年賀状の記録

グリーンウッド

1987年に米政府がインターネットを一般に開放した1年前の1986年にマッキントッシュ・プラスを買う。1990年からマッキントッシュで年賀状を作りはじめ、2001年で干支が一巡した。それぞれの年賀状はその時代を反映している。

	1990	午	2年後、マッキントシュで初めて年賀状を作成した。慣例に従い、江ノ島の弁天様で求めた絵馬を参考に、マックペイントでモクロの午の絵を描いた。プリンターは初期のメカニカル・ドットインパクト・プリンターである。当時のデータは現OS8上で再生不能である。欄間から世の移り変わりを見てきた1990年当時の絵馬を直接スキャンしてみた。
	1991	未	1987年国連のブルントラント委員会の報告書「我等が共有する未来」に"持続可能な開発"という概念が盛り込まれた。これに共感してサステナビリティーをテーマとした。ケンブリッジ大コンピュータ室（トロイの室）のコンピュータ室の耐熱ガラス製コーヒーポット内のコーヒーレベルを実況中継しはじめた。このころから二酸化炭素の温暖化効果が懸念され「ガイア仮説」なるものが知られるようになる。1989年に手にれたメカニカル・ドットインパクト・プリンターに取付けてスキャナーにするサンダー・スキャンは調整が大変なので断念し、会社のスキャナーで取り入れたイメージデータを持ち帰って年賀状を作成した。
	1992	申	ブラジルのリオデジャネイロで環境サミット開催され「リオ宣言」がだされ、「生物の多様性に関する条約」が締結されたのを記念して環境保護テーマとした。プリンターは初期のメカニカル・ドット・プリンターからモノクロ・インクジェット式スタイルライターに変わる。1992年9月に日本最初のウエブページが筑波の高エネルギー加速器研究機構（KEK）のサーバーにアップロードされた。HTMLとハイパーリンク生みの親である CERNのティム・バーナーズ・リーのページに登録されたウェブ・サーバーは全世界でまだ10数台であった時である。マッキントッシュのハイパーカードの良さを知っていたグリーンウッド氏は1994年にハイパーリンクを知り、アイディアはハイパーカードからパクッタなと思ったものだ。実際そうだったわけで当時のアップルのスカリー社長の能力不足がハイパーカードを葬り去ったようなものだ。そしてスカリーに追われたスチーブン・ジョッブズがNext上でハイパーリンクを作動させることに協力していたのだ。
	1993	酉	バブル後の苦しい時代、共生（シンバイオシス）が合言葉となった。これをテーマ。
	1994	戌	バックミンスター・フラーが命名した宇宙船地球号の狭さが認識されて、種の多様性の維持が人類の課題との認識が広がる。バイオダイバーシティーを見事に表現したフランシス・フォーセットのイラストを借用。カラー・スキャナー導入。年賀状出状後、父が亡くなった。1994年 2月、日本のプロバイダの草分けのIIJが苦労の末、郵政省の事業免許をようやく受けた。
	1995	亥	横須賀の戦艦三笠を訪問し、士官食堂に展示されていた日本海会戦の航跡図を見た。三笠を旗艦とする東郷艦隊の圧倒的勝利体験を忘れられず、空母機動部隊時代の到来を予見できなかった我が旧海軍を思い。組織体の適応力をテーマにした。インクジェット・カラープリンター導入。東郷艦隊の戦法を一般にT字戦法と誤解している向きがある。事前にはT字戦法を予定していたが、視界が悪く、波が高かったので水雷艇隊が使えず、単縦陣艦隊が回頭しながら並航戦をした持続戦法を採用した。敵前回頭をT字戦法と誤解しやすい。戦艦三笠に展示の日本海会戦の航跡図もこれを示している。ネットスケープ上場。この年、世界中のデータ通信のトラフィック量が音声のそれを上回ったクロス・オーバー・ポイントとなる。
	1996	子	宇宙・気象・インターネットをテーマ。インターネット・サーフィンして見つけた気象衛星の観測映像を引用。クロス・オーバー・ポイントを達成した翌年のことである。
	1997	丑	COP3で京都プロトコルが締結される。会津若松市でみつけたDNAと同じダブルヘリックス構造を持った「さざえ堂」に興味を覚え紹介した歴史テーマ。ブリューゲルのバベルの搭、フランク・ロイド・ライトの「グゲンハイム美術館」もラセンである。しかしダブルヘリックスはロワール渓谷にあるシャンボール城にある。決して交差しないダブルヘリックス構造を登ってくだれば三十三観音を巡礼すると同じご利益がある。
	1998	寅	ビル建築にまで影響しだしたデジタル革命のインパクトをテーマ。個人の電子メールをダイアルアップ接続で使用開始。米政府がインターネットを一般に開放してから11年後のことである。セルゲイ・ブリンとラリー・ペイジによってグーグル社創業。ただ米国外では高さ競争はむしろ激化しているようだ。1997からペトロナス・タワーが世界一のビルだったが、2004年からは台湾の台北101の 508mがトップに躍り出て、2008年1月にはブルジュ・ドバイが598mを越えてまだまだ伸びており、一位の座を得たようだ。800mも可能な構造という。エンパイヤ・ステート・ビルは不況のため当初エンプティ・ステート。ビルと呼ばれた。高層階がセットバックしているのは道路が暗くならないように州政府がゾーニングで規制したからである。
	1999	卯	電子化によるスピード革命がもたらした矛盾をテーマ。2月マッキントッシュからウィンドウズ機に切替え個人ホームページを立ち上げる。米政府がインターネットを一般に開放してから12年後のことである。ページ更新はダイアルアップ接続。
	2000	辰	21世紀初年度で、新千年紀入り。娘が米国のベンチャーキャピタリストの支援でインターネット雑誌発行のベンチャー企業を立ち上げ。応援の年賀状とする。この年より年賀作成もウインドウズ機に切り替える。プリンターはエプソン－77０C。2月ISDN導入。米国でネットバブル崩壊。ルート66バイク旅行の報告。会社の先輩の平松幸一氏から日本国成立の経緯解明調査中間報告なる、多元史観にたつ見解をいただく。非常に新鮮な驚きであった。
	2001	巳	9/11同時多発テロを北海道の網走で知る。秋にADSL常時接続となる。
	2002	午	喪中で国内向けの年賀は失礼した。しかし海外には自作の季節の挨拶カードを出す。（炭疸菌騒動のため封書はさける）
	2003	未	えとにちなみ、英国旅行中撮影のコッツウォルド地方、スノウズヒルマノールの羊の写真を使用。「囚人のジレンマに陥っている感のある日本を脱出し・・・」に含めた意味は東大の伊藤元重教授が日本は財務、金融政策当局がばらばらに最適化政策を打ち出してゲーム理論でいう囚人のジレンマに陥っていると指摘したことを受けている。(Paradox Serial No.4)　プリンターはEPSON－95０Cにグレードアップし高速化。
	2004	申	えとをモチーフにROCA号のヘルムを取る自画像にシッポをつけた。もらった年賀状で最高傑作は「みざる、きかざる、いわざる」の3匹の猿を「きこえる、いえる、みえる」に書き換えた鈴木睦元東北大教授からもらった賀状であった。たしかに目を覆っても聞く事はできるし、耳を覆っても言う事はでき、口を覆っても見ることはできる。要は気持ちの持ちようでどうにでもなるということ。ティム・バーナーズ・リーにナイトの叙勲
	2005	酉	国土地理院の数値地図を基にカシミール3Dで作成した相模湾上空6万メートルから28ミリレンズカメラで80度の角度で俯瞰したと仮想した写真にクルーとして航海したシエラザード号の航跡を描いた。えとのトリ代表としてツバメを宇宙飛行士よろしく6万メートルの上空を滑空させた。検索サーチエンジン、グーグルを使いはじめる。400年前の 1605年に家康が院政を開始、黒船後、150年前の1875年に樺太・千島交換条約、100年前の1905年に日露戦争勝利してのポーツマス条約、60 年前の1945年に第二次大戦の敗戦、50年前の1955年に五五年体制確立して高度成長を突っ走る、30年前の1975年に米欧日の三極体制によるサミット。20年前の1985年にプラザ合意、10年前の1995年に阪神淡路大震災とオウム・テロと五百旗頭真が指摘。
	2006	戌	2005年には一部未発表ながらも回顧録も書き、フランスの片田舎をドライブし、森永プロジェクトに参加して人工台風発電の改良案を発表するためイタリアのドロミテ・アルプスやクロアチアにでかけたりした。しかしこれは専門的すぎるので割愛し、Wakwak山歩会に参加して過去5年間、毎月登山にいそしんでいることを紹介することにした。2005年7月、白馬三山にいどんだとき、白馬鑓岳の大出原（おいでっぱら）で撮影したお花畑の写真を背景にその上に今年の活動を総括する戯れ歌を書いた。写真のクオリティーが売りのハガキのため、写真用のハガキ用紙を使うことにした。だが、プリンターに手差しで給紙しなければならない。1枚1分かかるため5時間の作業となった。宛名書きは1枚5秒で迅速であるがこれも手差しのため、あらかじめ50枚を手に持ち、ドンドン差し込まなければならない。来年はこんな面倒なことはやめよう。
	2007	亥	ガーデニングで紹介した居間の窓際に下げた一株のナスタチウムをモチーフにさせてもらった。日本では亥は猪となっているが、中国、韓国では豚のことだという。天武天皇が食肉禁止令をだしたこと、山野に猪が野生していたのでこれをかくれて牡丹として食べればよいので、中国渡来の豚の飼育は流行しなかったためとレッドウィングさんに教えてもらった。
	2008	子	世界の一次エネルギーの世代交代をロジスティック曲線で予想しました。我々はこれまでに石油資源の半分、天然ガスも3割消費しました。原子力、バイオ、水力は制約が厳しく、頼りになりません。風力/ソーラーセルの本格的登場までは残された石炭資源を使わざるをえません。気候変動防止のために二酸化炭素を海洋隔離しつつ使うことになるでしょう。22世紀に入って我々はようやく再生可能エネルギーだけを使う時代をむかえそうです。ご関心の向きは一次エネルギーの世代交代予測法をどうぞ。
	2009	丑	2000年以後、同時多発テロで中断していたヒストリック・ルート66ツーリングの続きを 2008年に決行した。古希を迎えこれがラストチャンスかと考えたからである。今回は米国の金融崩壊を目撃しながらの旅であった。写真はキングマンからニードルズに抜ける山岳走行中のもの。グローバリゼーションで賃金の停滞に直面した米国の消費者は投資銀行を通して間接的に借金して消費しまくったのである。投資銀行破綻をうけて米国へのマネーの還流は止まった。かつ米国が金融拡大政策をとったため、金利が下がり、更に資本が米国から流出した。そうして米ドルレートが減価し、円レートは増価した。米国市場を失った日本のメーカーはパニックに陥ってヒト切りに狂奔している。米国はしばらく魅力的な投資先にはならないから米国民は生活水準を下げて耐乏生活しなければならない。さすがの米国民も目が覚めて、オバマ新大統領を選んだ。オバマがグリーン・ニューディールという財政政策を実施するのか、はたまたボルカー元FRB議長が緊縮政策を断行するのか？
	2010	寅	ディヴィッド・ホロビンの「天才と分裂病の進化論」に神経細胞間の情報伝達をする樹状突起、軸索に言及。ここで著者はスペインの組織学者ラモン・イ・カハルが20世紀初頭イタリアの組織学者カミーロ・ゴルジの協力を得て銀でたった一つの神経細胞を染色して顕微鏡で世界で始めてニューロンの分岐構造を描いた図をみて感動を覚えた。樹状突起、軸索は知っていたがこんなに複雑とは。リヒャルト・ブレヒトも「哲学オデュッセイ」で引用。
	2011	卯	ソーラーセルが多量生産されるようになると価格が下がる。発電単価が電力会社の電力料金よりかなり下がると、蓄熱式冷凍・冷蔵庫、蓄熱式空調機で主要な電力は昼の間に熱として蓄えることが出来るようになる。余剰電力をプラグイン・ハブリッド車のバッテリーに蓄え、夜間電力とすることは可能になる。不足する電力は車載エンジンで補充すればよい。こうして電力会社とはおさらばということになるかもしれない。プラグイン・ハブリッド車を持たない人はマイクロ揚水発電か浸透膜発電に蓄えることができる。詳しくはスマートハウスをどうぞ。
	2012	辰	2011年3月11日、福島原発事故が発生した。過去の巨大事故を整理して原発事故はべき乗分布になることを証明できたので、年賀状に印刷して紹介することにした。賀状出状後、改良したものをここでは紹介した。詳しくは原発事故はべき乗分布。
	2013	巳	2012年は多忙な年であった。以下列挙。フローティングＬＮＧプラントのコンサルタントとしてロンドン出張・US Route 66　完走・エネルギー関連講演4回・セブンマイルビーチ・ファイルの累計アクセス数32万回達成・掲載論文「グローバル・ヒーティングの黙示録」の昨年のアクセスは赤点のように五大陸から2,500回・掲載論文をまとめて「原発敗戦」として工学社から出版・原発事故はべき分布になるとの論文執筆バックの地球儀は「グローバル・ヒーティングの黙示録」に組み込んだRevolver Mapsがカウントしてくれた昨年のアクセス数と赤点で表示されたアクセスポイントである。このように五大陸から2,500回であった。
	2014	午	亜細亜大学の二一会に出没してデーヴァナーガリー文字表の般若心経などを学ぶ。カードの葉は谷中霊園管理事務所の前の「塩谷宕陰先生碑」の脇のタラヨウの葉を使った。実物は東京中央郵便局玄関脇にもある。
	2015	未	喪中
	2016	申	三浦半島の海岸線のそれもできるだけ波打ち際を歩くということを「半島歩き」として足掛け3年継続している。いわゆるフラクタル図形を描こうとするからまじめにやるときりがない。むろん私有地には入らない。ここで柄谷行人の言葉を引用しているが遊動を実践できるのは幸せなことだと思っている。地図をかいてヤフーに登録しておけば、自分のページで呼ぶとそこに地図を描いてくれるサービスがあった。自分のページはコンパクトに維持できるため、2013/6-2017/3から60個の地図を作製利用していたが、2020/3でサービス停止という。したがってこれを呼び出すjavastriptも消した。 <script type="text/javascript" encoding="UTF-8"src="http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/past..・・・</script>
	2017	酉	昨年5月に双子山に登山した。私は下の双子山山頂にたって上の双子山を指している。二子山の上には宝永山、そして富士山頂が一直線に並んでいる。七里ヶ浜から遠望すると11月24日には50年ぶりに下の双子山まで冠雪、12月8日には消え、12月28日に再び雪に覆われた。
	2018	戌	2008年の年賀に紹介した今後150年間の世界のエネルギー分率fの予測を10年ぶりに見直した。化石燃料は温暖化防止目的や資源の枯渇によってではなく、価格で再生可能エネルギーに敗れると推定される。先進国は既設エネルギー施設による硬直性があるが、開発途上国にはそのような制約がない。結果として最新技術である再生可能エネルギーに傾斜投資でき、原子力よりローコストでかつ汚染フリーエネルギーを享受できる。こうしてかっての日本の製造業が米国のそれに取って代わったと同じく、比較優位で彼らは繁栄するだろう。関ヶ原敗戦雪辱体制の日本はこれで終わり、私は今年は80才を越えます。というわけで日本郵便に依存する年賀もこれでお終い。感謝かって資源の枯渇で石油時代が終るという「ピークオイル説」は信じられていたが、シェールオイルのお蔭で「ピークオイル説」は否定された。最近の気候変動への関心の高まりからEV車が普及すると石油製品が頭打ちするという「需要ピーク説」が語られるようになった。しかし気候変動の原因がどうであれ、再生可能エネルギーのコストが下がる故にやはり化石燃料の需要が頭打ちになると言う「コストピーク説」とでもいうものである。現にGEは再生可能エネルギーに火力発電が敗けた結果、タービンの売り上げが減少して経営不振となっている。
2019	2019	亥	人類は狩猟採集しながら世界に広がり、遊牧民（ノマド）となって地球上に君臨した。超ノマドが集まる市場民主主義の中心都市はベネチア→アントワープ→ロンドン→ボストン→ニューヨーク→ロスアンゼルス/シリコンバレーと西に向かって移動した。次は更に西にある東京かとおもわれたがフランスと同じにそうはならならず、文化では兎も角、技術では深センに飛んだようである。その理由は既存産業保護と官僚周辺の利益を過剰に保護したことと、流通の中心として必須になる港湾や金融市場の開発を怠り、クリエーター階級の育成を怠り、国境を超えるクリエーター予備軍の移住を歓迎しなかったからである。 -ジャック・アタリ- ローマ帝国の滅亡は、技術的進歩の受け入れを拒否したためだという。彼ら自身の農業生産能力が低下するなか、ローマ人は、他国民を征服し、彼らの収穫と資源を略奪し、穴埋めするだけだった。中国は技術革新がもたらした再生可能エネルギーを採用すれば化石燃料がもたらす地政学の呪いから開放されることを知っていて、気候変動を隠れ蓑に電動車の開発を国策としている。片や米国ではシェールガスに囚われ、日本では官益の原発利権維持のため、再生可能エネルギーの抑制という逆噴射。
2020	2020	子	最近、腰越駅まえにFRANKEコーヒーマシンと自家製サラミやソーセージで朝食をとれる店ができた。本格的ワインセラーがある店は私にとっては不要なのだが、肉製品は大好きなので昼飯にやってきた。目の前で江ノ電が道路の真ん中に乗り出すのを見ることができる。近くにオリンピック・レースが観戦できるプチホテルが建設中だ。今年からはWindows10搭載のDell Inspiron 14に更新したためPowerPointをつかうことはやめ、Wordだけにした。Wordからjpgなどに変換するのはペイントをつかう。Screen shotはハードキーprint sc(F10key)をつかっている。 Dellは文字が小さく、scriptで書いたプログラムを見えないのでJava scriptはやめて標準の文字からのリンク機能だけにした。

Rev. January 1, 2020

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