News >「仕事日記」2007年7月


7月1日(日) 林家正蔵リハーサル 高木クラビア
“サッチモ物語”ここのところ毎年夏に展開しているという銀座の落語イベント。桂小朝さんや林家正蔵さんなど有名どころが低料金で、つまりは落語ファンが増えてほしいというボランティア。正蔵師匠が挑む新作(書き下ろし)の、今日は初の読み合わせ。
ファックスでもらった台本を読んで面白かったのが、語りになると俄然立体的になるのに驚いた。ルイ少年とキング・オリバーの出会いのシーンなど感動的。エリックに習っているというラッパやお姉さまの歌も入ってにぎにぎと。三平師匠の出番もあるので“誰がその役を?”と、これは事前に電話で聞いてしまった。気になるものね。“いや、わたしが二役というか、演じわけというか、落語ですから。”愚問でありました。
小川典子リハーサル ミューザ川崎シンフォニーホール
○ショパンメドレー。ネットで調べた人気ランキング上位13位までの曲を作曲年代順に配したアレンジ。交互に弾きながら僕のところはジャズにして、3曲に一回はクラッシックで弾いているところに茶々を入れる、という趣向。キャパ2000人の空っぽのホールで小川典子のショパンを聞くという贅沢。
○ガーシュイン:ヘ調のコンチェルト。映画“パリのアメリカ人”中、オスカー・レバントの“夢見るピアニスト”シーンでの短縮版を取材。それは3楽章なので、1〜2楽章の短縮版も作った。スコアを見ながらじっくりと取り組んだ。45分ほどの曲を一旦リードシートに書き、コードを振って赤を入れて、とかなりな時間をかけてじっくり作っただけのことはあって中々の仕上がり。オケパートをピアノ伴奏する場合、今回のようにコード弾きで対応する方が却ってダイナミクスが出るように感じた。
伝兵衛ライブ飛び入り 尾山台 クロさん宅
小川典子さんとのリハーサルを終わらせて電車に乗ろうとするところへミューザ川崎事務局の栃窪さんよりお声がかかり小一時間話す。来年のアドバイザー企画のこと、今年度内に伺うミューザでのコンサートのことなど。ホールアドバイザーになってからミューザは勿論いろんなコンサートに行くのが俄然増えた。ある種の義務感でもあるが、元々好きだったことが仕事がらみになることによってフットワークが軽くなる、ということはありがたくも楽しいことである。などとニマニマしながら、初めて買ったSUICAの便利さに驚きながら東急大井町線に乗り継ぐ。
駅にお迎えに来てくれたMACOちゃんに案内される道筋はとても遠くめげそうになるが、たどりついてみると素敵なおうち。20人ほども集まっているだろうか、皆さんいい感じで出来上がっており、ついさっきまでポンタ氏がいたという。おいしいワインなど頂きながらDUSTで演奏。アップライトでプライベートパーティで。こんな時にとてもいい演奏が出ちゃったりするのだな。とても気持ちのよい夜になりました。めまぐるしかったけど。
7月2日(月) PRISMリハーサル 烏山BSTスタジオ
 
7月3日(火) PRISMリハーサル 烏山BSTスタジオ
 
7月4日(水) 鑑賞 松任谷由美“シャングリラ” 横浜アリーナ
いや驚いた。感動した。人間の体がああもこうも動くものか。音・曲芸・舞踊・装置・美術が一本筋の通った演出に統率されることで“確実な不定形”が抽象的に姿を現す。幽玄ともいうべきか。
7月6日(金) 新日本フィルハーモニー リハーサル 荒川区民会館
十束先生はウイーンフィルで指揮というからすごい。写真も立派なので緊張していたが、楽屋に訪ねて来た白髪混じりのもじゃもじゃ頭に牛乳瓶めがねの人がその人だとは紹介を受けるまで気付かずに、薄ぼんやりとした目つきで挨拶を済ませてしまった。しかし気を悪くされる様子もなく、カットする場所はありますか、などと早速打ち合わせに入る。
オケというものは基本的に労働組合なので合理的な時間配分を常に要求されるのだろう。バリバリのクラッシックの人がカット云々と先ず尋ねるというのは一般にそれが行われているだろうことを予想させられるが、僕は今回ノーカットバージョンで取り組もうとしている旨申し上げると了解とのこと。ところがオケ合わせであやうく跳ばしそうになった箇所が出たので“カットしてもいいんですよ”と言ってくれたが、ソロでノーカットは初めてなので一度はやっておきたいところ。そのままお願いした。

“パリのアメリカ人”と“展覧会の絵”についてのリハーサルを拝聴した。素晴らしい指揮だった。クラ(リネット)のビブラートやグリッサンドなど指揮棒から音が出ているがごとくに見える。

たしか文京サンパーク、ついサンポールと言ってしまいがち。文京公会堂とか文京区公民館のほうが判り易くていいと思うのだけれども全国的にいちいちセカンドタイトルがついているのは今時の傾向。いつからだろう。ともかく町は鬼灯(ホオズキ)だか朝顔(アサガオ)だかのお祭りで楽しげな様子にこちらまで浮ついた気持ちになる。
7月7日(土) PRISM30周年 新宿フェイス
 
7月8日(日) 林家正蔵リハーサル 高木クラビア
ケイトリハーサル ビクター303スタジオ
個人リハーサル(ラプソディ・イン・ブルー)高木クラビア
7月9日(月) 新日本フィルハーモニー 富士市ロゼシアター
昨日の個人練習が利いた。ダメ押しというのは大事なことである。楽屋を出たら女高生が出待ち。珍しい。韮山から打ち合わせを兼ねて来てくれていた人も“おしゃべりや解説も聞きたいけど、ひたすらピアノを聴き続けていたくなりますね”といってくれて嬉。
新日は管楽器セクションが充実。
7月10日(火) ファンクセッション“ハムカツブラザーズ”銀座スイング
八尋洋一(B)
松山修(Ds)
堤智恵子(As) 
今福健司(Perc)<<<明るく、正確でとてもいいミュージシャンと新たな出会い。八尋君の年来の相棒らしい。
翠川ケイト(Vo)ビクターよりデビューしようとしている新人。
7月12日(木) 観劇 東京壱組 黄色い熱を帯びた人々 シアタートップス
大谷亮介(演出)・野田晴彦(音楽)・原田宗典(脚本)というゴールデントリオの作品。大谷亮介とは20年来の付き合いなのだが芝居を見るのは初めて。面白かった。
いろんな付き合いもあるだろうと、後刻の呼び出しを言付けて一足先に“お多幸”でおでんを食べていると役者何人かでこちらに合流。吉田秀子さんもいらしたのには驚き。そしてしばしの緊張。そういや大谷は自由劇場出身だった。
7月13日(金) CM 代々木ワンダースタジオ
 
7月14日(土) 鑑賞 林家正蔵の会 銀座ブロッサム中央会館
明日の参考になればと思い出掛けたら、ソールドアウト。事情を言うとロビーでモニターを見せてくれた。風間杜夫(!)を立って見ているうちに椅子を出してくれた。休憩の間にその椅子を場内最後列に運び入れて、中で見せてくれた。落語界は親切。イベンター界の“人を見たら敵と思え”みたいなのとは対極。
7月15日(日) 林家正蔵“サッチモ物語” 銀座王子ホール
面白かった。楽しかった。受けた。またやりたい。
7月17日(火) ドゥ・マルシェ レコーディング 烏山BS-Tスタジオ
○リベルタンゴ………アコの音圧にご本人納得いかずてこずる。10テイクほど録る間どれを採用されてもいいように集中を続けるのはなかなか“キツ楽しい”。
○パリのお嬢さん………2テイクをフリーのイントロの部分について違うタイプの演奏をしたところ、1テイク目のイントロで第3テイクを、といわれ急遽自分を取材。唯一の弱点、さっきやったことをもう一度。が、うまくいったと思う。クラッシック練習の賜物?
○木漏れ日………書かれた音符が殆どで、しかもあまり展開してはいけない静かな曲。ベーゼンドルファーインペリアルのふくよかな音色に助けられた。

並木さんというギタリスト(リベルタンゴのみ共演)。頼りになるプレイヤー。
7月18日(水)サテンドールセッション
川嶋哲郎(Ts)
井上陽介(B)
大坂昌彦(Ds)

イスファハン
???(トム・ハレル)
蓮の花
サマータイム
and more
??? and more
マイワンアンドオンリーラブ
ドナリー
マックザナイフ
All The Things You Are

現状最も理想的なセッションメンバー。この4人が揃ったらどこでもいつでもやる。この面子でなかったら中途半端なセッションはしない。という方針でしばらくはいいだろう。そのわりには9月も10月もすでにサテンドールセッションが入ってはいるが。

サテンドールはもつ鍋に手を出したり、フィリピンバンドタイムを設定していた一時期もあったりなかなか経営に腐心している一面もあるのだが、この夜のことでいうと客筋はそうとうレベルが高い。川嶋のどこまでもチャレンジする様子や、大坂の(僕の知る範囲では最高位の)ハイテンションとアグレッシブさをそのまま喜んでくれる。このアプローチはスイングシティでもブルースアレイでも難しいだろう。またこの面子もセッション、川嶋の言い方に拠れば“ガチンコ・セッション”での丁々発止がいいのであって、パーマネントバンドにすると妙にコンセプチュアルな方向が出たりして面白みは減ずるだろう。

いずれにせよポンタボックス以来ずっと求めていた状態、僕自身が“ヒィヒィ”言いながら体にあるもの全てを総動員する演奏心地が体験できて嬉。

ここんとこのセッションメンバーは“佐山さんと出来て嬉しい、有難い”という人々の場合が多かったけど、今日の面子はまるで対等でしかも容赦ない人たちだもんね。とはHHのチィママの言。
7月19日(木) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
 
7月20日(金) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
 
7月21日(土) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
今日の名言その1
“ナマってるクリ超イナカ”
訛の話題の時に岩槻市出身の演出助手:栗原が学童保育の生徒に言われたとの報告。
岩槻弁があるかどうかはさておき、東京の小学校低学年生が実にムダなく言いたいことをすべて言い表し、親しみを込めた揶揄まで表現しつくしているところがすごい。“助詞を完全に省略することで文章のリズムが高速化する”とは吉澤耕一の名解説。

今日の名言その2
“グンタマチバラギ”
上の話の流れで吉澤氏が披露。関東地方をバカにする総称でひとつで二つの役割を担うピボット・タームが満載。群馬・埼玉・多摩・千葉・茨城・栃木。“タマ”がまるでダブル。千葉はそのまま使っているように見えて茨城につながる。但し、茨城の音はイバラキであり、最後のギと濁ることで栃木を無理やり入れてしまっているところがすごい。因みにこの6つに東京・神奈川つまり江戸・相州を足すと関八州になる。東京神奈川の人々がそれ以外の関東人を揶揄するに使う用語かも知れぬ。

表参道裏通りの中華“蓬莱”。たんたんめんがうまいと聞いて訪ねたが、麺そのものが品切れとのことで残念ながら評判の高さが偲ばれる。つまみも酒も旨い。ラバーズ・ロックとも言うべきBGMについて尋ねるとレゲェだという。インシストミュージックだったレゲェが、ロックと同じく市民権を得る代償に牙を抜かれたごとくに柔らかくなっていった経緯は知っていたつもりだがここまできているとは知らなかった。レゲェのかかるチャイニーズレストランというのも面白い。大いにあっていい。
7月22日(日) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
 
7月23日(月) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
 
7月24日(火) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
 
7月25日(水) 月猫えほん音楽会リハーサル 青山劇場Bリハーサル室
これだけみっちり稽古に付き合ったのは9年間で初めて。子供参加じゃない絵本も含めて全ステージ分を完全譜面にしたのも初めて。といってもリードシートだが。随分とラクだし、何といっても来年の思い出しに強い味方。今年5月の譜面行方不明事件の教訓。
7月26日(木) 月猫えほん音楽会 現場仕込み 場当たり
 
7月27日(金) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場 
 
7月28日(土) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
 
7月29日(日) 月猫えほん音楽会 青山円形劇場
 
7月30日(月) 鑑賞 新日本フィル ベートーベン4番 指揮:ジェームス・レバイン
先月の東京交響楽団と聞き比べが出来て楽しかった。一部でのエルガー“チェロ協奏曲”もよかった。アンコールの出入りの回数及びアンコール曲に入るタイミングなど学習。

チェリストのアンコール曲、ペトリス・ヴァクシス“チェロのための【本】より”というのが抜群によかった。

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2007年