形態伊豆諸島に生息するノコギリクワガタのうち、伊豆大島、利島産のものは ミヤケノコギリクワガタ同様大腮が比較的短く、原歯型で内歯が不明瞭で前胸が若干丸みを 帯びる個体が見られる。また、中型の原歯型〜中型大歯型の個体では前足の脛節、付節、中足、 後足の付節が比較的長く、交尾器も原名亜種と比較して長く形態が異なっている。 しかし、65mmを超える大型個体では外見上、原名亜種と区別の難しい個体が出現するため 伊豆諸島北部型として扱うこととした。 伊豆半島の原名亜種は伊豆大島産のように大型化することはなく、足の長さの違いも無く、 交尾器も伊豆諸島に生息するのノコギリクワガタ類とは異なっている。 ♂♀とも大型個体が多く♂では70mm、雌では40mm以上の個体も比較的多くみられる。 伊豆大島産は赤みがかった個体が多く見られ色彩の個体変異が著しい。 生態 主にオオバヤシャブシの樹液に集まりますがカラスザンショウやタブノキの樹液にも集まる。 燈火にもよく集まり、自動車につぶされている姿をよく見かける。また、交通事故にあった死 骸の体液を吸う様子もよく観察される。 |
左 原名亜種 右 伊豆大島産 中型大歯型〜中型原歯型では明ら かに伊豆大島産は足が長い。 |
左 原名亜種 右 伊豆大島産 原歯型小型個体では足の長さの 違いは不明瞭だが前足脛節およ び付節の長さが異なり伊豆大島 産はより長い。 |
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北海道〜九州産原名亜種の中足の付節の長さと 体長の関係。 バラツキが少ないことから北海道〜九州産の ノコギリクワガタのメスの付節の長さには 地域変異が無く個体変異の幅も小さいと言える。 |
伊豆大島産ノコギリクワガタ伊豆諸島北部型の中足の 付節の長さと体長の関係。北海道〜九州産の個体に比 べややバラツキがあり個体変異の幅が大きいと言え る。グラフが明らかに上にあることから付節が安定し て北海道〜九州産のものより比較的長いことがわか る。 |
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伊豆諸島産ノコギリクワガタの交尾器はは原名亜種のものに比べて基部の部分が長い。
樹液に集まった中歯型個体 |
燈火に集まった大型の雄、下は原歯型 車にひかれて死ぬ個体が多い |
路上で死骸をなめる雌 |
幼虫は、主にヤブツバキの立ち枯れの根の部分を食べて育ちます。
利島のものはそれほど多くの個体は確認していませんが大島よりは比較的小さいようです。しかし
ミヤケノコギリよりも大型のもが比較的多く見られます。