伊豆諸島には、クワガタムシの他にもいろいろな昆虫が生息していま
す。中には、大島のハンノキカミキリのような固有種もいます。
ハンノキカミキリは、6月から7月にかけての初夏にまだ、ノコギリ
クワガタが活動をする前に姿を現し、雄は盛んに飛び回りながら雌を探
します。雌は雄よりも一回り大きく、オオバヤシャブシの葉上や幹に止
まり雄を待ちます。ハンノキカミキリは短い期間に一斉に現れてすぐに
姿を消してしまいます。不思議なことに亜種になっているのは大島のも
のだけで新島に生息するものは本州のものと同じものです。
(写真は交尾中のハンノキカミキリ大島亜種)
本州により近い島のものが変異しているのは興味深いことです。
伊豆諸島でよく見かける蝶は、モンキアゲハです。
木陰をゆったりと飛ぶ姿をよく見かけます。三宅島のカラスアゲハは
本州のものと比べて青みが強く美しい色をしています。残念ながらま
だ、写真に収めることができていません。
(左は大島のアサギマラダ、真ん中は式根島のモンキアゲハ、右はアザミに集まった神津島のコアオハナムグリ)
伊豆諸島には、島がかつて陸続きであったことをあらわす昆虫もい
ます。
大島には、ヒメマイマイカブリが生息していますがヒメマイマイカ
ブリは飛ぶことができません。もし、大島が陸続きになったことが無
いとするとこのヒメマイマイカブリは、大島に入り込むことはできな
いと考えられます。
(右の写真は大島のヒメマイマイカブリ)
また、八丈島には南西諸島にすむリュウキュウツヤハナムグリやサ
ツマゴキブリが生息しています。これらは、植木や土に混じって人為
的に入り込んだ昆虫と考えられます。
(左から、大島のクロタマムシ、新島のオオヒョウタンゴミムシ、利島のニイニイゼミの羽化)
この他伊豆諸島には、マツを食べる昆虫が多く生息します。特にクロカミキリは夏になると燈火によく集まります。
この他クロタマムシ、ウバタマムシ、マツノマダラカミキリなどが見られます。
新島には、海岸の掃除屋さんのオオヒョウタンゴミムシが見られます。
伊豆諸島には、クマゼミ(利島産)、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクホウシ、アブラゼミ、
ニイニイゼミが見られますが
島ごとに分布や発生の時期が異なっています。
特にツクツクホウシは、夏の終わりに鳴き始めるのに対し大島では6月頃から鳴き声が聞かれます。
大島では非常にたくさんのアブラゼミが見られ、夏には場所によっては木にびっしりとついていることがあります。
本州のものと違いはないようですがあまりよく飛ぶことができないようです。
大型のトンボはオニヤンマ(新島産)が生息していますが、本州のものと比べると一回り小さいそうです。