80歳の誕生日
- スカウトの皆さん
私は、ここにおられる皆さんと比べて、そんなに年をとったようには思ってはいませんが、80歳になりました。
私が少年の頃、今でいえはシースカウトのような事をしていた時に学んだことが、そのあとの人生で大いに役に立ちました。
私は、軍人になり、斥候をやりました。それはもう愉快で、わくわくするようなものでした。軍隊で、私は、任務こ従うことを学びました。それは義務をなしとげるということです。その義務をなしとげるために、危険な目に会うことに備え、場合によれば、死もあると考え、それについても備えを怠たらぬようにしたものです。
また、私は、かず多くの旅をしました。いろいろな国を巡りました。今、思っても素晴らしい旅です。その中で、私の目は開かれていったものです。
運動もやりました。身体も強くなり、探険もしました。冒険もずい分やりました。本当に私は、人生をエンジョイして来たと思います。たくさん、楽しいことをやって来ました。
でも、しばらくして、私は楽しいことと、幸せということとは、ちよっと違うことに気がつきました。私達は、おもしろいことをすると楽しくなります。映画、フットボール、ごちそうを食べる。そうです、こういうことはみな楽しいことです。でも、楽しい感じは、ゲームが終ったり、ごちそうが終るともう、お仕舞いになります。
幸せというものは、もっと別のことです。幸せとは、ずっと続く喜びなのです。
おもしろいことをすることによってではなく、ほかの人たちを手助けをすることによって、この幸せは大きくなっていきます。
80年というと、ずい分長いなあと思われるかもしれません。でも、私のこの80年の人生は、いつも何か仕事をしていて、忙しくなかったことはありませんでした。人間は、仕事をして忙しくしている限り、いつも生き生きしているものなのです。
もし、皆さんが何もすることがないようなことがあったら、これはよく覚えておいて欲しいのですが、大勢の人たちが助けを求めているということです。どんな人でも、たとえ身体が弱い人、お金のない人でも、助けの手を差しのべることは出来るのです。
ほかの人たちを手助けし、幸あせにすることで、あなた自身がもっと幸せな人になれるということです。そしてそれを前進させてくれるであろう。私は、皆さんが、私と同じように、長くて、愉快な人生を送ってほしいと思います。きっとそう出来るのです。
自分自身を健康にし、ほかの人たちの役に立つ人になるならばです。このことで、私の秘訣をお話しましょう。
私は、いつも、何をする時も、スカウトのちかいやおきてを実行するようにしてきました。皆さんも、そうすれば、とても幸せな時をすごすことが出来ます。皆さんが、長く幸せな人生をすごされることを祈ります。
・・・それから、いいキャンプもたくさん出来ますように。
では、さようなら。
B−P卿 80歳の誕生日のスピーチ