登山NO.0086 白 山( 白 山:2,702m ) 2002.08.02 登山


 雨によりガスが流された弥陀ヶ原( 2002.08.02 )

【白山登山記録】

【白山登山データ】

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NO.86 白山登山記録

加賀の白山に登ってきた。
新規に登る百名山としては昨年の夏に登った
後方羊蹄山 以来ということになる。
登山日は 8月2日の金曜日。2日間の年休をとって前日の 1日に金沢入りし、レンタカーを借りて白山を往復したものである。
ただ、何としたことか、登山日に当てた 8月2日だけが雨になってしまったのであった。
無論、天気予報でも 2日の日は雨と出ており、覚悟は出来ていたのだが、切符の手配をした時点では、1日も 2日も晴れとの予報だっただけに 金沢への出発前日にそれを知った時は大変なショックで、できることなら飛行機、レンタカー、ホテルをキャンセルしたいと思った程である。

1日に小松空港に降り立った時も翌日が雨とは思えぬ天気で、これはまた天候が回復してきたのでは との期待を抱かせてくれたのだったが、ホテルで見た天気予報はやはり雨、本当にやりきれない思いであった。
しかし、天気予報を詳しく見ると、全体では雨マークが出ているものの、3時間毎の予報では午前 9時までは曇りマーク、 雨は正午からとなっている。
こうなったら選ぶ道はただ一つで、できるだけホテルを早く出発して登山口に着き、雨の降らないうちに頂上近くまで登ってしまえということになる。

と言うことで、ホテルを出発したのは午前 3時50分。
フロントには申し訳なかったが、せっかく金沢まで高い金をかけてやってきたのに雨の中の登山というのでは勘弁して欲しい訳で、 致し方ない。
カーナビ付きのレンタカーは全く知らない土地でも何の問題もなく目的地まで運んでくれる。目的地を白山温泉 (市ノ瀬) にセットしたところ、 暗闇の中のドライブも本当にスムーズであった。
市ノ瀬には 5時少し前に到着。いきなり懐中電灯を持った人たちに止められ、白山登山かどうかを確認された。
どうやら別当出合の駐車場が混んでいるので、山中で 1泊する人たちを確認し、該当者はここで降りてもらってバスで送るらしい (といってもこれは小生の勝手な推測である。 山中 1泊なら下山は必然的に土曜日。交通規制が金曜日の 20時以降始まるので、登山が土曜日にもかかる場合を考えてこのような措置を取っていると想像した次第である)
小生は日帰りであることを申告すると、そのまま林道を進むように指示され、5時5分、早朝というのに車と人々で賑わっている別当出合下の駐車場に着いたのだった。

空は白んではきているものの一面雲に覆われ、太陽が顔を出す気配は全くない。
山の方を見ても、上の方はガスで霞んだ状態で、予想はしていたものの、せっかく選んだこの日がこういう状況であるのを恨むばかりであった。
とはいえ、雨が降っていないだけでもマシで、そそくさと身支度を終えて駐車場を出発したのは 5時11分、 駐車場横にある白山登山道の標識を見て山道に入った。
雨を恐れる気持ちが強く、足は自然と速くなる。
樹林に入ってジグザグの道を一登りするとすぐに建物 (茶店 ?) が現れ、 多くの人たちが身支度や食事をしている広い場所に飛び出した。ここが別当出合である。
ここで道は 2つに分かれる。一つは小生が登りに使おうとしている砂防新道で、もう一つは下山時に使うつもりの観光新道である。
実はこのことはあまり意識せずに、ただ道なりにまっすぐ進んでしまったのだが、結果的には正解だったことになる。

すぐに吊り橋を渡る。左手には砂防新道の名の通り、治水のための堤防工事が山の斜面で行われている。
睡眠時間が短かいとはいえ、一汗かく頃には身体の動きも良くなってきて快調に足は進む。
道はしっかりしていて何の心配もない。要所要所には標柱が立てられており、頂上までの距離が書かれているので、 自分の位置をある程度知ることができ、励みになる。
しかし、周囲は相変わらずガス状態で、道の両側の草木しか見えない。

登り始めて約 1時間、別当覗という標柱のある場所に出たが、 恐らく晴天なら下方の別当出合が見える場所なのであろう (6時24分)
ここでイヤな音が耳に入って来た。パラパラと草木をたたく雨の音である。
天気予報を信じて 10時位までは雨が降らないとであろうと思っていたのに、これでは話が違う。 こういう時の気持ちは本当に言葉では言い表せないものがある。
しかし、怒りを口に出したのが天まで届いたのか、すぐに雨は止んでくれ、以降 頂上まで降らないでくれたのは嬉しい限りであった。

緩やかな道をジグザグに登っていくと、ベンチがある広い場所に出た。
ベンチが置いてあるからにはここも見晴らしが良い場所にに違いないが、全く周囲は白一色である (6時50分)
ベンチで小休止した後 少し登ると、すぐに甚之助避難小屋で (6時57分)、 小屋の前では結構な人数の人たちが朝飯を食べていた。
私は先ほど休んだばかりなので、小屋の前を素通りして進む。
道は何度も言うようだが緩やかで、身体は結構楽である。本当に周囲の景色が全く見えないのは残念至極である。

やがて道は南竜ヶ馬場への道を右に分け、岩場が目立つようになってくる。
ここからは登山道を横切る水の流れが多くあり、喉を潤すにはもってこいである。ここの辺はやや道が急になるだけにこの水はありがたい。
この道は登りに最適という感じがする。
崩壊地を横切るような感覚で岩場を黙々と登り、いくつかの流れを渡っていくと、やがて大きな岩の前に飛び出すことになった (7時49分)
ここは砂防新道と観光新道とが出合うところであり、大きな岩には 黒ボコ岩 という名前がつけられている。
ここからは弥陀ヶ原の平らな道が続く。周囲はガスっていて何も見えないが、この広く平らな原の様子は何となく想像がつく。
比較するにはやや小さいが、平ヶ岳 の山頂付近といったイメージか。
砂利が敷かれた道をスピードを出して進む。何も見えないのがやはり悔しい。

原の突き当たりから再び登りが始まる。
ごつごつした岩の道となり、今までになく急な感じで、少し息が上がる。御 嶽 の登りのイメージである。
そして、この坂を登り切ったところが室堂で、目の前には室堂センターの建物が霧の中に浮かび上がっていた (8時7分着 − 15分発)
センターの裏手に回るとそこは大きな広場で、ガスっている中に結構多くの人たちがいるのには驚かされた。
広場の正面には白山比盗_社社務所があり、登山道はその鳥居を潜るようになっている。この辺になると信仰の山という雰囲気がかなり出てくるが、 道の方は散策道といった感じでしっかり整備され岩畳のようになっている。風は冷たく、体温を奪う。
他の人たちは皆ウエアを羽織っているが、別当出合から登り詰めの私には半袖で問題ない。
ハイマツと岩、そしてガスの道を黙々と登ると、青石と呼ばれる大きな岩があったが、ここが地上界と天上界の境目とのことである。

石仏が残る高天原を過ぎ、室堂から 36分、石垣に囲まれた白山比盗_社奥宮が目の前に見えてきた。
ようやく、白山頂上、御前峰に到着である (8時51分)
神社の少し先に一等三角点と標柱があり、これでようやく 86番目の百名山登頂である。頂上は大きな岩場からなっており、それほど広くはない。
しかし、何遍も書くようだが、ガスに囲まれた頂上というのは何とも味気ない。
ところがである、20分ばかり頂上にいて先に進むべく腰を上げたところ、どういう訳かほんの一瞬サーッとガスが晴れ、空の一角に青空が覗き、 この御前峰に対峙する剣ヶ峰の鋭鋒とその間の火口の姿が目の前に広がったのであった。
慌ててカメラを構えたものの、ガスが晴れたのはほんの一瞬で、カメラに収まったのはややガスのかかった剣ヶ峰の姿だけであった。
それでも天の気まぐれなプレゼントは嬉しい。

と思ったら、急に突風が吹いて私の帽子が飛ばされ、今は再びガスに閉ざされた谷底へ吸い込まれてしまったのであった。
やはり貢ぎ物が必要ということだったのであろうか。
さて、このちょっとしたハイライトの後は、天の我慢もここまでということであろうか、雨が降り始めたのである。 時刻は 9時10分、約束よりやや早いかなといったところである。
ガスと雨の中、岩場を下り、お池巡りのコースに入る。しかし、池など全く見えない。
かろうじて血ノ池と思われる池を認めることができたが、ガスの中でボンヤリしていて写真を撮るのもままならない。
この血ノ池の少し先に大汝峰への分岐があり、地図で確認して大汝峰のピストンを行うことにした。
この頃になると雨も降ったり止んだりである。道を少し進むと中宮温泉、岩間温泉への道と分かれる大汝峰の登り口で、そこから岩場の登りが続く。

雨とガスの中、急な岩場の登りが続き、もう頂上かと思うとガスの中にその先の尾根が浮かび上がるという状態で、 少し疲れを感じ始めたが、その尾根を登り切ると御前峰と同じような石垣に囲まれた大汝神社のある大汝峰頂上であった (9時54分着 − 10時1分発)
頂上は大きな饅頭の上にいるといった感じで、結構広い。
この頃には雨も止み、記念写真を撮ることができたのは大変ありがたかったものの、耳をすますと遠くでゴロゴロという音がする。 最初は小松基地の自衛隊機かと思ったのだが、どうも雷らしい。
これは大変と慌てて登ってきた道を戻り、先ほどの血ノ池へと急いだが、途中で再び雨が降り始め、雷鳴もかなり近くで聞こえ始めたのであった。
こうなると心中穏やかではない。お池巡りを途中で取り止め、室堂近道の標識に従って雪渓を横切り、室堂へと急いだのであった。
途中のハイマツの原で雨はかなり強くなり、傘をさしての下山となったが、雨と同時に雷鳴も大きくなり、周囲に何もない原を横切る際には生きた心地もしない状況であった。
そして、室堂にようやくの思いで着くと雨はますますひどくなり、約 30分の雨宿りを余儀なくされたのであった (10時27分着)

この間、雷鳴は鳴り続け、空も何回も光っていたのであったが、何と驚くことにその中を平気で下山する人たちがいる。
光ってから雷鳴が轟くまで約 4、5秒あったので、雷は遠いと判断したのであろうか、私にはとてもマネできない。
握り飯を食いながら時間を潰し、ようやく雷鳴も遠のき、雨も小降りになったのを見届け、下山を開始することとした (10時51分発)
ひとしきり雨が強く降ったためか、登る時にはガスで何も見えなかった弥陀ヶ原もガスがすっかりなくなって、 広い原全体を見渡せるようになったのはケガの功名であろう。
しかしそれにしても、苦しい登りの後でこのような広々とした原に出会えば、人々は神の業を信じ、弥陀ヶ原と名付けたのも頷ける気がする。

原を横切り、今朝ほどの黒ボコ岩から今度は道を右にとって観光新道を下る。
水飲み場が多かった砂防新道に比べ、こちらは全く水飲み場はないが、代わりにお花畑が充実している。 シナノキンバイ、ハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲ、シモツケソウなどの花々が登山道横の斜面に咲き誇り、目を楽しませてくれる。
途中、雨も一時的に止み、今朝 通り過ぎた甚ノ助避難小屋が眼下左に見え、その上方には形の良い、立派な山を見ることができた。
どうやらあれが別山らしい。
こちらの道も良く踏まれていて迷うことは全くない。途中から再び雨脚が強まり、ガスも再び出始めたが、 問題なく別当出合への分岐 (別当坂分岐) へと着いたのであった。

この分岐から別当出合までは雨のために滑りやすい道となり、また結構急であったことから、 こちらはやはり下りに使うのが正解と思う。
別当出合が近くなると、水音が聞こえ始め、いくつかの沢を認めることができたが、水がみな粘土色に濁っているのが興味深い。
雨のためかとも思ったが、別当出合近くの沢は濁っていなかったから、やはり地質によるものなのであろう。
そして、雨が最高に強く降っている中、12時36分、別当出合に戻り着いたのであった。
そこには大型のバス 2台が止まっており、そのバスに乗ってきた人たちであろう、大勢の人が東屋の下で雨宿りしていた。
駐車場に戻ったのは 12時43分。皮肉なことに駐車場に着いてからすぐに雨は止んだのであった。
ここからの帰り道は、砂防工事のためであろう、大型のダンプがドンドン登ってくるので要注意であった。

金沢への帰途、下吉野付近の老人センター ?で汗を流し、金沢に着いたのは 16時前。
夜行バスで帰るつもりを変更して、越後湯沢経由上越新幹線で帰途についたのであった。
結局は雨に降られたとはいえ、頂上までは雨に出逢わなかったのは幸いであった。少々未練は残るが、これもまた登山。 機会があったらまた挑戦することも考えたい。


白山登山データ

上記登山のデータ登山日:2002.08.02 天候:曇り後雨単独行日帰り
登山路:別当出合下駐車場−別当出合−中飯場−甚之助避難小屋−黒ボコ岩−弥陀ヶ原−室堂−高天原−御前峰(白山頂上)−翠ヶ池−大汝峰分岐− 大汝峰−大汝峰分岐−室堂−弥陀ヶ原−黒ボコ岩−蛇塚−殿ヶ池避難小屋−仙人窟−別当坂分岐−別当出合−別当出合下駐車場
交通往路:金沢−手取湖−白峰村−市ノ瀬(白山温泉)−別当出合下駐車場 (車にて)
交通復路:別当出合下駐車場−市ノ瀬(白山温泉)−白峰村−手取湖−金沢 (車にて)


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