至仏山( 至仏山:2,228m ) 2002.10.12 登山


  笠ヶ岳頂上より至仏山、小至仏山、燧ヶ岳 ( 2002.10.12 )

【至仏山再登山記録】

【至仏山再登山データ】

フォト

初回登山


至仏山再登山記録

この 10月の 3連休 (12、13、14日) は晴天が続くらしいとなれば、 その前の週の 鳥海山登山 における晴天の余韻がまだ残っているだけに、 是非とも山に行きたいという気持ちが強くなる。こうした好循環が続けば、山行回数も増えようというものである。
さて、行き先であるが、フッと閃いて尾瀬の 至仏山 にした。
私生活ではほとんどブランド物には興味はないのだが、山だけは ついつい有名な山、百名山を選んでしまうという悪い癖があるが、 この至仏山については前回登った状況があまり芳しいものではなかっただけに、再登山もある程度やむを得ないものがある。
前回登ったのは 4年前、雨模様の天候にいつ雨が降り始めるのかとやきもきしながら登ったのであり、 また登山口の鳩待峠から頂上までずっとガスの中で、一切の展望を得られない寂しいものだったのである。
せめてもの慰めは、1年前に再開通した山ノ鼻コースを下ることができたことで、展望無しの上に、ピストン登山という最悪の状態を免れたことであろう。

今回も登山口は鳩待峠。工事で渋滞している環状八号線で時間をとられたものの、 関越自動車道を快調に飛ばし、沼田ICで高速を下りてからは、120号線を進んで戸倉スキー場へと進んだ。
戸倉スキー場に車を止め、そこから鳩待峠まではマイクロバスの利用となり、鳩待峠に着いたのは 8時9分であった。
この日は快晴、前回は見られなかった至仏山方面を鳩待峠からも見ることができたのが嬉しい。
峠から見る至仏山は、その全体が見える訳ではないのだけれど山容が丸みを帯びており、優しさを感じさせてくれる。

峠を出発したのが 8時14分。黄色に色づいたブナの林を緩やかに登っていく。
クマザサの原をを切り開いた道が徐々にきつくなると、樹林もやがてまばらとなり、 右手に 燧ヶ岳 の姿が見えるようになった。
前回はガスで何も見えない中、ひたすら登り続けただけに、同じ道を辿っているとはいえ、周囲の景色の変化が初めてのルートという感じにさせてくれる。
道が尾根の左側を巻くようになると、展望が大きく開けるようになり、振り返れば 燧ヶ岳と尾瀬ヶ原の姿が見え、 また、左手には 男体山奥白根山などの 日光の山々が逆光の中でシルエットとなっている。
さらに、その右手には 武尊山の山容が大きく、 正面には笠ヶ岳と思われるピラミダルなピークが見える。本日は、至仏山の頂上を踏んだ後、そのまま往路を戻って、 帰りがけにこの笠ヶ岳を往復をするつもりである。

やがて、尾根を回り込んで再び樹林に入り 一旦視界が消えるが、すぐに今度は右側の展望が開けるようになり、 尾瀬ヶ原の広がりとその先にある 燧ヶ岳の姿が目に飛び込んできた。
これこそ尾瀬という感じで、この景色を逃して ただ登るだけであった前回の登山が、いかに虚しいものであったかを強く感じた次第である。
この素晴らしい景色は一旦樹林の中に入って見えなくなるが、やがて目の前に湿原が現れ、 湿原を横切る木道の先には小至仏山の岩峰が見えるようになってきた。オヤマ沢田代である。
小さな池塘を左に見て先を急ぐと、再び樹林帯となりやがて笠ヶ岳への分岐を左に見ることになった。
笠ヶ岳を先に往復し、至仏山からは山ノ鼻コースを下ることにしようかとの考えも フト浮かんできたが、 今日の状況では至仏山の頂上が混み合うことは必定、従って至仏山頂上は早く踏んだ方がよかろうと、 当初の予定通りまずは至仏山を目指すこととしたのであった。

樹林を抜けると草地の斜面となって再び右手に尾瀬ヶ原、 燧ヶ岳方面の展望が開けるようになった。
ガイドブックによれば、この辺は夏には高山植物が咲くお花畑になるようである。
道はハイマツと岩の中の登りとなり、高度をグングン上げていくようになる。振り返れば笠ヶ岳のピラミダルな姿と、 そこへと続く稜線のラインが美しく、その優美さは北アルプスの抜戸岳から 笠ヶ岳へのラインを彷彿させる。
さらに後方には日光連山の連なりが見え、目を楽しませてくれたのであった。
岩稜を登り切るとそこが小至仏山の頂上で (9時26分)、そこには 至仏山頂上よりやや小振りの御影石の石柱が置かれていた。
この小至仏山頂上も展望は抜群なだけに休む人も多く、混み合うのが嫌いな私は石柱の写真を撮ってそそくさと先を急ぐことにしたのであった。

斜面が下りになると、今度は目の前に至仏山の姿が現れた。
鳩待峠から見た優美な姿とは違って、岩でゴツゴツしたアルペン的な山容に少々驚かされる。
特に水上町方面側の、谷から突き上がっている姿はなかなか男性的である。
一旦下って鞍部からハイマツと岩の道を黙々と登る。もう先が見えているだけに足取りも自然と快調になる。
十数人の団体を抜いて、まずは頂上手前のピークに登ってみた。そこから至仏山頂上を見やれば、かなり多くの人で頂上は埋まっている。
これにはやや気分がめげてしまったが、頂上右手の 燧ヶ岳と尾瀬ヶ原の姿を見れば、 間に何も遮るものなく 燧ヶ岳 と対峙してみたいという気持ちが強く湧き、 早く頂上へ向かおうという気になってくる。

足下には既に氷がはっている箇所があったのに驚きながら岩の間を抜け、一登りして至仏山頂上に着いた。 時刻は 9時56分
かなり早く登ってきたつもりだが、頂上はやはりもう満員状態であった。
ここからの展望は抜群で、眼下に広がる尾瀬ヶ原の広がりと池塘群、そしてその先に見える 燧ヶ岳 の姿は何とも魅力的である。
この景色を見ずして至仏山に登ったというのでは、画竜点睛を欠くといったところであろう。

ゆっくり山頂からの景色を眺めると、燧ヶ岳 の左には 会津駒ヶ岳から中門岳へと続くなだらかな山容があり、 その左手前には景鶴山の突起が目立ち、さらに左手奥には 平ヶ岳が見える。
平ヶ岳の左奥に見える 2つの山容は 越後駒ヶ岳中 岳 であろうか。
そして、さらに左に大きく目を向ければ 谷川連峰 が見えるなど、 遮るものがない大展望に飽きることがない。
しかし、先に述べたように狭い山頂は人、人、人。長居は無用と言うことで握り飯を急いで食べた後、すぐに下山を開始したのであった (10時15分発)

小至仏山まで一気に戻り、後は尾瀬ヶ原、燧ヶ岳を見ながらの楽しい下山である。
多くの人とすれ違いながら笠ヶ岳への分岐に着いたのが 10時48分。ここからは静かな山旅となった。
人の気配が全くない上に、樹木が多いために日が当たらないところが多く、急に心細さが増す。
熊でも出てくるのではないかという不安にかられながらぬかるんだ道を進んで行くと、すぐに樹林を抜けることとなり、 ササの中の道となったので一安心である。
振り返れば小至仏山の姿が見える。

やがて、パッと展望が開け、目の前にササの斜面の広がりとずっと続く尾根が見え、 尾根の先には美しいピラミッド型をした笠ヶ岳と、その右横に子供のような小笠のピークが見えた。
とても気分爽快にさせてくれる光景であるが、笠ヶ岳が意外に遠いのには少々驚かされた。
笹原の尾根道を緩やかに下って再び樹林に入り、何回かのアップダウン、樹林の出入りを繰り返すと、 やがて小笠の基部で、道は小笠の東斜面を巻くようになる。
目の前には笠ヶ岳のピラミッドが大きく迫っているが、よく見ると、この笠ヶ岳の北面は樹林に覆われているものの、 南面は木々の無い岩場でそのコントラストが面白い。

再び樹林に入ってまた抜け出たところは笠ヶ岳の基部で、見上げれば黄色く染まった草と岩の斜面が日の中に光っている。
斜面をジグザグに登った後、山腹をグルッと回るように進むと、やがて前方遠くに片藤沼らしきものが見え、 そこから下り着いたところが笠ヶ岳頂上への分岐点であった。
ここからは崩れやすそうな岩の急坂を、ペンキ印に導かれながら登ることになる。道は急だが距離はそれほどでもない。
登りながら振り返ると、片藤沼の湖面がかなり大きく見えるようになってきている。
息を切らせながら登り着いた笠ヶ岳頂上は狭い岩場で、そこには既に 5人の先客が憩っていた (11時51分)
しかし、至仏山山頂よりはるかに静かである。

ここからの展望は、狭い頂上だけに 360度全体を見渡すことができるため抜群で、 至仏山よりもお勧めかもしれない。
何と言っても素晴らしいのは、先ほどまでその頂上にいた至仏山、そして手前の小至仏山が双耳峰のように立ち、 その右手には 燧ヶ岳 の姿が見えたことである。
この尾瀬の 2名山を一緒に見ることができるのは嬉しい。
反対側に目をやれば、やや霞み気味ながらも 赤城山の姿が見え、 その右には 武尊山が大きい。
また、武尊山の右奥には 谷川岳、 そして 苗場山が続き、 眼下には ならまた湖も見える。
また、赤城山の左側には 奥白根山男体山の突起が目立ち、いつまでも眺めていたい気分であった。

帰りはもう一気である (12時15分発)
辿りし道をスピードをつけて進む。
そして笠ヶ岳分岐に戻ったのが、13時14分、鳩待峠に戻り着いたのは 13時54分という超スピードであった。

この日は晴天に恵まれ、最高の登山コンディションであった。
何度も言うが、ただひたすらガスの中を登るだけであった前回の登山をもってして至仏山に登った気になっていたのは、 気の抜けたビールを本物のビールと思い込んでいたのと同じである。
周囲の景色も登山には重要な要素であって、それが欠けていたのではやはり完全な登山とは言えない気がするのである。
しかしこうなると、展望を得られなかった山は、つい最近登った 白 山月 山も含めてかなりの数に昇る訳で、 大きな宿題を突きつけられたような気分である。


至仏山再登山データ

上記登山のデータ登山日:2002.10.12 天候:快晴単独行日帰り
登山路:鳩待峠−オヤマ沢田代−笠ヶ岳分岐−小至仏山−至仏山−小至仏山−笠ヶ岳分岐−小笠−笠ヶ岳−小笠−笠ヶ岳分岐−オヤマ沢田代−鳩待峠
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道路)−用賀IC−(環状八号線)−練馬IC−(関越自動車道)−沼田IC−鎌田−戸倉スキー場(車にて)−(マイクロバス)−鳩待峠
交通復路鳩待峠−(乗合タクシー)−戸倉スキー場−鎌田−沼田IC −(関越自動車道)−練馬IC−(環状八号線)−用賀IC−(東名高速道)−横浜IC−瀬谷 (車にて)



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