うのです

それにしても日本の開業率は先進諸国の中で最低です。今日はこの点の詳しいお話はしませんが、開業率が大幅に増加する道は遠いとは思いませんか?



お知らせ:昨日の話題は「独断的会社の選び方」でした。


2000年1月28日(金)

「独断的会社の選び方」

企業が新入社員の採用を抑制しているせいか、学生の就職活動が早くなっているようです。昨年の秋頃から3年生が就職情報の収集を積極的に行っています。そこで、今日は就職先の選び方について私見を述べてみましょう。

先ず、一般的には、会社の寿命に注目する手があります。かって会社の寿命は30年といわれていました。高度成長期のはじめの頃は重厚長大型の鉄鋼、化学、紙パルプなどの素材型が、後期には自動車や電気などの加工型産業が花形でした。だが、現在は軽薄短小型の情報、サービス、流通などが伸び盛りです。こうした成長期にある会社を選択するのです。

ただ、この場合現在の成長企業はいずれ衰退企業に変化する点に留意する必要があります。成長期の波がどのへんにあるのかを見極めることが肝要なのです。

それには、成長の原動力になっている要因をチェックすることが重要です。つまり、技術優位による集中、 市場優位による集中(業界パイオニアとして) 、地域優位による集中、 多角化・新規事業展開、 販売網・拠点拡大、この5つの要因です。これらの要因の強さと市場の伸びが成長力の勢いを左右するからです。

それから、ビジネスモデルに注目する方法があります。それは大雑把にいって、次の10の法則に基づくモデルに要約されます。

1.スケールの法則
2.ブランドの法則
3.パイオニアの法則
4.特化の法則
5.インストール・ベースの法則
6.収穫逓増による利益の法則
7.ローカル・リーダーシップの法則
8.事業ミックスの法則
9.アフターセールスの法則
10.ローコスト・ビジネス・システムの法則

やはり、上記のビジネスモデルも全てが時代を超越するわけではありません。特にEビジネスでは新たなモデルあるいは修正モデルが続々と誕生しそうな気配です。将来の勝ち組を見分けるには、もう少し別の視点が必要だと思います。

私はこれからの会社の選び方は、トップあるいはトップ・マネジメントをみて判断すべきだと思います。戦略眼とリーダーシップをもち、企業倫理や哲学が明確かどうかを見極めるのです。

もっともどう見分けるかについては工夫が必要です。新聞や雑誌を見ても奇麗事だけで、実像はつかみにくいのが実情です。しかし、最近はホームページを見れば、トップや会社の姿勢、情報の公開の姿勢がある程度分かります。但し、あまり理念や哲学がはっきりし過ぎていても、軍隊的な会社や宗教的な会社があるので要注意です。やはり、先輩、リクルーターなどの若手社員に直に接触して確かめるのベストだと思います。

米国の場合、周知のようにMBA出身のトップが戦略的な経営を行っているケースが多いのです。だが、日本の伸び盛りの会社の場合、どちらかというと経営のプロとしてのトレーニング受けているかどうかよりも個人的な要素が強いと思います。そのため独特の癖があって、必ずしも戦略的な行動をとるとは限らないので要注意なのです。

最後に、重要なのは、これからは“会社”を選ぶのか、それとも会社の中での“仕事”なのか、または“ビジネスモデル”なのかという点です。やはり、会社を選ぶ時代は終わったという気がします。経理、法務、開発、企画などのプロの道を選び、そのキャリアを積むために適した会社を選択すべきなのだと思います。

そして会社を選ぶというよりも優れたビジネスモデルを選択すべきだと思います。ただ、この場合絶えず変化する環境を先取りして適応するといった行動が求められます。さて、貴方であればどの道を選びますか?



お知らせ:昨日の話題は「市場開放と投資」でした。


2000年1月27日(木)

「市場開放と投資」

昨日の夕方慶應経済学会が開催され、国際経済学の大山道弘教授が講演されました。テーマは「市場開放と生き残りのための投資」でしたが、なかなか含蓄のあるお話でした。

そこで講演内容を簡単に紹介してみましょう。先ず、投資を増産のための投資と費用削減のための投資(合理化投資)とに分けることにします。そうすると、次の命題が導かれます。

「市場開放によって製品の予想価格が低下すると、増産のための投資は必ず減少する。だが、将来(来期)の限界費用(製品を追加的に1単位生産するために必要な費用)の引き下げ効果が小さい場合は合理化投資は増加する。ただ、限界費用が大きく引き下げる場合は、こうした投資は減少。一方、利子率の上昇はいずれのタイプの投資でも減少する」

分かりやすく述べたつもりですが、教科書を読んでいるようで分かりにくいかもしれません。そこで、この命題を理論的厳密さをやや無視して私なりに解釈してみましょう。

市場開放によって輸入が促進され競争が一層活発になると、モノの価格は低下します。こうした将来的な価格低下が見込まれる場合は、企業は増産のための投資はしません。この点は直感的にはよく分かりますね。増産してもペイしませんからね。

しかしながら、合理化投資の場合は、限界費用が極端に低下してその結果製品価格を一層低下させるというスパイラルが生じない限り、つまりある程度の下げ幅にとどまる限り増加するというのです。

つまり、この命題は、今後一層市場開放が進むに従って、生き残りのためにコスト削減を図る合理化投資が増加するというわけで、産業界にとって力強い理論的背景をもたらすものといえそうです。ただし、金融当局には金利を上手くコントロールしていただく必要はありますね。先ほどの命題は、ラフにいうとこんなところだと思います。

ところで、現状の民間投資の現状を見るとここ数年は景気後退の影響で低迷しています。しかし、Y2Kにからむ情報化投資の後、半導体関連の設備投資が昨年の秋から上向きになっています。どちらかというと次代の市場制覇を狙った増産のための投資ですが、他の業界での合理化投資のニーズは徐々に顕在化してくるものと思われます。

今後世界経済は、自由主義経済を追求する市場開放の波と市場をある程度クローズドにするブロック経済の波がサイクリカルに現れる可能性は否定できません。だが、インターネットによるEビジネスの勢いはもはや止めることは不可能で、バーチャル空間での“市場開放”、ボーダーレス化は更に進みます。

こうした環境の流れを見ると、命題の意味する合理化投資ニーズは一層増加するだろうし、供給側の新製品・サービスの開発努力によって市場創造の余地は十分にあるものと思います。

久しぶりに経済学の話を聞いて私はやや疲れましたが、皆さんも同様かもしれません。しかし、この話をヒントにビジネスチャンスに結びつけばよいな、と思うのです。何せ今後は民間主導の景気回復が期待されていますからね。



お知らせ:昨日の話題は「21世紀の環境問題」でした。


2000年1月26日(水)

「21世紀の環境問題」

昨日は「ゼロ成長論の亡霊」をテーマにしましたが、その中で環境問題がゼロ成長論の根拠の一つになっていてこれを批判しました。どうもその背景に胡散臭いものを感じたからです。とはいえ、どこまで環境問題が深刻なのかをよく考えて見る必要がありそうです。

世界の人口は現在約60億人ですが、2020年には75億人に達するものと予測されています。ところが、世界の各分野の研究者達の間では、その頃が環境問題のヤマ場だと見ているそうです。

人口が75億人を超えると、人間生活や生産活動を支える基本的な資源、つまり、水、森林、土壌、水産物などが持ちこたえることが出来ないといわれています。特に、水資源が不足し、75億人をまかなえるだけの食糧 生産の目処が立っていない点は深刻な問題です。

現在世界の穀物在庫は、食糧安全保障上の危険水準70日を割り込んでいるそうです。これは異常気象や大災害などが重なれば、世界はただちに食糧不足に陥る状態にあることを意味しています。日本の食糧自給率は4割ですから影響は甚大で、93年の冷害による米不足や米国の大豆禁輸による大豆製品の急騰を見ても、パニックの大きさが想像できると思います。

それから木材や魚介類などの再生可能資源が枯渇してくれば、それらの貿易規制が強化されることは必至です。日本人の大好きなクロマグロや熱帯林(フタバガキ、通称ワラン)などは、今後一層規制されることになるでしょう。

環境問題に関わる研究者によると、解決策は「人類の活動が地球の環境容量を超えた結果環境問題が生じたのであり、環境容量以内に生活や生産活動を押さえ込む」ことに尽きるようです。

そして今後のシナリオとしては、長期の国家ビジョン形成して徐々に環境容量に近づけていく「軟着陸型」か、破局的な危機になって対処する「激突型」かに分かれるとのことです。しかし、日本の資源の海外依存度の高さを考えると、「軟着陸」を目指して「激突」に備えるというのがベストな対策といえるようです(以上「地球環境報告」(岩波新書)などを参考にしました)。

こうして見ると、環境保護の観点からゼロ成長論を唱えた社説執筆者は、環境容量を押さえるために生産・消費活動を抑制しようと主張していることが分かります。ただ、どうも短絡的に感じるのは、asktakaだけでしょうか。

というのは、私は危機感こそ最大の問題解決のポイントだと思います。この意味では昨日話題にしたローマクラブの提言も意味があったし、環境問題に対する警鐘も同様だと思います。

私は危機感をバネにして、再生可能資源の保護や代替製品の開発を進めることは十分可能だと思います。例えば「2020年の科学技術」によると、2010年頃までに次の技術的課題が解決されると予測されています。つまり、「河川、湖沼等の水質浄化技術が実用化され、環境改善と水利用が促進」「破壊された熱帯林生態系を再生する有効な回復技術が開発」「光合成機能を飛躍的に向上させて、食糧増産が可能」などです。

政府が環境問題向けに予算を投入し、企業が環境問題に対応した新たなビジネスを創造する、これらはいずれもGDPをプラスの方向に向かわせることになります。そして消費者やユーザーが環境にやさしい製品の購買活動を行うようになれば、代替製品への移行ということで新たな需要を創造できると思います。

このように政府、企業、消費者のすべてが環境問題を自分のものとして認識することで、経済活動を活性化させる道はあるのです。今、私達一人一人ができることは、環境問題の現状をしっかりと見つめた上で環境対応製品 の購入へとシフトさせていくことだと思いませんか?(ワシントンにいるasktakaの友人は、世界銀行(国連から派遣)の環境問題の専門家です。彼から情報をもらって、これからも環境問題をフォローしていきたいと思います)



お知らせ:昨日の話題は「ゼロ成長論の亡霊」でした。


2000年1月25日(火)

「ゼロ成長論の亡霊」

高度経済成長も陰りがみえた70年代前半に「成長の限界」が話題になりました。ローマクラブが、石油などの天然資源が枯渇することから成長率が鈍化すると指摘したものでした。

ローマクラブはMITの先生が中心メンバーでしたが、経済学者としてはあまり評価されていなかったため、まともな学者はこの指摘を信じていませんでした。日本では当時東大にいた茅陽一氏がローマクラブに参加していました。

ローマクラブの提言から30年が経過しましたが、結果は省資源化、代替エネルギーあるいは代替手段の利用によって、グローバルに見て成長の限界は杞憂だったといえます。人間の知恵が限界を取り払ったともいえます。

そう思っていたところ、またまたゼロ成長論が姿をあらわしたようです。新年の新聞の社説をみると、複数の有力紙がゼロ成長論を唱えています。ただその根拠は、21世紀は環境の時代とばかりに地球環境保護のためとか、穀物需給の逼迫、モノ社会からサービス社会への脱皮などです。

しかしながら、どう考えてもこのような主張は経済を知らない三文文士が書いたものとしか思えません。かってのローマクラブの教訓を知らないのでしょうか?もしくは例の清貧発想の再現でしょうか?

ところでゼロ成長論の根拠をみると、価値観を主張している場合と因果関係をいっている場合があります。もちろん地球環境保護のためにこれからは余計なモノを作らずに(余計な消費をしないで)、国民全てが我慢して生活しましょうという考え方、価値観を述べる自由はあります。だが、地球環境問題が無為無策で進むのであればともかく、世界の国々や企業が21世紀の課題として取り組むことになっています。ゼロ成長などといわなくても、人間の英知が環境問題を解決することになる、とasktakaは思うのですが楽観的でしょうか?

それから、穀物需給の逼迫やサービス志向の結果、ゼロ成長になるというのは因果関係をいっているのですが、この原因がどうも納得できません。

ゼロ成長とは簡単に言うと、生産性と人口の伸びがゼロであることを意味します。したがって、生産性が一定と仮定すれば、穀物不足によって人口が減少すれば成長率は鈍化してゼロに近づくことはありえます。しかし、確実な需要が存在するにもかかわらず供給不足が続くとすれば、そこにビジネスチャンスがあるとみて一層効率的な農業生産を行う供給者が現れるのは資本主義の常ではないでしょうか?

そして、モノ志向から安心や楽しさ、心の豊かさなどのサービスが求められるといっても、何故ゼロ成長なのかが分かりません。GDPの中で消費の中身がサービスにウエートがかかることとプラス成長とは少しも矛盾しません。今後米国に比べて生産性が劣るサービス分野は、グローバル化が進むに従い生産性が上昇することになると思います。そうすると、成長率はプラスの方向に働くことになります。

こうしてみると、どうも社説執筆者はかって一部の政党や全共闘が主張したような反成長論者かと思ってしまいます。asktakaは、人間の知恵や技術開発それから起業家精神を信じたいと思います。皆さんは、企業の目的は革新あるいは事業の創造にあり、これが資本主義のダイナミズム、成長の源泉になっているとは思いませんか?



お知らせ:昨日の話題は「米国ではリーダー育成と起業家育成が人気」でした。


2000年1月24日(月)

「米国ではリーダー育成と起業家育成が人気」

当ホームページでは、海外のビジネス・スクール(以下BS)のエグエクティブ・プログラム情報を掲載しています。グローバル競争に打ち勝つには、やはり基本的なマネジメント知識が不可欠です。そこで日本企業の役員・幹部教育の参考になればというのが掲載の趣旨です。

昨日から主要なBSの2000年のプログラムをチェックして、主な変更点を更新しています。一昨年あたりから兆候がありましたが、今年は流れが明確に変わってきていると思います。

もちろん各BSともに役員やジェネラル・マネジャー向けのマネジメント・プログラムは定番です。ハーバード(HBS)などは上級役員やジェネラル・マネジャー向けに9〜10週間の教育プログラムをもっています。しかし、他のBSは大抵が4週間から6週間のプログラムです。

それから、BSによって特徴があるのは、5日から1週間のプログラムや2日程度のショートプログラムです。この種の短期プロフラムは、いずれも企業戦略や研究開発、生産、マーケティング、人事・組織など機能別テーマが中心です。

情報通信革命の真っ只中にある米国ですから、「インターネット戦略」「IT技術のマネジメント」、それから「サプライチェーン・マネジメント」などの時流にのったテーマも見かけます。

しかし、現在BSのエグゼクティブ教育で目につくのは「リーダーシップ」と「起業家育成」です。リーダーシップについては、もちろん以前からプログラムのテーマとしてあがっていました。だが、80年代から日本的経営のエッセンスを学び、技術的な問題は克服した米国の自信の現われなの か、リーダーや起業家に焦点があたってきました。

かって「今月の提言」やこのページでドラッカーのリーダーシップ論 を引用したことがあります。そのポイントは、リーダー像は多種多様で決まったパターンがないということです。それでもリーダーシップ教育に人気があるのは、世界の企業を見渡す限り、成功した企業や復活、再生した企業はリーダーの卓越した力によるからです。

リーダーの登場が必要なのは米国よりも日本だと思いますが、米国ではまだまだリーダー不在だと思っている人が多いようです。ところが、日本ではあまりリーダーシップに関する危機感が感じられません。まだ日本企業の経営スタイルと強力なリーダーシップとは相いれないということなのでしょうか?

次に、起業家教育については、最近注目されているボストン近郊にあるBabsonやMITなどが力を入れています。日本でも数年前から大学や元コンサルタントなどが起業家教育に着手し、今後新しいタイプの起業家スクールが定着するかもしれません。

こうしてみると、やはり日本企業によって必要なのは、経営トップや幹部のリーダーシップ教育ではないでしょうか?米国企業がリーダー育成を強化する中で、日本企業が相対的に弱いのはリーダーシップだからです。え、日本はお神輿経営や集団的意思決定の世界だから、リーダーは不要ですって?うーん、そういった話が今更でてくるとは、と絶句するasktakaでした。



お知らせ:昨日の話題は「慶應ラグビー部の変身から学ぶこと」でした。


2000年1月22日(土)〜23日(日)

「慶應ラグビー部の変身から学ぶこと」

慶應義塾のラグビー部が創部100周年を飾って、初の単独優勝を成し遂げました。低迷していたタイガー軍団を再生させたのは、上田監督の手腕によるところが大きい。つまり、ゼロからの組織づくりと体育会系体質からの変身が今回の優勝につながったのです。asktakaはこの点は、営業部隊を強化するといった企業の課題にも参考になると思いました。

上田監督は94年に二度目の監督に就任しましたが、名刺の肩書はCEOだそうです。上田氏は選手の発掘や獲得などの環境整備を行うジェネラル・マネジャー的な役割をもち、そして林ヘッドコーチが実質的な監督というわけです。

林氏は理論に基づいて練習メニューや勝利へのゲームプランを立て、これを選手に徹底させます。これまでの根性論的ガンバリズムから、情報収集と分析力をベースにした“IDラグビー”へと変身させたのです。現に今回の決勝戦にあたって、選手に10頁にわたる“戦略書”を配布したそうです。それには、相手の強みと弱みや勝つためのポイントが書かれていました。

もっとも選手が戦略書通りに動くには、それを読み取る知性と実行する技術や体力が必要です。それには練習メニューもさることながら、個々人の日頃の努力(自己研鑚)がなければいけないと思います。

ところで、一般に営業部隊というと、共通のイメージが思い浮かびます。先ず、精神主義で頭が空っぽな体育会的イメージ、企画力、分析力や文章力がなくて声だけ大きい、企業文化が凝縮している古い体質、などなどです(きっと、皆さんは違いますよ。これは一般論です(笑))。

こうした体質ですから、どの会社も営業はあまり変わりません。しかし、これを慶應ラグビー部の変身に習うとどうなるか?先ず、営業のトップを変えて参謀と現場のマネジャーを任命する。そして、営業戦略を策定し、現場に理解させ実行させる(このプロセスで営業体質を変える)、こういったオーソドックスな流れになります。

そんなことは分かっているし、すでに実行しているという方も多いことでしょう。だが、何故タイガー軍団のように成果がでないのでしょうか?ラグビーと一緒にされても困るという声も聞こえそうですね。

だが、その違いは、戦略の的確さと投資を含めた営業が動きやすい環境づくり、そして営業の理解力と体力(頭脳と身体の基礎体力)、この3つのバランスにあります。バランスが悪ければ成果は半減されます。asktakaの見るところ、戦略(らしいもの)はあっても同業他社と同じで役に立たないケースや戦略と投資のミスマッチ、戦略はあっても営業体質を変えるプロセスがないケースがほとんどです。

今後日本でもEビジネスが更に普及するに従って、営業のあり方が見直されることは必定です。企業体質の権化といえる営業の改革が、競争力の源泉であることは時代を超えて変わりません。asktakaは、慶應ラグビー部から虚心に学ぶべき時がきていると思うのですがいかがでしょうか?



お知らせ:昨日の話題は「日本で情報通信革命は実現するか?」でした。


2000年1月21日(金)

「日本で情報通信革命は実現するか?」

昨日の「今日の話題」でも触れましたが、日本でも情報通信革命によって大ブレークし、再び日本が米国を追い越すと予測する向きもあります。今日はこのへんの話をしたいと思います。

米国ではこの10年IT技術を使ってドラスティックに経営改革を行ってきました。こうした技術と経営の両面から革命が起きたといってよいでしょう。もちろん規制緩和の推進やグリーンスパン、ルービン、サマーズといった最強の経済運営トップの舵取りも未曾有の好景気に寄与しています。

しかし、重要なのは米国には世界経済及び経営のパラダイムを変えるだけのパワーがあることです。マネジメントを変え、思いきった合理化を行い、新たなビジネスモデルを創造する、こうした変革を推進するリーダー層の厚さが米国を支えていると思います。

もちろん変革には情報技術がツールとして使われています。ERP(統合基幹業務システム)やサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)によって、顧客のニーズに合わせて量産品をカスタマイズするBTO(受注生産システム)が可能となるのです。

米国企業は、こうしたBTOやアウトソーシングの活用などによって、顧客満足を高めると共にコスト削減を実現してきたのです。また、先日もこのページで述べたように、B2B(企業間商取引)の浸透により従来のやり方より2割ほどコストが削減され、更にコスト競争力を持つことになるでしょう。

では日本の場合はどうでしょうか?これまでSAPやオラクルなどのERPを導入しても、部分的導入であったり、従来の業務のやり方を変えないため、当初期待された効果が現れていないケースが多いのではないでしょうか?もっといえば、人を所与としていくらシステムを導入しても意味はないのです。極論すれば人を大幅に削減することを前提に、システムを導入すべきなのです(そうするとシステムを導入しようとするトップはいなくなるかな)。

ところで、ビジネスウィーク誌に米国労働省が2008年までの労働市場を予測した面白いデータが出ていました。98年から10年間で最も増加するジョブのトップ5は、システム・アナリスト、小売販売員、レジ係、ジェネラル・マネジャー&トップ、トラック運転手、この順だそうです。そして、製造業や鉱業従事者が減少し、建設従事者が増加すると予測しています。

このデータからシステム屋さんとボスが増えてスタッフは減少、労働力の受け皿として小売・サービス業従事者が増加するといった構図がよく見えるではありませんか?

日本において情報通信革命が実現するには、人を聖域としない経営者の意識改革と受け皿となる小売・外食等サービス業の成長(そして職業としてのポジションの向上)が不可欠です。これを推進する経営トップのリーダーシップと戦略眼が日本再生のポイントなのです。重厚長大型の伝統産業の変身を考えると一部を除いて果たして人材がいるのかな、と不安に思うasktakaでした。



お知らせ:昨日の話題は「景気の先を読む」でした。


2000年1月20日(木)

「景気の先を読む」

インターネットやEビジネスについての景気の良い話を聞いていると、つい足元の景気も好調だと錯覚しそうです。しかしながら、まだ家計調査の結果や百貨店、スーパーの売上動向をみると、回復の兆しは感じられません。ただ榊原前財務官のように、数年後には日本もアメリカと同様な情報通信革命によって大ブレークすると見る向きもあります。が、ちょっと先の話ですね。

ところで、最近のデータを見ると明るさも見えてきました。例えば、企業の設備投資の先行指標といえる機械受注(船舶・電力を除く民間需要)は、7−9月と10-12月の二つの四半期が連続して前期を上回るようです。

経企庁では、機械受注が設備投資に波及する半年から9ヵ月先をにらんで、来年度前半には設備投資は底を打つとの見通しを述べています。どうやら低迷を続けた民需も、やっと下げ止まるようです。

もっともこの見解に慎重な見方を示す向きもあります。慎重派の代表は日本総研の高橋進調査部長です。情報技術投資の増加は認めるものの、設備投資の8割を占める他の業種の勢いがないと判断しているからです。高橋氏によると、設備投資の回復は早くても来年度後半以降だそうです。

一方、私は昔からタクシーを見て景気回復の直感的な判断材料にしています。身近な景気指標といったところです。最近、駅待ちのタクシーがやや少なくなっているように感じられ、また結構実車率が高まっていると思っていました。

そう思ってタクシーの実車率統計を見ると、まだ前年割が続いていますが、減少幅は減ってきています。つまり、89年度の55.7%をピークに、94年には50%を切り、98年度は45.6%まで下落しました。ところが実車率は99年の前半で底を打った兆しが見えてきました。

こうして明るさも見えているのですが、このページでも何回か指摘しているように大きな山が動きません。GDPの6割を占める消費が低迷しているようでは、どうも世の中が暗いですね。

日本の国民には、“低金利時代には貯蓄よりも消費”といった話は通じないし、低金利でもなお貯蓄は美徳なのです。消費が動くとすれば、景気の先行きが見えてくる来年度後半以降で、21世紀に入って確かな実感になると思います。

いずれにせよ、今後の景気回復はこれまでの官主導から民間主導へと移行しています。現状では情報通信分野のみが景気の牽引力では心もとないとは思いませんか?

asktakaは、消費の低迷は需要を創出できない企業側にも問題があると思うのです。消費者、顧客を巻き込んだ商品開発などインターネット時代の双方向コミュニケーションを活用して、暗黙知を金の卵に変える努力がまだ不足していると思います。こう考えると企業の知恵が本格的な景気回復の鍵を握っているのです。皆さん、頑張ってくださいね!



お知らせ:昨日の話題は「繁華街が変わる!」でした。


2000年1月19日(水)

「繁華街が変わる!」

最近、繁華街やビジネス街が変わってきました。今までにないニュービジネスが出現したり、従来型ビジネスの回帰現象が見られます。asktakaはある公団の機関誌の新年号に、このテーマについて巻頭インタビューで所見を述べました。今日はこのエッセンスをご紹介します。

先ず、街が変化する背景は次の二つです。一つは「不動産環境の変化」で、もう一つは「消費者や企業の消費行動の変化」です。前者は金融ビッグバンの影響で銀行や証券会社の支店が統廃合され、あちこちに遊休スペースができています。あるいは新しい大型のインテリジェントビルにオフィスが移転し、既存ビルの空室率が上昇しています。このために供給過剰の状態となり、賃料が下がって、出店側にとって出店しやすい状況が生まれているわけです。

  後者はバブルの崩壊後10年も景気低迷が続いたことで、企業も個人も消費(購買)行動が変化しました。企業はコストを削減し、アウトソーシングをしながら、デジタル時代に対応するために情報化投資を進めています。一方、消費者の変化は6つのキーワードに大別できます。つまり、「倹約志向」「健康・リラクゼーション志向」。「ネットワーキング志向」「お手軽余暇志向」「リサイクル・中古志向」「海外ブランド志向」の6つです。

こうした背景から企業の出店戦略にも変化が出てきました。例えば、冒頭で述べたように、目新しい業種・業態の都心・繁華街への進出や郊外に展開していた店舗の都心回帰などです。

先ず、外食ビジネスでは「スターバックス」の躍進が目立ちます。96年8月に銀座に1号店を出店してからこの年末には97店に急増。金融機関などがあった一等立地に着々と店を増やしています。この成功に続いて、やはりアメリカンテイストのコーヒーチェーン「シアトルズ」も進出し今後の展開が注目されます。

中食市場でも、すかいらーくの新業態総菜店「マルコ・デ・ポロ」がお茶の水駅前の都市銀行跡に入って話題を呼びました。これ以外にも、今まで郊外に展開していた居酒屋、ファミリーレストランが都心部への出店をねらっています。

また、繁華街の裏通りなどにお洒落なリサイクルショップや、お茶とブティックの複合店のような新業態店が出店しています。それからリラクゼーションビジネスやビジネスコンビニといった、ビジネスパーソン向けのサービス店の動きも注目されます。

この中で「中古品・リサイクルビジネス」は儲かるビジネスモデルとして認知されてきました。例えば、「ブックオフ」は中古本を一律定価の一割で買い入れるという新しい発想で、多店舗展開を可能としました。目利きをおく必要がないのでアルバイトでも買い入れができ、売り手も安心だから量がさばけるし、荒利が8割ですからね。米国で中古車販売がディラーの利益の大半を稼ぐのと同じ理屈です。

さらに目に付くのは、海外ブランド・流通外資の出店です。銀座には以前から有名ブランド店がありますが、最近は丸の内側へも出店攻勢を強めています。一等立地にあった銀行や証券会社の跡に入っているわけです。イギリスのドラッグストア「ブーツ」が昨年の秋に銀座にオープンしましたが、それが野村證券の跡、マツモトキヨシの隣というのはなかなか象徴的です。

このように見ると、繁華街が変貌しているのは、銀行や証券会社などの店舗が外食や小売りに取って代わったからだ、と気付きます。今後、金融機関の支店の統廃合が更に進むことが必定です。そのため繁華街は無機質な街から、更に明確な顔をもつエンターテインメント空間、アーバンリゾート空間へと変身することになります。つまり、繁華街はEビジネスとは違った意味でビジネスチャンスの宝庫なのです。皆さんもこれからの繁華街でのビジネス動向に注目してくださいね。



お知らせ:昨日の話題は「経営トップの条件は“孤高力”?」でした。


2000年1月18日(火)

「経営トップの条件は“孤高力”?」

さすがにジャーナリストはネーミングが上手い。1月6日付日経産業新聞の1面の見出し“経営者の新条件「孤高力」”を見て思わずそう思いました。実際に元気な企業の経営者を見ていると、群れない人達が多いのですが、それはある意味では当然なのです。

日経の水野裕司編集委員は、次の3人を孤高の経営者としてあげていました。つまり、ソニー・コンピュタエンタテインメント(SCE)の久多良木(くたらぎ)社長、ソフトバンクの孫社長、楽天市場の三木谷社長です。

しかし、よく顔ぶれを見ると3人とも伝統業種の本流を歩いてきたわけではないのです。 久多良木氏はソニーをスピンアウトした形だし、孫氏は今更孤高の人というまでもなく日本においてパソコンソフトを普及させたパイオニアです。また、三木谷氏は米国流経営を学んだ独立組で起業家です。

この3人は独自に道を切り拓いて成功したわけで、それゆえに急成長しているのです。それに新しい分野を開拓するのに、群れてどうするのですか?金脈を探すのに皆仲良くなんて世界はありえません。ターゲットやポジションを決めて一人で掘り進むのです。

重厚長大型以外の産業に目を転じると、こうした群れていない経営トップは多いのです。もっとも、工業会とかいう同業者の集まりがない業種や、まだ経済四団体での位置付けが低い業種のトップは群れようがないですよね。

例えば、カジュアルウエアのSPA(製造小売りをするアパレル)として知られるファーストリテイリングの柳井社長などは典型的な“孤高の人”です。山口県宇部市に本拠地があるのですが、世界を視野においているだけに、発想は大胆でかつ戦略的です。そして地元の財界人とは付き合いません。

その他、飲食の世界を見ると、成長企業のトップは大体が独自の考えを持ち、ユニークなシステムを導入しているところが多いのです。彼らの発想は顧客のためにオリジナリティのある食空間をプロデュ−スしようという点にあり、もともと群れる、横並びという発想はないのです。

こうしてみると、賢明な皆さんは、編集委員氏がいう「孤高を尊び、異端をよしとする割り切り」を前提にした「自己改革」というレベルの話ではないことにお気づきでしょう。別に群れようが大いに結構なのです。和して同せず、この精神で独自の戦略やポジショニングを確立すればよいのです。これを確立するパワーが、今経営者に求められているのです。

新聞の見出しも少し考えてみると随分皮相的だなぁ、と思うのはasktakaだけでしょうか?もしかすると、意図的に本質を見出しの後ろに隠している?嘘だぁ。(笑)



お知らせ:昨日の話題は「デジタル家電の将来」でした。


2000年1月17日(月)

「デジタル家電の将来」

先日このページにて「情報家電への期待と不安」をテーマに取り上げました。その際は、郵政省が音頭をとった「情報家電インターネット推進協議会」のことが頭にあって、またもや横並びで何かやろうとする姿勢に一言いいたかったわけです。そこで、今日は違った視点からデジタル家電の将来についてコメントしたいと思います。

今、米国でデジタル家電が話題になっているのは、すでにパソコンの普及率が5割を超え成長の限界が見えてきたからです。そのため、次の成長分野としてデジタル家電に期待が寄せられているのです。日本のパソコンの世帯普及率はまだ3割なので、米国に比べて期待感にはややタイムラグがあるかもしれません。

デジタル家電は大きく、AV機器、白物家電そして制御系機器に分けることが出来ます。これらについて、これまでいろいろな構想が議論されてきましたが、ビル・ゲイツ氏が指摘しているように、“今後数年のうちに現実のものとなる”のです。

先ず、AV機器は双方向テレビ、ハードディスクを組み込んだ次世代型ビデオデッキ、「ネットワーク・ウォークマン」などの携帯音楽プレーヤー が商品化されます。AV機器を使ってメールを送受信したり、オンデマンドで好きな音楽やビデオをネット経由で取り込むことが出来るようになるのです。

  白物家電については、インターネット端末の機能を装備した冷蔵庫や電子レンジなどが商品化されます。ネットを使って、冷蔵庫に不足している食材を注文したり、レシピを取り込んだりすることができるのです。

制御系機器はホームサーバーやインターネット端末などの機器群です。パソコンに似た機能を備えていて、デジタルAV機器を家庭内でネットワークでつないだ際や双方向テレビから電子商取引のためにネットに接続する場合のコントロールに使います。

確かにこうしたデジタル家電は、国内でも今後10年間で60兆円の新規需要を創出すると予測する向きもあります。日本の得意分野でもあり、魅力ある市場であることは事実です。

しかしながら、忘れてはいけないのは、デジタル時代にはハードもさることながらコンテンツやサービスなどのソフトが一層重要なのです。そして「ビーイング・デジタル」の著者ニコラス・ネグロポンテも指摘しているように、デジタルな世界では“個人が個人であることを奨励される”のです。

つまり、個々人が生活の中でどんな情報を欲し、何を楽しみ、どのように過ごしたいか、この点を踏まえたソフトが背景になければデジタル家電も役に立たないと思います。

もちろん日本のメーカーもこの点を十分に認識しているとは思いますが、国内のデジタル家電需要を喚起するにはもっとソフトに力をいれるべきではないでしょうか?asktakaはまだハード志向が強すぎると思うのです。



お知らせ:昨日の話題は「ハッピーマンデー礼讃」でした。


2000年1月15日(土)〜16日(日)

「ハッピーマンデー礼讃」

ハッピーマンデー法が施行され、早速「成人の日」が1月の第2月曜日になりました。今度は「体育の日」が10月の第2月曜日となり、3連休が2回増えるわけです。こうした連休の経済効果は意外に大きいと思うのは、asktakaだけではないでしょう。

かっては、祝日というと各家庭の門や玄関に国旗をたてたものでした。ところが、最近では役所関係ぐらいしか国旗掲揚という光景が見られなくなりました。こうした形式よりも、祝日はもっと実質的に国旗より余暇を楽しむというライフスタイルに変わっているからだと思います。日教組の影響もあるかもしれませんがね。(笑)

ご存じの通り日本の祝日は15日ありますが、そのうち2日だけが月曜日になっただけなので、相変わらず週の真中や年末の半端な時期に休みになっています。エンジンをかけたり止めたりでは、燃費が悪いのは車も人間も同じなのです。どうせやるなら、もっと効果的にできないものでしょうか。

外国をみると米国の祝日は全部で10日あって、そのうち日付が固定した休日は4日だけです。つまり、1月1日、独立記念日(7月4日)、休戦記念日(11月11日)、クリスマスだけです。後は感謝祭を除いてすべて月曜日に設定されています。キング牧師やワシントンの誕生日であろうと、それぞれ1月と2月の第3月曜日を祝日にしています。

イギリスでも13の祝日のうち固定しているのは6日だけで、他は連休になるように設定しています。つまり、5月と8月は第1月曜日と最終月曜日 を祝日としていますし、イースター(復活祭)は3月21日以降の満月の最初の日曜日をはさんで金曜から月曜まで4連休です。

こうしてみると何も外国の真似をせよというのではないですが、日本でもハッピーマンデーを更に増やすことを考えてはどうでしょうか?そうでなくても、一部の日本企業にはまだまとめて休みを取りにくい風土があるので、官主導の強制休日による需要創造の余地は大でしょうから。

例えば、7月20日の海の日、9月15日の老人の日、11月3日と23日、12月23日の天皇誕生日などをハッピーマンデーにできないものでしょうか?特に12月23日を第1月曜か第2月曜にすれば効果的だと思います。せっかくの年末景気に水をさしているのですから。英明な天皇陛下ですから、国民を思い喜んでいただけるものと思います(もっとも小役人的発想ではなかなか起案できないでしょうが)。

そうなるとすぐ思い浮かぶのは、個人や会社での忘年会を兼ねた宴会旅行、お歳暮や年末の買物などです。オフシーズンなので航空運賃も安く、マイレージ消化の時期でもありますからレジャー需要は喚起できることは確かだと思います。皆さんであればどんな計画をたてますか?



お知らせ:昨日の話題は「デジタル時代の教育改革」でした。



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