登山NO.0021 笠 ヶ 岳( 笠ヶ岳:2,897m ) 1990.8.1登山


 稜線から見た笠ヶ岳( 1990.8.1 )

【笠ヶ岳登山記録】

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再登山


NO.21 笠ヶ岳登山記録

前日の槍ヶ岳登山に続いて、 今日は縦走最後の笠ヶ岳登山である。

朝 6時半に双六小屋を出発。
今日の行程を考えたらもっと早くすべきであったのだが、トイレが空くのを待っていたりしたら、このような時間になってしまった次第である。

少し双六池の方に進むと、笠ヶ岳の特徴ある姿が見えてきたが、遙か遠くに見え、 本日 果たして家路につけるだろうかと少し心配になる。
左側から山に取り付き、少し見晴らしの良い所に出ると、槍ヶ岳が目に飛び込んでくる。
槍の穂先から昨日通った西鎌尾根が根っ子のように左側に張り出し、右は穂高連峰へと屏風のような尾根が続いている姿は、 逆光のため全体が黒く見えることで一層重みを加えて、堂々として見える。

道は基本的に槍穂高連峰と谷を挟んで平行になっていて、槍ヶ岳、奥穂高岳を常に意識しながら進むこととなる。 なかなか素晴らしい道である。
緩やかだった道も、やがて左下に鏡平山荘と池塘が見えてくると、結構 キツイ弓折岳への登りとなる。
喘ぎながら弓折岳を登り越すと、今度は急な下りとなり、続いてさらにまた急な登りとなったため、かなり息が切れるが、 暫く行くと道も緩やかになり、やがて今までとは別世界の秩父平に下り立つこととなる。

秩父平は小さなカールになっており、黄色や白い花が咲くお花畑や池塘、またその上部には雪渓もあって、 周りを囲む岩稜と雲一つない青い空の下、明るい雰囲気を持った素晴らしく気持ちの良い場所である。
ここで一服すれば良かったのだが、今朝ほど見た笠ヶ岳の遠さが頭にあったのか、つい休みそびれて通過してしまう。 お陰で途中でエネルギー切れとなって、カールの急な壁を登って稜線に出る最後の登りが大変きつく感じられた。

稜線に飛び出す、長く続く稜線の先にこれから登る笠ヶ岳の大きな姿が飛び込んでくる。
緑とベージュ色に覆われたその特徴ある姿は、空の青と良くマッチして、これまでの山とは違う何かを感じさせてくれるのであった。

さすがに腹が減ってきたので、途中の雪渓に下り立ってソーメンを作って食べることにしたが、 雪に冷やした麺つゆが冷たく、疲れた体には大変おいしく感じられたのだった。

ここからはハイマツの中のプロムナードとなり、腹ごしらえもできたせいか大変気持ち良く足も進み、 途中の抜戸岳もその山腹を巻くことで難なく通過して、やがて笠新道の分岐に到着。
登山ルートとしては、笠ヶ岳に登った後またここに戻ってくることになるので、重い荷物をこの分岐に置き、 水筒のみをサブザックに移して笠ヶ岳へと向かうことにする。

途中、抜戸岩があり、その名の通り岩の割れ目の中を通っていくようになっていてなかなか面白く、 その割れ目の間からは小笠と赤い屋根の笠ヶ岳山荘を見ることができたのだった。

気持ちの良いプロムナードも、さすがに笠ヶ岳が近づくにつれ登りもキツくなり、 喘ぎながら着いた笠ヶ岳山荘でポカリを買って体に水分を補給。その後、最後の踏ん張りを発揮して岩くずの急斜面を登り、 ようやく笠ヶ岳頂上に着くことができたのだった。

頂上はケルンが沢山積まれており、岩に周りを覆われた祠もあったが、頂上の標識はと言えば、 肩幅位の板に笠ヶ岳と書かれた古ぼけたプラカードのようなものが二等三角点のそばにあるだけであった。
頂上からは、槍ヶ岳から続く槍穂高連峰を良く見ることができ、 また頂上直下に拡がる播隆平も見ることができたが、やがて、立ちこめてきたガスに何も見えなくなってしまった (しかし、 播隆上人のようなブロッケン現象は現れなかった)

下山途中、笠ヶ岳山荘直下のキャンプ場横に残る雪渓から流れ出す水を飲んだが、 冷たくて疲れていた体が生き返った心地がした。お腹がダボダボになるまで飲むとともに、水筒に詰まっていた水を全部捨てて新たに詰め直しをする。
結果的にはこれが正解であった。

笠新道分岐まで戻り、置いておいた荷を背負い、杓子平へと下る。
しかし、初っぱなから気を付けないと滑り落ちてしまうような急斜面を下ることになる。なおかつ岩くずの多い道で、 登ってきたらキツイだろう などとつい思ってしまうような場所であった。

杓子平に下りると、周りはお花畑で、ミヤマキンバイやハクサンイチゲなどの花が咲き乱れており、 振り返ると先ほど通った稜線が城壁のように立ちはだかっているのが見える。
道は途中から本格的な下りとなり、灌木の中をジグザグに下りていくことになる。この道が長く、 目の前に見える中崎尾根の高さがいくら下っても自分のいる位置より低くならないことにイライラさせられ、 また照りつける太陽の中、へばり気味になって途中 何回何回も水を飲む始末だった。そういう意味では、先程 水を汲んで置いたのは大正解。

ようやく道も緩やかになり、暫く進むと林道に合流する。しかし、そこからの林道歩きもへばった体には結構きつく、 ようやく両側に宿屋が見えてきて、新穂高温泉に着いたことを確認したときは本当に嬉しかった。

新穂高温泉のバスターミナルの広場に公衆浴場があったので、そこで汗を流した後、 午後 4時半のバスで飛騨高山へ向かう。

今回は夜行列車利用、3日間の北アルプス縦走、2泊の山小屋泊まりなど、初めてのことだらけであったが、 天候にも恵まれ、アルプスの良いところを十分に堪能できた素晴らしい山行であった。
しかし、槍ヶ岳の項でも述べたように<、 STRONG>常念岳や笠ヶ岳では感じた登頂の喜びを、 肝心の槍ヶ岳山頂では感じることができず、その点が心残りである。

しかし、とにかく総じて万歳と言いたい、大変楽しい山行であったことは間違いない。


笠 ヶ 岳 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1990.8.1 天候:快晴後曇り単独行前日泊
登山路:双六小屋()−弓折岳−秩父平− 抜戸岳−笠新道分岐−抜戸岩−笠ヶ岳山荘−笠ヶ岳−笠ヶ岳山荘−抜戸岩−笠新道分岐−杓子平−笠新道登山口−新穂高温泉
交通往路常念岳の項参照
交通復路:新穂高温泉−(バス)−高山−(高山本線)−名古屋 −(東海道新幹線)−新横浜−(市営地下鉄)−横浜−(相鉄線)−瀬谷
温 泉:新穂高温泉
その他:7月31日は双六小屋泊。翌8月1日に笠ヶ岳登山。下山後帰宅。
その他の笠ヶ岳登山新穂高第3駐車場−登山口−杓子平−笠ヶ岳−笠ヶ岳山荘 ()、
笠ヶ岳山荘−笠ヶ岳−抜戸岩−笠ヶ岳−雷鳥岩−槍見温泉−新穂高第3駐車場 (2014.9.9 : 快晴後曇り、 9.10 : 晴れ)
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