ヤジ馬評論
兼ねてから考えてきていたことや、その時々の事件についての自分なりの感想をこのページで述べてみたいと思っています。

1)自動車の排気ガス

 マラソンのシーズンになるとよくテレビを見る。じっと見ていると競争の変化は少ないようであるが、一寸目を離している間に順序が逆転していたりして興味深い。しかしテレビを見ていていつも感じるのは「何でこんなに自動車が多いんだ」と言うことだ。先導の2台のオートバイを始め審判車から伴走車までテレビカメラのレンズの関係もあると思うがマラソンランナーの回りを沢山の自動車がとりまいているような印象である。

 ある会社の庭にすばらしい桜の木があって、毎年春になると見事な花を咲かせていた。所がある年その大きな桜の木が枯れ始めたのである。実はその桜の木の下には駐車場があって、常に数台の車が止まっていたが、ある日そこに看板が立てられた。「車を頭から入れて下さい」。つまり今まで車はバックで入れていたために、排気ガスがモロに桜の木に掛かるような位置関係にあったのである。そのような看板が立った翌年には見事に木は生き返って沢山の花を付けた。

 車の排気ガスを車に引き込んで自殺をする人がいるぐらいのものだから、人間にとってこの排気ガスはものすごい有害ガスであることは間違いない。駐車するときに吹かすわずかな排気ガスで桜の木はその命を落としそうになったわけである。そのガスが今や町中に満ちあふれている。冒頭のマラソンランナーは単に42.195Kmを走るだけではなしに、ものすごい排気ガスの充満した空気の中でこれをやり遂げなければならないわけで、この負荷試験はランナーにとって大変な負担であるように感じる。このマラソンの伴走車だけでも電気自動車を使うとかの配慮が必要なのではないだろうか。記録が上がるかも知れないし、順序も違ってくるかも知れない。

 先月スイスに観光旅行に行った。マッターホルンの麓のツェルマートに入るのに、一駅だけ電車に乗るというので、不思議に思っていたらツェルマートは一切ガソリン自動車の使用を認めていないのだそうだ。ですから当然観光バスも入れず、従って一駅前で下ろされて電車でツェルマートに入ったと言うわけである。なるほど町中はタクシーと言わずトラックと言わず(余り大きなものは見かけなかったが)全部電気自動車が動いていた。観光都市一つの事とは言えすばらしい、大変先見性のある処置だと感心しした次第である。

マラソンランナーだけではなしに、一般の我々がこの「殺人ガス」を吸わずに生活できる日の一日も早く来ることを願わずにはいられない。1997ー7ー4 M.K


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