メニエルさんたちのおしゃべりパーティー【☆HOME☆】【耳鼻科的めまいの考察】>【メニエール/治療-全般】

【メニエール】

■治療-全般

生活習慣やストレス対策ーーーーーーーーーーー

メニエールの原因はリンパ水腫なので、リンパ水腫が起きないようにすればいいのですが、残念ながら原因がわかっていないので根本的な治療はできません。しかし、ストレスや睡眠不足がめまいにはよくないので生活習慣やストレス対策は基本です。

夜更かしをしないで睡眠をしっかりとり、ちいさな事にまでくよくよしないで、ストレスは定期的に発散し、また、ストレスに対する受け止め方を見直してみるといいでしょう。


    

        

上左 : ストレス状態=ストレス刺激x受け取り方
上右 : 音楽でストレス解消
下左 : スポーツでストレス解消
下右 : これもストレス解消?!
米研究によれば、幸せな結婚をしている女性が、ストレスを感じた際に夫の手を握ると、ストレスが即座に解消されることが、脳のスキャンではっきりと示されたとか・・・。

薬物療法^−−−−−−−−−−−

原因が内リンパ水腫なので、内リンパ水腫を少なくするために利尿剤が治療の中心になります。

利尿剤はイソバイドという液体の薬が使われる事が多いようです。ゼリー状のメニエットが処方される場合もあります。

他には下記のような薬が症状に応じて処方されます。

*内耳の血液循環をよくする薬
*精神安定剤
*ビタミン剤
*乗り物酔いの薬(トラベルミン等)
*漢方薬(リョウケイジュツカントウ、トウキシャクヤクサン、ゴレイサンなど)

残念ながら、風邪薬のように2〜3日で効いたと実感できる事はなかなかないようです。人によっては、ある程度の期間観察する事によって、薬の効果がわかったりする事もあるので、自分で自分の体の事をよく観察する事も大事です。

めまい発作が起きてしまった時は、部屋を暗くして悪い方の耳を上にして頭を動かさないようにじっと寝ているといいでしょう。めまい発作そのものを止める薬はありません。トラベルミンをのむと気持ち悪さが少し楽になります。精神安定剤が有効な場合もあります。
メイロンの点滴はいいようですが、めまい発作中は少しも動けない事も多く、また動く事でめまいを悪化させるので無理してまで病院へ行く事はないと思います。

めまいが頻発する時は、ステロイドやグリセオールの点滴を数日続けて行われる事もありますが、通院か入院かはケースバイケースのようです。

●その他の薬物療法・・・SOD療法
内耳の活性酸素対策にムコスタ、グルタチオン、シナール(ビタミンC)を服用するというものです。
SOD療法については、厚生労働科学研究成果データベース
http://mhlw-grants.niph.go.jp/
の「閲覧システム」をクリックして「前庭機能異常」で検索してください。
平成17(2005)年度の前庭機能異常に関する調査研究の報告書のファイルリストの2つ目の終わりから3つ目のはじめにかけて掲載されています。
カウンセリング、運動療法、イソバイド、水分負荷など様々な方法に組み合わせて補助的に使われているようです。

●ヘルペスウィルス原因説について・・・抗ウィルス剤未経験の管理人の個人的見解はこちら

心理療法などーーーーーーーーーー

メニエルはストレスが影響する事から、心理療法が有効な事もあります。めまいへの不安がめまいの症状を悪化させている事も多いので、不安な気持ちが大なり小なりあれば効果的かもしれません。

また、リンパ水腫の発生と自律神経の働きの関係もあるので自律神経訓練法などもいいでしょう。

 

 

 

 

平衡機能訓練ーーーーーーーーーー

大きい発作の後、フラフラが続くような時は左右の前庭機能の変化を脳が調整しきれてない場合もあります。このような時は、運動するのがいいようです。(参照:平衡機能訓練)この「脳の代償がきちんと働く事」はめまい発作がない時の日常生活をより楽にするためには大きなポイントです。

手術と薬物療法の中間的な治療ーーーーーーーーーー

生活習慣の改善や薬の服用をいろいろ試みても、生活に著しい支障がある場合は下記のような治療法もあります。どの方法をとってみても賛否両論であったり、効果が今一つであったりしますが、めまい発作を繰り返して聴力を失う事のないよう医師とよく相談さるといいでしょう。

また、メニエルにいいとされる民間療法にもいろいろあります。副作用やリスクについてよく検証した上で、経済と時間が許せば試してみる事もいいかもしれません。

 

鼓室内ゲンタマイシン投与

ゲンタマイシンは、片側の耳だけにメニエルの症状がでている人が対象になります。
1957年に始まったそうですが、最初のころは内耳前庭機能の廃絶を目的としていました。
ゲンタマイシンはアミノグリコシド系の薬の中でも半規管に影響し、蝸牛には影響しないと言われているようですが、前庭機能を廃絶する程度にまでゲンタマイシンを投与すると聴力も悪化するようです。めまいに対する効果はかなり良くて個人差も大きくはないようですが、聴力に対する影響は最悪聞こえなくなるぐらいになって非常に個人差は大きいようです。なので、病気が進行して難聴が進んだ人とか、遅発性内リンパ水腫の同側型の人に行われていたそうです。
最近では、ゲンタマイシンを少量、様子を見ながら投与すれば聴力が悪くなりにくかったり、
前庭機能が残っているぐらいの状態でもめまいのコントロールがよくなっているのがわかってきたり、
内リンパ水腫ができるのを抑制しているという働きがあるらしい事がわかってきました。
このゲンタマイシンの治療は回転性のめまいに対する治療です。
ゲンタマイシンによって前庭機能が低下するとふらつきがでる事があり、特に高齢者は代償が働きにくいので避けた方がよさそうです。また、投与の終了後も障害が進行する事もあるらしいので、より慎重にするべきなのかもしれません。尚、この治療によって、反対側の耳への影響はないようです。

ゲンタマイシンの投与は鼓膜に直接注射をするか、下のイラストのように鼓膜にチューブを入れて注射します。


鼓膜チューブ留置術

鼓膜に小さい筒状のチューブを挿入し、鼓室換気を目的とする。外耳と中耳の圧の差が生じる事が内耳圧を変化させてめまいを誘発する可能性もあるので、圧の差によってめまいが誘発されるタイプのメニエール病には鼓室換気がめまいには有効らしいです。らしい、というのは、管理人は1年経験しましたが、同時に薬も増えたり、下記ステロイド投与もしたため、これのみの効果はわかりません。しかし、外来でもでき、これといったマイナス点はないので、やってみても損はないでしょう。)

鼓室内ステロイド投与(中耳にステロイドを1週おきぐらいに投与します。)

 

管理人は、1週おきに10回の投与をしました。上記チュービングがしてあると、鼓膜に針を刺さずにできるので外来で普通の診察時にできます。(上のイラスト参照)4回目ぐらいまでは3日に1度ぐらいのめまいがありましたが、5回目ごろからは、少なくなりました。上記と同様、飲み薬を増やした事の影響か、ステロイドの効果かはわかりませんが、これもマイナス要因は少ないので試す価値はありそうです。
ただし、カロリックテスト(水を耳に入れて、前庭機能の程度をみる検査)を思い出せばわかるように、ステロイド投与でめまいが起こる場合もあるので、場合によってはステロイド投与後、ベッドで少し休む必要があるようです。

鼓室内麻酔薬投与(麻酔投与でめまいが起きるため、入院が必要です。)     

 

手術ーーーーーーーーーーーーーー

薬物療法でもめまい発作を繰り返す場合は手術をする場合もあります。
高度な技術が要求されるので、手術可能な病院は限られます。
めまい平衡医学会の病院リスト(リンクページにリンクしてあります)を参考にしてください。

内リンパ開放術

内リンパ液をくも膜下腔へ導く手術
耳の後ろから手術します。手術により、80%ぐらいの人はめまい発作が起こらなくなるようですが、月日がたつにつれ、あけたところが塞がってめまいが再発する場合もあります。ただし、手術前のようなひどいめまいでなく術後は軽い事も多いようです。聴力は、変わらないか場合によってはよくなりますが、悪化するケースも割合は少ないですがあります。手術であけたところが塞がっても、めまいが起きない事もあるので、実際には塞がる事は多いかもしれません。
日本では手術といえばこれが多いようですが、賛否両論いろいろなようです。
デンマークで手術を実行するグループと直前でやめるグループとで効果に差がなかったとの報告もあったようです。
ストレスや不安などの心理的な要因でめまい発作がよく起きてしまう傾向がありますが、そういう心理的要因を取り除いてもさらにはげしいめまい発作が頻発する時に限った方がいいとする考えもあるようです。
ただし、両側であって両耳の聴力が急に悪化するような場合には検討してもいいのかもしれません。
あくまでも、確実なメニエルである事、めまい発作が頻発する事、めまい発作によって生活に著しい支障があること等、手術の実行にはかなり慎重、もしくは手術を必要とする的確な判断ができる医師が少ないようです。

 

 

前庭神経切断術

聴神経は残して、前庭神経のみを切断する。これも、施術する施設は限られる。
片側の前庭機能をなくしてしまうので、片側の患者のみが対象です。残った方で前庭機能を代償していかなくてはならないからです。手術後はリハビリが必要。
ゲンタマイシンを投与する治療も片側の前庭機能を低下させてめまいのコントロールをよくしようという目的ですが、前庭神経切断術は機能停止になります。内耳の代償だけから言えば完全な機能停止の方が代償は早く働く傾向があるようですが、非常に個人差があり一概には言えないようです。
また、開頭手術なのでゲンタマイシンよりは確実に危険性はあります。

 

 

内耳摘出術

前庭神経切断術と同じく片側の前庭神経がなくなってしまうので片側の患者のみが対象ですが、こちらは聞こえもなくなってしまうために現在はあまり行われなくなったようです。
蝸牛の神経の出口あたりにあるラセン神経節細胞があると人工内耳の可能性もありますが、内耳破壊では人工内耳はできません。(メニエールで聴力がまったくなくなる例はほとんどないかもしれませんが・・・)