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21.かっぱん屋 22.小さき者へ 23.きよしこ 24.トワイライト 25.哀愁的東京 26.お父さんエラい!(文庫改題:ニッポンの単身赴任) 27.きみの友だち 28.小学五年生 29.カシオペアの丘で |
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くちぶえ番長、青い鳥、永遠を旅する者、オヤジの細道、ブランケット・キャッツ、ブルーリバー、ツバメ記念日、僕たちのミシシッピ・リバー、少しだけ欠けた月、サンタ・エクスプレス |
とんび、気をつけ、礼。、希望ヶ丘の人びと、ステップ、再会、十字架、きみ去りしのち、さすらい猫ノアの伝説、ポニーテール、峠うどん物語 |
さすらい猫ノアの伝説2、空より高く、また次の春へ、ゼツメツ少年、赤ヘル1975、一人っ子同盟、どんまい、はるかブレーメン |
●「かっぱん屋」● ★☆ |
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単行本未収録の作品を集めた短篇集。したがって、収録された各作品の内容は様々です。それ故、傾向別に2つに分け、SIDEAとSIDEBにしたとのことです。 SIDEAは、主に少年時代という過渡期の思い出を語ったストーリィで、重松さんらしい作品。 なお、巻末収録の重松さんへのロングインタビューも貴重。 SIDEA:すいか/ウサギの日々/五月の聖バレンタイン/かっぱん屋 |
●「小さき者へ」● ★★ |
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2006年7月
2002/11/08 |
人と人との関わりは難しい、家族だったら簡単なことなのに。 海まで/フイッチのイッチ/小さき者へ/団旗はためく下に/青あざのトナカイ/三月行進曲 |
●「きよしこ」● ★★ |
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2006年7月 |
言葉にはできないけれど、少年の心の中には伝えたいことがいっぱいある、そんな思いを書き綴った連作短篇集。 主人公は清という吃音症の少年。うまく発声できないことが障壁となって、彼は自分の気持ちを相手に伝えることをつい諦めてしまう。父親の仕事の関係で転校が多かったことも、そのことに輪をかけています。そんな清少年の、小学校から高校までを連作で描く7篇。 ひんやりと冷たく、そして津々と染みとおってくるようなストーリィです。 きよしこ/乗り換え案内/どんぐりのココロ/北風ぴゅう太/ゲルマ/交差点/東京 |
●「トワイライト」● ★☆ |
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2005年12月 |
小学校卒業前にクラス全員で埋めたタイムカプセル。39歳になって集まって掘り出したカプセルには、当時の皆の夢が詰まっていた。そしてもうひとつ、亡くなった担任教師からの「今、幸せですか」という皆への手紙がはいっていた。 タイムカプセルを開くことによって実際に開けられたものは、のび太、ジャイアンと当時渾名された少年たちや、シズカちゃんらしき少女の、過去の姿と現在との大きな乖離。その後の一週間、男女併せて6人の同級生たちは、当時と現在の大きな隔たり、経過を強く感じさせられることになります。そんなストーリィ。 読むに連れ目を背けたくなる程、彼等の現状は狭まるばかりという状況。リストラ、家庭崩壊、職場での冷遇。痛ましくて目を背けたくなるその訳は、一歩違えば自分の身に同じことが起こっても何の不思議もない、ほんの紙一重の差でしかないという思いがあるからです。 彼等は、ストーリィの最後に、再び将来への希望を見出すことができるのか。それは、読み手である我々自身の未来にも関わること、彼等は我々の代表選手でもある、という気持ちになってきます。 本書は決して登場人物だけのことに留まらず、中年期に至った我々への重松さんからのメッセージ、と受け留めるべきでしょう。 |
●「哀愁的東京」● ★☆ |
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2006年12月 |
絵本「パパといっしょに」が評価されて賞をとったというのに、それ以来絵本が書けなくなったフリーライター兼元絵本作家の進藤宏を、主人公かつ狂言廻しにした連作短篇集。 各篇で主人公が語り合うのは、いずれもこれまでひたむきに走ってきた人生の節目を迎え、空しさあるいはもの哀しさを感じるに至った人たちばかり。 マジックミラーの国のアリス/遊園地円舞曲/鋼のように、ガラスの如く/メモリー・モーテル/虹の見つけ方/魔法を信じるかい?/ボウ/女王陛下の墓碑/哀愁的東京 |
●「お父さんエラい!−単身赴任二十人の仲間たち−」● ★ |
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2005年10月
2003/10/28 |
単身赴任している人たちを訪ねて書き綴ったルポ集。一口に単身赴任といっても、実に様々です。 予め期間限定されている人から、期間未定、そもそも単身赴任覚悟で仕事先を選んだ人。また、赴任先の社宅事情、手当・一時帰宅制度の有無まで十人十色。それに比べ、私の僅か3ヵ月半など、単身赴任していましたとは、とても言い辛い。 大阪=東京間の単身赴任は、この中で比較的楽な方でしょう。だからこそ、度々の自宅との往復問題があり、ことさら悲哀が感じられるようです。 ひとり酒に人恋しさを募らせる/プレイバック・青春!/単身赴任歴十六年、大ベテラン登場/単身赴任エクスプレス/ここはさいはての稚内/男女三人「島」物語/札チョン共和国定例国会/やんちゃな鳶職人、南極へ行く/中国上海的獅子奮迅日本商社戦士(元拓銀マン、上海で復活す/現場は上海にあり/ニッポン製造業の未来を案じつつ)/哀愁酒場をはしご酒/ああ、単身赴任の妻たち/浮気か本気か「単身不倫」 |
●「きみの友だち」● ★★★ |
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2008年07月
2006/08/24
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いいなぁ、実にうまいなぁ。本書はその一言に尽きます。 「きみの」「友だち」という題名はとても平凡なものです。 ふとした失言が元でクラスの女の子から仲間外れにされてしまった恵美。持病のため体が弱くて学校を休みがちな由香。 なお、最後の章では、二人称で語られた理由が明かされると共に恵美のハッピーエンドが描かれます。「友だち」についての結論を書くためには不可欠だったのかもしれませんが、物語としては前の章までで充分だったような気がします。 あいあい傘/ねじれの位置/ふらふら/ぐりこ/にゃんこの目/別れの曲/千羽鶴/かげふみ/花いちもんめ/きみの友だち |
※映画化 → 「きみの友だち」
●「小学五年生」● ★★ |
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2009年12月
2007/04/04
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小学校五年生を主人公とした短いストーリィ17篇。 本書で主人公は、単に「少年」と書かれます。それは、他の登場人物が個人名で呼ばれるのと対照的です。 さて私自身が小学五年生の頃はどんなだったか?というと、正直言ってあまり覚えていません。 本書は、そんな小学五年生の日々を瑞々しく、そして優しく描いた短篇集です。 葉桜/おとうと/友だちの友だち/カンダさん/雨やどり/もこちん/南小、フォーエバー/プラネタリウム/ケンタのたそがれ/バスに乗って/ライギョ/すねぼんさん/川湯にて/おこた/正/どきどき/タオル |
●「カシオペアの丘で」● ★★ |
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2010年04月
2007/06/25
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現在、そして過去へと長い時間を辿った物語。読み終えたときには、長い旅を漸く終えた気分でした。 本物語は、39歳の若さで肺がんのため余命半年余りと宣告された主人公シュンが、中学以来戻ることのなかった故郷へ人生の終わりに再び戻るという贖罪の物語です。 北海道の元炭鉱町、北都市。小学校4年時のある夜、仲の良い4人(シュン、ミッチョ、トシ、ユウ)は星を見るため丘に出かけ、将来ここに遊園地ができたらと夢み、そこを“カシオペアの丘”と名づける。その部分がプロローグ。 本作品は重松さんにとって初の大長編であり、ストーリィの舞台が都会から郊外へ出たのも初めてとのこと。 |
●「なぎさの媚薬4 きみが最後に出会ったひとは」● ★☆ |
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2007/06/15
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シリーズものの第4巻にして、最終巻。 本書に収録されているのはこれまでどおり2篇。 2篇とも感動というより、まず「なぎさの媚薬」という物語の風変わりさが先に立ち、あぁそうした物語なのか、と受け留めるだけで終わってしまった観があります。 きみが最後に出会ったひとは/なぎさの媚薬 ※【シリーズ既刊本】 |
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