日本の三大映画監督  黒沢明 / 勝新太郎 / 森崎東    池田博明

   私が日本の三大映画監督としているのは黒沢明(黒澤明)、勝新太郎、森崎東である。
   黒沢明については研究書も多く、評価されている。しかし、勝新太郎や森崎東はどうだろう。
   じゅうぶんな評価はされていない。私のホームページでは勝新と森崎に焦点を当てる。
   

 「伝説の豪放役者・勝新太郎」
        たけしの誰でもピカソ
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2000年1月21日  東京12チャンネル
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ホームページ作成者・池田博明


勝新のビデオ作品は147本も出ている。
  『警視K』(バップ)もあった!

番組の特別出演は中村玉緒。「家では演技をしなかったし,セリフを練習したこともない」
小堺一機の話「牛肉に難癖をつけて,料理人が調べに去ると,”見たかい。あれがほんとの驚いた顔だよ”と。
帰ってきた料理人が確かに本物なんですがと答えると,”わかってるよ,悪かったな”とご祝儀を渡した」

番組でとりあげた勝新太郎10の伝説とは?

伝説1.耳が動いた(E.H.エリックの耳が動いたことを見て,座頭市でできるように練習した)
伝説2.2歳違いのライバル(=兄の若山富三郎のこと)
伝説3.朝までに1本(男優・石橋蓮司の話。朝までに即興で1本の新作映画を語ってしまう)
伝説4.心の台本(女優・原田美枝子の話。台本は捨てて,心で演技をと教えられた)
伝説5.民法の掟破り(撮影監督・森田富士郎の話。撮影ではどんどん尺が伸びる,CMをカットすればよいと言った)
伝説6.俺が回す(『顔役』の最後のスコップをふるう立花刑事の影は美術監督・西岡善信さんの吹き替えとか。勝新はカメラをのぞいていた)
伝説7.次ぎはイーグルス(男優・原田芳雄の話。アメリカで座頭市を製作するという話が出たときに,イーグルスの音楽を聞かせて,このグループに音楽を依頼してはどうかと言っていた。まだイーグルスがメジャーになる前の話)
伝説8.離婚会見の名監督(脚本家・倉本聰の話。「中村玉緒と離婚騒動の会見でも,記者のカメラが自分が嘆きのそぶりをすると光ることを観察していた。芸というと発信することばかりが話題になるが,勝新はなみはずれて受信能力が優れていたのだ」。)
伝説9.KITANOへ(評論家・白井佳夫の話。勝新の感性は北野武監督へ受け継がれた)
伝説10.兄弟・きょうらい(石原裕次郎との関係は兄弟のようなものだった)

覚醒剤所持で逮捕されたときのカツシンのセリフは,
「総理大臣の代りはいるがカツシンの代りはいない」

演出・手塚公一
プロデユーサー・伊藤成人・町田修・瀬崎一世
製作 TVTOKYO & イースト

 監督・勝新太郎を中心に取り上げた貴重な番組。1月10日頃にもNHKラジオで勝新を語る番組があった。
 「誰でもピカソ」で,一瞬映ったビデオの中に『警視K』があったので,調べて発注できた。1巻はなんと品切れだったが,2〜7巻は入手できた。こんなにうれしいことはない。
 原田美枝子が出演した『新・座頭市(第3シリーズ)』は「不思議な旅」(脚本・星川清司・奥村利夫,撮影・牧浦地志,監督・勝新太郎。1979年10月29日放送)。女乞食として登場した少女(原田)はアバラ家に住む一人住まいの安寿と名乗ったり,宿場の廓で市を肩もみに雇う女になったり。三種三様の声色と扮装と表情の変化を表す。次第に少女は自殺した隣村の女郎うめの娘らしいことが分かる。少女はうめの父親が「いち」だったと話し,「いち」と縫い取りのある財布を渡す。少女は市の娘か?実は少女の作り話であることが推察される。少女は母親の復讐に市を雇ったのだ(こんなふうに物語の説明があるわけではない。こういった理解は視聴者の方で創り上げるものとなっている)。それと知りつつ,市は宿場の廓をしきる非道な親分衆を斬り捨てる。とんでもない傑作(池田記)。
そして「冬の海」『新・座頭市(第2シリーズ)』。


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            勝新演出の「座頭市物語」「新・座頭市」

            勝新演出の「痛快!河内山宗俊」
 
            勝新監督『顔 役』

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            黒田義之監督の座頭市   


勝新太郎監督 「赤城おろし」 台本と完成作品との異同

勝新太郎監督『顔役』 分析採録

勝新太郎監督『新座頭市物語・折れた杖』 台本と完成作品の異同

真魚八重子「映像作家としての勝新太郎論」(四方田犬彦ら編『日本映画は生きている 第5巻 監督と俳優の美学』岩波書店に所収)