「パトロールシステムと班長への手紙」

ローランド・フィリップス著

  • パトロールシステム

    最初、多くのスカウトマスターや、その他の人々は、パトロール・システムを用いたいと思っても、その真価をあげ得ることが出来るほど、それに対する充分な理解と、認識をもっていなかった。

    周知の如く、「パトロール・システム」というものほ、少年たちを、その仲間で選んだ1人のリーダー一即ち、パトロール・リーダー(班長)を頭(かしら)とする恒久的なグループに 托するものである。

    この制度を、最善に結果づけるためには、そのリーダーに、本当の、手ばなしの責任を与えなければならない。もし、諸君が彼に、1部分の責任しか与えないならば、その結果も亦、1部分しかあがらない。

    そこで貴隊の班長の用い方を、このようにオフィサーとして用いるならば、諸君は日常起こる煩雑な、多くの面倒なことがらから手が省けることになる。けれども、この制度の目的は、責任を班長に課して隊長は安逸をむさぼるためにあるのでほない。責任を与えるというわけは、人格を築きあげる全ての方法の中で、最上の方法だからこれを与えるのである。

    グループとか、児群とかいうものは、少年仲間では自然の単位であって、彼等ほ、遊ぷ時でも、いたずらをする時でも、この単位でやっている。そして、仲間のうちの一番すぐれている者がリーダーとして、頭(かしら)になるのが通則である。この自然的法則を、諸君の最後的手段として採用するならば、最上の結果が生まれて来る。

     隊長が、この狙いを、数個のパトロールにそれぞれ施して、たがいにそれに到達させるならば、彼等の制度と能率とは、何ごとについても、自動的に基準を高めるものである。これと同じ原理が、学校のためにも用いられる。嘘ではない。事実、ワーウイックシヤーの23枚で、「プレフェクト」システム(組長制度)という名称で行われている。

    この制度の、実際的の効果については、ボーイスカウト運動においても、数個の例証がある。それはスカウトマスターが、最初からこの制度で出発した場合、どこでもそうであつって、その隊は、責任を強められた班長たちによって、実にうまく運営されている。

     ローランド・フィリップス氏によって述べられた本書の各章は、この制度についての、実際的な、有益な示唆を記したもので、私は、少年の訓練を担当する各位に、衷心より推薦するものである。

    1914年4月 ロバート・べ−テン・ポウニル


    (「パトロールシステムと班長への手紙」 ローランド・フィリップス著