登山NO.0063 武 尊 山( 武尊山:2,158m ) 1996.6.2登山


 剣ヶ峰より家ノ串、中ノ岳、武尊山( 1996.6.2 )
【武尊山登山記録】

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NO.63 武尊山登山記録

宮崎に単身赴任していた頃は、登山における交通手段はもっぱら車であり、 それに慣れてしまったのか 横浜に帰ってからも車で登山に行くことが昔ほど苦痛ではなくなってきた。
従って、行動範囲も広がり、今まで 1泊しなければ無理と考えていた上州武尊山も、日帰り登山が可能となってきたわけである。

朝、4時過ぎに横浜の家を出発し、第三京浜から環状八号線を抜け、 そのまま練馬ICから関越自動車道に入って沼田ICで降り、川場の町を抜けて奥利根湯けむり街道を進んだ。
途中、緑萌える山の道を進んでいくと、緑の山の間から突然、場違いのように白い雪を被った山が見えたので、 6月も初旬だというのにまさかと思ったが、どうもその山がこれから登る武尊山らしく、自分の本日の装備を考えて少々ビビッてしまった。
やがて旭小屋が左手に見えてきたので、道路脇に車を止めて登山支度をして出発した。

立派な丸太造りの小屋の右横から山に入って行くと、暫くは樹林帯の登りが続き、 やがて土手のような平坦な道となって、右手に石碑が置かれている場所へと着いたが、 ここは賽ノ河原と呼ばれる所で、山岳信仰の雰囲気を漂わせていた。
暫くは平坦で周囲に白樺などが多く見られる道を進んだが、やがて右に荒山沢林道からの道と合流すると、 そのまま樹林帯の登りが始まった。
この頃になると右手に大きな前武尊の山容が見え始め、また所々残雪も見られるようになってきた。

やがて岩稜帯に入ったが、早速 15m程の岩場の登りがあり、 鎖を使ってよじ登っていくと展望が大きく開け、鋭角な形をした剣ヶ峰とどっしりとした前武尊がよく見え、 その左にはまだほとんど雪被ったままの剣ヶ峰山を見ることができた。
また、この岩場の頂上には " 不動岩 " と書かれた標識と、どなたかの遭難碑があった。
岩場はこの後も続いたが、特にスリルがあったのがカニのヨコバイ、背スリ岩と呼ばれるところで、 岩壁を鎖を使って乗り越えていくのであるが、乗り越えて岩の溝を降りる際に、背スリ岩が本当にザックにこすれ、 バランスを崩すまでは行かなかったが、かなりの高度がある所だけにゾクッとさせられた。

天狗岩と呼ばれるところが最後の岩場であったが、その後の道が崩壊しており、 下の道に下りるのに若干苦労させられた。
この登山の後、皇海山登山のために購入した 山と渓谷社 のガイドブックを見てみたところ、 上記の " 天狗岩 "" 不動岩 " とし、 " 不動岩 " との標識があった岩を蟻の戸渡りと称していたが、どちらが本当なのであろうか。
ちなみに、昭文社の地図ではこの岩峰群を不動岳と呼び、第1峰、第2峰、第3峰という区別の仕方をしている。

この後、しばらく樹林帯を進むと、傾斜がキツくなるとともに徐々に残雪が現れ、 ついには雪の上に切られたステップの上をたどることとなり、完全に残雪上の道となった。
傾斜はきつく、少しでも足を滑らせたら下まで滑落してしまうような所を登っていくと、やがて周りの木々が低くなるとともに傾斜も緩やかになり、 雪もなくなって、目の前に大きな日本武尊の銅像が現れた。
ここは前武尊の頂上であったが、周りの木々が伸びていたこともあってあまり展望を得ることができなかった。

頂上から少し下降すると、今度は全面雪の世界となり、そして目の前に大きく剣ヶ峰がそびえ立っていた。
剣ヶ峰へのルートは崩壊して通れなくなっているらしく、剣ヶ峰の周りに積もっている雪には全く足跡がなくて、 代わりに剣ヶ峰を右に回り込むようにして雪の急斜面を横切る道が作られていたので、滑り落ちないように慎重に進んでいった。
ここの雪の多さにもビックリしたが、もっと驚かされたのは右手遙かに見える至仏山方面で、 全くの銀世界となっており、そこだけ時間が止まって冬のままとなっているようであった。
今年は雪が多かったと聞いたが、全く驚きである。

雪の斜面の道は、剣ヶ峰の 2つ目の岩峰の所で本来の道と合流し、そのまま 3つ目のピークに登ることもできたが、 安全を考え岩峰の裏側を通る迂回路をとった。
剣ヶ峰を過ぎ、広い雪の斜面を登っていくとやがて家ノ串頂上で、そこからは中ノ岳、武尊山がよく見えた。
家ノ串から一旦下って今度は中ノ岳への登りとなったが、途中から左手に下ってササ原の山腹を行くべきところを、 雪の上に踏み跡が多くあったのでそのまま中岳へ直登してしまい、道が消えておかしいなと思っていたら、 斜面の左下を何人かの人が歩いているのが見えたで慌てて元の道へ戻った。
地図ではこの先に鳳池があると記されていたが、雪に埋もれていて全く確認できずに通過し、結構な高さに伸びているササをかき分け、 雪に足を滑らせながらも登り続けていくと、またもや岩陰に日本武尊の銅像が建っていた。
銅像は先ほどの前武尊の像に比べて顔に厳しさがあり、睨み付けるような目をしていたのが印象的であった。

銅像から先、雪の斜面につけられたステップを着実にたどると、 5分程で武尊山 (沖武尊) の頂上に着くことができた。
頂上は意外と狭く、また真ん中に御嶽山大神と彫られた石碑と方位盤が置かれているだけで、 信仰の山の最高峰としては思いの外シンプルであったので、少々驚いた。
しかし、頂上からの展望は素晴らしく、至仏山燧ヶ岳といった尾瀬の山々や、 平たい頂上を持った苗場山、 また谷川岳、 一ノ倉岳などの上越の山々が真っ白な頂を見せており、また振り返れば先ほど登ってきた中ノ岳、家ノ串、剣ヶ峰などが連なっているのが見え、 暫し楽しい時間を過ごすことができた。

下山は、前武尊までは往路を戻り、前武尊からは道を左に取って、荒山沢林道、川場野営場方面へ向かった。
前武尊下の斜面の雪は少し溶け気味で、何回か滑って尻餅を着いたものの、グリセードのまねごとができてとても楽しかった。
あとは樹林帯をひたすら下り、左手に武尊スキー場への道を分け、さらに先で今朝ほどのルートへと続く道と合流した後、 野営場に着いた。
林道を歩いていると、新緑の向こうに前武尊のどっしりとした山容が見え、思わずシャッター何回も押してしまった。
やがて奥利根ゆけむり街道に出たので右に折れ、旭小屋まで戻った。


武 尊 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ 登山日:1996.6.2 天候:快晴 単独行 日帰り
登山路:旭小屋−賽ノ河原−川場キャンプ場分岐−不動岳 −前武尊−剣ヶ峰−家ノ串−中ノ岳−武尊山−中ノ岳−家ノ串−剣ヶ峰−前武尊−武尊スキー場分岐− 川場キャンプ場−旭小屋
交通往路:瀬谷より車にて関越自動車道を通り、旭小屋まで。
交通復路:車にて関越自動車道を通り、旭小屋より帰宅。
その他の
武尊山登山
旭小屋−賽の河原−前武尊−家ノ串−武尊山−家ノ串−前武尊−川場尾根分岐−賽の河原−旭小屋
 (2004年10月22日 : 快晴)    こ こをクリック
武尊神社駐車場−剣ヶ峰山分岐−上ノ原登山道分岐−武尊山−剣ヶ峰山−剣ヶ峰分岐−武尊神社駐車場
 (2013年7月6日 : 曇り)    こ こをクリック

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