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脳の再生医療

2025年2月26日
  
「損傷した細胞を修復する機能 「Muse細胞」 東北大学研究チームが開発権利をイギリス資本の会社に譲渡」という記事に驚いた。「Muse細胞」を生かすにはこれしか選択肢がないのは残念だが、致し方ない。経緯などの詳細はこちらから。

2024年12月21日

  前回「抗インフルエンザ薬を脳梗塞の再生医療に」というプレスリリースを紹介したが、その後読み返してみてふと思った。
 「脳梗塞の根本的治療に成功した世界初の研究であり」という記述が大いに気になった。
 長年いろいろな機関・組織が取り組んでいいるが決して[根本的治療]というような言葉は使っていない。安易に、今はやりの言葉でいうと、盛っている、のではないか。根本的、うう〜ん。
 現在臨床試験中の多くが、幹細胞移植のた頭蓋骨穴をあける定位脳手術を要するのに比べ、抗インフルエンザ薬の投与ならば点滴静注ではないか。その侵襲性は比較にならないほど低い。
 「連携できる企業様でご関心をお持ちいただける場合の連絡につきましては、下記の問い合わせ先にて承ります。」という記述もある。
  連携を望む企業が殺到するはずだと思うのだが、続報が知りたい!!!
 プレスリリースのPDFファイルはこちらから。
 
2024年6月2日

 生理学研究所の「抗インフルエンザ薬を脳梗塞の再生医療に」というタイトルのプレスリリースが2024年5月24日付けで掲載された。 「ノイラミニダーゼの働きを抑える抗インフルエンザ薬を投与することにより、新生ニューロンの移動およびニューロン再生が促進し、脳傷害によって失われた脳機能が回復することを明らかにしました。」という。
詳細はこちらから。

2023年12月10日

 北海道大学病院の2023/12/1付けで「慢性期脳出血患者を対象とした自家骨髄幹細胞・足場材合材の脳内移植法 (医師主導治験)開始のお知らせ」と題するニュースをリリース。幹細胞と足場材を組み合わせた製品(HUFF-01)を脳内に直接投与することで麻痺などの軽減を目指します、とある。また北海道大学発スタートアップの株式会社 RAINBOW および富士フイルム株式会社の技術が用いられるとのこと。今年も終わろうという時期にGood News!

20238月7日

新潟大学脳研究所の2023年06月20日付け「脳梗塞に対する、ヒト末梢血単核球を用いた新しい細胞療法の開発」と題する研究成果・実績の発表を見つけた。素人の僕には当然よくわからないが、なんとなく頼もしい治療法のような気がする。ぜひご覧ください。

2023年5月1日

残念なニュース。三菱ケミカルグループが、計画や組織の紆余曲折を経て結局、Muse細胞を用いた再生医療等製品(CL2020)の開発中止を2023年2月14日に発表した。中止の原因は明らかにされていない。
今後は、Muse細胞の使用に関する権利は三菱ケミカルグループから出澤教授側に返還され、出澤教授は新たにパートナー企業を探すなどで開発を続ける方針とのこと。出澤教授らは三菱ケミカルグループの治験データに疑義があるとして、病院側のカルテとの照合を求めている。

2023
年月16日
北海道大学のウエブサイトに2023年2月15日で「新規開発したゲルを用いて脳の神経組織の再構築に成功」と題する研究発表が掲載されていた。
ポイントとして次の3点が挙げられている:
●神経幹細胞を培養可能なゲルの作製に成功。
●マウスの脳内にゲルを埋め込み、その後神経幹細胞を注入することで脳組織を創出。
●将来の脳損傷治療へ繋がる基礎技術となることを期待。
まだマウスの段階だがさらなる研究フェーズへの進展が望まれる。

2022年9月29日

NHK NEWS WEBの2022年9月7日付けの「脳梗塞で損傷 神経細胞の再生を目指す臨床研究 広島大学」と題する記事に注目。
脳梗塞によって損傷した神経細胞の再生を目指して、広島大学の研究グループは、患者の頭蓋骨から取った特殊な細胞(間葉系幹細胞)を培養し、その患者に投与する臨床研究を開始したとのこと。投与方法は点滴だから侵襲性は低い。
頭蓋骨から取り出した特殊な細胞を培養して戻すという治療は世界初。患者自身の細胞のため拒絶反応などは少ないという。来年末までに6人の患者を対象に実施するとしている。久々の素晴らしいニュースだ。

2022年3月16日

以前2度ばかり紹介した神経再生促進物質LOTUSに関する研究報告があった。「神経再生促進物質LOTUSの遺伝子導入により脊髄損傷に対するヒトiPS細胞由来神経幹細胞移植治療の効果を改善」と題する記事で脳梗塞にも触れている。


2021年12月25日
三菱ケミカルホールディング(前は生命科学インスティテュートとして発表)は「Muse細胞を用いた再生医療等製品(CL2020)の開発について」という記事を2021/12/15に更新した。主要は更新内容は”「条件及び期限付承認」ではなく、直接「本承認」の取得を目指すことと致しました。”という頼もしいもの。詳細は同社のウェブサイトを参照してください。

2021年10月30日
CD34陽性細胞
2021/09/02付けの読売新聞オンラインコラムに「慢性脳梗塞の患者の機能回復に期待、血管を再生する細胞投与…治験開始」という記事があった。 血液から血液成分分離装置で抽出した「CD34陽性細胞」を使って治験を開始したという。CD34陽性細胞は首の動脈から脳内に投与する。注目すべき内容だ。慢性脳梗塞の患者16人で8人は投与、8人は投与しないとで比較するという。なんと7月に1例目を実施したとある。細胞の抽出や投与の侵襲性の点で優れている。首の動脈というのが素人にはちっとばかり気になるが静脈投与より脳に到達しやすいのかなとも思う。何よりも対象が慢性期脳梗塞なのが頼もしい。また選択肢が増えた。よい結果が出ることを期待したい!

2021年10月23日
iSC細胞とLOTUS
二つとも2017年頃話題になったきりその後進捗情報が見つからない。コロナ禍が少なからず影響していると思われる。ここでおさらいの意味でもう一度次のWebサイトを紹介する。
iSC細胞
LOTUS
iSC細胞などはあるテレビ番組で「ノーベル賞級」などと言われた。LOTUSは「近い将来、精製LOTUS タンパク質を体の外から投与する薬物治療や、LOTUS を遺伝子導入する遺伝子治療などの神経再生医療技術に発展することが期待されます。」という記述や下の図から僕は大いに期待している。というのも僕は延髄の上位運動ニューロンの損傷で生じる重度の仮性球麻痺を患っておりこれは重度の嚥下障害と構音障害を呈するからだ。素人考えで見当違いかもしれないが......。

いずれにしても早い進捗が望まれる......

2021年9月26日
最近Muse細胞の素晴らしい治験の結果が文春オンラインYouTubeなどでも取り上げられているが、発症後14〜28日といった基準を満たした35人を対象とした二重盲検比較試験である。発症から例えば4年を経た慢性期脳梗塞患者にも有効かどうかをぜひ治験を行って欲しい。というのは細胞が傷害部位に遊走するのは傷害部位から発せられSOSシグナルに導かれるというが、発症から4年後もシグナルが発せられるのか。それと静脈投与だから侵襲性の面で優れているがBBB(血液関門)を通過できるのかなど、梗塞部位への細胞の生着に関して素人なりに答えの知りたい素朴な疑問が残る。早ければ、今年中に申請、来年度に製品化とある。もちろん製品化されたら速攻で治療を受けたい。製品化されたときに明示的に急性期とか回復期とかに制限事項が示されていれば別だが。いずれにしても早い製品化が望まれる。

2021年7月21日
偶然2021年6月11日付けのセルソース社の「順天堂大学とセルソース、エクソソームを用いた脳梗塞後遺症・パーキンソン病の治療について共同研究を実施」と題するプレスリリースに出会った。
エクソソームというのは初耳だ。間葉系幹細胞由来の細胞分泌小胞とのことらしいが素人の私にはよくわからない。ネットで検索するといくつかの研究があり、それぞれがだいぶ進んでいる。間葉系幹細胞の移植による脳の再生医療は広く研究されているのは周知だ。エクソソームは間葉系幹細胞が分泌する。その分泌物だけを用いた治療かな。 いずれにしても選択肢が増えるのは良いことだ。今後、エクソソームというキーワードを追跡していこうと思う。

2021年6月16日

2021年5月18日付けで株式会社生命科学インスティテュートが「脳梗塞患者を対象としたMuse細胞製品CL2020の臨床試験結果に関する発表について」と題するドキュメントを投稿した。CL2020は静脈投与だから侵襲性の点で優れているがこの臨床試験は急性期脳梗塞が対象だ。ぜひ慢性期脳梗塞に対する効果の臨床試験をして欲しい。1年ほど前のラットでの試験結果でCL2020の患部に遊走するホーミングと慢性期脳梗塞に対する効果のついて触れてるがやはりラットだから。ヒトで慢性期に静脈投与したCL2020が患部に遊走するかどうかぜひ知りたい。直接投与(脳の定位手術)はどうしても不安がある.....

2021年1月14日

2019年12月3日付けで「脳梗塞の再生医療へ向けて北大准教授らがベンチャー設立」とお知らせしましたが、いよいよ「株式会社RAINBOW」としてWebサイトを公開しました。第2相治験では「慢性期脳梗塞」をターゲットとすることが明記されています。 期待しましょう!!!

2020年12月9日
2019年2月9日に「イギリスのReNeuron社のCTXヒト胎児由来幹細胞による治験結果の要旨が脳神経外科医川堀 真人氏のWEBサイトで紹介されています。
ここに紹介されているのはPhase I (PISCES)の結果です。Phase IIa(PISCES-II)もすでに実施され良好な結果が得られたため、米国で無作為プラセボ対照治験Phase IIb(PISCES III)を開始することがFDAによって認可されました。およそ110人を対象に行われる予定で現在被験者を募集中です。」という情報をお伝えしましたが、コロナ禍の影響を受けていないか気になりReNeuron社のサイトを閲覧したところ次のような記事がありました:


As a result of the positive data from the PISCES II study, the FDA approved the commencement of a randomised, placebo-controlled, Phase IIb clinical trial in the US in patients living with chronic stroke disability (PISCES III). This trial is underway, with plans to enrol approximately 130 patients across up to 40 centres in the US, but is currently on hold due to Covid-19 related restrictions. and will remain suspended in the US for the foreseeable future.

Following a review of programme priorities, this trial will remain suspended in the US for the foreseeable future; clinical trial sites will be kept open and patients already treated will be followed up over time in line with the clinical trial protocol.

The Company’s stroke disability programme with its CTX cell therapy candidate will continue through regional partnerships. ReNeuron’s exclusive licensing partner in China, Shanghai Fosun Pharmaceutical Industrial Development Co., Ltd. (“Fosun Pharma”), will develop the Company’s CTX cell therapy candidate for stroke disability in the licensed territory (Greater China including Hong Kong, Macao and Taiwan) where the Company has the potential to benefit from future operational and regulatory milestones under this out-license agreement. Clinical trial applications have recently been filed by Fosun Pharma to open clinical sites in the licensed territory to build on the clinical data already generated in the US.

The primary efficacy objective for PISCES III is to assess the effect of CTX drug product on the change in degree of dependency and disability from baseline as measured by the modified Rankin Scale (mRS) at 6 months post-treatment. The mRS is a well-established, 7-point, clinician-reported global measure of functional disability in patients and of their dependence upon others in carrying out activities of daily living. A 1 point improvement from baseline on the mRS is considered clinically meaningful as it represents a stroke patient’s ability to function more independently.

The target population for PISCES III is patients, who have stabilised following an ischemic stroke 6-24 months prior to treatment, with moderate to moderately severe functional disability requiring help from others to carry out activities of daily living or to ambulate.


[translated by DeepL]
PISCES II試験で得られた良好なデータの結果、FDAは慢性脳卒中障害者を対象とした無作為化プラセボ対照第Ub相臨床試験(PISCES III)の米国での開始を承認しました。 この試験は現在進行中で、米国の最大40施設で約130名の患者さんを登録する計画ですが、Covid-19に関連した制限のため、現在は保留中です。

プログラムの優先順位の見直しを行った結果、本試験は当面の間、米国での実施は中止されます。

CTX細胞療法候補品を用いた当社の脳卒中障害プログラムは、地域のパートナーシップを通じて継続していきます。リーニューロンの中国における独占的ライセンスパートナーである上海佛山製薬工業発展有限公司(以下「佛山製薬」といいます。Ltd.(以下「佛順製薬」)は、当社の脳卒中障害に対するCTX細胞療法候補を、ライセンス地域(香港、マカオ、台湾を含む大中華圏)で開発する予定です。 フォスンファーマは、米国で既に得られた臨床データをもとに、ライセンス地域での臨床試験を開始するための申請を最近行っています。

PISCES IIIの主な有効性の目的は、CTX製剤が投与6ヵ月後のベースラインからの依存度と障害の程度の変化(modified Rankin Scale(mRS)で測定)に及ぼす影響を評価することです。 mRSは、患者さんの機能障害および日常生活動作を行う上での他者への依存度を示す、確立された7項目の臨床家報告によるグローバルな尺度です。mRSでベースラインから1ポイントの改善は、脳卒中患者の自立した機能を示すものであり、臨床的に意味のあるものと考えられて

前回PISCES IIIの対象者は、治療の6〜24ヶ月前に虚血性脳卒中を発症して安定し、日常生活動作や歩行に他者の助けを必要とする中等度〜中等度の機能障害を有する患者さんです。


やはりコロナ禍の影響で保留になっていました。しかし中国では実施されるようですので期待しましょう.....??

2020年10月30日
前回ミクログリアの可能性について紹介したがそれを補遺する短くまとめられた記事が薬事日報のWebサイトにに掲載されていたのでここに引用する。


ミクログリアによる治療に期待 薬事日報
2017年02月27日 (月)

◆脳の免疫細胞であるミクログリアへの簡単な刺激が脳梗塞の画期的な治療につながる可能性が、新潟大学脳研究所神経内科の下畑享良准教授らと国立病院機構新潟病院の共同研究によって世界で初めて明らかにされた
◆簡単な刺激とは、薬剤を使わずにミクログリアを酸素とブドウ糖濃度が低下した脳梗塞に類似した環境に短時間曝露させるというもの
◆この研究により、ミクログリア細胞にこのような簡単な刺激をうことで、脳保護的に作用する善玉のM2ミクログリア細胞に変化できること、ならびにこの細胞を急性期治療ができずに後遺症が残った脳梗塞患者に移植すれば、機能回復が促進される可能性が明らかになった
◆このミクログリアによる治療が実用化されれば、慢性期の機能回復として初めての画期的な内科的治療法となる。加えて、比較的簡単な手法でミクログリアのM2化が可能なため、専門的な細胞調整センターを持たない一般病院における治療の普及につながることが期待できる。今後の研究動向に注目したい。


ミクログリアの可能性にいては、2017年に報じられたから患者の誰もが今現在の進捗状況を知りたいと願っているだろう。この記事を読めばその思いが一層高まる。コロナ禍の影響を受けていなければよいのだが、無理かな.....

2020年8月13日
もう一つの可能性
2019/11/19付け日本経済新聞電子版の記事より


「新潟大学など 脳梗塞の症状回復 低コストで新手法
新潟大学などの研究グループは、脳梗塞の症状を回復させる新手法をラットを使った実 験で発見した。血液中の白血球内の細胞の一種を取り出し、酸素やブドウ糖の濃度を一 定時間低下させた環境に置いてから投与すると、組織の修復や後遺症の改善が見られ た。低コストな脳梗塞の治療法の開発に役立つとみており、2〜3年後の臨床応用を目指す。
新潟大の畠山公大特任助教や金沢雅准教授らが、岐岐阜大学などと研究に取り組んだ。 研究グループは「単核球」と呼ぶ白血球内の細胞に着目。酸素とブドウ糖の濃度を18時 間、下げた状態に置いた単核球を、脳梗塞のラットに投与すると、脳の血管や神経細胞の修復が起きた。」


細胞の一種というのはミクログリアのことで、ミクログリアを脳梗塞に類似した環境(すなわち酸素とブドウ糖の濃度が低下した状況)に短時間曝露させるという簡単な刺激により,ミクログリアの持つ、組織を修復する能力を活性化するというのだ。詳細はこちらから。これは慢性期脳梗塞も期待できそうなので、2021年末〜2022年末の臨床応用が楽しみだ。

2020年4月23日
Muse細胞の臨床試験の結果
本日付けで生命科学インスティテュートは、「脳梗塞患者を対象とした Muse 細胞製品(CL2020)の臨床試験の結果に関するお知らせ」と題するプレスリリースを発表した。対象は慢性期ではなく亜急性期脳梗塞だがうれしいニュースであることに違いはない。着実に進んでいる。大いに勇気付けられる。しつこいようだが、久々のうれしいニュースだ。

2020年1月16日
Muse細胞についてまとめてみた
Muse細胞とは
生命科学インスティテュートのプレスリリースから引用
「Muse 細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring cell)は、2010 年に東北大学の出澤理教授らのグループにより発見された、ヒトの多様な細胞に分化する能力を有する多能性幹細胞です。もともと生体内の間葉系組織内に存在する自然の幹細胞であることから腫瘍化の懸念が少ないことに加え、目的とする細胞に分化誘導する必要がなく、そのまま静脈内に投与するだけで傷害部位に遊走、集積し、生着して組織を修復するという特長を有しています。」

・生命科学インスティテュートと東北大学や岐阜大学の共同で行われている臨床試験

対象疾患 開始年月 プレスリリース
急性心筋梗塞 2018年1月
脳梗塞 2018年9月
表皮水疱症 2018年12月
脊椎損傷 2019年7月

・目標
生命科学インスティテュートは4つのいずれかの疾患で2020年度の承認申請と2021年度の承認を目指すという。

2019年12月3日
脳梗塞の再生医療へ向けて北大准教授らがベンチャー設立
脳梗塞の患者の脳に本人の骨髄から採取、培養した幹細胞(自家細胞)を直接投与する新たな再生医療の実現を目指すベンチャー企業(RAINBOW)を、北大病院脳神経外科の川堀真人特任准教授らが設立した。サンバイオの再生細胞薬SB623は他家由来の間葉系幹細胞である点でこれと異なるが、直接投与である点では同じである。プレスリリースによると現在行っている脳梗塞亜急性期治療の治験を通じて安全性や効果を確認して、2023年から数十人規模の脳梗塞慢性期に対する治験の予定。詳細な治験を経て2026年の事業化を目指すとのこと。脳梗塞慢性期に対する治験が行われることに期待する。2026年か…77歳になる…とにかくリハビリ頑張ってその日に備えておくしかない。

2019年7月1日
iSC細胞
iSC細胞については以前、神戸新聞の記事を紹介したがその後新しいニュースがないか調べてみた。兵庫医科大、松山氏の最終講義でiSC細胞に言及されている他に羽鳥慎一モーニングショーの2017年1月6日放送分で「脳梗塞の治療『定説覆す発見』」として取り上げられていたことが分かった。

抜粋:
玉川(この人かなり面白い人で、そのユニークで的確なコメントが素晴らしい):「松山先生によると、『問題なのはお金がないこと、やりたいんだけどできないんだ』と、電話でおっしゃっていました」

羽鳥:「世紀の発見、ということでいいわけですね」
玉川:「言っていいんじゃないでしょうかねえ」

「もしかしてノーベル賞級の大発見」が資金面の障害があってはならないと思うのだが。

2019年6月30日
再生医療ではないが興味深い記事があったので紹介します。
「脳梗塞慢性期において神経症状を回復させる新規脳内T細胞を発見―抗うつ剤が制御性T細胞を増やし脳梗塞の症状を緩和―」というプレスリリースが目を引いた。
マウスモデルを用いた実験により、脳梗塞後の慢性期に新たに発見された免疫細胞が働き、神経症状の回復に寄与することを発見したという。既に抗うつ剤として使用されているセロトニンを増やす薬がTレグをさらに増やし脳梗塞による神経症状を緩和したというのだ。
脳梗塞再発後は抗うつ剤が3種類処方されていた。薬漬けになるのは嫌なのでしばらくしてから担当医と相談して徐々に減らして今はレクサプロ錠10mgだけを飲んでいる(粉砕して水に溶かしてからシリンジで経管投与)。幸いレクサプロは脳内のセロトニンを増やすタイプの抗うつ剤で、このプレスリリースで言及されている抗うつ剤に該当する。慢性時にほんの僅かだが運動機能の改善があるのは、この薬が寄与しているのかな…抗うつ剤は止めたかったが、1種類だけ残しておいて良かったということかな…

2019年6月13日
新潟大学の研究成果・実績ページに2017年2月9日付けで「脳梗塞に対する脳の免疫細胞ミクログリアを用いた新しい細胞療法の成功」という記事が発表されていました。他ににもWEB上にミクログリアを用いた治療の潜在性を示す記事があり、それらを要約すると、脳の免疫細胞であるミクログリアをM2化し投与することで、神経変性疾患.多発性硬化症.脳梗塞.ウイルス感染.脳腫瘍.精神疾患において.損傷した中枢神経系組織の修復や正常化に役立つ可能性が高く.新たな創薬ターゲットとなりえるという。特に新潟大学のドキュメントでは慢性期脳梗塞に対する効果に言及しているのがうれしい。
詳細は:http://www.bri.niigata-u.ac.jp/result/docs/270214pressrelease.pdf
新潟大学脳研究所の研究成果・実績ページ:http://www.bri.niigata-u.ac.jp/result/index.html

2019年6月9日
2019年6月6日、富士フイルム富山化学株式会社は脳卒中後のリハビリテーション効果を促進する新薬候補化合物「T-817MA」の臨床第2相試験を開始したことを発表した。脳卒中後の回復期リハビリテーションにおいて、運動機能回復の促進効果などを確認するとしている。
詳細は:http://fftc.fujifilm.co.jp/information/detail/190606.html

2019年5月19日
Muse細胞に関してもうひとつ特許が「発明の名称:多能性幹細胞を損傷部位に誘導する遊走因子を含む医薬組成物」として国際出願されている。損傷部位に誘導する遊走因子を含むという記述が注目される。
詳細は:WO2014133170A1

2019年5月6日
2019/01/12に、ニプロが札幌医大と共同で開発した脊髄損傷を対象とする再生医療薬STR01(自己骨髄間葉系幹細胞:ステミラック)について、厚生労働省より「条件及び期限付承認」を取得したことをレポートしたが、早々に薬価収載が了承された。1回投与の算定薬価は1495万7755円とのこと。3割負担の場合4,487,327円。1割で1,495,776円。将来脳梗塞対象で承認された場合でも薬は同じだから薬価も同じになるだろう。サンバイオのSB623も外傷性脳損傷対象で同様の承認を近いうちに得られるだろうが、他家由来のため薬価はステミラックよりもだいぶ下回ると予想される。

2019年4月22日
Muse細胞(Multilineage-differentiating Stress Enduring Cell)の脳梗塞を対象とした探索的臨床試験は2018年9月から東北大学病院で開始されているが、期待を込めてここでMuse細胞についての情報を簡単にまとめてみた。
ヒトの骨髄などの間葉系組織にある多能性幹細胞で東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野の出澤真理教授らのグループが発見し2010年に発表された
発明の名称:「生体組織から単離できるSSEA-3陽性の多能性幹細胞を含む他家移植用細胞治療用組成物」として国際出願されている
国際公開日:2012年10月4日(04.10.2012)
国際公開番号:WO2012133948A1
体内に自然に存在するので腫瘍化の危険が極めて少ない
点滴で静脈内投与ができるため手術が不要
静脈へ投与するだけで損傷した組織へとホーミング・生着し,組織に特異的な細胞へと分化することで組織修復と機能回復をもたらす(慢性期になると脳が発するシグナル《ホーミングシグナル》は消えてしまうらしいのでホーミング・生着が本当に期待できるのか不明。それともmuse細胞の場合は本来あったところに戻る特性があるのだろうか。)
骨髄や脂肪組織から採取できるため安全かつ非侵襲的
2021年度以降に医薬品として承認を受けることを目指している
自家由来/他家由来の両方が可能
臨床試験はまず亜急性期の脳梗塞患に対して行われる。Muse 細胞製品が医薬品として上市された場合、適応症として慢性期脳梗塞が含まれるかどうかはわからないが臨床試験が開始されたことは脳梗塞患の重度後遺症に苦しんでいる人々に大きな希望を与えてくれる。できれば薬品投与とリハビリをセットにして欲しい。

2019年2月6日
イギリスのReNeuron社のCTXヒト胎児由来幹細胞による治験結果の要旨が脳神経外科医川堀 真人氏のWEBサイトで紹介されています。
ここに紹介されているのはPhase I (PISCES)の結果です。Phase IIa(PISCES-II)もすでに実施され良好な結果が得られたため、米国で無作為プラセボ対照治験Phase IIb(PISCES III)を開始することがFDAによって認可されました。およそ110人を対象に行われる予定で現在被験者を募集中です。
これが成功すればいよいよPhase III…それもクリアすれば承認ということになるのかな。しかし「ただ胎児由来の神経幹細胞に遺伝子導入したものは将来の癌化などのリスクが残りすぐに日本で治療として認可されるかは不透明」と川堀真人氏はコメントしています。

2019年1月26日
"Silk Biomaterial Could Regenerate the Brain After a Stroke"という表題の記事
この記事の概要
スペインの研究者グループは、脳に移植した幹細砲の生存期間を延ばし、脳梗塞や脳損傷後の回復を改善することができるシルクバイオマテリアルを開発した。幹細胞移植は、損傷の広がりを小さくし、組織再生を促進することによって脳の再生を促進する有望な治療法です。しかし、大部分の細胞は、損傷後に脳内に形成される炎症状態のために生き延びない。
「多くの場合、移植された間葉系幹轜胞のほとんどは移植後1〜2以上週間以上は生存しません」と、マドリッドエ科大学(UPM)の研究者であるDaniel Gonzalez-N6eto氏は私に語った.「この研究で、私たちのバイオマテリアルは脳内のこれらの細胞の生存を4週間以上に延ばすことを発見しました」
つまり、現在脳梗塞の後遺症の治療法として間葉系幹細胞の培養・移植が最も有望だが、その幹細胞をシルクバイオマテリアルにカプセル化することで移植した幹細胞の生存期間を延すことが可能ということ。

2019年1月12日
ニプロ株式会社は2018年12月28日、札幌医大と共同で開発した脊髄損傷を対象とする再生医療薬STR01(自己骨髄間葉系幹細胞:ステミラック)について、厚生労働省より「条件及び期限付承認」を同日付けで取得したと発表した。承認申請が2018年6月28日だから半年あまりで承認されたことになる。次はいよいよ脳梗塞対象を対象とした同薬の承認申請はずだ。ただ、直接投与でなく静脈投与だから慢性期脳梗塞に対する効果は多少疑問があるので臨床試験の結果に期待したい。
関連ページ

2018年11月4日
慢性期脳梗塞に対する脂肪由来幹細胞治療
「脂肪由来幹細胞を用いた再生医療とリハビリテーションを併用した慢性期脳梗塞の1症例」と題する論文があったので抄録を紹介します。
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脂肪由来幹細胞を採取し、増やして静脈投与する方法は、僕のように外科手術の際の休薬(抗血小板剤)が一因で脳梗塞が再発し後遺症が重篤化しと人間にとっては安心感がある。できれば、仮性球麻痺による嚥下障害と構音障害の症例もないものかと思う…

2018年10月3日
株式会社生命科学インスティテュートの2018年09月03日付けプレスリリース
生命科学インスティテュートが脳梗塞患者を対象としたMuse 細胞製品の探索的臨床試験の開始を発表した。この後、Phase1、Phase2と続いて承認申請となるのかそれともPhase1をスキップしてPhase2、承認申請となるのかわからないが、いずれにしても楽しみだ。”脳梗塞患者”に最終的には慢性期脳梗塞患者も含まれるようになるのかな......いずれにしても大いに期待し、また励まされる!!!

2018年9月2日
脳梗塞に対する間葉系幹細胞治療
脳梗塞に対する間葉系幹細胞治療の現状にまとめてみました。
由来 自家/他家 投与方法 実施期間・状況
脂肪組織由来間葉系幹細胞 自家 静脈投与 釧路孝仁会記念病院、クリニックチクサヒルズ、BTR アーツ銀座クリニック等多数ー実施中
骨髄由来間葉系幹細胞 他家 直接投与(定位脳手術) サンバイオ(再生細胞薬SB623 慢性期脳梗塞−治験中)
骨髄由来間葉系幹細胞 自家 直接投与(定位脳手術) 北海道大学病院 急性期脳梗塞ー治験中
骨髄由来間葉系幹細胞 自家 静脈投与 札幌医科大学附属病院 急性期脳梗塞ー治験中
ふくとみクリニックー実施中
歯髄の幹細胞から分泌されるサイトカイン 他家 点鼻投与 デイクリニック天神ー実施中

2018年8月1日
自己骨髄間葉系幹細胞(STR01)の製造販売承認申請
札幌医科大学附属病院の脊髄損傷患者を対象とした医師主導治験治験に基づいて、ついにニプロが自己骨髄間葉系幹細胞(STR01)の製造販売承認申請を行った。この医師主導治験治験は脳梗塞を対象にも行われているはずだから、大いに期待が持てる。投与方法は静脈投与だから侵襲性も低い。

2018年7月3日
もう一つの可能性LOTUS
2017年9月の記事"脳梗塞後の機能回復に有効な物質LOTUS 〜脳梗塞治療への臨床応用に期待〜"が気になる。外から投与する薬物治療であれば体への負担も楽だし、いろいろ他の記事を読んでいるうちに、仮性球麻痺による嚥下障害や構音障害に有効なのではないかと思うようになってきた。もちろん明確な根拠はないが、素人考えで、「梗塞後の軸索再生を促進」というのが根拠と言えば根拠である。いずれにしても、早く実現してほしい。この横浜市立大学プレゼンテーションをご覧ください。共同研究企業を求めています。

2018年6月30日
株式会社生命科学インスティテュートの2018年01月15日付けプレスリリース:急性心筋梗塞を対象疾患としたMuse細胞製品の探索的臨床試験開始について
心筋梗塞対象の探索的臨床試験の開始が発表された。脳梗塞対象でないのが残念だがとにかく多少の遅れはあっても開始されたことに意義があると思う。今後の対象の展開に期待します。

2018年5月10日
2017.05.19付けの日経バイオテクの記事「ニプロ、脊損を対象に
自家MSCを2017年夏から秋にかけて申請する」
「ニプロは、2017年5月18日、2017年3月期の通期決算説明会を開催。同社は、2014年4月に札幌医科大学とライセンス契約を締結し、脳梗塞および脊髄損傷の治療に用いる自家の骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)であるSTR01の共同開発を行っている。説明会で、ニプロの佐野嘉彦社長は、STR01について、「脊髄損傷を対象として2017年夏から秋にも承認申請を行う」と話すとともに、現在の製造能力と課題についても言及した。」
この脳梗塞および脊髄損傷を対象とした治験は確か5年を目途に2013年に開始されたはずだ。今2018年1月現在承認申請のニュースはないから今年中ということになると思われる。脊髄損傷対象の治験の方が先に終了したのかもしれない。どちらにしても治験が確実に実施されているようだ。脳梗塞対象がこれに続くことを大いに期待したい。嬉しいニュースです。

2018年3月3日
Muse細胞最新情報
2018年1月15日、株式会社生命科学インスティテュートが急性心筋梗塞を対象疾患としたMuse細胞製品の探索的臨床試験開始を発表。今回は対象疾患が急性心筋梗塞ですが、Muse細胞は、もともと、「脳梗塞動物モデルの失われた神経機能の回復に成功しました」ですから、いずれ脳梗塞を対象疾患とした臨床試験開始も期待したいです!おおいに励みになりますね。

東北大学大学院医学系のWEBページに、Muse細胞の実用化や治験に関しましては叶カ命科学インスティテュートのウェブサイトを参照頂くか、下記の部署までお問合せ頂けますようお願い申し上げます、とあります。叶カ命科学インスティテュートのWEBサイトはこちらから。「生命科学インスティテュートでは、Muse 細胞製剤を用いた臨床試験を来年度から開始し、心筋梗塞を対象とした治験実施により有効性と安全性を確認したのち、さまざまな疾患を対象とした開発へ展開していく予定です。」とあります。さまざまな疾患の中には、脳梗塞も含まれるでしょうから、大いに期待できますね。

北大の治験に関する追加情報
治験の詳細な内容を知るには、このWEBサイトをお勧めします。治験と並行して次の3つの研究が実施され点が特筆される。安全な細胞培養ー動物由来製剤を使用しない培養液の確立、安全な細胞移植法ー定位的装置と移植用プローブを使用した脳内移植、移植細胞の動態追跡ーSPIOでラベリングした細胞をMRIで追跡の3つだ。特に移植した細胞の動態追跡は興味深々だ。

2018年2月2日
現在、幹細胞を用いて脳梗塞後後遺症に対する治療を提供している病院を紹介します
釧路孝仁会記念病院(北海道)
患者の脂肪組織から間葉系幹細胞を分離して数千万〜1億個ほどまで培養して静脈投与または局所投与を行う脂肪由来幹細胞治療です。サイトに治療費を含み詳細な説明があります
医療法人大雅会・ふくとみクリニック(大阪市)
骨髄穿刺により骨髄液を採取し骨髄幹細胞を培養します。それを約4週間間隔で合計3回の点滴により体内に投与。こちらも詳細な説明がありますからサイトをご覧ください。
デイクリニック天神(福岡県福岡市)
乳歯髄幹細胞培養上清液による治療。投与方法は点鼻。「※現在のところ残念ながら脳梗塞後の脳機能障害については完全な効果を示す報告はまだなされておらず、運動麻痺(運動障害)に関してのみ報告がなされている状況です。」という記載がある。

札幌医科大学附属病院の治験
これもうれしいニュースです。北大のニュースといい北海道はすごいですね。例えは適切でないかもしれないけど、甲子園の優勝旗みたいですね。白河の関をいつ越えるのかと待っているうちに.....東北をスルーして北海道に行ってしまった。患者本人から採取した骨髄液中の骨髄間葉系幹細胞を分離し培養して治験薬を作り、点滴投与することで脳梗塞後遺症の軽減を目指すというもの。同じような治療は大阪や福岡などの民間病院ですでに実施されているようです。東北からもうれしいニュースが届くことを期待します。素人があれこれ説明するよりも札幌医科大学附属病院のWEBサイトをご覧になるほうが早いでしょう。治験とは、から始まる懇切を丁寧な説明をぜひご覧になってください。再生医療治験のお知らせ

2017年12月10日
北大、脳梗塞の再生医療で治験開始
2017年11月14日付けのの日本経済新聞電子版に素晴らしい記事が掲載されました。北海道大学が脳梗塞の患者自身の幹細胞を使った再生医療の臨床試験(治験)を始めたと発表したのです。脳梗塞の患者自身の骨髄から採取した幹細胞を培養して移植する再生医療です。1例目はすでに8月には脳内に直接注入したそうで、2例目は11月上旬に実施。幹細胞移植後1年にわたって安全性や有効性を調べるということですから、2018年11月か12月には何らかの結果が出るのではないかと期待しています。
いよいよ再生医療を受けられる日が現実味を帯びてきましたね。結果が楽しみです。
北海道大学病院の脳梗塞患者を対象とした自家骨髄髄移植治療(医師主導治験)開始のお知らせはこちらから

2017年12月10日
iSC細胞(虚血誘導性多能性幹細 胞)の移植で脳梗塞で死んだ脳細胞を再生
兵庫医科大学先端医学研究所研究グループが2009年に脳梗塞の組織の中に神経細胞をつくる細胞があることを発見しました。そしてこの細胞を培養・移植すると「死んだ神経細胞が再生した」とする基礎研究の成果を発表しました(神戸新聞NEXT2016年1月5日)。発見された多能性幹細胞は体内で自然に生まれる自家細胞です。研究グループは重症の脳梗塞を起こした患者の脳でも多能性幹細胞の存在を確認し、iSC細胞(虚血誘導性多能性幹細胞)と名づけました。既に培養したマウスのiSC細胞をマウスの脳に移植し、正常に機能している状態を確認しています。また2016年11月に、日本医療研究開発機構の支援を受けてスタートした基礎研究では、ヒトのiSC細胞をマウスに移植し、成果を確かめてます。iSC細胞はもともとヒトの体内で作られているので、移植してもがん発症のリスクは低いとされています。兵庫医科大のグループは、今後2年余りで、臨床試験の前段階まで持っていきたい話しているそうです。臨床試験の日が待ち遠しいですね。

日本の再生医療の現状
日本の再生医療の現状を知るには、NHKのクローズアップ現代「脳がよみがえる!?再生医療大国・日本の逆襲」という番組をお勧めします。大いに励みになります。
クローズアップ現代「脳がよみがえる!?再生医療大国・日本の逆襲