電子政府立国の実態

登山記録を書くに当たり、山の三次元鳥瞰図に登山ルートと写真撮影した地点と方角を示し たいと考えていたがイラスト図をつくるのは面倒である。杉本智彦氏開発のカシミール3Dというシェアウェアソフトが国土地理院 (Geographical Survey Institute)の数値地図50m(標高)から鳥瞰図を簡単に作ってくれるという。数値地図25000(地図画像) も併用すれば立体地図ができる。

苗場山登山のベースキャンプとした海抜762mの小赤沢の苗場荘上空2,138m(海抜2,900)より俯瞰した苗場山の3D図を試作してみた。3次元化の奥行きは1,000kmとし、28mmレンズを使うという想定である。 レンダリングは遠方から順次手前に行うので途中経過をみていると、手前の山が透明になったら見えるであろう風景が楽しめる。遠方の情報処理量が多く、Dimension8400でも1分間、現実には見ることのできない風景を楽しめる。

出来上がった鳥瞰図にパワーポイントでルートと撮影ポイントを書き込んだ。

ウェブページに補足的に3枚程度の地図画像を掲載する場合は出典を明記すれば、国土地理院の測量成果の使用申請を要さずという。しかし今まで登った50の山と今後10年間に登るであろう100位の山全てを対象とする3Dルート図となると測量法30条の適用対象となり、国土地理院に測量成果の使用申請しなければならない。

国土地理院がインターネットで公開している「測量成果の使用承認申請書」のHTML様式にサンプル通り記入してプリントアウトして署名捺印し、公表予定の完成見本を添付し、80円の切手を張った返信封筒を同封して国土地理院総務部総務課審査係に郵送すれば2週間以内に許可番号がもらえるとのこと。

使用承認書の指示に従って作成した成果物

しかしせっかくだから電子申請なるものを試みてみた。国土交通省のオンライン申請システムを使用せよとのこと。電子証明書が必要な申請は認証局から電子証明書を取得せよという。次に、オンライン申請システム利用申込書に必要事項を記入のうえ窓口提出あるいは郵送してID/パスワードを取得せよという。eメールでは受け付けぬらしい。ついで国土交通省認証局の自己署名証明書取得し、申請書作成のアプリケーションプログラム(.exe)をダウンロードし・・・

巨大工事の入札に使うため七面倒くさいことを要求するのだろうと我慢してつきあっていたが、折角電子システムに切り替えるというのに伝統的郵便システムをつかわねばならぬことと、日常使っているワープロやHTMLエディターまたはインターネットブラウザーに書き込めば足りるところを、申請書作成目的に特別開発したアプリケーションソフトをダウンロードして使わねばならいとわかって断念した。80円切手2枚使う古式のほうが安上がりで安直と判断。 申請書作成だって国土地理院のHPにあるHTML様式を使えばよいではないか。というわけでHTML様式で書いた申請書をプリントして郵送したのだが、担当者はあっさりとeメールで確認をいれてくる。それならはじめからeメール受付すればよいと思うのだが。 そして19日には17日付けの使用承認書を受領した。その指示通り作成した成果物が前掲の図である。 下の方にある8ポイントの黒字が目ざわりだが、これも日本国家が法律で要求することだから読者は我慢していただきたい。

「e-Japan重点計画-2002」で世界最先端のIT国家になるなどというお題目は結局、土建国家が土建屋にばら撒いた金がIBM、富士通、日立、NEC、NTTなどに変っただけである。ユーザーの利便性など頭の隅にもないテーラーメードのガラクタソフトを膨大なマンアワーを浪費してでっち上げただけでなく、 市民に多大な負担を強いることになる構図は高速道路と同じではないか。時の担当大臣石原某は居眠りでもしていたのだろうか?発注者の首をすげかえなければ望みはないのだろう。「百年河清を俟(ま)つ」の心境だ。

November 19, 2004


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