ヤジ馬何でも評論

景気対策について  (98/9/21)

現在日本では大変な不景気だそうです。「そうです」と書きましたのは自分ではよく実感できないからです。週末ともなると、繁華街は人の波で埋まり、食事時になりますと、レストランの前には順番待ちの人が並んでいます。パソコンショップは身動きできないぐらいの人です。どうしてこれが不況なのでしょうか。

昨夜もテレビを見ていましたら、ペルーじゃで活躍中の中田選手を応援するために日本から数十万円をかけてイタリーに駆けつけた応援の人が何百人もいると聞いてびっくりしました。有名ブランドだけを扱う店がオープンして、若い女性が殺到している映像も流していました。これが不況なのでしょうか。

毎月政府の経済企画庁が景気の動向について発表します。色んな経営者に聞いて先行き生産が(と言うか売り上げが)伸びそうかどうかを調べているようです。経営の立場で言いますと、今月よりは来月、今年よりも来年売り上げが伸びるような状況でないと景気は悪いと判断しているようです。

新築住宅の新築件数が減少していると言います。数字の上では確かにそうでしょう。新築件数が伸びると言うことは我々消費者の立場で考えてみますと、それだけ買いたい人が次々に現れる必要があるわけです。人口増加がどんどん減少している現在、今年よりは来年もっと需要が増えると言うことは非常に考え難いと思います。でも業界はそうでないと景気は回復できないと言っています。何かおかしいと思いませんか。

電機業界ではまだまだ伸びる余地があると考えられます。電機業界に限りませんが、今の世の中にはない商品を開発することによって、新しい市場を開拓していくことで、今年より来年売り上げが伸びる可能性が出てきます。この新市場を目指して、毎年毎年延々と努力を続けていく必要があるわけです。テレビからビデオ、さらにはビデオカメラ、デジカメそれと携帯電話等々とにかく息付く暇はないわけです。そんなの何時までも続きませんよね。

確かに会社としての経営に行き詰まって、倒産したり、リストラで解雇されたりして失業者は膨らんでいます。そうした方々には大変気の毒だと思いますが、商品として次々と新しい物が開発されていますように、人材も次々と新しい職種に自己改革をしていって置かなければならなかったのでしょうね。その意味では時代の波だとも考えられます。

アメリカが中国に莫大な投資をして、人口十数億人と言われる大きな市場を狙っています。日本やヨーロッパも例外ではありません。中国だけでは無しに東南アジアを中心としてこれから発展が期待できる地域に(現在は通貨不安で大きくとん挫していますが)競って進出しようとしています。拡大できる可能性があるからです。これとて何十年か後には行き詰まるでしょうが。

政府や業界は消費者が買わないから不況なのだと言います。でも私の実感としては、あまり買うことに躊躇しているわけではありません。つまり買い控えをしているという認識はありません。なのに政府はもっと買えと言って何兆円もの減税をしてくれると言います。

「減税しても将来が不安だから預金に回るだろう」と 言いますがもう買う物がないのに多少のお金が返ってきても消費が増えるとは思えません。

消費者の立場で「ではどんな状況になったらもっと物を買うのか」と自問してみますと、たとえば宝くじが大当たりして、一夜にして大金持ちになったとか、買った株が大化けして思わぬ金が転がり込んできたとか、自分の持っている土地がものすごく値上がりして含み益が大幅に増えたとか、(この場合は売らないと具体的にはお金になりませんのでどうかと思いますが)もっとささやかな場合ですと、銀行や郵便局の金利が年5%とか7%とかで 満期に思わぬ金が入ってきたとか、そんなときですとあるいは日常的には必要のない物でも買っておこうかと言うことになるかもしれません。

銀行の金利の問題を除けば、要するにバブルです。バブルを起こさない限り消費者は必要のない物にお金を使うことはしないと思います。(善良な庶民はそんなことは望んでいないと思いますが) 1990年前後の日本が将にそうであり、現在好景気に沸くアメリカは将にバブルの最盛期だと言っていいのではないでしょうか。

資本主義経済、自由主義経済が今日まで世界を制覇してきましたし、これからもまだ伸びていくかも知れません。ですが常に対前年比で伸びなければ、その体制そのものが維持できない状況に置かれていると言うことは、このシステムそのものがある種の「ねずみ講」的な物であって、何年先か、或いは何十年先かは分かりませんが、やがてはとん挫することが目に見えているシステムであるように思います。

これからの世の中では、やはり現在のシステムに代わる新しいシステム、金額的な成長の必要のないシステム、地球上に住む人々が一様に豊かで幸せが得られるようなシステム、そんな物が求められているときではないかと思います。

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