登山NO.0025 苗 場 山( 苗場山:2,145m ) 1990.9.29登山


 本当に広い苗場山頂上( 1990.9.29 )

【苗場山登山記録】

【苗場山登山データ】

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再登山


NO.25 苗場山登山記録

苗場山は前から登ってみたい山であった。
というのは、山中にある赤湯温泉にて一泊するコースが魅力的だったからであるが、色々ガイドブックや時刻表を調べていくうちに、 別コースなら日帰りも可能なことが分かってきて (同じルートの往復ではない)、 紅葉の時期なら日帰りでも良いかなという様に考え方が変わってきた。
そこで、早速この今の時期がチャンスとばかりに出かけたが、上越新幹線の越後湯沢駅で降りてタクシーに乗ろうとした時には、 雨が降りそうな雲行きで、これは失敗したかなと思ってしまったのだった。
タクシーにて町営駐車場まで行って登り始めたが、ここは既に 1,200m以上の高さがあり、 やや私の山へのこだわりから言えば気が引ける部類に入るのであるが、祓川までのバスが運行されておらず、やむを得ないと自分を納得させた。

駐車場から少し登ると、全体が焦げ茶色をした洒落た造りの和田小屋があり、 その前からは木道を伝ってスキー場を横切っていくことになる。そして、暫く進んで五合目の稲荷清水からは樹林帯の中の道となった。
道は涸れ沢を歩くような感じで石がゴツゴツ出ており、しかも昨日雨が降ったのであろうか、石は濡れていて結構滑り歩きにくかったものの、 傾斜はそれ程でもないために、身体的には楽な道であった。
ただ、スキー用のリフトがずっと登山道に平行するように設置されていて、それが "下の芝" よりさらに上まで続いていたのにはやや白けさせられるとともに、 「自然破壊」 という言葉が頭をよぎらずにはいられなかった。

登山道はやがて木道に変わり、暫く進むと "下の芝" と書かれた立派な標識が現れ、 辺りも緑色のササや針葉樹に混ざって紅葉した赤や黄色の葉を持った木々が多く見られるようになり、 その美しさはまさに自然の庭園といった感じであった。
しかし、さらに上方の "中の芝" はもっと素晴らしく、緑色が少なくなって黄色と赤が完全に周囲を支配するようになり、 その鮮やかな色模様には " 燃えるような " という形容詞がピッタリの感じであった。
振り返ると、辿ってきた木道が黄色く染まった草の間を縫っており、その後ろには
巻機山であろうと思われる山が雲の中に浮かんで見えた。

視界が大きく開ける "上の芝" では、 下が薄緑色のササ原であるために黄色や赤が一層強調されて、景観はさらに見事なものとなり、 また右上方の山腹を見るとササ原の緑の延長上に黄色い草の原が輝くように見え、その美しいコントラストに言葉もでなかった。
"上の芝" を登り切ると右に小松原湿原への道を分け、やがて神楽ヶ峰となったが、 縦走路脇にある展望台から見る苗場山は、右側からわき出るガスでやや見にくくなっていたものの、どっしりとした山容を見せており、 尾根筋に付けられた道も見えて、最後の登りが非常に手強そうに思われた。

神楽ヶ峰から一旦鞍部に下り、途中のカミナリ清水で喉を潤した後、苗場山の最後の登りにかかった。
先ほど神楽ヶ峰で見た通りに登りは手強く、ジグザグの道を喘ぎながら登っていくと、 ヒョイと目の前に池塘と苗のような草地が目に飛び込んできて、頂上の一角に着いたことを知らされた。
頂上はただただ広く、黄色く染まった草地にササの緑が混じり、そしていくつもの池塘が点在しており、 シラビソやツガの濃い緑とその周囲の赤や黄色に紅葉した木々がアクセントを加え、本当に天上の楽園という言葉がピッタリの素晴らしい眺めであった。

木道を、右に見える山小屋目指して進み、遊仙閣裏手に回って一等三角点 (補点?) を確認し、 標識の前で 1人記念写真を撮った。
小屋付近では昼食をとる気になれず、さらに木道を小赤沢方面に進んで、途中にあった露岩の上で駅弁を広げたが、 天候も曇天ではあるものの雨の心配はいらないようで、下山を急ぐこともなく、ゆったりとした気分で食事を楽しむことができた。
目の前には広い草原が広がり、また木道を通る人も全くいなかったので、頂上を独り占めしたような気分となり、 まさに至福の時を過ごした次第である。
この至福という言葉は、深田久弥氏がよく使っておられるので使うことをはばかられたが、 やはりこのような素晴らしい景色を見たときには使っても良かろう。

暫し風景を楽しんだ後、木道をさらに先に進んでいくと、道が尾根通しに行くものと右へ進むものとに分かれる場所に来たが、 ここはガイドブックに従って右の道をとった (道としては尾根筋の道の方が紅葉真っ盛りという感じで魅力的であった)
まっすぐ行くのは旧道で、右への道は津南町がよく整備してあるとガイドブックには書かれていたものの、 右の道は倒木やぬかるんだ所が多く、また下降に入ってからは滑りやすい急斜面が続き、些か苦労させられた。
しかし逆に急斜面だけにスピードも出て、六合目まではあっという間に着くことが出来た。

やがて道も緩やかになってきたのでもう麓かと思ってしまったが、そこからもまだまだ道は続いており、 沢を渡って民宿などの宣伝が書かれた札が目に付き始めると林道に変わり、やがて畑や民家が見え始めてようやく小赤沢に着くことができた。
小赤沢ではバスまでの時間があったので、楽養館という出来たばかりの公衆の温泉場へ行って、泥のような色をしたお湯に浸かって疲れをとった。

帰りのバスは私一人が乗客で、運転手と話しながらの楽しい旅であったが、 話題の中心は今見てきたばかりの山頂の美しさであったのは言うまでもない。


苗 場 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1990.9.29 天候:曇り単独行日帰り
登山路:和田小屋下−和田小屋−下の芝−中の芝− 上の芝−神楽ヶ峰−雷清水−苗場山−小赤沢分岐−九合目〜一合目−小赤沢−楽養館−小赤沢
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(東海道新幹線) −東京−(山手線)−上野−(上越新幹線)−越後湯沢−(タクシー)−和田小屋下
交通復路:小赤沢−(バス)−津南−(バス)− 越後湯沢−(上越新幹線)−上野−(京浜東北線)−横浜−(相鉄線)−瀬谷
温 泉:小赤沢楽養館
その他の
苗場山登山
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 (2005.11.2 : 快晴)    ここをクリック


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