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41.とんび 42.気をつけ、礼。(文庫改題:せんせい。) 43.希望ヶ丘の人びと 44.ステップ 45.再会(文庫改題:ロング・ロング・アゴー) 46.十字架 47.きみ去りしのち 48.さすらい猫ノアの伝説 49.ポニーテール 50.峠うどん物語 |
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かっぱん屋、小さき者へ、きよしこ、トワイライト、哀愁的東京、お父さんはエラい!、きみの友だち、小学五年生、カシオペアの丘で、なぎさの媚薬4 |
くちぶえ番長、青い鳥、永遠を旅する者、オヤジの細道、ブランケット・キャッツ、ブルーリバー、ツバメ記念日、ブルーベリー、僕たちのミシシッピ・リバー、少しだけ欠けた月、サンタ・エクスプレス |
さすらい猫ノアの伝説2、空より高く、また次の春へ、ゼツメツ少年、赤ヘル1975、一人っ子同盟、どんまい、はるかブレーメン |
41. | |
●「とんび」● ★★☆ |
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2011年10月
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読みだした傍から涙が止まらず、最後まで、もう何度も涙ボロボロでした。 本書には、子供への愛、一人でも息子をちゃんと育て上げるんだ、という父親の熱い気持ちが籠っています。 愛妻が若くして死に幼い娘と共に生きた父親の娘育て物語である「ステップ」と比べると、不器用な男の息子育て物語である本作品は、ヤスさんというキャラクターの所為か、忘れ難い味わいに満ちています。 |
※映画化 →「とんび」
●「気をつけ、礼。」● ★★ |
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2011年07月
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学校時代に向き合った教師たち、そして卒業後長い時間が経ってもなお続く教師との関係。 ストーリィは生徒の目から、あるいは教師の目からと各々に異なりますが、ほぼ共通しているのは先生と生徒の関係だった学校時代と、それから幾年を経て先生と再会する話、あるいは思い出を語るという構成。 ・「白髪のニール」。夏休み、不器用な物理の教師がニール・ヤングの曲を弾きたい、ギターの弾き方を教えて欲しいと頼み込んでくる。教師も完全ではないと知る貴重な体験、それでもくじけず努力する姿に感銘を覚える一篇。 今から思えば、子供が対等に向かい合うことのできた唯一の大人が先生だったのだろうと思います。 白髪のニール/ドロップスは神さまの涙/マティスのビンタ/にんじん/泣くな赤鬼/気をつけ、礼。 |
●「希望ヶ丘の人びと」● ★★ |
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2015年11月
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中学校の教師だった妻の圭子が癌で急逝して2年、主人公は中学3年生の娘=美嘉と小学5年生の息子=亮太と共に希望ヶ丘の街に引っ越してきます。 妻が故郷と呼んだ街で暮らし、妻そして母親の面影に触れたかった父と子でしたが、現実は決して温かくはありません。 実のところこの主人公、イジイジしていて男らしくないというか、優柔不断で頼りないところ、多分にあります。 |
●「ステップ」● ★★ |
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2012年03月
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娘の美紀がまだ1歳半の時、妻は30歳の若さで逝った。それから男手ひとつ、2人で寄り添うように暮してきた父娘の記録。 よくあるパータンのストーリィのようであり、そうでないところが、ずっと家族を描いてきた重松さんならではという作品。 前半、再婚して営業部に戻って来いと強く勧めてくれる上司に対して主人公が答えた言葉が印象的です。保育園時代より小学校に上がってからの方がむしろ大変なのだと。 なお、挿絵は私の好きな杉田比呂美さん。画も素敵です。 ※私も娘を持つ身。もし自分が同じような立場に置かれていたら、と思う度、つい目頭が熱くなってしまうのです。 ケロ先生/ライカでハロー・グッドバイ/あじさい/キュウリの馬に乗って/サンタ・グランパ/彼岸過迄/バトン/ホップ、ステップ/ジャンプ |
※映画化 →「ステップ」
●「再
会
Long Long Ago」● ★★ |
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2012年07月
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子供の頃に親しかった人たちとの日々を思い返す、というストーリィから成る短篇集。 各篇に登場するのは、大人であっても子供であっても、一様に不器用なところのある人たちです。 あなたはどうですか、あの人たちのようにいつも笑顔でいられますか。本書は、そう問いかけてくる短篇集。 一つ一つの篇は、いかにも重松さんらしく、どれも味わい良いもの。 最後を飾る「ロング・ロング・アゴー」は、冒頭の「いいものあげる」から20年後のストーリィ。 いいものあげる
I'll give you something good/ |
●「十字架」● ★★ 吉川英治文学賞 |
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2012年12月
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いじめにより同級生が自殺。 中学2年でイジメを苦に自殺した同級生。その彼は、遺書に4人の名前を書き残していた。 いけにえ/見殺し/親友/卒業/告白/別離/あのひと |
●「きみ去りしのち」● ★★ |
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2013年03月
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1歳の誕生日を迎えたばかりの息子を突然亡くした夫婦が、その死に折り合いをつけるまでの長い道のり、幾多の旅を描いた長篇小説。 事故でもなく重い病気でもなく、夫婦がいつも通り就寝していた夜、息子の異変に気付いた時はもう手遅れ。あっという間に息子は死んでしまった。だからこそ、早く気付いていたら何とかできたのではないかという自分たちを責める思いから、2人はいつまでも逃れることができないでいる。 大事な人の死を人はどう受け入れたら良いのか、どうしたらその悲しみと折り合うことができるのか、を順々と語っていくストーリィ。本書で主人公が繰り返す旅は、その道のりを象徴するものでしょう。 |
●「さすらい猫ノアの伝説」●(絵・杉田比呂美) ★★ |
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2011年10月 2019年08月 2010/10/30 |
児童向け作品。 そこに突然現れたのが、首に風呂敷包みを巻きつけた黒猫。風呂敷を広げると中には、近隣小学校の生徒からの手紙が入っている。そして手紙には「ノアに選ばれておめでとう」「ノアはきっと、あなたたちのクラスが忘れてしまった大切なことを思い出させてくれるはずです」と。 児童向け作品ですけれど、本書が伝えようとしているのは重松さんのいつものメッセージと何ら変わりありません。 重松さんの伝えようとするメッセージ、永遠ですね。誰かが、ではなく、一人一人皆が、という点が大事。 |
●「ポニーテール」● ★★ |
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2014年07月
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親同士の再婚により新米の姉妹となったマキ(小学6年)とフミ(小学4年)、そんな2人+お母さんを中心にした、新しい家族の物語。 新しく姉となったマキは、とても無愛想で無口。といってフミを無視したり意地悪している訳ではなく、しっかりフミを見ているという風。 幼くして母親を亡くした娘と父親の片親家族の物語を重松さんが描いたのは2年前(「ステップ」)。そして今回は、再婚による新しい家族の物語。米国でこうした再婚家族がTVドラマになったのは今から40年も前のことですが、日本でもこうした家族がもはや特別なものではなくなってきた、ということかもしれません。 題名の「ポニーテール」は、フミが憧れるマキの髪型。本書は、髪を伸ばしてようやくポニーテールをフミが結べるようになるまでの半年余りの物語です。 |
●「峠うどん物語」● ★★ |
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2014年10月
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“家族”についてずっと書いてきた重松さん、その究極にあるものと言ったら、やはり永遠の別れ(死)に行き当たるのでしょう。 本書の主人公は、中学生のよっちゃん(野島淑子)。 そんな「峠うどん」の店を主舞台にした、連作短篇集。 序章/1.かけ、のち月見/2.二丁目時代/3.おくる言葉/4.トクさんの花道/5.メメモン/6.柿八年/7.本年も又、喪中につき/8.わびすけ/9.立春大吉/10.アメイジング・グレイス |
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