古地磁気方向:サンプル・レベルの解析; pdemag
プログラム "pdemag" は段階消磁のデータからサンプル・レベルの残留磁化方向を決定しますが,これは古地磁気データのヒエラルキーな解析手順の最初のステップとなります.プログラムは,ブロッキング温度(\(T_B\))や保磁力(\(H_C\))の最も高い範囲で, MAD(maximum angular deviation)がある一定の値 MADc(デフォルトは 5°)より小さくなる残留磁化成分を自動的に探します.プログラムは Kirschvink (1980) を簡略化した主成分解析(principal component analysis; PCA)を使用します.コマンド L による直線解析の例を下図に示します.データはオーストラリア,マウントアイザの原生代粗粒玄武岩岩栓のものです(Tanaka & Idnurm, 1994).

直線解析の結果が良好でない場合の再計算の方法としては以下の4つが考えられます.(1)コマンド M で MADc をデフォルトの 5° から変更する.(2)コマンド R で原点を PCA から除外する(デフォルトは原点を1つの独立したデータ点として解析に含めます).(3)コマンド A で直線を原点に固定する(anchor).(4)コマンド T で自動モードをオフにしてマニュアルで直線を決定する.
データ点が等面積投影図において大円(great circle, GTC)を描く場合は,平面の PCA が有効です.下図はコマンド G による大円解析の例です.試料は上図と同じ粗粒玄武岩岩栓のものです.平面の PCA では,方向の情報だけが使用されます.即ち,個々の残留磁化は単位ベクトルとして扱われ,平面は原点に固定されます.マニュアル解析も可能です.

コマンド W は直線解析や大円解析の結果をユーザが指定するファイルへ書き出します.このファイルは次のレベルのプログラム "pdirec" への入力ファイルとなります.
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参考文献:
- Kirschvink, J.L., The least-squares line and plane and the analysis of paleomagnetic data, Geophys. J. R. astr. Soc., 62, 699-718, 1980.
- Tanaka, H., and M. Idnurm, Paleomagnetism of Proterozoic mafic intrusions and host rocks of the Mount Isa Inlier, Australia: Revisited, Precambrian Research, 69, 241-258, 1994. (→ doi:10.1016/0301-9268(94)90089-2)