痛快!河内山宗俊
              池田博明
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「日曜日にはТVを消せ」番外篇 No.9 PART6
 2009年4月20日
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          痛快!河内山宗俊

           記録    池田博明


 毎週  ■曜午後9時から9時55分。フジテレビ。各47分。

 企画・久保寺生朗・眞田正典・中本逸郎(フジテレビ)・角谷優(フジテレビ)

 プロデューサー・西岡弘喜・吉岡徹

 美術・太田誠一 技術・大角正夫 照明・風間博 
 音楽・青山八郎  殺陣・楠本栄一 
 編集・谷口斗史夫
 現像・東洋現像所   


 このシリーズは放映当時はときどきしか見ていませんでした。CSの時代劇専門チャンネルで2008年10月の深夜に放送されているのに気が付きました。あわてて視聴契約をしました。2015年にも再放送されました。河内山宗俊自身が悪者を成敗するのに強請やたかりを駆使するので、カタルシスに欠ける展開になってしまっている。


 フジテレビ系 制作:勝プロダクション、フジテレビジョン 
 音楽:青山八郎


★第1話 「一世一代の大芝居」 (脚本・直居欽哉、三隅研次監督) 撮影は牧浦地志。

 御数寄屋坊主(茶器の管理を行う軽輩)の義賊・河内山宗俊の立場の解説が不十分なため、話がいまひとつ分かりにくいし、納得のいかない点も多い。第1話で理解できるのは宗俊が長屋のひとの借金を工面するため、自分が急死したことにして香典を集めようとするが、宗俊自身の借金の証文ばかりが集まってしまい、うまくいかないこと。輿入れの途中で川に身投げして狂言自殺を図った千代(桃井かおり)が、深川の木場の檜家の娘でレギュラー出演しそうなこと、宗俊の手下に丑松(ウシ.火野正平)と直次郎(ナオ.ヒデ)がいること、宗俊も頭が上がらない女将・お滝(草笛光子)が宗俊の面倒をみていること、情報屋の幻斎がいること(小松方正)、敵か味方か不明な浪人(原田芳雄)がときどき剣をふるい、宗俊を助けてくれること。
 丑がスリ取った財布にはご法度の檜を買い占める遠州屋の手形があった。この手形は金になると気づいた宗俊は遠州屋を脅迫し、背景に老中・水野忠邦(山村聡)の存在を知って、身分を騙り直接老中に談判に行く。女将を有栖川宮・滝川と名乗らせ、自身は遠城院住職・道開と名乗って水野を脅そうとするが緊張で言葉が出ない。しかし、女将が主張して手形は引き裂かれたものの口止め料をせしめる。そのお金を長屋の連中に分配して喜ばれるが、河内山自身は謎の刺客に狙われた。けれども謎の浪人(原田芳雄)が助けに入ってくれて、なんとか事なきを得る。
 「河内山だ」と名乗ると岡っ引きや捕り方が捕縛の手を引っ込めるのだが、どうして河内山にそれだけの権力があるのかが理解できない。
 

★第2話 「ねりべい小路がひと肌ぬいだ」 (脚本・東條正年、工藤栄一監督)  撮影は森田富士郎。

 心中の片割れでさらし者になっていた女きく(小川知子)をさらし場から解き放ったのは、あの謎の浪人(原田芳雄)だった。丑は浪人を尾行し、なめくじ長屋に女が匿われていることを知る。一方、直は心中の相手・佐吉の父、取りつぶしになった米問屋の能登屋が入水自殺しようとしたのを助ける。能登屋から事情を聴いた宗俊は、もと能登屋の番頭で今は越後屋を経営する徳兵衛(遠藤太津朗)が仕掛けた罠だったことを知る。越後屋は佐吉をきくに入れあげさせ、自分がきくを身請けするとみせかけ、佐吉に店の封印した小判を切らせる「封印切り」をさせて能登屋の店をとりつぶす計画だったのである。越後屋にとって計画を知っているきくは生かしておけない人物だった。越後屋は同心の藤川(江幡高志)に心づけを渡して便宜を図ってもらっている。
 浪人のもとからきくをさらった宗俊は、手下を使って店の前で暴れさせたうえで、それを蹴散らしてみせ越後屋を信用させ、きくをおとりに廃船におびき寄せて、礼金を取り、罪状を書き付けて、さらし場に晒す。きくは能登屋の旦那からも誘われるが、浪人・金子市に会いに居酒屋へ。酔いつぶれていた金子市は宗俊からもらった金をきくに渡し、故郷へ帰れと諭した。


★第3話 「ここ一番の大勝負」 (脚本・笠原和夫、黒田義之監督)  撮影は森田富士郎。

 子供たちの前で木彫りのこけしを彫って見せている金子(原田芳雄)。そこへ「いくらで売る?」と問いかけた若者がいた。勝目付・荒井重兵衛(草薙幸二郎))の息子・新太郎(松山省二)だと名乗る。相手にしないでいると、男は金を置き、「死にたい」と口走る。
 仲人を頼まれた宗俊、料亭の座敷で祝宴をあげていると、隣席から乱入してきた侍たちがあった。倹約令のもと、町民風情が祝宴とはけしからんとの言いがかり。乱暴者の武士たちは世情無用組(阿藤海ら)と名乗り、荒井重兵衛をいただいていた。万座で恥をかかされた宗俊は怒る。
 新太郎は味噌屋三州屋の息子だったが荒井家に養子に入った。荒井は商人の息子を養子にしては実家から金を出させ、金がなくなると離縁しては利益をむさぼる悪徳旗本。三州屋も離縁される羽目に。店の両親は首をくくったように見せかけて殺された。新太郎は味噌屋の頃の女中・お楽(服部妙子)を岡場所で見つけてやり直そうと決意していた矢先のことだった。
 状況を知った宗俊は荒井に養子を希望する者がいると持ち掛け、会う約束を取り付ける。当日、宗俊は金子を養子だと荒井に押し付け、金子は荒井に千両の買い物をせよと三州屋の死体と金の無心の覚書を売りつける。荒井の用心棒たちは金子に斬られ、荒井も自刃を刺して死亡。
 復讐が成功して宗俊一味は大喜び。新太郎はお楽と夫婦になり味噌を売り歩く日々だった。

★第4話 「祭ばやしに男が賭けた」 (脚本・野上龍雄、森一生監督)  撮影は牧浦地志。

 祭りが近いのに囃子の音が聞こえない。宗俊は倹約令のため祭り囃子などが自粛されていることを不審に思う。幻斎の役回りを横取りして河内山は水野(山村聡)に「祭りが大嫌い。昨今祭り囃子が消えて心地よい」と反語的に世情を訴える。倹約令とは裏腹に抜け荷で大儲けを企む商人たちもいた。山城屋(小池朝雄)は宗俊に瑠璃をはめこんだ時計を探してくれと依頼する。森田屋清蔵(大滝秀治)はロシアと貿易するための手形を得るため、松前島の守への手引きを宗俊に依頼、祭りへの寄進と称して三百両を渡す。
 抜け荷を扱っているえびすや(高品挌)の店で酔って暴れた丑松と直次郎だったが、えびすやの主にたたき出される始末。しかし、直はえびすやの娘に介抱された納屋で、時計を発見する。宗俊に時計を持ち込んだ直は時計から外れた宝石を山城屋へ持ち込む。その際に洩らした情報が町方へ流れてえびすやにお上の捜査が入り、えびすやの主人は死亡。
 森田屋は情報源を宗俊とみて確認に来る。事情を理解した宗俊は山城屋に復讐するために松前藩の奥方に賄賂を贈るという筋書きの計略を練る。お滝を松前藩主の奥方に仕立てて山城屋を騙す。
 

★第5話 「親孝行情けのかけ橋」 (脚本・直居欽哉・中村努、三隅研次監督) 撮影は森田富士郎。

 丑松の母親よね(小峰千代子)が息子の出世を見に田舎から出てくることになった。あいにく丑松は老婆の財布をスリ取った疑いで伝馬町の牢屋に捕らえられていた。宗俊たちは丑松のために大芝居をうつことにする。
 まずは丑松を牢から出さなくてはならない。北町奉行・遠山(若山富三郎)の助言で宗俊は通いの医師に変装、致死性の流行病の疑いを口実に丑松を養生所に管理することにする。長屋の連中を武士やお女中に仕立てあげ、千代(桃井かおり)を婚約者の姫君に仕立て上げてよねをだます。よねには隣村の茂作(常田富士男)が付き添っていた。
 遠山を失脚させようと南町奉行所の同心たちが丑松養生の件を怪しむが、養生の翌朝、なんとか逃げおおせて牢に戻った丑松だった。裁きでは、財布をスラれた老婆が丑松の無実を証言してくれて無罪放免。船で川を下って帰途につく老母を丑松は見送ることができたのだった。

★第6話 「米が仇の八百八町」 (脚本・東條正年、太田昭和監督)

 賭場で五十両と負けがこんだ丑松と直次郎。宗俊に金策に行くと直は賭場を出た。途中の大川の屋形船で逢引きしている人影を目撃。船から出てきた女の後をつけると、札差・井筒屋の内儀(三条泰子)だった。不義密通は引き回し・磔・獄門の罪である。札差は商品問屋の役目をする金融機関。金になると踏んだ直は宗俊に早速注進した。市中に米が出回らず、人々の口に米が入らなかったが、札差のもとには米が備蓄されていた。井筒屋の内儀の相手は勘定奉行・宇山弾正(睦五郎)。米を札差から出さずに値上がりを画策、私腹を肥やそうと企んでいた。
 宗俊は金子を井筒屋の用心棒に送り込み、不義の現場を押さえて弾正らを脅迫、備蓄した米を放出させる。


★第7話 「御祝儀放免」 (脚本・高橋二三、三隅研次監督)

 伝馬町の牢を改築している源三(花沢徳衛)は役人の梅田から恩赦特例お定め書きに書く囚人の名前を聞かれた。牢の建築のたびに棟梁が名指しした囚人一名が釈放される決まりである。既に梅田は何人かの囚人の縁故者から賄賂を取っていた。源三が誘いを断ると制裁を浴びた。宗俊は源三を諭して誰かの名前を書くように指示。
 宗俊にも金で釈放を持ちかけてきたのは龍仁の半蔵(須賀不二男。弟分の仙太を)、相模屋(鈴木瑞穂。息子を)、無実の兄を救出しようと身売りする妹と母親。北町奉行・遠山(若山富三郎)の助けも得ながら宗俊はお定め書きに私腹を肥やす図り事への処罰規定の但し書きを書き加え、私利私欲を肥やす役人を成敗する。


★第8話「三途の川は空ッ風」(脚本・直居欽哉、太田昭和監督) 1975年11月24日

 碇屋(戸浦六宏)が棺桶に隠した抜け荷の銃を森田屋(大滝秀治)が奪った。怒った碇屋は森田屋の囲っているお艶(赤座美代子)を誘拐して交渉に使おうとする。誘拐されようとするお艶をたまたま目撃した金子市(原田芳雄)が救う。斬られた男たちに驚いたお艶が抱きついたのは金子だった。
 金子の腕前を買った碇屋は金子を金で雇って森田屋を暗殺させようと図る。ちょうど金子の部屋には昔なじみの浪人が身を寄せていた。彼は胸を患っていた。殺しを請負った金子だったが、寝室に森田屋と一緒にいるお艶を見て、ひるむ。市は撃たれて手傷を追う。森田屋は金子を知っていた。金子から事情を聞いた河内山は森田屋に話をもちかけると、森田屋は抜け荷仲間で勝手な商いをする碇屋を抑えるためだと言い、金子さんへと見舞金を出した。金子は碇屋へ金を返す役割を河内山へと頼んだが、河内山は碇屋の器を見限って返金はしなかった。一方、森田屋は金子と話がしたいとお艶に伝言を頼む。
 お艶は金子と会ったことを隠したが、森田屋は見通していた。森田屋はお艶に手切れ金を渡す。再び抜け荷を取られた碇屋はお艶を誘拐して。森田屋を殲滅しようとする。誘拐の現場を見ていた火野正平は金子や河内山へ連絡。森田屋は「女に未練はないが、碇屋は許せない」と、河内山や金子に手を貸す。碇屋が指定した川岸の掘っ立て小屋にみなが集まって来た。
 お艶(赤座美代子)に対する金子市(原田芳雄)、森田屋(大滝秀治)、宗俊(勝新)と立場の違う三人の感情を無言のうちに、描破してみせた太田昭和だが、<新座頭市>の「父恋い子守唄」ではそれ程ではない。「三途の川・・」は大人の恋愛ドラマとして大胆であり、見事であった。お艶は川で拾われた子だ。こんな風に言う、「今度生まれてくる時は男に生まれてくるんだ。そして好きな女を・・・一生大事にしてやるんだ」と。いじらしい。ラスト、お艶の死体を舟にのせ、川へ返してやる・・・。撮影は森田富士郎。
 1976年2月2日放映の『痛快!河内山宗俊』「雪に舞う女の絵草紙」(脚本・尾中洋一・直居欽哉)も十朱幸代主演で見事だった。
 演出は太田昭和でも撮影者が違う。「父恋い・・・」は渡辺貢、「雪に舞う・・・」は牧浦地志。
■1975年11月24日週間TVガイドより。『痛快!河内山宗俊』
 市之丞はふとしたことでお艶(赤座美代子)と深い仲に。友人・辰之進の苦境を救うため、市之丞は碇屋重兵衛から森田屋清蔵殺しを引き受ける。清蔵の寝込みを襲った市之丞は、同じ部屋でお艶の姿を見て驚く。剣先を鈍らせた市之丞は逆に手傷を追った。


★第9話 「罠にはまった中仙道」 (脚本・星川青司、大州齋監督)  撮影は牧浦地志。

 丑の「旦那、駆け落ちしてしまった」と始まる。宗俊が鼈甲屋の唐津屋多座衛門(河津清三郎)の囲いもの・お奈美(大谷直子)と一緒に駆け落ちしてしまったようだという。二人の居所が分からないが、唐津屋は金に糸目はつけないと言う。宗俊から金子市之丞(原田芳雄)に手紙が来て、上州・高崎にいるという。金子市と丑と直は高崎に向かう。唐津屋もついてきた。
 この道行、お奈美のほうからもちかけた話だという。温泉宿に二人は投宿していたが、なぜか刺客がやってくる。斬りあいのさなか、お奈美は侍に斬られて絶命。いまわのきわに呼んだ名前は「島田さま」だった。黒幕がどう関係しているかが、よくわからない話である。
 島田家四千石が背景にあるらしいが、唐津屋と組んでその屋敷は役人で警戒厳重となっているというところで幕。


★第10話 「鬼より怖い奴がいた」 (脚本・岩元南、工藤栄一監督)  撮影は森田富士郎。

 天井裏のネズミに耳を立てる宗俊。そこへ丑松が若い男と一緒に駆け込んでくる。男は森田屋の娘婿・藤介(川地民夫)だった。前の晩に宿場で飲み食いをしたあげく女郎を買っての大騒ぎ。しかし金が無い。用心棒に追われているという。用心棒は森田屋の名前を聞くと帰っていった。事情を聞くと、森田屋が昔、長崎から江戸へ出て来たときのなじみの女が産んだ娘・お房(柴田美保子)。その婿が藤介だが抜け荷を扱うような大きな商売には向かない気質。森田屋は藤介を信用していない。藤介もそれが分かって荒れていた。
 その夜、再び丑松らと一緒に大判振る舞いのあげく、廻船問屋・丹波屋(垂水悟郎)から借りた二百両を盗まれてしまった藤介。実は借金の二百両は丹波屋の図り事、藤介から抜け荷の情報を探ろうとしていた。翌日のえびすやの法事の席で抜け荷の合議をする森田屋は障子の外で誰かが聞き耳を立ててているのに気が付いた。障子を開くとそこには藤介の姿が。宗俊は藤介の身を預かり、事情を聞きだす。丹波屋に一人で乗り込んだ宗俊は藤介の借金の証文を取り返す。丹波屋は藤介の娘・お花を誘拐、お花を取り戻した金子だったが、金子からお花をあずかった宗俊は丹波屋の刺客に刺されてしまう。傷をおして宗俊は丹波屋へ出向き、人質にとられていた藤介を取り返す。藤介は激しい拷問に合っていたが抜け荷の情報は白状していなかった。
 絵草紙屋を続けていく決意をしたのか藤介夫婦が宗俊に礼を言いに来る。お花の土産は宗俊の嫌いなネズミだった。


★第11話 「男が泣いたわらべ唄」 (脚本・桜井康裕、森一生監督)  撮影は宮川一夫。

 川べりに着いた舟から降りた男たち、押し込み強盗の一味だった。子供でさえ容赦なく斬り捨てる残忍さ。
 直は宗俊に強盗対策の用心棒で梵天の政五郎一家(富田仲次郎)が羽振りをきかせていると話す。一方、金子が彫る木彫りの人形を見つめている少女・お通がいた。お通は生まれつき心臓の病気を持っている。気の毒に思った金子は蝋燭問屋の松代屋の用心棒になって支度金10両を薬にあてようとする。
 梵天のいきのかかっている店は強盗に遭わない。松代屋の娘が梵天一家に言いがかりをつけられる。金子は薬問屋を回っていて留守、浪人の土屋が娘を助けに入る。松代屋は金子を追い出し土屋を雇うが、実は土屋は梵天の手先だった。梵天の賭場でいかさまを見抜いた金子は梵天でも用心棒をしている土屋を目撃する。
 裏を知った宗俊は梵天を脅迫し、薬代を得る。御典医に見てもらい、薬も都合してもらったが、お通は死んでしまった。松代屋への押し込みの夜、梵天一家へは宗俊が、松代屋へは金子が守りに行った。勢いで梵天一家を成敗する宗俊。


★第12話 「ぬれ手に油の三万両」 (脚本・中村努、黒田義之監督)  撮影は牧浦地志。

 行燈の油が切れたと立ち寄った油問屋・三杉屋(今井健二)はずいぶん宗俊にへり下った挨拶だった。それが気に入らない宗俊。三杉屋の周辺でうろつく不良少年どもを目撃した。
 浅草に遊びに出た直・丑・お千代・金子。五文で天秤棒で金子に三度打ち掛からせるという見世物で小金を得て飲み屋で騒ぐ始末。お千代は木場人足だった幼馴染みの仙太(河原崎健三)に出会う。仙太は不良たちとつるんでいた。昔を懐かしむ暇もなく、お千代は仙太に強姦されてしまう。仙太は不良たちの兄貴分で自暴自棄になっていた。夜になり、仙太たちは三杉屋に泥棒に入り、千両箱にぎっしり入った小判(ニセもの)を発見。三杉屋に徹底的に追及される羽目となる。三杉屋は昼間に宗俊が様子を見に来て、夜の泥棒も宗俊の手引きだと思い込み、宗俊一家を皆殺しにしろと命令する。一方、お千代は仙太と再会、仙太が連れている足をケガした若者を助けようと卵酒を都合する。卵酒を注文した居酒屋で金子がお千代と出会う。手当の甲斐なく若者は死んでしまう。
 自分に泥棒の疑いをかけられた宗俊は三杉屋に乗り込んでいく。三杉屋には人質にとられたお千代と仙太がいた。仙太は身を捨てて、お千代を救おうとする。大暴れして三杉屋一味を斬った宗俊たち。
 お千代は浅草の水茶屋へ働きに出ることにしたという。


★第13話 「鯉が命の子守唄」 (脚本・中村努、太田昭和監督)  撮影は牧浦地志。

 城中、西の丸の火事の夜、長屋では赤ん坊が生まれた。丑と亀は誕生祝いと思って宗俊から一両もらい、鯛を買おうとするが、役人に公儀に納入する鯛が一匹不足だからと拒否される。抵抗した漁師の亀三が役人に手打ちになってしまう。宗俊が乗り出して探ってみると、火事の後の奉行更めから逃れるため留守居役が鯛を買い占め、鯛に小判を詰めて奉行に賄賂を送った結果、鯛の数が不足したことが分かった。老中・水野(山村聡)の下、火事の不審奉行・武部(名和宏)は留守居役の大名たちから賄賂を取っていた。亀三は傷がもとで死亡。河内山は水野に直接訴える。魚河岸の元締め・森九衛門は亀三の孫娘・お糸(吉沢京子)に屋敷奉公を薦めていた。長屋にイワシを売りに来たお糸だったが、河岸の手代に滅茶苦茶にされる。お糸は元締めに会いに行き、乳の出がよくなるというコイの仕入れを一匹依頼する。九衛門は両国の梅本を紹介する。河内山は留守居役の大名たちに情報を出すとみせかけて賄賂を取る。梅本では森が武部を待たせていた。あわやというときに河内山が助けに入る。翌日、水野は武部を詰問、お沙汰により切腹。森は所払い、留守居役は職を解かれ、国元へ返させた。


★第14話 「鉄火肌一ばんまとい」 (脚本・直居欽哉、黒田義之監督)   撮影は牧浦地志。
 
 矢場で的を外す丑(火野正平)、的に当てる銀次(林与一)。町火消し・い組の銀次は常火消しの連中と喧嘩。矢場のおしん(本阿弥周子)へ横恋慕した直参旗本の諏訪兵部(田口計)は常(じょう)火消しに肩入れ、なにかと町火消しを目のかたきにする。常火消しのかしら・鉄五郎はい組の頭に常火消しのまとい持ちが喧嘩で怪我をしたと因縁をつけて、い組のまとい持ちを銀次にさせるなと約束させる。
 銀次とおしんは意地の張り合いで喧嘩ばかりしていたが、河内山らは二人を四畳半に一緒にする。そこで仲直りした二人だったが、火事が勃発。い組の牛松が立ったまといを騒ぎの中、常火消しに取られてしまった。い組の頭はまといを返してもらう交渉に出かけた。しかし、常火消しの頭・鉄五郎はまといを返すのに銀次におしんをあきらめさせて、おしんを役人・諏訪兵部の妾に差し出せという。
 飲み屋でこの噂話を聞いた河内山は、諏訪兵部へ直接交渉に行く。だが、兵部は河内山の頼みを断る。
 一方、銀次はおしんに別れを告げていた。銀次はひとりでまといを取り返しに行く腹なのだ。銀次に河内山が加勢する。火の見やぐらに上がった河内山と、常火消しの屋敷になぐりこんで、まといを取り返す銀次。そうこうするうちに、本物の火事が発生。太鼓をたたく河内山の腕にも力が入る。一方、銀次はい組のまといを火事場で立てた。数日後、お正月の席で祝言をあげる銀次とおしん、二人の姿があった。 

★第15話「地獄に花をつみに行く」(脚本・田口耕三、勝新太郎監督)  1976年1月5日 

 長屋を出る通いの髪結・長次(緒方拳)は両替商・平戸屋の家に出入りしていたが、番頭・清七(川口恒)は長次に身分の違いをわきまえろと話す。娘・お駒(竹下景子)の髪には触るんじゃないと。そんな清七は辻強盗に襲撃され、五十両を盗られる。その夜、借金のかたに娘を取られる少年に長次は十両を渡して、姉を救わせる。実は長次の兄は酒におぼれ、平戸屋に借金をしたあげく、自殺していた。裏で娘を売り買いしている平戸屋のあるじ(村上冬樹)は、借金のかたにとった娘の初店に行く宿場で絵草紙面をかぶった男に殴られ、持っていた五十両を盗られる。平戸屋の訴えを聞いた河内山は、犯人を長次とあたりをつけ、長屋に偵察に行く。
 河内山は子供たちを相手に絵草紙面をかぶっておどける長次の姿を目撃。長次は髪を整える平戸屋のあるじに、蔵のなかで清七とお駒の密会を告げ口する。怒った平戸屋は清七をくびにする。長次はお駒を誘拐し、清七をお駒と会わせる算段をしたとおびき出す。駆け落ちをえさに河原に呼び出した清七を殴る蹴るといたぶる長次。河内山はとりなしを約束に長次と交渉するが、強いものを嫌う長次は河内山との取引を断る。
 百両をおとりに長次を呼び出した河内山は、長次の留守に丑と直に命じて長屋からお駒を救出。平戸屋からせしめた百両を長次に渡すが、長次は百両を「ものもらいじゃない」と投げ返す。殴り合う二人をとりなすのは姉と一緒に屋台を引く姉を救ってもらった少年だった。「神様をなぐらないで」との言葉に長次の認識をあらためる河内山だった。▼撮影は渡辺貢。竹下恵子はお人形さま然とした扱い。


★第16話 「夜明けに消えた男星」 (脚本・田口耕三、安田公義監督)  撮影は牧浦地志

 河原の樽のなかで寝ていた浪人(石原裕次郎)は、やくざにからまれたお千代(桃井かおり)を助けた。直(ヒデ)と同名の直次郎と名乗った浪人は蘭学の本を持っていた。高浜藩の留守居役・島村が河内山を尋ねてきて、殿様から拝領した印籠を返せと伝える。無論、河内山は返さない。船で落ち合う島村と利益供与を企む鳴海屋(須賀不二男)。印籠には島村が殿を暗殺する毒針が仕込んであった。
 直次郎は妾腹だが、実は殿の兄貴分、陰ながら島村の謀略を知り、殿の命を守ろうとしている。河内山は島村と鳴海屋を自分が印籠の毒に当ったと仕掛けておびき出す。死体を検分に来た二人を待っていたのは直次郎だった。直次郎は森田屋の手引きで異国へ消えた。富川K夫、外山高士、沖田駿一
 

★第17話「火と燃えよ恋のかよい路」(脚本・尾中洋一、太田昭和監督) 年月日 撮影は牧浦地志

 森田屋の差配で、小伝馬町の牢から病気と偽り、脱獄させられた大次郎(高橋長英)は、計画にはなかった牢から出る日に反物泥棒の濡れぎぬが晴れて出会うことになった宮津屋のゆき(宇津宮雅代)に会いに行った。森田屋(大滝秀治)は牢抜けの手段を金子(原田芳雄)と丑松(火野正平)に依頼していたが、とんだ計画違いになってしまったのだ。大次郎は牢抜けの朝、役人にいたぶられたとき、ゆきから「卑屈になることなんかない」と言われた。その言葉と眼差しに感動して立ち寄ったのだった。
 森田屋は異国へ出たいという若者の意気に感じて牢抜けの手配をしたのだったが、脱獄囚の逃亡を助けたとあっては、遠山の金四郎のおぼえがめでたい河内山の立場も無くなる。二人が役人に捕縛されてしまっては大変だ。
 金子市は二人の意気に感じて二人の脱走を手伝う。事情を知った森田屋は二人が隠れた川岸の船宿を役人に通報して、捕縛させる。森田屋は河内山の立場を守ったのだ。金子市は森田屋の仕打ちに納得できない。しかし、町中引き回しになる二人を助けようと切り込もうとする金子市を森田屋が止めた。森田屋の計略で、非人たちが火をつけた大八車を引き回しの列に突入させ、二人を助けて、異国行の船に乗せるのだった。
 牢名主(江幡高志)、役人(西田良)、石山雄大、非人(志賀勝)、灰地順。


★第18話 「雪に舞う女の絵草紙」 (脚本・尾中洋一・直居欽哉、太田昭和監督) 撮影は牧浦地志 

 絵師の緒方龍谷に絵を見てもらおうとする娘・りえ(十朱幸代)が、入門料30両を持ってこいと門人たちにたたき出される。夜の江戸で1枚20文で絵を売る娘から丑たちは絵を購入。宗俊は売り手の娘に興味を持つ。娘は体調を崩して長屋に連れて来られたが、その隣室に市之丞がいて、娘の訳ありの様子に手助けをしようとする。金子市の努力にもかかわらず、娘の絵は売れなかったが、娘は宗俊のところに寄宿することになる。そこへ画商の石雲堂(浜田寅彦)が尋ねてきて、絵を30両で買う条件に江戸を離れてくれと言う。娘の持っている絵を見た北斎は、若いころの龍谷の絵だという。一方、りえを斬ろうとする男が現れ、この男、龍谷の用心棒(成瀬正孝)だった。りえの母親は龍谷の捨てられた妻だった。妻は旅の途中で行き倒れ、りえは龍谷に恨みの一言を言うために生きてきたのだった。龍谷の25年前の模写の絵を残して、りえは宗俊のもとを去った。龍谷(松山照夫)の屋敷に乗り込んだりえは、座敷牢にとじ込められた真の龍谷を見る。廃人同様の父の姿にりえは言葉を失う。龍谷の絵が競売にかけられている寛永寺に、宗俊はりえと真の龍谷を連れていく。寛永寺で石雲堂が値を付けた偽物を龍谷とりえは切り裂くのだった。
 佐々木孝丸、林孝一、北見唯一

★第19話 「見果てぬ夢の宝の山」 (脚本・中村努、斎藤武市監督)▼撮影は森田富士郎

 丑はお染(渡辺外久子)に心中を持ちかけられる。首をくくろうとした二人は小判を発見。しかし、小判は子供たちの祭りの玩具だった。一方、百五十年前、由比正雪の35万両の埋蔵金の夢があるという話を持ってきた六兵衛(森本レオ)。森田屋に埋蔵金の話をもちかけたところ、森田屋もその話に乗った。この話を聞いた紀州藩・柿内(沼田曜一)は、藩が謀反人・由比正雪に加担したとあっては、お家の大事にかかわると、埋蔵金探索を阻止しようとする。事情を知った森田屋は埋蔵金の探索を止めさせようと書置きで当たりをつけた掘削現場に駆けつける。宗俊たちは書き付けの謎を解いて埋蔵金を見つけたものの、小判には紀州藩の印があった。せっかく掘り出した小判を爆弾で埋め戻す宗俊だった。
 花岡秀樹、下元年世

★第20話 「おれとあいつの忘れがたみ」 (脚本・星川清司、工藤栄一監督)   撮影は牧浦地志

 宗俊は江戸へ出てきた板八(小沢栄太郎)と出会った。板八は宗俊に三味線を教えた男だった。45年ぶりに出会った板八は、昔愛したお久のことが忘れられない、そのお久が産んだ娘がいたらしい、身ごもっていたことを知らなかったが、その娘は深川の材木問屋にもらわれていったらしいが、問屋は身代がつぶれて娘も行方知れずになったという。深川の材木問屋の娘といえば、お千代(桃井かおり)のことではないか、宗俊たちはお千代を板八の娘と思い込む。
 さっそく板八をお千代に会わせようとするものの、お千代は廓の丁字屋の女郎・ゆうむらさき(丘夏子)の身代わりになって十日間、女郎になってしまっていた。ゆうむらさきは、母親の死に目に会いたい、きっと戻ってくるという約束で廓を出たのだった。お千代に客を取らせまいと交代で宗俊たちはお千代のもとに通うが、すぐに金が底をつく。賭場で勝った金子市に金の使い方を講釈する宗俊だったが、素直に貸してくれと言えない。
 お滝(草笛光子)は材木問屋・ひのき屋のもと番頭に、お千代はあるじの妻・お里の娘で、子供のなかったお久が引き取った娘だったことを聞く。宗俊はそのことを板八に告げないように言う。板八は三味線を質に入れた。丁字屋の卯之吉(蟹江敬三)がお千代に惚れたと言う。金策がつきた宗俊たちはお千代に足抜けさせるしかなくなるが、宗俊はフグの毒に当る。直と丑と板八はお千代を足抜けさせるが、丁字屋の追手が迫る。いったんは金子市の長屋に逃げ込むが、すぐにつき留められ、一度は追い払ったものの、人数を増やして丁字屋はやってきた。板八は卯之吉に刺される。瀕死の板八を「おとっつあん」と呼んでやれと宗俊はお千代に言うのだった。
 守田学哉、武周暢、中村錦司、野上哲也  


★第21話 「妻恋、母恋風ひとつ」 (脚本・尾中洋一、太田昭和監督)  撮影は森田富士郎

 岡場所で樽に閉じ込められた丑。金を持っていなかったからの始末である。樽のなかから女郎どうしの喧嘩を目撃する。もと侍の女房だからって女郎の挌が上がるわけじゃない、女郎の挌はここだよと言う台詞が聞こえる。侍の女房はおしづ(藤村志保)という名前。一方、辻斬り浪人(清水紘治)は女の子を連れて母親しづを探していた。茶店の店先で父親を待っている少女おきくに同情したお千代(桃井かおり)は丑や直にも協力を求めて、少女の母親探しを手助けしようとする。一足早くおしづの情報を知った宗俊は、女郎屋へ出かけ、おしづからすっかり身の上話を聞いた。奥平藩士上月佐元太の妻だったが、十石取りの貧乏藩士、ある日、しづに横恋慕した藩士・島村正敏に強姦され、不義密通を理由に碌を失った。一方、上役の息子・正敏にはお咎めなし。しづは、いまの自分を子供には見せられないと告白。
 宗俊はお千代たちに中途半端な同情は禁物と関係を断つように進言するが、母親と子供の愛情を第一に考えるお千代には二人を合わせないほうがいいという宗俊の判断が理解できない。
 暮れ六つの鐘を合図に丑・直・千代は力を合わせて、父・母・娘を会わせるのだった。宗俊は経緯を聞いて激怒、二人は死んでしまうぞと断言する。出会った母と子は涙にくれるが、父は汚れた母とともに汚れた自分も見せたくはなかったと言い、娘ともども心中しようとする。辻斬りを許せないという金子市は宗俊に剣をふるう佐元太を斬った。岡場所の部屋で、しづは短刀でのどをついて自殺を図っていた。情けをかけたことが裏目に出ることを知って、お千代はショックを受ける。宗俊は島村家へ乗り込み、千両箱を強請し、少女の養育費に当てる。のどを突いたしづの生命はなんとか助かりそうだ。
 中井啓輔、杉野公子、西山辰夫、香月京子


★第22話 「桃の節句に雪を見た」 (脚本・田口耕三、黒田義之監督)   撮影は牧浦地志

 宗俊が連れていた大俵玄馬(津川雅彦)は女性に興味がなく、時計を分解して喜ぶような殿様だった。その妻にと水野(山村聡)が選んだ相手は、雲井家の夕姫(由美かおる)。地震をきっかけに屋敷を飛び出し、町娘の着物・髪型になって、ナンパされかかった夕姫を、宗俊が助けた。宗俊の家で、炊き立てのご飯や沢庵を喜ぶ夕姫。行方不明の夕姫を必死に鳥居耀蔵(岸田森)たちが、探索していた。そのうちに、お互いに相手の素性を知らぬ殿と姫が出会って、魅かれる羽目になる。
 中村公三郎、平井岐代子、原良子、溝田繁 、

★第23話「真っ赤に咲いた想い花」(脚本・星川清司、勝新太郎監督)  1976年3月8日   撮影は森田富士郎

 雨に濡れたてるてる坊主が落ちた。芝居見物に来た宗俊たち。宗俊は客席のひとりの女・楽(范文雀)に見とれる。どしゃぶりの雨。
 お滝の伯父が女に入れあげて二十両の借金をした。直は子おろしの女の用心棒に二十両を出すと聞きつけてきていた。宗俊は、さっそく楽の用心棒に雇われる。子おろしを隠れて生業とする女が楽だった。堕胎にはるという小娘を手伝いに使っている。そこへある日、五平次(石橋蓮司)に付き添われて、子をおろしに来たのは吉野家(勝部演之)の娘だった。吉野家は生娘と偽って娘を殿さまに献上する計画だったが、誰か分からない男の子供を孕んだとしたら計画が水の泡。
 証拠隠滅を図る吉野家の命を受けて、五平次は金子市に楽と宗俊を斬る話をもちかける。しかし、宗俊はこのネタをもとに逆に吉野家を恐喝する。
 棘がささって破傷風になった娘はる。はるは楽の母親が男と通じて産まれた子だった。はるを見捨てようとした楽は、五平次に撃たれてしまった。宗俊は小石川の養生所へはるを届けさせる。金子市が吉野家が雇った侍たちを斬った。
▼奈三恭子、小俣真紀、富田浩太郎。

★第24話 「手玉にとられた鬼三匹」 (脚本・星川清司、安田公義監督)   撮影は牧浦地志。

 森田屋は外国相手の商売を始めようと宗俊に打ち明けていた。その茶屋で森田屋と宗俊は、大奥務めのお菊(加賀まりこ)に、水野の倹約令で芽生姜が将軍の禅に出なかったことを意見して欲しいと頼まれた。ケチな話を不審がった宗俊だったが、数日後、そのお菊を手籠めにした罪を着せられ、宗俊だけでなく、金子市と森田屋も奉行所で詮議されることとなった。お菊の養父・加倉井(玉川伊佐男)は養女の不始末を隠そうと画策。加倉井は反対派・桑島と相通じ、水野失脚を図っていた。お菊は将軍お手付きとなって大奥から出られなくなるのが嫌さに一計を案じたのだった。
 お照(和田幾子)、成瀬昌彦、村田吉次郎

★第25話「桜吹雪江戸の夕映え」(脚本・尾中洋一、勝新太郎監督) 1976年3月22日放映  撮影は渡辺貢
 
 大目付からの書状が遠山金四郎(若山富三郎)に届いた。禁制の抜け荷買いで森田屋を上げろという命令だった。手足となる山鹿忠兵衛らを使えという。忠兵衛は手始めに証拠をつかもうと、雑踏のなかで、森田屋の懐中の財布をスリ取った。しかし、丑が財布をスリ返した女スリおマキ(野川由美子)を助けようとした。森田屋の財布は空だったが。丑は、五年前に掟破りで江戸を追放されたスリ仲間の女おマキを助けたのだった。おマキが持っていた財布の中身は、森田屋を破滅に陥れるものだった。抜け荷の割符である。忠兵衛たちに対抗しておマキを守り通す宗俊たち。北町奉行の遠山には、大目付から捜査状況を報告せよというお達しがあった。その前日、森田屋と宗俊が金四郎のもとを尋ねる。金四郎の持つ割符と宗俊の持つ割符が合った。金四郎は言う。森田屋が獄門になったらその後釜を狙う輩がどんどん出てくる、だが、森田屋の目が黒いうちはそやつらは出て来ないと。宗俊は証拠品の割符を食ってしまう。金四郎「そんなものを食って、こなれるか?」、宗俊「走ればこなれます」。翌日、いさんで石段を駆け上がる宗俊の姿があった。


★第26話 「無頼六道銭」 (脚本・直居欽哉・中村努、太田昭和監督)  撮影は牧浦地志

 宗俊は歌舞伎の舞台で鳥居耀蔵(岸田森)と渡り合っていた、というのは夢の話。老中・水野に鳥居は河内山を召し取れと進言していた。鳥居が南町奉行になってからというものの、贅沢を禁ずる締め付けがきびしくなり、庶民の暮しはひっ迫、水野の評判はガタ落ち。森田屋の情報によって、宗俊たちは金座方の富豪・後藤三右衛門(多々良純)の出戻り娘・たま(水森亜土)の婿にと丑と直を仕立てて、結納金をもうけようとする魂胆。同じ屋敷のなかで小判の改鋳を企む鳥居と後藤が会っていた。悪だくみを盗み聞いた宗俊は、水野のために手を考える。金子市は捕り方を斬った。森田屋は罪を問われることが必定の金子市に江戸を離れ、異国へ渡ることを提案する。後藤家との結婚話が壊れたにも関わらず、河内山一党は宴会を催していた。
 森田屋は後藤を銃で脅し、改鋳に伴う金を減らした帳簿を宗俊とともに突きつけた。宗俊屋敷に鳥居が斬り込み、金子市が防いだが、お滝がさらわれた。宗俊たちは後藤を引っ立てて、鳥居屋敷に乗り込むのだった。
 長谷川弘、大橋一元、河野真由



 ▼『座頭市物語』『新・座頭市』放映リスト 


 座頭市物語         日曜日にはTVを消せ No.9 PART1 

 新・座頭市第1シリーズ  日曜日にはTVを消せ No.9 PART2 
 
 新・座頭市第3シリ−ズ  日曜日にはTVを消せ No.9 PART4 

 『勝新演出の座頭市』   日曜日にはTVを消せ No.9 PART5

 痛快!河内山宗俊     日曜日にはTVを消せ No.9 PART6

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